主人公・河地大吉が祖父の葬式で出会った6歳の女の子は祖父の隠し子でした。
誰も引き取りたがらない子どもを勢いで引き取り“父親代わり”となった広がっていく世界。
見渡せば愛で溢れていることに気付いていく物語です。
- 原作は宇仁田ゆみの代表作ともいえる漫画
- 『蟹工船』『砕け散るところを見せてあげる』のSABU監督が初めて挑んだハートフル映画
- あったかい気持ちになりたい時、ほんわかしたい時におすすめです
それでは『うさぎドロップ』をネタバレありでレビューします。
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目次
『うさぎドロップ』作品情報
作品名 | うさぎドロップ |
公開日 | 2011年8月20日 |
上映時間 | 114分 |
監督 | SABU |
脚本 | 林民夫 SABU |
原作 | 宇仁田ゆみ |
出演者 | 松山ケンイチ 香里奈 芦田愛菜 桐谷美玲 キタキマユ 佐藤瑠生亮 秋野太作 木野花 根岸季衣 斎藤洋介 宮地雅子 池脇千鶴 吉田羊 高畑淳子 |
音楽 | 森敬 |
【ネタバレ】『うさぎドロップ』あらすじ
ダイキチ、父になる
河地大吉(松山ケンイチ)は27歳で普通のサラリーマンとして生活していました。
ある夏の日、祖父が亡くなったことをきっかけに、祖父の隠し子だという6歳のりん(芦田愛菜)と出会います。
母親は誰だかわからず、親戚一同は誰も引き取りたがらず、遠くの施設に預けてしまおうという話になりかけた時。
ダイキチは自分が引き取ることにします。
格好つけて勢いだけで「俺んちに来るか?」なんて言ってしまったことを悔やんだところで後の祭り。
奇妙な2人暮らしが始まりました。
祖父のところで受け取った荷物は母子手帳と書類のみ、小さな紙袋におさまるだけでした。
ダイキチはりんがこれから一緒に暮らすのに必要なものを買いに出かけます。
服を選ばせている時にりんが言った「保育園ではスカートは駄目だから」という一言で、保育園に通わせなければならないということにも気が付きます。
保育士をしている妹・カズミ(桐谷美玲)が緊急一時保育として三か所提案してくれたうちの一つであり、ダイキチの勤める会社からは少し離れているものの24時間やっているゆりかご保育園に預けることにします。
一緒に満員電車に揺られ、りんを保育園に連れて行ってから会社に出社、これまで通りに慌ただしく仕事をこなして夜になったらダッシュで保育園にお迎え。
息を切らして迎えに来たダイキチを見て、りんはホッとしたような嬉しそうな表情を浮かべました。
休日は2人で買い物をしたりゲームセンターに行ったり外食をしたり。
平日は満員電車に揺られ、りんは保育園、ダイキチは仕事。
バタバタ過ごしている間に、あっというまに緊急一時保育は後3日という期限が近づいてきます。
6歳のキモチ
ダイキチは上司に頼み込んで、残業のない課への異動を希望しました。
ただでさえ忙しい時に、やり手のダイキチが異動してしまうということで部下は必死に引き留めましたが、ダイキチの気持ちは変わりませんでした。
2歳の息子を育てながら別の部署で働いている後藤さん(池脇千鶴)の「子どもとの時間も自分の時間だから」という言葉に励まされ、新しい部署での仕事が始まります。
強面揃いのそこは所帯持ちの男性が多く、見た目とは裏腹に子どもにデレデレな社員たちと即座に打ち解けるダイキチでした。
そんなある日、りんはおねしょをするようになります。
「汗だから」と言い張って1人で着替えるようになったことを職場の人たちに相談してアドバイスをもらったり、自分は5年生までおねしょしてたんだからとりんに話すことでダイキチはりんを安心させようとしました。
会話の中で急にりんは「ダイキチも死ぬの?」と聞きます。
ダイキチは言いよどみながらも、死ぬけれど凄く先のことだと返しました。
そしてりんが暗いのが苦手だと気付いたダイキチは部屋の天井に蓄光の星をたくさん貼って、電気を消しても怖くないようにしてあげました。
ほどなくして、ダイキチがりんを保育園に迎えに行った時。
りんの友達のコウキ(佐藤瑠生亮)の母・ゆかり(香里奈)が、りんの発熱に気付きます。
病院もわからず対処法もわからずに狼狽えるダイキチでしたが、ゆかりが夜でも開いている病院を教えてあげました。
そのほかにも、りんが全然水を飲まない事にダイキチが焦っていると冷凍庫から氷を出して一つりんの口に放ってあげたり、子育ての経験者としてゆかりがあれこれ手を貸してくれました。
すっかり弱気になってしょげてしまったダイキチにゆかりは「子どもは誰が助けてくれるかわかってるんじゃないかなぁ。いまのりんちゃんにはダイキチがいるから、大丈夫」と言って励ましました。
お手伝いの“正子さん”
突然、ダイキチはおじから呼び出され葬式以来に祖父の家に赴きます。
そこで杉山由美子(高畑淳子)という女性を紹介されました。
何でも相談にのってくれるから困っていることは相談するといい、と言われ里子や児童施設についても詳しいから何でも相談しろと言われます。
ダイキチは拒否しました。
由美子を車で駅まで送る最中「子どもを育てるというのは犬や猫じゃないんだから簡単じゃない、誰かが放棄した責任を拾っただけでムキになるな」と説教されて、ダイキチの怒りは爆発しました。
祖父の家に戻ったダイキチは部屋の隅にパソコンのモデムを見つけます。
そして家に帰って、りんに祖父がパソコンを使っていたか聞くと「おじいちゃんとお手伝いの正子さんが使っていた」という答えが返って来ました。
ダイキチの頭に浮かんだのは、りんの母子手帳の母親の欄にあった正子という名前でした。
りんが眠ってから改めて母子手帳を眺めていると、ページの隅に何やらホームページのURLが書いてあるのを見つけます。
アクセスしてみると“西園寺まろん(本名・吉井正子)”という名前を目にしてダイキチは驚きました。
そして、りんの父方の親戚だと名乗りメールを送ることにします。
りんの母親かと聞いたメールに即返信があり、そこには「そうですけど、何なんですか?」とだけ書いてありました。
頭にきたダイキチは連絡先を書いたうえで会って話すことを提案しました。
土曜の午後4時、りんを実家に預けて正子(キタキマユ)に指定された場所へと向かうダイキチ。
正子は漫画家をしていて、ずっと売れなかったのですが妊娠中に大きな仕事が決まり、りんがお腹の中にいる時にすでに「りんを娘だと思うべきではない」と覚悟を決めていたと言います。
りんがダイキチと暮らしていくことは特に問題があるとも思っておらず、りんのことは“大切なのかどうかもわからない”状態。
正子はりんにダイキチと同じ苗字を使わせてやって欲しいとだけ頼んで去って行きました。
ダイキチが実家に戻ると、りんは家族たちと楽しそうに過ごしていました。
それを縁側で眺めていた父(中村梅雀)から、ダイキチが生まれたころの母(風吹ジュン)の話を聞きます。
りんを引き取ると言った時、子育てが簡単ではないことを「私がどれだけ自分を犠牲にしてきたか知らないくせに」という言葉で強く反対した母。
自分が生まれた時の事、妹のカズミが生まれた時の事を聞いてダイキチは父に、りんを養子にするっていうのはどうだろうかと相談しました。
りんとコウキの大冒険
ダイキチはりんに直接、鹿賀りんから河地りんにならないかと聞きました。
りんは鹿賀のままがいいと言いました。
「自分は自分のままがいい、ダイキチはダイキチのままがいい」という言葉に、ダイキチは何とも言えない気持ちでぼんやり立ちつくしてしまいました。
ダイキチが仕事をしている最中、保育園から“りんがいなくなった”と連絡が入ります。
コウキも一緒にいなくなったようでした。
ダイキチは仕事仲間たちと、職場から保育園の周りを走って探し回ります。
父、母、妹にも連絡がいき全員総出で探します。
その頃、何かを探している様子のコウキに手を引かれたりんは、長髪の男(綾野剛)から声をかけられ林の中を進んで行きます。
そしてたどり着いたのは、コウキの父のお墓でした。
母親からは仕事で遠くに行っていると聞かされていましたが、本当は死んでしまっているというのをコウキは知っていました。
お墓に向かって「父ちゃん、会いたいよ」と泣くコウキにつられて、りんも泣きました。
2人はダイキチの家に帰って来ました。
ダイキチと合流していたゆかりは泣いて迎えました。
疲れて眠る2人を眺めながら、保護者2人は待っている間に考えていたことを話し出しました。
夫が死んでからの自分は母親としてどうだったのか考えていたゆかりと、職場の人や家族に協力してもらうほど不安で足が震えていたというダイキチ。
数日後、ダイキチは保育園のおゆうぎ会で撮った写真を正子に送りました。
りんがコウキと大冒険をした日から、りんはおねしょをしなくなっていました。
ダイキチはりんとの毎日を尊く思いながら癒やされています。
職場の親バカたちにまざって自分もりんの写真を見せたりする日々を「悪くないな」と思っているダイキチなのでした。
【ネタバレ】『うさぎドロップ』感想
ほんわかして見られる可愛い映画
vito
原作は未読ですが結末に賛否両論あって話題になっていたなぁ、という認識です。
完結したら読もうと思ってたけど結局読まないままだな。
それはそれとして。
vito
子どものいる人だったら、りんとコウキの大冒険のあたりでゾッとしてしまったりするのかな。
親子関係に思うところある人も、ちょっと色々考えてしまったりするのかもしれない。
でもたぶんどんな人でも、全体の雰囲気だとかダイキチの空気感と、りんの可愛さでほんわかして見られると思います。
あんまり暗いことは考えたくないなぁとか、ただただほんわかしたいなぁっていう時におすすめの映画です。
vito
よくある人情ものとか親子もの?みたいなエグいほど深い人間関係を描いた作品ではないし、いやよくよく考えたら設定的にはエグい部分あるけどそれは置いといて、登場人物のセリフもちょっと心に引っ掛かる程よいところなんですよね。
vito
りんがとにかく可愛い
アニメで見ている時、りんが本当にとんでもなく可愛かったから「実写では生身の人間だしな…」と思ってそこまで期待していなかったんですけど。
vito
ダイキチのところに来たばかりの朝、一緒にごはんを食べている時におかわりするところがあるんですけど。
白米はあるけどおかずがないなぁってボヤキながら差し出されたごはんにおもむろに塩をかけて、それをお皿に出すんです。
vito
特に好きな場面はりんのおねしょ騒動のあたりで、縁側でりんが“おじいちゃん”との思い出を話すところ。
おじいちゃんはコンビニのおにぎりが上手に開けられないこととか、キャラメルの包み紙で船を作ってくれたこととか、健康器具でキコキコ走りながらプップってすることとか。
vito
そのくだりで祖父の家から一株ダイキチの家の庭にもってきたリンドウの花を「自分だけの秘密のおじいちゃんのお墓にしてもいい?」って聞くところも好きです。
あとはダイキチが正子に会いに行くために、りんを実家に預けるところ。
家族と仲良くやってるか不安なダイキチの心配をよそに、ダイキチの母にうさぎみたいに結ってもらった髪でカズミと楽しそうにおゆうぎ会の踊りを練習しているりんが可愛いです。
りんに「絶対そっちのほうが格好いいよ」とか何とか言って指導してるカズミも可愛い。
あと、りんとコウキが大冒険するくだりで突然現れた綾野剛にドキッとしました。
vito
そして大冒険している2人を必死に探すダイキチたちの場面で“モール505”の看板が見えて気が付いたんですけど撮影場所が茨城県の土浦市なんですね。
vito
なので土浦に住んでるけど『うさぎドロップ』は見たことないな~って人にも見て欲しいです。
龍ケ崎も少し出てきたりします。
というちょっとピンポイントなおすすめで締めます。
『うさぎドロップ』まとめ
以上、ここまで『うさぎドロップ』をレビューしてきました。
- とにかくりんちゃんが可愛い。芦田愛菜って演技うまいんだな…とか思ってしまいます
- ダイキチと、周りの人間たちのあったかい優しさにほんわかする映画です
- 不安な毎日に疲れてしまった時、悩みとか考えなきゃならない事でしんどい時に見て癒やされてください
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