シリーズ累計発行部数700万部を突破した顎木あくみ先生による小説(原作イラスト:月岡月穂)が原作のアニメ『わたしの幸せな結婚』。
明治大正を思わせる架空の時代を舞台に、家族から虐げられ愛を知らずに育った斎森美世と、孤独で冷酷無慈悲なエリート軍人・久堂清霞が政略結婚をし、やがて心を通わせていく物語です。
――「私が出て行けと言ったら、出て行け。 死ねと言ったら、死ね」。
そんな恐ろしい言葉とともに、清霞との生活が始まります。
帰る場所のない美世は、自分が異能を持たない役立たずだと知られるわけにはいきませんでした。
しかし、どうにか役に立とうと、使用人のゆり江よりも早く起きて朝食を用意するも「毒を持ったのだろう」と疑われてしまい……。
早速、第2話「旦那さまという御方」をレビューしていきます。
目次
アニメ『わたしの幸せな結婚』第1話のあらすじと振り返り
斎森家の長女・美世は、異母妹・香耶が父・真一と継母・香乃子に愛情深く育てられる一方で、ないがしろにされ、使用人同然の生活を送っていました。
やすらぎをくれるのは、心優しい辰石家の次男・幸次だけです。
しかし、父は香耶の夫として幸次を婿養子に迎えます。
そして、美世には冷酷無慈悲と噂される軍人・久堂清霞のもとへ嫁ぐよう命じました。
何もかもを失った状態で久堂家を訪れた美世は、初めて会った清霞の美しさに驚きます。
アニメ『わたしの幸せな結婚』第2話からの登場人物・キャスト
五道佳斗/CV.下野紘
・対異特殊部隊に所属する清霞の部下
・根っからのお調子者だが、優れた異能の持ち主
・清霞を公私ともに支えている
花/CV.能登麻美子
・斎森家の元女中
・幼い美世の味方をしてくれた唯一の存在だが、香乃子に解雇されてしまった
・美世の夢の中に登場
【ネタバレあり】アニメ『わたしの幸せな結婚』第2話あらすじ・感想
清霞の言いつけ
――「私が出て行けと言ったら、出て行け。 死ねと言ったら、死ね」。
清霞が美世に放ったのは、そんな言葉でした。
しかし、生家でないがしろにされてきた美世は、何のためらいもなく「かしこまりました」と返事をします。
清霞はそのことに、逆に驚かされてしまいました。
urara
自室に案内された美世は、少し心配そうな表情のゆり江から、清霞は良くない噂が立っているが本当は優しい人なのだと告げられます。
一方で、斎森家の娘である自分は異能を使えると思われているに違いないと考えていた美世は、何か役に立たなければと思っていました。
その夜、幼い自分の夢を見た美世。
それは、「見鬼の才」を持たない美世と、才を持っているがゆえに異形を視認できる香耶とで、扱いの差が生まれ始めた頃の夢……。
当時、ひとりぼっちの美世を気にかけてくれていたのは、女中の花(CV.能登麻美子)だけでした。
――翌朝。
何かしなければならないと思った美世は、ゆり江がやって来るよりも早く起きて、朝食の用意をしていました。
ゆり江は美世の手際の良さだけではなく、気持ちにも気付いている様子で、美世の行動を褒めて台所を任せます。
きっと清霞も喜ぶという言葉に安心した美世でしたが、いざ清霞の前に食事が運ばれると、緊張した面持ちでそばに座りました。
清霞は食事を作ったのが美世だとわかると、隣まで呼び寄せて先に食べてみろと言います。
「毒でも持ったか?」と疑っていたからです。
予想外のことに固まってしまった美世を置いて、清霞は一口も食べずに立ち去ってしまいました。
すれ違う思い
――対異特殊部隊。
異形を相手に戦う部隊の隊長である清霞は、もちろん異能の持ち主です。
この日は新人訓練でしたが、無駄口を叩く隊員を牽制するように能力を見せつける清霞。
部下の五道佳斗(CV.下野紘)は、そんな清霞の姿を見て、いつになく不機嫌だと見抜いていました。
清霞の機嫌を見ながらも、また婚約者に逃げられでもしたのかと揶揄います。
異能を持つその手をかざし、「焼かれたいのか?」と苛立つ清霞に対し、よほど虫の居所が悪いようだと気付いた五道は、素直に去っていきました。
urara
清霞は出掛ける直前、ゆり江から、美世が毒を盛るような人間には見えないこと、一生懸命食事の用意をしていたことを聞かされていました。
ゆり江が婚約者に対してそこまで言及するのは珍しいようで、清霞も美世のことが気にかかります。
一方、美世は朝食のことで失敗してしまったからと、追い出される心配をしていました。
その頃、斎森家では、幸次を婿に迎え入れる準備が進んでいました。
そこで、美世が使っていた小さな部屋を初めて目にした幸次は、もし美世が久堂家に追い出されるようなことがあれば、自分が居場所になるのだと決意します。
続く、つらい過去の夢
帰宅した清霞に、朝食のことを謝る美世。
息をするように謝罪の言葉を口にする美世に対し、清霞は「謝罪はし過ぎると軽くなる」と告げます。
さらに、美世が一緒に食事を取らないことが気にかかり、ゆり江が美世の分を作っていかなかったのかと問いかけました。
美世は食欲がなかったから断ったと答え、それ以上は黙ってしまいます。
夕食を終えた清霞に、風呂を沸かすと申し出た美世でしたが、風呂は普段から清霞が異能を使って沸かしていると知り、この家では風呂の準備すら出来ないのだと落ち込みました。
暗い気持ちで台所を片付けていると、ガラス戸の向こうから清霞が話しかけてきます。
清霞は今朝の食事を食べなかったことを謝り、翌朝はゆり江の到着が遅くなるから美世に作ってほしいと頼みました。
そして、風呂が熱いうちに入れと言って、立ち去るのでした。
美世はその夜、またしても幼い頃の夢を見ます。
継母・香乃子に実母の形見を処分され、返してもらおうと訴えたために、納戸へ閉じ込められた時の夢でした。
その際、美世を庇おうとした女中の花は、香乃子によって解雇されてしまいました。
目を覚ました美世は、あれから一度も会っていない花のことを想い、「どうか幸せになっていてほしい」と願います。
urara
嬉し涙とわずかな興味
普段着の着物がほつれていることに気付きながら、それを大事に着ようとする美世。
再び台所に立ち、朝食の準備をしていると、遅くなると聞いていたゆり江が昨日よりも早くやって来ます。
どうやら、ゆり江が遅くなるというのは、美世に朝食を作らせるための理由付けに過ぎなかったようです。
素直じゃない清霞と、不安げな美世のことを、微笑ましく思っている様子のゆり江は、一緒に台所に立ってくれました。
ゆり江の作る卵焼きを見て「きれい……」と呟く美世に、ゆり江は「使用人冥利に尽きますわ」と感嘆の声を上げます。
urara
いよいよ朝食が完成しますが、美世は不安でいっぱいです。
居間にやって来た清霞は、隣に座る美世に「お前も食べるんだぞ」と促し、食事に手を付け始めました。
美世が作った味噌汁を飲んで「美味い」と呟くと、続けて口にします。
美世は「ありがとうございます」と言いながら、自分でも気付かないうちに涙を流していました。
誰かに褒められること、認められることから無縁の生活を送っていた美世は、安心したのか、嬉し涙が止まらなかったのです。
そんな美世の様子に驚いた清霞は、彼女の育ってきた背景が見えないことが、いよいよ気になってきました。
古着とも呼べないような粗末な着物、日々の生活に問題があったとしか思えないほど痩せ細った体、水仕事をしている者の手……。
とても名家の令嬢とは思えない要素ばかりだったため、ゆり江に「事情を尋ねたら話すと思うか?」と問いかけます。
「難しいでしょうねえ」と言いながらも、どこか嬉しそうなゆり江。
それは、いつになく婚約者に興味津々な清霞を目の当たりにしていたからでした。
「ゆり江は、美世様は良いと思いますよ。 坊っちゃんの奥様に」
清霞にとって、これまでの婚約者たちは金や権力目当ての女性ばかりだったため、このように気になることはなかったのです。
異能持ちの家系は多くない中、美世のような名家の令嬢らしからぬ生活を送っていた娘の存在が不思議でしょうがない清霞は、外から斎森家を調べようとします。
厄介な事実が出てこなければいいが……という彼の心配をよそに、斎森家と辰石家の間では問題が起きていました。
次男の幸次を香耶の婿養子にする代わりに、長男の嫁として美世を迎えるつもりだった辰石家は、その約束を反故にされたと憤っていたのです。
なぜなら、辰石家は「薄刃の血を引く娘」である美世を欲しがっていたから……。
アニメ『わたしの幸せな結婚』第2話まとめ
いかがだったでしょうか。
前回はほとんど要素が出てこなかった、「異能」にまつわる内容が登場した第2話。
異能を持たない美世に「薄刃の血」が流れているということが明かされるも、それが何かはまだわからないまま……美世もその事実を知らないように思えます。
一方で、少しだけ縮まったように見える美世と清霞の距離。
ゆり江のアシストもありつつ、このまま信頼関係が出来ていくといいのですが……。
視聴者もハラハラしてしまいますね。
何はともあれ、美味しそうな朝食に、温かい気持ちが芽生えるエピソードでした。
次回、第3話も楽しみです。