『藁にもすがる獣たち』の原作は、日本の小説家・曽根圭介の同名犯罪小説。
「大金の入ったルイ・ヴィトンのバッグ」がサウナのロッカールームに入れられる場面から始まり、時系列が交錯する中で謎が次々に明らかにされていく展開に引き込まれます。
また、大金を目の前にした時の人間の心境と行動が、まさに獣のようでリアルすぎます。
- 韓国映画界の名優たちの迫真の演技に注目
- リアルな人間の欲望が描かれる
- 大金の入ったルイ・ヴィトンの行方が最後まで気になる
それではさっそく、ネタバレありで映画『藁にもすがる獣たち』をレビューしていきたいと思います。
目次
映画『藁にもすがる獣たち』作品情報
作品名 | 藁にもすがる獣たち |
公開日 | 2021年2月19日 |
上映時間 | 109分 |
監督 | キム・ヨンフン |
脚本 | キム・ヨンフン |
原作 | 曽根圭介 |
出演者 | チョン・ドヨン チョン・ウソン ペ・ソンウ ユン・ヨジョン チョン・マンシク シン・ヒョンビン チョン・ガラム チン・ギョン パク・チファン キム・ジュンハン |
音楽 | カン・ネネ |
【ネタバレ】映画『藁にもすがる獣たち』あらすじ・感想
第1章:とにかくお金が欲しい
ある古びれた港町のサウナに入ってきた一人のお客が、ロッカーに大きな「ルイ・ヴィトンのバッグ」を預けます。
それをサウナのアルバイト・ジョンマン(ペ・ソンウ)が、たまたまロッカーの忘れ物確認をしている時に見つけ、気になって開けてみると…。
その中には大金が!
それを目の当たりにしたジョンマンは、冷や汗と動揺が止まりません。
そして、自分の今の状況を考え、バッグを一度サウナの倉庫に保管しておくことにし、家に帰るジョンマン。
家に帰ると、妻・ヨンソン(チン・ギョン)が認知症の母・スンジャ(ユン・ヨジョン)の汚物の処理をしています。
ジョンマンは母に説教をするも、聞く耳を持ってくれません。
ジョンマンは事業に失敗し生活苦、娘の大学の授業料も払ない状態なので、やはりどうしてもあのルイ・ヴィトンに入っている大金が欲しいと考えました。
また、あるキャバクラで働く人妻のミラン(シン・ヒョンビン)は、騙されたことによる借金を夫とともに返済している最中。
しかも、夫が帰宅すると暴力を受ける日々が続いています。
ミランは、すぐにチェンジを要求する中国からの不法滞在者の客・ジンテ(チョン・ガラム)に好かれ、次第に仲を深めていきました。
出入国管理局に勤務するテヨン(チョン・ウソン)は、同棲していた女性が急に姿を消し、その彼女の借金の保証人になっていたために、取り立て屋のパク社長(チョン・マンシク)に追われる日々。
何度も延期をしてもらい、恋人の行方を捜すのと同時にお金を工面立てようとしているのですが、これがなかなかうまくいきません。
かとリーニョ
第2章:それぞれの計画が動き出す
テヨンは詐欺で10憶ウォンを手にした高校時代の同級生の国外逃亡を手助けするかわりに、手数料をもらう仕事を計画し、それで借金を返済しようと考えます。
その計画のために、パク社長の下で働く旧友デメキンに協力してもらうことになりました。
一方ミランは、ジンテとの仲が急速に深まり、体を重ねることになります。
そこで彼女の体に残っているアザを見たジンテは、今の生活から抜け出そうと提案をしますが、彼女は気乗りしません。
ですが、見かねたジンテはミランを説得し、「ある計画」を立てるのです。
その計画とは、ミランの夫を殺し、生命保険の保証金5憶ウォンを手に入れることでした。
一方、バッグの大金のことが気になるジョンマンは、母の介護中に妻がケガで入院してしまったため、サウナの仕事に遅刻してしまいます。
サウナの社長からは次はクビ!と宣告を受け、売店の飲み物の在庫が足りず疑いをかけられる中、いつものように黙々と仕事を続けるジョンマンですが、どうしてもあの「ルイ・ヴィトン」が気になって仕方がないのです。
かとリーニョ
第3章:いよいよ計画実行のはずが…
「カモ」を見つけ念入りに計画を立ててきたテヨンは、いよいよ計画実行日を迎えます。
約束の場所で待つのですが、いつまでたっても「カモ」から連絡が来ず、心配するテヨン。
そんな時、急に誰かが車の窓を叩きます。
相手は私服刑事でした。
焦るテヨンが、冷静に刑事の話を聞いてみると、それは会おうとしている「カモ」の話でした。
刑事によると「カモ」は行方不明とのこと。
後に引けないテヨンは、そのまま刑事のいいなりで回転寿司屋へ向かうのですが、そこで刑事は高価なお寿司ばかりを食べながら、根掘り葉掘りテヨンのことを聞いてきます。
ある程度、聞かれたところで刑事は帰りますが、お金が手に入らないことにますます焦るテヨンでした。
そして、ミランはジンテとの計画を実行することになります。
ミランの夫を殺害するために、夫が仕事帰りに寄るバーを教えもらい、待ち伏せするジンテ。
そして、ミランの夫だと「思われる」男性を車で引き、山へ埋めたあと、ミランに連絡します。
「計画は成功だ!これで君も俺も自由の身だ!」と叫ぶジンテに対して、あまりにも「無知」なジンテにあきれ返るミラン。
事故死にしないと肝心な保険金が入ってこないのに、山に死体を埋めてしまっては意味がありません。
最悪な事態となってしまったミランが電話を切ってしまったジンテに何度も電話をしていると、家のチャイムが鳴ります。
ミランが玄関へ駆け寄ると、なんとジンテが殺害してくれたはずの夫が帰ってきたのです!
ということは、ジンテは、全くの赤の他人を殺害してしまったのです。
かとリーニョ
第4章:いよいよバッグが動く
ジンテの決定的なミスにより、夫も死なず、金も手に入らず、引き続き夫の暴力を受け続けてキャバクラに出勤するミラン。
強引なお客に引き留められるミランですが、突然女社長ヨンヒ(チョン・ドヨン)に助けられます。
ミランは、ヨンヒに呼び出され、治療を受けるようにと説得をされます。
そして、間違えて人を引いて殺害してしまったジンテは、精神不安定になり「警察に自首する」としか言わなくなってしまい、困り果てるミラン。
ミランはジンテを死体を埋めた山中に連れていき、供養をするように言うのですが、それでも動揺が収まらないジンテを見かねて、山を下りていく彼を車ではね、殺してしまいました。
どうすればいいのかと絶望し苦しむミランの元へヨンヒから電話が入り、ミランは思い切って事情を話し、助けてもらうことにします。
車を解体し、お風呂で汗を流している時、社長の太ももに「シロサメ」の刺青が入っているのを見たミラン。
今回の事情を分かっていたヨンヒは、「私の計画通りにやればあなたは自由の身よ」と言います。
ヨンヒのおかげで全てのことを隠蔽できたミランは晴れて自由の身、新たな人生を送るはずだったのですが!?
一方、テヨンは未だ借金の返済方法を考えているのですが、デメキンがパク社長に計画を伝えてしまいます。
パク社長はテヨンを呼び出しました。
テヨンがデメキンのタレコミが嘘だと白を切ったため、デメキンは指を切られそうになるのですが、それを見たテヨンはやっと自白しました。
解放された後、テヨンは幸運アイテムのタバコ「ラッキーストライク」の話をします。
ある時、このタバコを買いに車を離れた直後に、車にトラックが突っ込んできたのです。
ラッキーストライクを買いに行かなかったら命はなかったと語り、「運はある、絶対チャンスはある」と信じるテヨンとデメキン。
そしてとうとう、ジュンマンが動きます!
2度の遅刻でサウナをクビになったのですが、それでも忘れ物をしたと職場に出向き、大金の入ったバッグを持ち出そうとします。
そこで上司につかまり、「バッグを見せろ」と言われるジュンマン。
しかし、「もうクビになったんだからお前の言うことなど聞かない」と啖呵を切り、バッグを家に持ち帰ってくるのです。
第5章:明らかになる謎と思惑
ヨンヒはミランのために米国での新しい身分証まで用意し、高飛びして自由に暮らすように言ってくれます。
ミランは晴れて自由の身となった…と思いきや。
なぜかヨンヒはミランを眠らせて監禁したのち、バラバラにして殺害してしまうのです。
テヨンが家に帰ると、見慣れた女性用のサンダルがありました。
疾走していた恋人が帰ってきたのです。
そして、その恋人こそ、ミランを殺害したばかりのヨンヒでした。
ヨンヒはミランに自分と同じ「シロサメ」の刺青を彫らせており、バラバラにして海に捨てたミランの死体はヨンヒのもの判定され、ミランのために用意した身分証は今後ヨンヒが使う…という計画だったのです。
ミランの大金がそのまま手に入り、再び幸せな時間を過ごせると思っていたテヨンとヨンヒですが、そこにかつての刑事が家にやってきます。
刑事は、海で死体が見つかり、その死体には「シロサメ」の刺青が入っていたと話しました。
それを聞いて、動揺を隠せないテヨンとヨンヒ。
とりあえず酒盛りをしますが、飲み物が足りなくなり、テヨンが買い出しに行って、家に戻ると刑事が血まみれになって倒れていました。
ヨンヒは平然と、刺青を見られそうになったので彼を殺したと笑いますが、テヨンは動揺し、ヨンヒの頭を殴って逃げ出します。
そして、ヨンヒの車の中に大金の入った「ルイ・ヴィトンのバッグ」があるのを発見。
大喜びで逃げるテヨンは、ひとまずサウナへ向かいます。
かとリーニョ
サウナのロッカーにバッグを入れ、フロントにタバコが売っていなかったので、外に買いに行くテヨン。
そこで金を取り立てに来たパク社長の子分たちに見つかり、逃げ回るのですが、その最中に車にはねられ死亡します。
かとリーニョ
そして、テヨンが死んでから、ジョンマンが「ルイ・ヴィトンのバッグ」を見つけ、本作の冒頭につながります。
ですが、ジョンマンもとうとう、バッグを隠しきれない状況に陥るのです。
第6章:巡り巡る大金とまた獣になる人間たち
テヨンに頭を殴られたヨンヒですが、命に別状はなく倒れているところを、パク社長に見つかります。
実はヨンヒも、パク社長に借金返済で追われていた身だったのです。
ヨンヒとパク社長は、バッグの行方を追ってジュンマンの家までたどり着きます。
警察のふりをしてバッグを押収しようとする2人ですが、ジュンマンの母がパク社長の腕に入れ墨があるのを見つけてしまい、パク社長は2人を殴って気絶させました。
そして、バッグを取り戻したヨンヒはその後パク社長を殺害し、1人で逃げてしまうのです。
ヨンヒが隠ぺいを図って火をつけたため、ジュンマンの家は火事になって全焼してしまいます。
何とか逃げ出せたものの絶望しているジュンマンに、母は「生きていれば何度でもやりなせるよ」と言いました。
そして、再び大金を手にしたヨンヒは、逃亡しようと港に向かい化粧室へ入るのですが、そこにパク社長の部下がやってきます。
結局ヨンヒは、部下に殺害されてしまうのです。
数日後、ヨンヒが殺害された港の待合所では、テレビで一連の事件のニュースが流れています。
ジョンマンの妻・ヨンソンは、待合所の清掃員をしていたのですが、ヨンヒの殺害されたトイレの清掃も彼女がやっていました。
そして、そこでとあるロッカーのカギを拾い、ロッカーを開けてみると、そこに「ルイ・ヴィトンのバッグ」が!
中の大金を見てひそかに驚くヨンソンですが、その後バッグを持って行ってしまうのです。
かとリーニョ
お金は人を狂わせる
『藁にもすがる獣たち』は、大金を目の前にした人の心情がリアルに描かれた作品でした。
人は大金を目の前にすると、愛する人も、家族も、友人も何もかも信頼できなくなるという恐ろしい事実。
オムニバス仕立てのようにも見えましたが、「ルイ・ヴィトンのバッグ」がすべての物語をつないでいたところが、非常にうまくて面白かったです。
かとリーニョ
なかなかチョン・ドヨンが出てこないな?と思っていたところでやっと!の絶妙なタイミングも、そこから「色々とやらかしてくれる」ところも、タイミングよすぎでした。
ただ正直、この豪華なキャストと話題の原作ということで、期待した割には「あ、やっぱりこういうことか…」とラストが想像ついてしまったところが、少し残念でした。
かとリーニョ
大金が手に入ったからといって、幸せとは限りませんね。
最後の母・スンジャが残した一言、「生きていればいつでもやりなおせるさ」という言葉に尽きると思います。
かとリーニョ
映画『藁にもすがる獣たち』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
ロッカーに忘れられた
大金の入ったバッグ👜💰
それがすべての始まりだった――日本の傑作犯罪小説を
韓国最強スタッフ&キャスト陣が映画化🎬欲望に駆られた獣たちの運命は❓
最後に笑うのは誰だ⁉️映画『#藁にもすがる獣たち』
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— クロックワークス|アジアエンタメ情報 (@klockworxasia) February 20, 2021
- 「大金を目の前にした人間の本心」が赤裸々に描かれている
- 「生きていればやりなおせる」という最後の一言の重み
- 原作小説との比較をしてみたいと思える作品
以上、ここまで韓国映画『藁にもすがる獣たち』についてご紹介させて頂きました。