映画『アップグレード』あらすじ・ネタバレ感想!近くて遠い未来!不可能を可能にするAI「ステム」の進化はここまで来ると恐ろしい

アップグレード

出典:IMDB

『アップグレード』は、何者かの襲撃に遭い、妻を殺され、自身も全身麻痺となってしまった男グレイが、最新技術の助けを借り、犯人探しに向かうSFスリラー。

身体の機能を取り戻すのに脊髄に移植されたAIの「ステム」。

自分の身体でありながら、人工頭脳という別の存在が身体を動かす世界を描いております。

冒頭の不幸な出来事から、生身の人間グレイトとAIチップのステムとの融合に希望を見出すのはわずかの間だけ。

全ての電子機器にアクセスが可能で、進化を続ける人工知能ステムが、自らの意思と目的のためにとった行動とは?思いがけないエンディングに、考えさせられると思います。

ポイント
・自分の身体に共存する別の存在
・犯人探しとモラルのないAI
・書き換えたコードの本当の意味
・震撼する黒幕の正体

それでは『アップグレード』をレビューします。

アップグレード

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【ネタバレ】『アップグレード』あらすじ・感想


次世代のシステム「ステム」

アップグレード

出典:IMDB

身の回りの全てがデジタル化された近未来。フルオートで動く車が日常の世界で、アナログに動く車の整備をする昔気質のメカニックのグレイ(ローガン・マーシャル=グリーン)は、この時代に珍しいクラッシック・カー届けるのに、妻アシャ(メラニー・バジェホ)を連れて、ハイテク分野の技術開発で高名な若き技術者のエロン・キーン(ハリソン・ギルバートソン)の自宅を訪れます。

世界に新しい技術を発信する企業のトップとしての有名なエロンですが、どこか物憂げで浮世離れした青年。アナログな世界に生きるグレイに、自分の開発した小さく高度な頭脳をもつ「ステム」こそが、社会にとって有益な仕事を制限なくこなす次世代のシステムだと語るのでした。

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「ステム」は、小さな虫のようなチップ。私たちの住む世界でも、技術革新でデジタル機器が、どんどん小さくなり高度化しているだけに、説得力あります。

身体の自由を失ったメカニック

そんなエロンの元に車を置いて自宅に戻る途中、オート・パイロットのはずのアシャの車がエラーを起こし、グレイとアシャを乗せたまま車は暴走し、横転します。

そこに正体不明の男4人が現れ、車から引きずり出されたふたり。襲われた理由もわからず、なすすべもなく凶弾に倒れるのでした。

目の前でアシャを殺された上、四肢麻痺の身となった失意のグレイを訪ねてきたエロン。

脊髄の損傷によって、脳から手足を動かす信号が送れなくなり指ひとつ動かせなくなったグレイを前に、「もう一度歩けるようになるかもしれない」とエロンが持ち掛けたのは、グレイにAIチップのステムを移植すること。失われた神経機能をステムが補うはずだと、グレイを説得し、手術にこぎつけたのでした。

グレイを動かす機能として働くステム

実験的な手術を世間にはまだ秘密にしておきたいエロンと秘密保持契約を結び、ステムの移植で身体の自由を取りもどしたグレイ。

襲撃から3か月が過ぎても、遅々として進まない捜査にイラだち、担当の刑事のコルテス(ベティ・ガブリエル)から手に入れた捜査資料に目を通していたグレイの耳に、姿のない声が聞こえます。

驚くグレイに話しかけたのは、なんとグレイの身体を動かすAIのステム(声:サイモン・メイデン)。戸惑うグレイを横目に、ありとあらゆるデジタル情報にアクセスをして、瞬く間にグレイとアシャを襲った実行犯の居場所を突き止めてしまうのでした。

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自分の身体の中にいる存在ステムとグレイの対話が始まると、物語に緊張感とスピードが加わります。

シャットダウンの危機

グレイとアシャの襲撃した犯人を正体にたどりついたものの、エロンとの秘密保持契約に縛られ、情報に証拠能力がないとコルテスに連絡が出来ないグレイ。

黒幕が誰なのかを探るために、実行犯のサーク(リチャード・コーソーン)、トーラン(クリストファー・カービィ)を探します。凶暴なふたりに対峙してグレイが知ったのは、グレイの了承次第でステムがグレイの身体の自由に動かすこと出来ることでした。

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ふたりの実行犯を図らずも殺めてしまったグレイとステムの行動はたちまちにエロンの知れるところとなり、ステムの存在を世間から隠したいエロンの怒りをかうだけでなく、刑事のコルテスにも不審の目を向けられる始末。

エロンがとめるのも聞かず犯人探しに奔走するするグレイに、業を煮やしたエロンは、遠隔操作でステムのシャットダウンを試みます。

トーランを殺したことで、トーランの仲間のフィスク(ベネディクト・ハーディ)にも追われることになったグレイは、ステムのシャットダウンから逃れるのに、ハッカーのジェイミー(アエラ・ブラッドリー)にステムのコードの書き換えを頼むのでした。

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ステムは、あくまでグレイの身体能力を補足する機能であることが強調されていますが、アクションシーンで、それが逆転することもあるという仕組みを実にうまく説明しています。

改良された身体をもつ人間

ハッカーのジェイミーのおかげで、エロンの強制シャットダウンから逃れたものの、ステムのシステム・コードを書き換えたことで、グレイとステムの共存関係崩れたことに気づいたグレイ。

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これまで、グレイの麻痺した身体を動かす「機能」に過ぎなかったステムが、制限コードを削除したことで、グレイの意思や了承なしにステムが独断でグレイの身体を動かせるようになったのです。自分の身体でありながら、自分の意思では身体が動かせず、ステムに操られることにグレイは愕然とします。

そしてもうひとつ、グレイが知ったのは追手のフィスクの仲間たちが、グレイ同様に、軍事企業に生身の身体に銃や兵器を仕込まれた、改良された人間であること。

そんな軍事目的に改良されたフィスクを、暴走するステムとなんとか協力をし、倒したグレイは、フィスクの通話記録に残るエロンの声に自分を襲わせた黒幕が、エロンかもしれないと疑うのでした。

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フィスクたち仲間の身体を改良した技術は、妻アシャの勤める企業という、小さな仕掛けもあり。狙われたのは、アシャなのか?グレイの方なのか?黒幕はエロンなのか?観客の脳裏に提案するちょっとしたヒントは、どれもしっくりこない演出です。

進化に必要だった人間の身体

グレイの秘密を知った刑事のコルテスとのカーチェイスの果てにたどりついたエロンの自宅。ステムの実験のために、人を不随にしたと激怒するグレイに向けたエロンの言葉は予想を超えたものでした。

フィスクにグレイを襲うように仕向けたのは、実はステムで、グレイは、ステムが人間になりたいと選んだ肉体だったというのです。

怯えるエロンを前に、全てが、ステムの巧妙なワナだったと知り、愕然とするグレイ。

ステムが、グレイを襲った実行犯に誘導したのも、フィスクたちのような改良された人間を淘汰するための策略で、制限コードを削除するのに便乗したというのです。自我をもつAIのステムが、唯一持てなかったのは人間の身体。グレイの身体を使い、ステムの生みの親のエロンをも殺そうとステムに、グレイは抵抗するのでした。

グレイの必死の抵抗もむなしく、エロンとコルテスを殺し、グレイの心を破壊して、仮想世界へと送ったステム。ステムは、ついに自らの肉体を手に入れ、これまでにないアップグレードを果たしたのでした。

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『アップグレード』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

以上、ここまで『アップグレード』をレビューしてきました。

要点まとめ
・全身麻痺を克服するAIチップ
・能力を強化と承認機能
・予想を裏切る展開
・ステムのアップグレード

エンディングを迎えてなお

全身麻痺となった男がAIチップの力を借りて、妻を殺した犯人探しに立ち上がる好調な前半から、ざわつく展開へとがらりと印象が変わる『アップグレード』。

巧妙に、小さなヒントを与えておきながら、観客が密かに頭の中で思い描いた展開をキレイに覆す手法が見事です。

そして最終的にアップグレードを果たしたのは、AIチップのステムだった…・と予想さえしなかったエンディングに、息をのむしかありません。

映画を見終わって作品の余韻にひたるのは常ですが、この作品に限って言えば、エンドクレジットが流れてなお、最後の最後までグレイは戻ってくると期待した人はいたはず。それは、人間性がAIに負けるわけがないという想いがあればこそで、どこか心の片隅で、映画のエンディングを否定しているからだと思います。

グレイにとっては、苦しみのない仮想世界での幸せなエンディングかもしれませんが、観客にとっては人間がAIに敗れてしまった…と、後味の悪さが残ります。

それでも、いつかこういう世界がきてしまうのかもしれないと不安に思うからこそ、腑には落ちないながら、なんとなく受けとめられるエンディングなのでしょう。

とにかく鑑賞後の余韻は、ずしんと重い作品です。

アップグレードをしたのは、人間ではなく、AIの方だったというラストに震撼!全く予想しなかった結末に驚いてください。

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