シリーズ累計発行部数700万部を突破した顎木あくみ先生による小説(原作イラスト：月岡月穂)が原作のアニメ『わたしの幸せな結婚』。
明治大正を思わせる架空の時代を舞台に、家族から虐げられ愛を知らずに育った斎森美世と、孤独で冷酷無慈悲なエリート軍人・久堂清霞が政略結婚をし、やがて心を通わせていく物語です。
連夜の悪夢に身も心もやつれ、街中で倒れてしまった美世。
レッスンの時間も減らされ、葉月のような淑女には到底なれそうもないと落ち込みます。
清霞は心配しますが、忙しい任務のさなかに自分のことで煩わせたくないという思いから、美世は本当のことを相談できずにいました。
一度結婚で失敗した葉月は、美世に自分のような”後悔”を味わってほしくないと願うのですが……。
早速、第9話「夢に溺れて」をレビューしていきます。
目次
アニメ『わたしの幸せな結婚』第8話のあらすじと振り返り
亡くなった異能者たちの墓地・”オクツキ”が暴かれたという……。
国に未曽有の危機が迫る中、帝の第二皇子・尭人に天啓が降りました。
対異特殊部隊全体の指揮を執る大海渡、辰石家の新たな当主となった長男・一志とともに、尭人に謁見した清霞が告げられたのは、命を賭した戦いが始まろうとしていること。
そして、美世に良からぬ”何か”が起きるということでした。
何も知らない当事者の美世は、葉月との稽古に努めていましたが、悪夢にうなされる日々に疲れ、街中で倒れてしまいます。
そんな美世を助けたのは、新でした。
【ネタバレあり】アニメ『わたしの幸せな結婚』第9話あらすじ・感想
すれ違いの始まり
連夜の悪夢に苦しんでいた美世は、街中で倒れてしまいます。
その時、救いの手を差し伸べてくれたのは、新でした。
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美世は葉月とゆり江とともに家へ戻り、休養することに。
夕方になり、知らせを聞いた清霞が帰宅しますが、美世は眠っていました。
見守っていた葉月に、美世の母が薄刃家の人間であること、彼女の悪夢には薄刃の異能が関係しているかもしれないということを明かす清霞。
葉月は、美世が薄刃の血を引いていると知って驚きながらも、彼女の苦悩と、清霞の不安に寄り添います。
「心配かけたくないのだろうけど、心配くらいさせてほしいわね」
それは、美世の気遣いと、頼ってもらえない清霞のやるせなさの、両方を考えた葉月からの優しい言葉でした。
一方、オクツキが暴かれたことによって放たれた異形が一般人を襲う事件が発生。
異形が人里まで降りてきていることがわかり、帝都に現れるのも時間の問題だと、清霞ら軍部に緊張が走ります。
その頃、悪夢にうなされる日々を送っていた美世は、忙しい清霞に心配をかけまいと気丈に振る舞っていました。
清霞は美世が悪夢に苦しんでいると知っていましたが、以前のように本心を隠すようになってしまった彼女から頼ってくれることを祈るばかりでした。
葉月の後悔
葉月とゆり江に昼食を作った美世。
まだ体調が万全でない美世を気遣いながらも、葉月とゆり江は「美味しい」と褒めながら食べ進めました。
美世は二人の言葉に恐縮しますが、葉月は自分が料理を苦手としていることを明かします。
17歳の時に結婚した葉月は、久堂家に生まれたがゆえに政略結婚でしたが、とても優しい男性と一緒になれたことを嬉しく思っていました。
しかし、料理をはじめとする家事が苦手なことも原因となり、嫁ぎ先の家族と上手くいっていなかったのです。
結婚相手の男性は慰めてくれていましたが、ある日、お互いに感情的になってしまい、大喧嘩に発展。
そのまま話が拗れて、離婚に至ってしまいました。
久堂家に戻ってからの葉月は、自分にとって大切だった家族との暮らしを失ってしまったことを後悔したといいます。
だからこそ、己の欠点を克服しようとしている美世を尊敬しているし、美世自身の気持ちを大事にしてほしいと語りました。
そして、美世はこれからどんな風に生きたいか、と問いかけます。
美世は、どう生きたいかなんて今まで考えたことがなかったと言いながらも、清霞のそばにいたいという強い想いだけを抱いていました。
そんな美世に笑いかけた葉月は、美世に思われている清霞は幸せ者だと言いました。
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寂しさの共有
帝都中の「澄美」を探すよう頼んでいた情報屋からの報告を受ける清霞。
どの女性が美世の母親かまではわからなかったため、引き続き調査を依頼します。
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ところ変わって、清霞と美世は自宅の縁側で夜を過ごしていました。
二人でゆっくりできる時間は、気付けば久しぶりでした。
仕事が忙しく、なかなか話をする時間が取れないことを詫びた清霞は、「何か困っていることはないか？」と問いかけます。
「特には」と微笑む美世は、清霞にとって葉月とはどんな存在か、逆に質問しました。
清霞は、葉月はやかましく性格はさほど合わないが、同じ環境で育ってきたからか言わなくてもわかる部分があり、あれはあれでいい人間だと語りました。
美世は自身にとって、そのような存在がいなかったため、とても素敵な関係だと思い、心の中で羨みます。
微笑んでいるものの、少し暗い表情を落とす美世に、清霞は「もう少しこちらに寄れ」と言います。
そして、「私は寂しいが、お前は寂しくないのか？」と手を握りました。
戸惑いながらも「寂しいです」と答えた美世に、「自分の感情をさらけ出して甘えてもいいんだ、そうして支え合うのが家族だろう？」と告げます。
清霞に抱きしめられ、瞳を潤ませる美世でしたが、自分の問題くらい自分で解決できなくては、家族を支える資格なんて……と考え込んでしまうのでした。
新と薄刃の関係
清霞に甘えてもいいと言われてからも、一人で苦悩を抱え続けていた美世。
そんなある日、久堂家を訪れたのは新でした。
美世は街で助けてくれた新の来訪に驚きます。
新は清霞に用事があったようですが、非番のはずの清霞が急遽仕事に出掛けたのを知らなかったと言いました。
そして、清霞の婚約者となった美世は、一時期社交界で話題になったと語り、清霞の冷徹な面に苦しんでいるため、美世の顔色が悪いのではないかと煽ります。
美世は咄嗟に「(旦那様を)悪く言わないでください！」と言い返しますが、その瞬間、頭痛に襲われました。
美世の様子に、出過ぎたことを言ったと詫びる新でしたが、「俺はあなたにあなただけの役割をあげられます」と囁き、いつでも連絡してくださいと言い残すと、名刺を渡して去っていきました。
その頃、軍部では新の来訪を待つ清霞たちの姿が……。
五道は「顔、疲れてますよ」と清霞のことを心配し、美世のためにも帰ってあげてくださいと告げました。
新がやって来ると、宮内庁からの許可が降り、軍の大規模作戦の指揮権が清霞に移ることを伝えます。
こうして対異形の作戦が始まることが決まりましたが、帰り際に新が怪しい発言をしました。
非番だと思っていたから久堂家に行ったこと、美世に会ったこと、彼女の顔色が悪かったこと、以前も街中で助けたこと……。
そして、美世のことが見えていないのではないかと煽ります。
「何か”お困り”であれば、いつでも何なりとお申し付けください」
新のその言葉は、清霞が美世に言ったことと近いものがありました。
その晩、情報屋から連絡を受けた清霞は、調べた「澄美」の中に一人だけ出生届が出されておらず、戸籍がない者がいたと知らされます。
その女性は、「鶴木」の姓を持っていました。
清霞は急いで自宅へ戻ると、台所で呆然と立ちすくむ美世に声を掛けます。
安静にするよう告げていたはずの美世はしっかりと夕飯を用意していたものの、彼女自身はやつれきって痩せていました。
清霞はハッとして美世に近寄ると、倒れたことや本音を隠していたことを、思わず責めてしまいます。
美世は清霞のことを想っていたことを明かしますが、切羽詰まった清霞が「勉強の機会なんて与えるんじゃなかった」と零すと、「酷いです」と涙を流し、倒れてしまいました。
これでは斎森の人間たちと同じだ、と後悔する清霞。
その時、美世の着物の袖から新の名刺が出てきたのを見て、決意を改めます。
――必ず私が美世の苦しみを終わらせてやる！
清霞は美世を連れて、車を走らせるのでした。
アニメ『わたしの幸せな結婚』第9話まとめ
いかがだったでしょうか。
すれ違う清霞と美世に近付く影――鶴木新。
薄刃を名乗っていた美世の母・澄美も鶴木姓を持っていた可能性が明らかになり、物語は大きく動いていきそうです。
葉月やゆり江、五道といった頼れる存在が周りにいてもなお、お互いを想うが故にすれ違う清霞と美世が、温かな家庭を築いていけることを願うばかりですが……。
次回、第10話も楽しみです。