独特すぎるアニメーションと5分に1度は「なんじゃそりゃ」となるトンデモ展開。
えげつない描写をぶち込んでくるドラッグムービーです。
- 頭がくらくらしてくるような劇薬アニメーション表現
- 意外としっかりプロットはあるけど、それもえげつない
- 終始口あんぐりな露悪描写とブラックな笑い
それではさっそく『バイオレンス・ボイジャー』をレビューしたいと思います。
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目次
『バイオレンス・ボイジャー』作品情報
作品名 | バイオレンス・ボイジャー |
公開日 | 2019年5月24日 |
上映時間 | 83分 |
監督 | 宇治茶 |
脚本 | 宇治茶 |
声優 | 悠木碧 田中直樹 藤田咲 高橋茂雄 小野大輔 田口トモロヲ 前田好美 |
音楽 | ジャン=ポール高橋 |
『バイオレンス・ボイジャー』あらすじ
アメリカ人の少年ボビーは、日本の山奥の村で暮らしていた。
ある日、飼い猫のデレクと数少ない友人のあっくんと村はずれの山へ遊びに行く途中、バイオレンス・ボイジャーという娯楽施設の看板を見つける。
そこで楽しい時間を過ごしていたボビーたちは、ボロボロの洋服を着た時子という少女と遭遇する。
数日間も施設から出られずにいるという彼女の話を聞いて驚く中、同じような子供たちがいることを知る。
やがて白いスーツ姿の子供たちが現れ、時子やほかの子供を捕まえてしまう。
出典:シネマトゥデイ
『バイオレンス・ボイジャー』みどころ
『燃える仏像人間』の宇治茶監督が、アニメと漫画を融合させた手法で撮り上げた異色作。
レジャー施設を訪れた少年たちが、未曾有の恐怖を体験する。
声優の悠木碧、藤田咲、小野大輔、お笑いコンビ「ココリコ」の田中直樹、お笑いコンビ「サバンナ」の高橋茂雄、ドラマ「バイプレイヤーズ」シリーズなどの田口トモロヲらバラエティーに富んだ面々がボイスキャストを務め、お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志がナレーションを担当する。
出典:シネマトゥデイ
『バイオレンス・ボイジャー』を視聴できる動画配信サービス
『バイオレンス・ボイジャー』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。
なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。
- 動画の配信情報は2019年6月3日時点のモノです。
- 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。
ご覧のとおり、2019年6月3日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。
動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。
『バイオレンス・ボイジャー』感想レビュー【ネタバレなし】
ロストテクノロジーだった“劇メーション”を復活させた宇治茶監督
まず劇メーションとは何かを説明します。
普通のアニメーションが絵を何枚も書いて一コマ一コマキャラの動きをつけていく手法なのに対し、劇メーションでは一枚の絵をカメラでクローズアップしたり、スクロールしたり、もしくは切り絵状になったキャラクターたちを背景の絵の前で動かしたりして画面の動きを表現するのです。
要は劇画+アニメーションで劇メーションということですね。
もちろん細かく書かれたアニメーションみたいなダイナミズムは生まれませんが、代わりに独特の不穏な雰囲気や倒錯した感覚を生み出すことができます。
この手法が広く知られるようになったのは、楳図かずお先生原作のホラーアニメ『猫目小僧』で使われたのがきっかけでした。
この時から劇メーションはホラー表現を強化するために使われ出したのです。
しかしこの独特すぎる手法は、後世に受け継ぐ人がおらず数十年間ロスト・テクノロジーになっていたのです。
そこで現れたのが1986年生まれの若き才能・宇治茶監督。
彼は上記のアニメーションが好きだったこともあり、京都嵯峨芸術大学観光デザイン学科の在学期間に独自で劇メーションの手法を研究し、2013年のデビュー作『燃える仏像人間』で一部劇中に劇メーションを使用して、目くるめく悪夢的世界観を表現して見せました。
それから6年。宇治茶監督は吉本興業の協力を得て、豪華声優陣の出演を取り付けつつ、3年にわたって自宅で黙々と作業をし、世界初の全編劇メーション作品を作り続けました。
彼は監督、脚本、編集、キャラクター造型、作画、撮影、その他出演など一人何役もをこなし、狂気ともいえる執念で本作を完成させます。
わずか83分に凝縮された宇治茶監督の作家性や偏執的執念、情熱がほとばしる『バイオレンス・ボイジャー』。
この映画はキャッチ―な物語とどうかしているアニメーション表現、容赦ない残酷で悪夢的な描写の数々、そして芸達者な声優たちの協力も得たブラックな笑いに満ちた唯一無二の怪作に仕上がっていました。
オーソドックスなプロットだからこそ際立つ異常性
本作は主人公が日本の田舎にいるアメリカ人ロバート・ヒューストン、通称“ボビー”という、いきなり「なんじゃそりゃ」な設定から入りますが、大まかなストーリーとしては主人公と仲間の子供たちが恐ろしい施設に迷い込んでしまい、マッドな悪役と戦うハメになるというシンプルなホラー。
田舎ホラーの傑作『悪魔のいけにえ』や子供たちの冒険もの『グーニーズ』『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』なども連想させます。
しかし本作は、お気軽に楽しめるような入り口を用意しておきながら、容赦のない地獄に観客をぶち込んできます。
映倫審査ではPG12ですが、正直R15でもおかしくない描写の数々にまずびっくりさせられますし、それが前述した独特な劇メーションで描かれるので、倒錯感が倍増されて頭がくらくらしてきます。
特に本作では、液体の表現がフェティッシュかつ悪夢的で一番トラウマになると思います。
昔ながらの宇治茶監督の絵柄の上に本物の液体がブシャーッとかかり、○○がドロドロに溶けてしまったり、○○が○○な形状に変形してしまったりするという一生忘れられないような描写が満載です。
子供たちが主役という設定も観客を油断させるための罠で「え?まさかそんなことになるの?」とドン引きしてしまう展開が待ち受けています。
正直人を選ぶ作品ではありますが、このドン引き描写や展開がだんだん笑えてくるくらいエクストリームなので。ハマれば病みつきになるのではないでしょうか。
また声のキャスティングもプロの悠木碧さんを主演で中心に据えつつ、サバンナ高橋、ココリコ田中、そして悪役古池に田口トモロヲを持ってくるなど、なかなか独特でそのアンサンブルも本作のヘンテコさを増強しています。
子供たちの声が全然子供に聞こえないのも特徴で、おかげで彼らが○○な目にあってもそこまで悲惨さが際立ちません。
ていうか、正直笑ってしまいます。
またオープニングとラストで、ナレーションを読み上げる松本人志の人を食ったような声も、本作の笑うに笑えない悪夢的コントのような世界観を表現しています。
そういえば『ごっつええ感じ』でも結構暴力的だったり怖いコントありましたよね。
万人にはお勧めできませんが、普通じゃない劇薬が欲しい方には、ぜひおすすめしたい作品です。
向こう数年は、これより変な映画はないと思います。
また一応子供も見られるので怖いもの見たさや大人の階段を上りたい気持ちがある少年少女も、保護者同伴で行ってみてはいかがでしょうか。
『バイオレンス・ボイジャー』まとめ
本日4月15日は、
東京ディズニーランド開園の日です🐭🏰❤1983年の4月15日、
「夢と魔法の王国」をキャッチコピーとした
東京ディズニーランドが開園しました。謎と恐怖の王国『バイオレンス・ボイジャー』は
5月24日に開園します😈⚡お楽しみに‼#バイオレンス・ボイジャー #全世界ガクブル pic.twitter.com/1fGYF1VMbb— 5/24(金)公開!! 映画『バイオレンス・ボイジャー』公式 (@ViolenceVoyager) 2019年4月15日
以上、ここまで『バイオレンス・ボイジャー』について紹介させていただきました。
- 復活した独特すぎるアニメーション手法の劇メーションがヤバい。
- わかりやすいストーリーと悪夢的描写の数々
- しかしあんまりにもあんまりな内容に笑ってしまうこと間違いなし
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