本作『ウォールフラワー』は同名の小説を原作として、原作小説の著者であるスティーブン・チョボスキー本人が監督を務めた青春映画です。
- “ライ麦”の再来と評された大ヒット小説の実写映画化作品
- 胸を打つ“はみ出し者たち”の儚く美しい青春
- 主演3人が自身と重ねて表現する“等身大”の演技
- 80年代への憧憬に溢れたノスタルジックな映像と音楽
それではさっそく『ウォールフラワー』についてレビューしたいと思います。
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目次
『ウォールフラワー』作品情報
作品名 | ウォールフラワー |
公開日 | 2013年11月22日 |
上映時間 | 103分 |
監督 | スティーブン・チョボスキー |
脚本 | スティーブン・チョボスキー |
原作 | スティーブン・チョボスキー「ウォールフラワー」 |
出演者 | ローガン・ラーマン エマ・ワトソン エズラ・ミラー メイ・ホイットマン ポール・ラッド ニーナ・ドブレフ ケイト・ウォルシュ ディラン・マクダーモット |
音楽 | マイケル・ブルック |
【ネタバレ】『ウォールフラワー』あらすじ・感想
新たな青春映画の金字塔!原作は“ライ麦”の再来と評された小説
本作『ウォールフラワー』の原作小説「The Perks of Being a Wallflower」はJ・D・サリンジャー著「ライ麦畑でつかまえて」の再来と言われ、アメリカで200万部を超えるベストセラーとなった小説です。
「ライ麦畑でつかまえて」と言えば、サリンジャー生誕100周年に合わせて制作されたサリンジャーの伝記映画『ライ麦畑の反逆児』が公開されたばかり。
その影響力の大きさが窺い知れますが、本作『ウォールフラワー』もまたこの先何年、何十年と、明るくない青春を生きた若者たちに影響を与え続ける作品だと思います。
「ウォールフラワー=壁の花」はみ出し者たちの儚く美しい青春
ウォールフラワー=壁の花、その意味は「パーティなどで人の輪に入れず、壁際に飾られた花のようなはみ出し者」。
本作はまさにそんな壁の花、周囲と馴染めない内気な少年チャーリー(ローガン・ラーマン)を中心とした物語です。
アメリカと日本では高校の環境が違いますが、共感を覚える人も多いのではないでしょうか。
チャーリーの学校生活はパトリック(エズラ・ミラー)と妹のサム(エマ・ワトソン)との出会いによって一変します。
チャーリーはパトリックのグループに受け入れられ、そのグループ内で交錯する友情や恋愛が本作で描かれる主な内容となっていきます。
グループのメンバーみんなルックスは綺麗だし、恋愛を謳歌していて、絵的には“リア充”の青春映画に見えますが、チャーリーやパトリックが抱える傷、スクールカースト下位としての“陰”の部分などが丁寧に描かれます。
映画の終盤に明かされるチャーリーの壮絶なトラウマや、ゲイであることを公言し陽気に振る舞いながらも周囲の偏見に人知れず傷を負うパトリックの痛みなど、人並みの苦悩を超えたショッキングな描写もありますが、その“陰”を儚く美しい青春として昇華していることがこの作品最大の魅力です。
ちなみに私は映画全体を通して、チャーリーが仲間として迎え入れられた際にサムが言った「Welcome to the island of misfits toys.(はみ出し者の島へようこそ)」という台詞の字の並びがとても美しくて、もっとも印象に残っています。
主演3人が自身と重ねて表現する“等身大”の演技に魅せられる
主演の3人、ローガン・ラーマンとエズラ・ミラー、エマ・ワトソンは撮影期間中に意気投合しました。
3人で宿泊しているホテルで大騒ぎして支配人に怒られたり、ローガンとエマで“Octopus Jam”というバンドを組んで演奏したり、役を超えて楽しい時間を過ごしたそうです。
また、クィアであることを公言しているエズラは、撮影期間中にマリファナ所持で逮捕されています。
本編に薬物の描写はありませんが、性的マイノリティであることで苦悩するパトリックの境遇は、エズラにとって表現しやすかったかもしれません。
主演の3人とも原作小説「The Perks of Being a Wallflower」がブームとなった2000年代に思春期を過ごしています。
役者としての実力だけでなく、きっと自分自身と重なる部分があってこその自然体で心惹かれる演技なのでは、と想像しています。
1980年代への憧憬!徹底的にノスタルジックな映像と音楽
ここから先は音楽オタク的な感想になりますが、本作『ウォールフラワー』はBGMが最高な映画の1つです。
映画の時代設定は1990年代前半で、登場人物たちが好みの曲を選んだカセットテープを交換するシーンが何度も出てきますが、1980年代の名曲オンパレードで本当に素晴らしいです。
また、レトロな風味のある映像が音楽と見事にマッチングして、2012年の映画とは思えないほどノスタルジックな仕上がりになっています。
観賞する際は、ぜひ音楽にも注目してみてください。
紹介したい!聴いてほしい!という劇中曲はたくさんありますが、何度も象徴的に流れるデヴィッド・ボウイのこの曲を貼ってこの記事を終わりたいと思います。
“Heroes” (2017 Remastered Version)
※劇中曲をまとめたプレイリストを見つけました。ぜひ聴いてみてください!
The Perks of Being A Wallflower (Original Motion Picture Soundtrack)
『ウォールフラワー』まとめ
以上、ここまで『ウォールフラワー』について紹介させていただきました。
- 青春の“陰”を儚く美しく描いた物語に共感する
- 役を超えて意気投合した主演3人の自然体の演技に心惹かれる
- 1990年代前半の空気を感じられる映像と音楽に感動する
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