2020年4月22日からNetflixで配信が開始されたカナダ発のアニメ映画『ウィロビー家の子どもたち』。
両親から愛情を注がれずに育ったウィロビー家の4人兄弟が、自由を求めて外の世界に旅立つアドベンチャー作品です。
可愛らしいアニメーションからは想像できない強烈なネグレクト描写とブラックユーモアに溢れた笑いで、大人も子どもも楽しめる、けれども大人と子どもでは見える世界が違う、そんな物語になっています。
ということで、今回はアニメ映画『ウィロビー家の子どもたち』をネタバレなしでご紹介します。
目次
『ウィロビー家の子どもたち』作品情報
作品名 | ウィロビー家の子どもたち |
配信開始日 | 2020年4月22日 |
上映時間 | 92分 |
監督 | クリス・パーン |
脚本 | クリス・パーン マーク・スタンレー |
出演者 | ウィル・フォーテ マーティン・ショート アレッシア・カーラ ジェーン・クラコウスキー リッキー・ジャーヴェイ |
音楽 | マーク・マザースバーグ |
『ウィロビー家の子どもたち』あらすじ【ネタバレなし】
ウィロビー家の子どもたちは愛してくれない両親を…
名家であることを誇るウィロビー家は、高層ビルが建ち並ぶ大都会の中で昔ながらの家に変わらず住み続け、先祖代々のしきたりを厳格に守り続けていました。
しかし、現当主とその妻にはウィロビー家を象徴する立派な口髭が生えておらず、それは一族が斜陽を迎えていることを示唆しています。
夫婦は愛し合っていましたが、4人の子どもたちには愛情を注ごうとしないどころか、食べ物すら十分に与えていません。
当然、子どもたちは両親のことをよく思っていませんでした。
そんなある日、ウィロビー家の門の前に何かが入った箱が置き去りにされ、興味を持った長女のジェーンが箱を開けてみると、そこには赤ちゃんが入っていました。
ジェーンは赤ちゃんを抱えて家に入りますが、はしゃぎ回る赤ちゃんを見た両親はパニックになり、子どもたちに捨ててくるよう命じます。
その一件をきっかけに、ジェーンは両親への不満を爆発させ、末の双子のバーナビーA・バーナビーBを連れて外の世界へ飛び出すことにしました。
ジェーンは外の世界に「自分たちにとっての理想の両親」がいるはずだと確信していたのです。
長男のティムはそんなジェーンを必死で止めようとしますが、心配だったこともあり、嫌々ついていくことに。
虹の根元を目指して歩き続けた4人兄弟は、キャンディ工場にたどり着きました。
ティムはそこに赤ちゃんを捨てて帰ろうとしましたが、工場主であるメラノフに立派な口髭が生えているのを見て、メラノフこそウィロビー家の当主、そして自分たちの親に相応しいと感じます。
そこでティムも、ジェーンのいうところの“理想の両親探し”に関心を持つようになり、ジェーンの提案を受けて旅行という名目で両親を危険地帯に送り込むことを決めます。
それは、両親が旅先で落命するように仕掛けた罠でした。
何も知らない両親が旅立ったあと、4人兄弟は夢にまで見た自由を謳歌しますが、そこへ両親が手配したナニーがやって来て、事態は思わぬ方向に変化していきます。
『ウィロビー家の子どもたち』感想【ネタバレなし】
可愛いアニメーションと辛辣なブラックコメディ
Netflixが“ファミリー向けコメディ”と謳っている『ウィロビー家の子どもたち』。
あらすじの通り、子どもたちが初めての冒険に旅立つ愉快な物語ではあるのですが、単なるキッズも観られる作品だと思っていると大人のほうが面食らうことになるでしょう。
独特で可愛らしいキャラクターデザインと、CGアニメーションでつくるストップモーションのような動きを最大限に活かしてコミカルに描かれていますが、保守的な両親によるネグレクトはなかなかに強烈。
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孤児問題や養子縁組など、やや重いテーマを扱いながらも、ファミリー向けアニメの王道をいく展開もあり、足取り軽いテンポで物語は進んでいきます。
原作であるロイス・ローリーの児童文学「The Willoughby」自体が児童文学の王道的ストーリーを踏まえたうえで児童文学を皮肉ったような作品なので、その空気感がアニメにも上手く取り入れられているといった印象です。
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そういった原作・スタッフが存在している背景もあり、子どもたちの視点から両親や児童養護施設の人々、里親など大人たちの姿を描くことで、問題のある家庭や被害を受けた子どもたちの世界がリアルに映し出されています。
4人兄弟の味方であり、彼と似た境遇で育ったナニーの存在も大きく、家族の形が一つではないことを教えてくれるキーパーソンとなっています。
urara
子どもたちが大人に左右されずに、自分自身の自由や幸せについて考える様子は、大人が観るのはもちろん、子どもが観ても心に響くものがあると思います。
urara
しかし、虐待描写に対して繊細な方からは「子どもには見せたくない」などの厳しい声が上がっているのも事実です。
アレッシア・カーラの歌声が心に響く!
『ウィロビー家の子どもたち』の登場人物たちは、髪や口髭が毛糸のような素材で描かれています。
実際に切り取った髪や口髭で編み物をするシーンもあり、ユーモアがあって可愛らしい印象を受けます。
そんなウィロビー家の4人兄弟の外見は、ひょろっとした長男・ティム、髪が地面につくほど長い長女・ジェーン、縦に長めなおかっぱ頭の双子・バーナビーAとバーナビーB、それぞれに特徴的です。
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長男のティムは真面目でしっかり者、最も保守的で、それ故に臆病な部分もあります。
外に出ることに対しても怯えていましたが妹や弟たちが心配でついていったり、ナニーに素直に甘えられなかったり、お兄ちゃんらしくも子どもらしい一面を持っています。
両親への不満を一番抱えているものの、最後まで両親が改心することを諦めずにいました。
末っ子の双子は発明家で、劇中に4人兄弟が家中にピタゴラスイッチさながらの大仕掛けをするシーンがあるのですが、大活躍でした。
2人ともバーナビーと名付けられ、のちにナニーによってA・Bと呼び分けられるようになりますが、呼び分けられるようになったことを素直に喜んだり、そういった感情を2人で分かち合うような純粋さがあります。
そして、長女のジェーンは想像力が豊かで歌うことが大好きな少女。
家で歌うと両親に怒られてしまうこともあり、兄弟の中で一番自由を求めていたところがあります。
信頼できる大人を見分けるのが得意だったのもジェーンです。
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そんなジェーンの声を担当したのは、今作が声優初挑戦となったシンガーソングライターのアレッシア・カーラ。
世界的な人気を誇るDJ・Zeddとコラボした“Stay”で一躍人気アーティストの仲間入りを果たし、ディズニー映画『モアナと伝説の海』の主題歌“How Far I’ll Go”は大ヒットとなりました。
その美しく伸びやかな歌声で、今回ジェーン役に抜擢され、主題歌の“I Choose”も担当しています。
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『ウィロビー家の子どもたち』まとめ
いかがだったでしょうか。
アニメ映画『ウィロビー家の子どもたち』は、2020年4月22日からNetflixで配信中。
まだまだ続く自粛期間、おうち時間のお供にぜひご覧になってみては?