「週刊少年ジャンプ」にて連載中の戸塚慶文による人気マンガをアニメ化した『アンデッドアンラック』。
”否定者”と呼ばれる異能力者たちのバトル、数々の伏線が考察を呼ぶ壮大な物語と、怒涛の展開が人気を博し、連載開始の翌年には「次にくるマンガ大賞2020」のコミックス部門で1位を獲得した話題作です。
――彼はどこにでもいる普通の少年でした。
漫画の読み聞かせで寝付く変わった子でもありました。
いつからか、母親が逆に彼の想像の物語を聞かされるようになります。
ある日、彼は古代遺物(アーティファクト)・Gライナーと出会い、触れてしまいました。
その瞬間、彼は否定者に選ばれ、後の彼の運命を大きく変えてしまい……。
早速、第23話「ボクの知らない物語」をレビューしていきます。
目次
アニメ『アンデッドアンラック』前回第22話あらすじと振り返り
風子が次にやって来た場所はヴィクトルの記憶の部分でした。
何度もヴィクトルに殺され、時代は進み、風子は次の章へと移行します。
彼の狙いは、終末まで彼女を追いやり、風子の魂を本の中で潰し消すことでした。
結果、風子はアンディと初めて出会った時代まで追い詰められることに。
ヴィクトルの言っていたことが本当なら、チャンスはもうここしかない……。
アンディを求めて彷徨う風子へ向け、ヴィクトルの狂刃が放たれます。
そこでアンディと風子は無事に再会を果たし、不運の力でヴィクトルを一時制圧。
ヴィクトルから、ジュイスとの関係、そして彼らの過去を聞くことになるのでした。
【ネタバレあり】アニメ『アンデッドアンラック』第23話あらすじ・感想
安野雲vsアンダー
本の中のアンディはもう一つの人生――「もしも風子と遥か昔から出会っていたら」という人生を体験しています。
安野雲は、この事象によってアンディの人生が変わることはないものの、”もしも”の記憶は残り、その記憶はきっとアンディの心を強くするだろうと語りました。
語った相手は目の前で眠る、本の中の風子ではなく、忍び寄ってきたアンダーのメンバー・少年の姿になったリップと、バックス(CV.木野日菜)、ショーン(CV.白石兼斗)です。
本の中にいる隙を狙って、アンディと風子を消そうとするリップたち。
安野雲はその前に立ちはだかり、リップたちと戦う姿勢を見せます。
そして、過去も終わりも知っているのに、なぜアンディや風子を助けようとするのかと尋ねられると、彼らがいるから自分は生きている、だから今度は自分が助けるのだと答えました。
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”久能明”の過去
母子家庭で育った久能明(CV.内山夕実)は、漫画の読み聞かせで寝付く変わった子で、いつからか、母親(CV.川澄綾子)が逆に彼の想像の物語を聞かされるようになります。
そんなある日、明は古代遺物・”Gライナー”と出会い、触れてしまいました。
その瞬間、古代遺物やUMA、世界のループといった記憶が流れ込んできて、趙大作な物語を知ることができたと喜び、家に帰って母親に知らせようとします。
ところが、同時に否定者となっていた明の言動や行動、それに伴って起こった外的変化は、自身以外の生物に感知されなくなってしまったのです。
触れることもできなければ、声が届くこともない、いつも通り母親と一緒に生活しているのに、母親に認知してもらえない……。
明が行方不明になったと思っている母親は、警察に通報しても見つかるわけがないことなど知る由もなく、明の目の前で弱っていきます。
やがて、明がどこかで笑顔で生きていますように、大好きな漫画がたくさん描けていますように、と願うようになるのでした。
明はGライナーによって知った情報をもとに、自身が否定者であることを悟り、とうとう家を出ます。
そして、流れ込んできた世界の物語の中で一番好きな登場人物――アンディと風子が、否定能力から逃げず最後まで戦ったことを胸に、必死に漫画を描き続けました。
ついに出来上がったのが、読み切り作品『君に伝われ』。
ペンネームを「誰も知らない」=「UNKNOWN」から「安野雲」とし、週刊誌に投稿してみると、何と大賞に選ばれます。
自身が起こした事象は、他人に感知してもらえないと思っていた明。
しかし、「久能明」ではなく「安野雲」としてなら、さらに「久能明」と繋がらないものであれば、他人に知ってもらえると気付くのでした。
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漫画で伝えるということ
大賞を受賞したことで、本格的に『君に伝われ』の連載が始まった頃。
あの日、明の頭に流れ込んできた記憶――アンディや風子の物語は事実なんだろうかと考え始めていました。
そして、この時期にアンディが日本にいるという情報を思い出し、記憶が確かなのか突き止めるべく、彼を探しに行くことに。
すると、流れ込んできた記憶の通り、アンディは友才(CV.上坂すみれ)という人物に居合を習うため、とある山奥で修行をしていました。
友才は1ヶ月ともに過ごしたアンディに惚れ込んでいた様子で、別れ際に求婚します。
しかし、アンディは「俺より長く生きられるならな」と笑って彼女の言葉を躱し、去っていくのでした。
その時、明は否定者たちがそれぞれに苦しんでいることを思い出します。
さらに、このままだと世界が終わってしまうということも……。
アンディや風子、そしてユニオンのメンバーに知らせることも叶わない、ましてや全ての記憶を知っているのが誰にも感知されない自分自身である、と明は思い悩みます。
そこで明が思い付いたのは、自身が知った未来の情報を織り交ぜながら、安野雲として漫画を描くことでした。
全ての記憶を描くのではなく、知る過程に意味があると考えた明は、最善を目指して情報の取捨選択をしながら、『君に伝われ』の中に落とし込んでいったのです。
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ここからの物語
久能明が知ったXデイは、2020年12月5日。
そう、今日この日、この瞬間でした。
リップらアンダーと戦闘中だった安野雲は、戻ってきたアンディに「死閃(デッドライン)だ!」と叫びます。
その言葉の通り、アンダーに向けて”死閃”を放ったアンディは、不可視(アンシーン)の否定者・ショーンを討伐。
久能明の見た未来では、安野雲不在の中、不可視によって風子が殺害されていましたが、これでその未来が来ることはありません。
戦闘によって両腕を失ってもなお、本の中から成長して戻ってきたアンディと風子に、笑顔を見せる安野雲。
「ここからはボクの知らない物語だ」
*
ショーン亡き後、リップはアンディを、バックスは風子を狙って戦闘再開。
ところが、バックスが風子の不運に敗れた姿を見て、リップは一時動きを止めます。
一人のほうが動きやすいと呆れるリップに、風子は協力してオータムを倒そうと持ち掛けました。
しかしリップは、風子たちが目指す”神殺し”はあくまでボス・ビリーの目的であって、自分とラトラの目的はジュイスの持つ”アーク”でしかないと答えます。
だから、アークの情報をよこさない限りは、ここで風子たちを殺すというのです。
すると、安野雲はリップに対し、リップもラトラもアークには乗れない、このままだとラトラまで失うと告げます。
ハッとしたリップでしたが、ラトラからのオータムが近付いているという連絡で戦闘態勢に戻りました。
こうして共闘の線は立ち消えたまま、アンディ、風子、リップ、ラトラ、バックスによるオータム戦へ突入します。
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アニメ『アンデッドアンラック』第23話まとめ
いかがだったでしょうか。
安野雲の、久能明としての過去が明かされた第23話。
これまで次回予告には安野雲の声でナレーションが入っていましたが、「ここからはボクの知らない物語だ」という台詞もあったからか、ナレーションなしの予告になっていました。
ついに誰も知らない未来に到達した彼らの物語……。
ユニオンとアンダーが揃って迎えるオータム戦は、一体どう展開していくのでしょうか?
次回、第24話も楽しみです。