シリーズ累計発行部数700万部を突破した顎木あくみ先生による小説(原作イラスト:月岡月穂)が原作のアニメ『わたしの幸せな結婚』。
明治大正を思わせる架空の時代を舞台に、家族から虐げられ愛を知らずに育った斎森美世と、孤独で冷酷無慈悲なエリート軍人・久堂清霞が政略結婚をし、やがて心を通わせていく物語です。
夢見の異能なら、昏睡状態の清霞を目覚めさせることが出来るかもしれないと知った美世。
必ず清霞を連れて帰ることを約束し、隣でそっと目を閉じます。
深い闇の中、次々と湧いてくる異形と戦っていた清霞は、美世の気配を感じて自分を奮い立たせるのでした。
しかし、清霞の夢の中へ入ったはずの美世が立っていた場所は、斎森家の屋敷で……。
早速、第12話「暗闇の中の光」をレビューしていきます。
目次
アニメ『わたしの幸せな結婚』第11話のあらすじと振り返り
なぜ美世の母・澄美は斎森家に嫁ぎ、愛娘の持つ「夢見の力」を封印したのか……。
始まりは、美世が生まれる数年前、薄刃家を支えていた鶴木貿易の経営が傾いたことに遡ります。
薄刃家存続の危機を嗅ぎつけ、多額の資金と引き換えに澄美との縁談を持ち掛けてきたのが、斎森家だったのです。
澄美の父であり当主の義浪はそれを拒み続けましたが、澄美は薄刃家を助けるために自ら嫁入りを決めました。
酷い扱いを受けながらも美世を授かった澄美は、元々患っていた病が進行し、己の命の短さを悟ります。
美世の未来を守るため、そして、いつか美世が必要とした時に異能が覚醒することを祈り、愛娘の「夢見の力」を封印したのでした。
そんな澄美の愛が込められた能力に目覚めた美世は、異形との戦いで昏睡状態になった清霞を救いに行きます。
【ネタバレあり】アニメ『わたしの幸せな結婚』第12話あらすじ・感想
清霞を救うため……
異形との戦いで昏睡状態に陥ってしまった清霞。
新は、美世の「夢見の異能」ならば、清霞を目覚めさせることが出来るかもしれないと言います。
美世は必ず清霞を連れて帰ることを約束し、隣でそっと目を閉じるのでした。
一方、深い闇の中を彷徨っていた清霞は、次々と湧いてくる異形と戦っていました。
そんなキリがない戦闘の最中、どこからともなく美世の声が聞こえ、再び己を奮い立たせます。
その頃、清霞の夢の中へ入ったはずの美世は、斎森家の屋敷で目を覚ましました。
屋敷はまだ火事になる前の姿でしたが、人影は見当たりません。
美世が屋敷の中を歩き回っていると、ふと少女――子供の頃の美世が現れます。
少女に導かれるように辿り着いた部屋にいたのは、清霞と出会う前の、過去の美世でした。
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過去の自分との対峙
異形と戦う清霞の髪を結っていた組み紐――美世が手作りしたものがほどけてしまった頃、美世は過去の自分と向き合っていました。
過去の美世は、「あなたは旦那様にふさわしくない」「あなたのせいで旦那様は死の淵を彷徨っている」「あなたに関わったらみんな不幸になる」と辛い言葉を投げかけてきます。
美世は、確かにそう思っていたことを認めたうえで、今はもう違うのだと訴えました。
それは異能を手に入れたからでも何でもなく、自分のことを想ってくれる大切な人たちの存在があったからです。
過去の美世は刺々しい蔦で攻撃しながら、「自分が傷付かないために旦那様を傷付けた」美世は、やはり一人で生きていくべきだと責めました。
茨を掻き分けながら、過去の美世に近付いていく美世。
悪いのは自分、傷付くのは怖い……それでも清霞を信じ、清霞が信じてくれた自分自身を信じたいと告げ、過去の美世の頬に触れます。
「旦那様を迎えに行ってくる……旦那様と一緒に幸せになるために」
美世がそう伝えると、過去の美世は涙を流し、「なれるといいな」と呟きながら消えていきました。
過去の自分を見送るうち、巫女装束に変身した美世の手の中には、いつの間にか清霞の組み紐が握られていました。
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夢の中での再会
絶えず現れる異形の群れと、戦い続ける清霞。
そこへ舞い降りた巫女姿の美世を見て、清霞は目を見開きます。
放つ光で異形を一掃した美世のほうも、傷だらけの清霞を見て驚くのでした。
再会を喜ぶ間もなく、またしても湧いてくる異形たち……。
その裏には、今上帝の存在がありました。
現実世界にて、清霞や美世を危惧した今上帝は、手印を結んで攻撃を仕掛けます。
清霞の夢の中に現れたのは、今上帝が召喚した異形の怪物でした。
美世は清霞の前に出ると、「消えて」という声とともに手をかざします。
すると、美世と清霞を守る結界が出現し、異形を吹き飛ばしてしまいました。
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気付けば、美世と清霞は大きな桜の樹の前に立っていました。
二人きりの美しい空間で、「守るべき立場のはずが逆に守られてしまったな」と微笑む清霞。
美世が自分を導いてくれた組み紐を差し出すと、清霞は結んでくれるかと頼みました。
そして、美世は清霞に「一緒にいたい」と言えなかったこと、清霞は理不尽な思いをぶつけてしまったことを、互いに謝ります。
二人は許し合い、想いを告げ合い、改めてそばにいることを誓いました。
抱擁を交わすと、病室で待っている葉月やゆり江、五道らの声が聞こえてきます。
「帰りましょう」と優しく声を掛ける美世に応え、清霞は「そうだな」と美世の腰を抱きました。
彼らにとっての幸せ
目を覚ました美世と清霞。
葉月たちに見守られ、無事に生還を果たしました。
そんな中、そっと部屋を出て行く新を見つけた美世は、彼の後を追います。
「俺はもうお役御免のようですので」と微笑む新に、改めて薄刃へは帰れないと伝える美世。
新は、それでも自分たちはもう家族だと優しく答えました。
一方、尭人は今回の件について、黒幕であった今上帝がすでに天啓を失っていること、未来が見えない恐怖が今上帝を支配したことを悟り、大海渡に報告します。
オクツキを暴き、市民を危険に晒した罪は、いつか必ず償ってもらおうと語りました。
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――美世と清霞に日常が帰ってきます。
美世は、清霞と二人並んで食事をし、他愛のない会話をする……同じ時間を過ごせるひとときが、自分にとっての幸せなのだと実感していました。
やがて穏やかな日々は過ぎていき、葉月との特訓の成果を試す社交パーティーの日が訪れます。
会場に現れた美世は白いドレスに身を包み、立派な淑女の姿で清霞に声を掛けました。
頬を染めた清霞は、「きれいだ」と微笑みます。
そして、「こんな面倒な男と結婚してもらえるだろうか」とプロポーズしました。
「旦那様こそ後悔しませんか?」と口にする美世に、清霞は「私がお前を選んだのだから」とハッキリ答えます。
美世は笑顔で「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」と返事をし、幸せそうな二人は腕を組んで歩き出すのでした。
アニメ『わたしの幸せな結婚』第12話まとめ
いかがだったでしょうか。
過去の自分との対峙を経て強くなった美世が、清霞を救い、守ることができた最終話。
二人で無事に生還し、大切な人たちとの優しい日常を取り戻すことが出来ました。
エンディング後のCパートでは、改めて清霞がプロポーズの言葉を伝え、美世が応えるという温かいシーンが描かれました。
階段を上っていく二人の姿は、すでに夫婦そのもの……末永く幸せでいてほしいです。