よい子のみんな~! 裏表のあるお兄さんは好きかな~?
子供向け教育番組に出演する体操のお兄さんたちの裏の顔が垣間見えるギャグ漫画を原作としたアニメ『うらみちお兄さん』。
ディレクターから厳しいダメ出しをされ、あまりに適当なアイデアを出された裏道。
大人だから、と死んだ目で従おうとします。
そんな中、番組のコンサートの日がやって来ました。
しかし、そこにも様々な罠が待っていて……?!
今回も裏道には試練が訪れるようです。
早速、アニメ『うらみちお兄さん』第5話をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『うらみちお兄さん』前回第4話あらすじと振り返り
夏に放送するミュージックビデオの撮影日。
裏道をはじめとする出演者たちと撮影クルーは海に集合しますが、この日は冬真っ只中。
ぬくもりを失っていく裏道は、スイカ風の冬瓜とともに着ぐるみの兎原を並べ、スイカ割りのシーンに挑もうとします。
丸一日かけて過酷なロケを乗り越えた一同でしたが、寒さにやられた池照が酷い風邪を引いてしまい、次のスタジオ撮影を欠席することに。
池照不在の収録を何とか終えるものの、今度は熊谷が風邪を引いて欠席するのでした。
池照の時とは違い、裏道、兎原、詩乃の三人はそれぞれ熊谷が風邪を引く原因を作った気がしており、熊谷不在の収録に張り切って向かいます。
それはもう、電話先の熊谷を不安にさせるくらいに……。
そして、いよいよ迎えた収録ですが、クマオ君がいないことによって子供たちからブーイングを受けた裏道と兎原は、舞台袖にはけて打ち合わせをします。
裏道の勧めによりクマオ君の着ぐるみを着て再登場した兎原ですが、何故か「クマオ君ではない」とバレてしまい、より一層落ち込む羽目に。
傷ついた兎原は熊谷の存在の大切さに気付き、熊谷に感謝の気持ちを伝えようと電話を掛けますが、冷たくあしらわれてしまうのでした。
【ネタバレあり】アニメ『うらみちお兄さん』第5話あらすじ・感想
大人にないもの
とあるスタジオ収録日。
いつものように挨拶をしながら登場した裏道は、ディレクターからワンパターンだとダメ出しをされます。
さらに、バク転でもしながら入ってきたらどうかと提案され、死んだ目をした裏道は渋々それを受け入れました。
しかし、実際にバク転で登場してみると、ディレクターのお眼鏡には適わなかった様子。
指示の通りいつもと同じ挨拶と登場に戻すものの、今度はバク転一回ではなく、連続バク転で入ってくるように頼まれます。
裏道は再び舞台裏に戻り、仕方なくストレッチと深呼吸をして準備を整えました。
そして、見事に連続バク転をキメますが、ディレクターは間違い電話に出ていて、その様子を見ていませんでした。
子供たちに囲まれながら、裏道はいよいよ床に突っ伏して青くなります。
ついにディレクターへ意見しようとしたその時、近寄ってきたディレクターは「やっぱ裏道君、最高だよ! 今日も頑張ろうね!」と能天気なことを言い始めました。
裏道は何も言えなくなってしまい、やはり死んだ目をした作り笑顔で応じるのでした。
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続くうらみちクイズのコーナーでは、裏道が子供たちへクイズを出題します。
今日のクイズは「子供にあって、大人にないものって、な~んだ?」。
子供たちは次々に「幼稚園!」「お年玉!」「おひるねの時間!」などと元気に答えていきます。
裏道はどれも正解だと微笑みながら、他の答えも促しました。
すると、「自由」「心」「希望」という言葉が聞こえてきて、裏道は心にダメージを負いながら、「正解だよ…」と呟くのでした。
この公演が終わったら
ABC体操の収録の時間。
愉快なお友達として裏道と子供たちに呼び込まれるのは、もちろんウサオ君とクマオ君ですが、ウサオ君は「不自然なほど」に早く出てきます。
裏道は「ウサオ君もクマオ君も、みんなのこと、だ~いすきだもんね!」と言って、その早さに意味を持たせようとしました。
すると、裏道の言葉に答えようと、ウサクマの二人の別録音声が流れます。
クマオ君は「だ~いすきクマ!」という台詞に合わせてアクションを取りますが、ウサオ君の声で流れたのは「そうでもないピョン」という台詞。
一瞬、場の空気が凍り、ウサオ君はガタガタと震えながら裏道の様子を窺い、青ざめるのでした。
そんなウサオ君の気持ちを知ってか知らずか収録はそのまま進み、ABC体操は「ウサギさん体操」のパートへ。
裏道が「ウサオ君よりみんなのほうが上手に出来たら、ウサオ君が何か面白いことしてくれるんだって!」と言うと、子供たちはキャッキャと喜びます。
動きを止めたウサオ君に対して、裏道は「勝てばいいんだよ、勝てば」とドス黒い表情で笑いかけました。
またしてもガタガタと震えるウサオ君をよそに、上手に出来たよい子のみんなが勝利するのでした。
収録後、ウサオ君の着ぐるみを着たまま廊下を駆ける兎原は、裏道の楽屋に飛び込みます。
「裏道さぁああぁん!」と大声をあげて突入したのは良いものの、そこにいた裏道の死んだような表情を見て、怯んでしまいました。
恐る恐る「俺たち後輩でストレス発散するのはやめてほしいなぁ……なんて」と伝えると、裏道に「そんなんで発散されるストレスじゃねぇけど」と返されてしまい、兎原についてきた熊谷まで青ざめます。
兎原と熊谷は何か悩みがあるなら聞くとも伝えますが、裏道は相変わらずの死んだ目で呟きました。
「悩みってさ、いつの間にか漠然とした不安に変わってるんだよな」
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収録に参加した子供たちを見送るため、裏道、池照、詩乃はエントランスに出ています。
帰り際、一人の少年が裏道のもとに寄って来て、「来週のコンサート行けるようになったよ!」「楽しみにしてるね!」とキラキラした笑顔で伝えて帰って行きました。
残された大人三人は、たった今思い出したコンサートの存在に複雑な想いを馳せるのでした。
そして、迎えたコンサート当日。
コンサートの時にだけ湧いてくる癖が強めな振付師・カッペリーニ降漬(中井和哉)によって激しい当日リハが行われ、裏道、池照、詩乃の三人は、本番前にもかかわらずバテバテで死にかけの状態でした。
池照は「俺、この公演が無事に終わったら、有給取るんだ」と呟きます。
しかし、裏道のツッコミの通り、そもそも彼らにそんな制度はありません。
続けて詩乃も「私、この公演が無事に終わったら、結婚するんだ」と呟きます。
裏道は池照にツッコんだ時よりも食い気味に「洒落にならないフラグ立てるのやめたほうがいいですよ」と言い放つのでした。
“できること”と“したいこと”
「みんな~! トゥギャザーコンサートへようこそ!」
ウサクマの二人の挨拶で幕を開けたコンサート本番。
ステージは池照と詩乃による「得手不得手」という曲からスタートします。
みんな得意なことと苦手なことがあるよね、と始まったその曲。
「みんなが人間 普通の人間 できないことのほうが多いから」
「“できること”と“したいこと”は違うから」
と二人が歌う舞台袖では、死んだ目の裏道がウサオ君の首を絞めてストレス発散していました。
次に、ウサオ君とクマオ君とともに登場した裏道は、先の曲のコンセプトに合わせて「跳んだり回ったりするのが得意なんだ!」と自己紹介します。
しかし、そのあとに続く言葉は「何回跳んでも何回回っても振り払えない概念や憂鬱って、あるよね」でした。
過去に他人から言われた「優しくない」という言葉を覚えているという裏道は、自らを「人に優しくするのが苦手」なんだろうと分析します。
そして、「他人に干渉することだけを優しさと呼ぶのなら、よい子のみんなは無理に優しい人になろうとしなくていいと思うよ!」と客席に笑顔を向けました。
裏道やウサクマが舞台袖にはけ、続いて披露された曲は、詩乃による「猫が何もない空間を見てる」。
曲の中盤では黒猫に扮した裏道と魚屋に扮した池照が登場し、二人は死んだ目でただただ与えられた役割をこなすのでした。
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これもまた人生
無事にコンサートが終わり、舞台裏でディレクターと振付師から労いの言葉を掛けられる一同。
ディレクターからは打ち上げに行こうという声があがりますが、その時にはすでに裏道の姿はなくなっていました。
打ち上げ会場である居酒屋でみんなが乾杯をする頃、先に一人で帰路についた裏道は夜道で星空を見上げていました。
そして、道端に小さいカニが歩いているのを見つけます。
裏道はそばにある川へカニを戻してやろうとしますが、その小さなハサミで小指を挟まれてしまいました。
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時を同じくして、居酒屋では小さいカニが素揚げになってテーブルに運ばれてきます。
ディレクターやADの枝泥が嬉々として食べ始める中、池照は「こんな小さなカニがいるんですねぇ」とカニを見つめていました。
隣で日本酒を飲み進めていた熊谷が「その辺の川にも普通にいるやつだよ」と告げます。
すると、池照は「その辺の川にいるのを素揚げにしちゃったんですか?……お気の毒に」と寂しそうに言いながらも、食べ始めると止まらない様子でした。
詩乃が何杯もの生ビールを飲んでご機嫌になっている頃、裏道は無事にカニを川へ帰して、自宅に戻っていました。
テレビをつけて缶ビールを煽るも、すぐにテレビを消して自室にこもります。
カニに挟まれた小指には絆創膏が貼ってあり、裏道は暗い部屋でその小指を見つめます。
そして、フッと小さく笑みをこぼすと、呟きました。
「これもまた人生」
アニメ『うらみちお兄さん』第5話まとめ
いかがだったでしょうか。
コンサート回だったこともあり、歌唱シーンの多い第5話でした。
挿入歌の「どうせそんな人生」はどこか寂しげな裏道の姿と相まって、とてもセンチメンタルな気持ちになりましたね……。
毎週、シュールなギャグの中に大人の侘しさを投下してくる『うらみちお兄さん』。
次回第6話も楽しみです。