「週刊少年ジャンプ」にて連載中の戸塚慶文による人気マンガをアニメ化した『アンデッドアンラック』。
”否定者”と呼ばれる異能力者たちのバトル、数々の伏線が考察を呼ぶ壮大な物語と、怒涛の展開が人気を博し、連載開始の翌年には「次にくるマンガ大賞2020」のコミックス部門で1位を獲得した話題作です。
風子が次にやって来た場所はヴィクトルの記憶の部分でした。
何度もヴィクトルに殺され、時代は進み、風子は次の章へと移行します。
彼の狙いは、終末まで彼女を追いやり、風子の魂を本の中で潰し消すことでした。
結果、風子はアンディと初めて出会った時代まで追い詰められることに。
ヴィクトルの言っていたことが本当なら、チャンスはもうここしかない……。
アンディを求めて彷徨う風子へ向け、ヴィクトルの狂刃が放たれます。
早速、第22話「profile」をレビューしていきます。
目次
アニメ『アンデッドアンラック』前回第21話あらすじと振り返り
UMA・オータムの圧倒的な強さを前に、一時撤退を余儀なくされたアンディと風子。
そんな二人に安野雲はオータム捕獲のための修行を提案します。
――封じられたアンディの過去の記憶に、強くなるための鍵がある……。
安野雲が作り出したオータムの爪により、本になったアンディの記憶の中へ入る風子。
そこで出会ったのは、まだ風子と出会う前のアンディでした。
仲間を失いながら旅を続けるアンディの記憶を追体験することで、その別れと悲しみを実感する風子。
そんなある日、死の解釈について語り合うと、アンディは自身の一番古い記憶に触れます。
1865年4月15日、ワシントンD.C.……そう聞いた途端、風子はその時代へ飛んでいきました。
アンディは笑みを浮かべ、またいつか出会う風子を見送るのでした。
【ネタバレあり】アニメ『アンデッドアンラック』第22話あらすじ・感想
長い記憶
――某年某日。
かつてのジュイスが、かつてのヴィクトルに向け、「輪廻」について語りかけます。
「魂はずっと生きてて、死んでもまた新しい体に生まれ変わる」
ジュイスの言葉に、魂という概念を信じていないと答えるヴィクトル。
するとジュイスは、信じることを勧めて言いました。
「だって死んでもまた君に会えるじゃないか……いつか僕が死んで新しい体になっても、絶対君を忘れない」
*
ところ変わって、風貌の変わったジュイスがヴィクトルの額にカードを差し込む場面へ。
それは間違いなく、ヴィクトルの記憶でした。
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――1865年4月15日、ワシントンD.C.。
さらに過去の記憶へ飛んだ風子は、ヴィクトルと対峙します。
この本の最終章は2020年12月……ヴィクトルは風子を殺し続け、その最終章まで追い詰めることで、風子の魂を潰し消すと告げました。
本の中で風子を消すことにより、アンディの精神も弱まると考えたヴィクトルは、その隙に体を取り返し、「俺は俺に戻る」のだといいます。
風子はアンディを想って覚悟を決め、身を差し出しました。
――そして、2020年8月1日、新宿。
ヴィクトルの宣言通り殺され続け、そこへ追いやられた風子が見たものは、アンディと出会うはずだった当時の風子がヴィクトルに殺される場面でした。
アンディの名を叫び、新宿を彷徨い駆ける風子に、ヴィクトルは容赦なく攻撃を畳みかけます。
街が半壊するほどの惨状に、勝利を確信したヴィクトル。
「待っていろ、ジュイス。 今度こそ俺が……」
そう呟きかけた時、近くで爆発が起こりました。
アンディvsヴィクトル
「いいね、最高だ!」
爆発とともに現れたアンディは、ヴィクトルの体を貫通するほどの攻撃を喰らわせました。
風子は再会を喜んで涙を流しアンディにひっつきますが、離れたら不運が降りかかるため、アンディは風子を背負って戦います。
ヴィクトルと対峙し、なぜ風子を狙うのかと尋ねたアンディは、本の外のアンディにとって大きな存在であろう風子を殺し、隙を作って体を取り返すという目論みを聞きました。
するとアンディは、少なくとも本の中の自分にとっては希望となった風子を、未来の自分に届けようと考えます。
「こいつは俺に必要だ、死んでも守る」
その宣言とともに、戦闘が再開されました。
ヴィクトルは、140年で攻撃性の高まったアンディの能力を評価しつつも、練度が足りないといいます。
アンディも全力でヴィクトルに応戦しますが、これ以上は敵わないと読んだのか、風子に離れるよう指示しました。
これから降りかかるであろう不運の大きさを心配する風子に、アンディは告げます。
「お前のおかげで俺は変われた。 お前がぶち壊してくれたんだ、俺の死生観をな」
風子は思い切ってアンディの頬にキスを送り、その背から離れました。
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魂の居所
アンディは不運のタイミングに合わせ、指の弾丸を飛ばしました。
決死の瞬間に指を飛ばすだけ……と、ヴィクトルが疑問に思った瞬間、ガス爆発が起こります。
それは、アンディ本体ではなく、ヴィクトルに飛ばした指に魂が乗せられたことで、指側に不運が宿ったからでした。
これまで、アンディが不死の能力によって頭から再生していたのは、自身にとって生きるために必要なものが脳であり、脳で思考できないことが死だと認識していたからです。
しかし、風子と出会って旅をともにし、理屈でただ生きるのではなく、自分の好きなようにこの世界を生きていいと知ります。
そして、不運は魂に宿り、人は魂で生きていると、信じられるようになっていました。
「だから、どう肉体が滅びようと、俺はどこからでも蘇る!」
世界の理は捉え方次第だと、信じさえすれば能力はいくらでも発展すると、それを体現してくれたのはヴィクトルだと、アンディはそう言います。
「俺たちはもっと強くなれる」
アンディの言葉とともに、ヴィクトルにこの日最後の不運が降りかかりました。
それは、風子と出会った日のアンディが敵陣に拘束された時、使用されていた捕獲具……。
「そういうことか、ジュイス。 確かにこの二人なら……」
捕獲具に捕らえられながらヴィクトルの頭部がそう呟き、蓋が閉じました。
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”現在”で会おう
捕獲具に捕らえられたヴィクトル。
アンディは、自分ならどうすることもできない状況でも、規格外のヴィクトルなら出てこられるといいます。
風子が勝手に記憶を覗くより直接話したほうがいいと語ると、ヴィクトルはアンディの呼び掛けに応じるようにして、捕獲具から出てきました。
早速ジュイスとの関係を尋ねる風子は、ジュイスとヴィクトルでユニオンを作ったのではないかと問いかけます。
それはアポカリプスに触れた時、断片的に見た記憶でしたが、それが本当なら何故ユニオンの邪魔をするのか疑問に思っていたからです。
するとヴィクトルは、風子はジュイスに似ていると言いました。
自分のことなど顧みず、大切な者のために全てを懸けられる魂がある……。
ジュイスと風子をそう評したヴィクトルは、ユニオンとして神殺しに挑んだ長い記憶を振り返り、その歴史に絶望している気配さえ感じさせます。
それでも、不死でもないのにアークに乗ってループし続けるジュイスを見ていられなくなり、彼女を殺すことに決めたのだと語りました。
「惚れた女が苦しむ様を見たい男がどこにいる」
ヴィクトルはそう言って、そのうえで考えが変わったことを明かします。
ヴィクトルにとっての不運が死ではないと知り、捕獲具を呼び寄せた風子の不運は、進化の予兆だと悟ったからです。
それは本の中でアンディと旅をしたことで、アンディ、そしてヴィクトルへの理解が深まったからだと考えられました。
つまり、神を調べ理解すれば、風子の不運は神に届く可能性があるということです。
ヴィクトルは去り際に、本の中から抜け出す方法を告げます。
アンディと先ほどのような頬へのキスではないキスをすれば、風子は現在へ戻れるだろうと……。
戸惑う風子に、迷わずキスをするアンディ。
「泣くなよ。 ”忘れなければ”だろ?」
涙を流す風子に、”現在”の自分とひとつになって口説き落とすと宣言します。
そして、彼女を見送って呟きました。
「現在(いま)で会おう」
アニメ『アンデッドアンラック』第22話まとめ
いかがだったでしょうか。
本の中で成長を遂げた風子。
アンディ、そしてヴィクトルとの対話を経て、”現在”での戦いが始まります。
次回、第23話も楽しみです。