『出国 造られた工作員』あらすじ・ネタバレ感想!衝撃の実話が元になったスパイサスペンス大作

映画『出国 造られた工作員』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『出国 造られた工作員』公式ページ

衝撃の実話を元に製作されたスパイサスペンスが日本でも公開されました。

主演は『オペレーション・クロマイト』で冷酷な北朝鮮将校を演じた韓国映画界の名俳優イ・ボムス。

そして、ドラマ界では「ロマンスメーカー」との名高いヨン・ウジンが初のワイルド感溢れる演技を見せる話題作です。

ポイント
  • 成功を信じて家族と共に北朝鮮へ渡る経済学者が、実は工作員にさせられてしまう!
  • 衝撃の実話を元に製作された、海外ロケも含めた超大作スパイサスペンス。
  • 映画俳優イ・ボムスも含めた、個性的な豪華キャストにも要注目!

韓国から夢と希望と成功を願って北朝鮮へ亡命した経済学者とその家族の運命を描いた『出国 造られた工作員』。

スピーディーでスリリング、しかも心理戦も加わってかなりハラハラドキドキし、最後までどうなるかわからない展開です。

それでは、衝撃の大作として名高い映画『出国 造られた工作員』をネタバレありでレビューしたいと思います。

『出国 造られた工作員』作品情報

作品名 出国 造られた工作員
公開日 2019年7月26日
上映時間 105分
監督 ノ・ギュヨプ
出演者 イ・ボムス
ヨン・ウジン
パク・ヒョックォン
イ・ジョンヒョク
ロバート・ミカ
パク・チュミ

『出国 造られた工作員』あらすじ


経済学者のオ・ヨンミン(イ・ボムス)は、過去の行いが災いして韓国に帰国することもかなわず、亡命した西ドイツで暮らしていた。

彼は、ある人に大学教授として北朝鮮で教壇に立たないかと誘われ、妻のウンスク(パク・チュミ)の反対を尻目に北朝鮮を目指す。

だがヨンミンは大学教授ではなく、北朝鮮の工作員に仕立て上げられる。
出典:シネマトゥデイ

【ネタバレ】『出国 造られた工作員』感想レビュー

緊張感漂う演技を見せる個性的なキャスト(子役も含む)

映画『出国 造られた工作員』は、久々にスクリ-ンで見る「イ・ボムス作品」でしたのでかなり楽しみにしていました。

イ・ボムスのほかには、弟のような存在ムヒョク役で「ドラマ界のロマンスメーカー」ヨン・ウジン、そして最近韓国時代劇『六龍が飛ぶ』で「メイクを施した個性的な役柄」で一躍有名となったキム参事を演じるパク・ヒョックォン。

さらに北朝鮮の将校役で、血も涙もない冷酷な権力者チェ・ギチョルを演じたイ・ジョンヒョクや、CIAの役で海外からの出演者ロバート・ミカ。

韓国映画をよくご覧になられている方であれば、豪華でかつ個性的で非情な役柄を演じる役者の勢ぞろいだなぁと感じると思います。

そして、イ・ボムスの娘役で、反抗しながらも最後には大好きなアッパ(パパの韓国語)と離れて号泣をするヘウォン役のイ・ヒョンジョンの迫真の演技もぜひご覧いただきたいです。

彼女が一番この映画『出国 造られた工作員』のキーマンかもしれません。

冷酷な時代に翻弄されたそれぞれの俳優の、非情で胸が痛む感動の演技を噛みしめながら、楽しんでご覧いただきたいです。

うまい話には「裏がある!?」スパイにならざるを得なかった男…

映画『出国 造られた工作員』の冒頭のきっかけを知ると「やはりうまい話には裏がある」と思ってしまうのですが、この時代背景とヨンミンの辛い立場からすれば「うまい話」に乗ってしまうのも仕方がなかったのかもしれません。

自分の功績が認められる、家族と裕福で幸せな生活が送れるともなれば、そんなおいしい話はないでしょう。

ですが、完全に騙されながらも、愛しい妻と愛しい娘たちのことを思うと「スパイにならざるを得なかった」。

そしてその代償が、国を追われる、家族は離散と、本当にどん底まで落ちるヨンミンが悲痛でなりません。

自らが信じて選択した道が、ここまで悲痛になるとは…。

ですが、そんな悲痛な状況な中、支えてくれた長女ヘウォンの存在は大きかったと思います。

ヘウォンでさえ、ヨンミンよりももっともっと悲痛であったはずですが、ヘウォンの存在が大きかった証は、『出国 造られた工作員』のラストでご覧いただけると思います。

とにかく、この後のヨンミンは!?どのような運命をたどるのか注目してください。

逃避行の始まりと、3つの大型機関に追われるヨンミン(イ・ボムス)

スパイにならざるを得なかったヨンミンは、スパイの命令が下り、家族と一緒に西ドイツへ向かいます。

そこで本当であれば一家で逃亡を図るはずでしたが、簡単なものではなかったのです。

妻と次女、ヨンミンと長女が別々になってしまい、ここから逃避行が始まります。

母親に手を離されてショックを受ける長女ヘウォンと一緒に妻と次女を探すのですが、ここから北朝鮮、韓国国家情報院、CIAと3つの大型機関がヨンミンたちのことを「監視」し続けます。

まず西ドイツの空港で捕まったヨンミンはなぜかすぐに釈放されます。

理由は、CIAがヨンミンの今後の動向を監視するためでした。

さらにベルリンでは、弟のような存在のムヒョクが力になってくれますが、実はムヒョクは「韓国国家公安機関」の一員だったのです。

ヨンミンはムヒョクへの信頼をなくしかけますが、それでもムヒョクはヨンミンの味方をします。

そして朝鮮労働党の権力者キム参事やチェ・ギチョルも常にヨンミンを監視し、巨大な3つの組織の目をどうやってかわしていくかがかなりスリリングで見物なのです。

家族が目の前に…衝撃のラストが…!

数々の窮地を乗り越え、スパイ介入の大御所も自ら捕まえ、やっとの想いで離れていた妻と次女に会い家族が一緒になれるところまできていたヨンミンでしたが、待ち合せの場所に現れたのはチェ・ギチョル!?

これは無理だと悟ったヨンミンは必死でギチョルに楯突くと、そこに親愛なる兄を助けにきたムヒョクも現れます。

しかし、時すでに遅し。ヨンミン一家は最悪な決断をするしかなります。

そう、妻と娘2人は北朝鮮へ強制連行、ヨンミンは永遠に家族と会えなくなるのです。

別れ際に妻がヨンミンに叫んだ言葉も感動でしたが、もっともっと感動だったのが、ずっと父と逃避行をし父と娘の絆を強くした長女ヘウォンが号泣しながらヨンミンにすがるシーンは「ああ、本当にこの親子は永遠に会えないのね…」と、涙が止まりませんでした。

全ては自分の欲のために…がここまでの悲劇につながったヨンミンの気持ちはどれほどまでの衝撃だったのか!?

ここは『出国 造られた工作員』の中では読めませんでしたが、悔やんでも悔やみきれない、もう表現のしようのない気持ちなのかもしれませんね。

衝撃の実話に元に製作された内容と「平和へのメッセージ」

この作品は実話を元に製作されており、そのモデルになった方が呉吉男(オ・キルナム)博士の体験に基づいています。

ちなみに、北朝鮮に抑留されている『統営の娘』申淑子母娘(オ・キルナムの家族、この映画の中ではヨンミンの妻と娘2人のことを指します)も有名な話だそうで、今まさにこの親子を救出しようという運動も韓国内では上がっているようです。

そんな矢先に公開された映画『出国 造られた工作員』は、韓国ではとある派閥の圧力により上映制限がかかるほどの妨害もあったそうで、本作が日本で上映されるのもある意味「奇跡」なのかもしれません。

実際のところはもっと悲惨なようで、妻は病で死亡し、娘2人は北朝鮮の悪名高い収容所に今も収容されているようです。

ちなみに劇中に娘の名前が「ヘウォンとギュウォン」と出てきますが、これは実名で使用されています。

未だ南北に分裂されている朝鮮半島での「自由とは?」「平和とは?」の本当の意味での平和な時代を切り開くための素朴な真理を考えさせられる作品であるかもしれません。

『出国 造られた工作員』の感想:「平和な時代とは」を改めて考える作品

韓国映画では、「南北問題」を象徴するような映画が多々ありますが、『出国 造られた工作員』もそのひとつ。

かなりスリリングなアクション作品かと思っていましたが、これは「ヒューマンドラマ」の部類と言えるのではないでしょうか?

ですが、途中で繰り広げられる巧みな逃避行シーンや、追う3つの組織をどのようにかわしていくか?などはかなりスケールの大きいアクション要素ですし、絶妙な心理戦などは「ミステリー」感覚も感じさせます。

あくまでも個人的な感想ですが、ここまで大きな3つの組織が動いていて、なぜ彼らは家族を救うという考えが浮かばなかったのか…ここが残念でなりません。

CIA、または韓国情報院が「救う」方向転換をしてくれれば…と、これはあくまでも私の勝手な見解ですが。

「今は平和な時代」と、誰もが感じていることだと思います。

ですが、このように未だ「平和が訪れない」現状があることを決して忘れてはいけないと、改めて感じさせられる映画だったように思います。

『出国 造られた工作員』まとめ

映画『出国 造られた工作員』まとめ

出典:映画.com

以上、ここまで映画『出国 造られた工作員』についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • ラストの衝撃な事実と涙の感動を…みなさまで想像して楽しんでいただきたい。
  • 「実在の話」を元に製作された映画、未だ家族が苦しんでいることを知っていただきたい。
  • 未だ「平和が訪れない」現状であることを忘れてはいけないと感じさせる作品。