「週刊少年ジャンプ」にて連載中の戸塚慶文による人気マンガをアニメ化した『アンデッドアンラック』。
”否定者”と呼ばれる異能力者たちのバトル、数々の伏線が考察を呼ぶ壮大な物語と、怒涛の展開が人気を博し、連載開始の翌年には「次にくるマンガ大賞2020」のコミックス部門で1位を獲得した話題作です。
ビリーの突然の裏切りにより、アンダーに奪われた円卓。
アポカリプスだけはユニオンが奪回しましたが、施設は半壊してしまいます。
「ジュイスに伝えろ。 ”アーク”は俺たちが手に入れる」という謎の言葉を残し、去って行ったビリー。
その言葉に動揺を隠せずにいるユニオンのメンバーたち。
そんな中、ジュイスはユニオンメンバーも知らされていない世界の真実を語り始め……。
早速、第18話「Cry For The Moon」をレビューしていきます。
目次
アニメ『アンデッドアンラック』前回第17話あらすじと振り返り
アンダーから円卓を取り戻すため、アンディと風子を軸にした作戦を開始したユニオン。
炎を纏うバーンの力によって次々と防壁を突破される中、ニコを中心としたラボメンバーは電磁ケーブルや大型冷却装置での足止めを試みます。
一方、バーンを止めてビリーの話を聞こうという風子に、アンディは言い放ちました。
「タチアナを泣かせた。 一発ぶん殴ろうぜ! 話はそれからだ!」と。
決死の作戦、そしてタチアナの覚悟により、円卓は失ったものの、アポカリプスの奪取を阻止したユニオン。
意味深な言葉を残して去って行ったビリーに、ジュイスはある決断を迫られます。
【ネタバレあり】アニメ『アンデッドアンラック』第18話あらすじ・感想
積み重なった違和感
アポカリプスを捕獲した円卓メンバーは、ジュイスに招集され、彼女に質問を投げかけます。
アンディはユニオンに入ってからジュイスの方針を見てきたうえで、違和感を覚えた点を挙げていきました。
世界の終わり――ラグナロクを迎えることを危惧している割りには悠長な作戦が多かったのではないか、と。
シェンも、ジュイスとヴィクトルの関係性が気にかかっていたこと、ヴィクトルがUMA・ギャラクシーの追加前から「曜日」のルールを知っていたことを明かし、疑問を呈します。
さらに、ニコはビリーの言っていた”アーク”が古代遺物のデータには記されていないことから、その存在を不審に思っていました。
ジュイスはそっと仮面を脱ぐと、「この”世界”について知る必要があるな」と呟きます。
そして、明かされたのは「この世界は”ループ”している」ということでした。
urara
ジュイスはかく語りき
神の手によって、この世界は何度も何度も破壊と再生を繰り返していると告げるジュイス。
風子はそこで、古代遺物から流れてくる映像が作り直される前の世界で起きた出来事だと理解します。
ジュイスはそれを「力不足な私の敗北の歴史」だと語り、だからこそ「神を殺せる否定者たち」や戦力となる古代遺物を集めていたことを明かしました。
urara
アンディは世界がループしていたとしても、否定者たちなら「言語統一」の時のように改変前の世界を覚えているはずではないのかと尋ねます。
なぜジュイスだけがループ前の世界を知っているのか……彼女の答えは”アーク”を使ってそれを経験しているから、というものでした。
アンディが「証明できるのか」と問いかけると、ジュイスは「この世界がどう終わり、どう始まるかを話そう」と語り始めます。
”世界”の秘密
世界――この地球と全生命体は、神の手によって物理的に粉々にされ、破壊を持って終わりを迎えます。
そして、新たに地球が再生した際、周辺の宇宙空間には前の地球のかけらが残っている場合があるそうです。
ジュイスは、風子が”不運”の力で呼び寄せる隕石は、そのかけらたちだといいます。
urara
学校などでは、隕石とは月と地球が割れた時に出来たものだと教えられているため、風子は驚きを隠せません。
以上の話を世界のループの証明としたジュイスは、次に自らのループの証明をします。
アンディを呼ぶと、「右耳の裏の付け根にほくろがあるだろう?」と尋ねました。
アンディ本人ですら見ることの叶わないその部分を、風子が引っ張って覗いてみると、確かにほくろは存在しています。
風子とチカラは、以前の世界でのアンディとジュイスの深い関係性を想像して顔を赤らめますが、アンディはそれを「俺の時じゃない」と否定しました。
そして、「ヴィクトルと随分仲が良かったんだな」と言います。
そこから導き出されたのは、ジュイスが”アーク”を使ってループを経験してきた一方で、ヴィクトルが”不死”の力によってループを繰り返してきたということでした。
世界が滅びようとも死ぬことのできないヴィクトルは、「死」のルールが追加されてからずっと、この世界で生き続けているのです。
それはつまり、アンディも死ぬことができずに生き続けることを指していました。
ユニオンのこれから
ジュイスは仮面と剣を置いてその場に正座すると、メンバーたちに語りかけます。
「ともに命を懸けてくれている仲間たちに多くのことを隠し、利用してきた」
「死を持って償いたいが、成さねばならないことがある」
「最後までついてきてくれないか……」
頭を下げるジュイスが全てを言い終える前に、シェンは自身の能力を使ってやめさせます。
「見たくないです、そういうの」
シェンの言葉を引き継ぐように、アンディも言いました。
「……信じるぜ、お前の正義をな」
その時、一心が手彫りで仕上げた石造りの円卓を置きます。
そこにアポカリプスを放ると、メンバーはいつものように席につきました。
――12月1日、暁旦。
半壊した施設、荒野をバックに、現在進行中のクエストを洗い出す一同。
ジュイスは改めて今回のクエストに挑む前に、ビリー率いるアンダー、そして盗まれた円卓の所在を明らかにしておきたいと告げます。
世界のループ、ジュイスのループ、それらを何らかの理由で知り、謀反に至ったであろうビリーたちを先に潰しておくほうが安全なのは確かです。
さらに彼女は、アンディと風子にとある任務を課しました。
それは、”ある本”が本物かどうかの調査でした。
この世界の過去と、この先の未来が記されている本であるらしく、古代遺物によって描かれている可能性があるそうです。
この大事な任務をアンディと風子に頼んだのには、ちゃんと意味がありました。
ジュイスが懐から取り出したのは、見覚えのある一冊のマンガだったのです。
urara
アニメ『アンデッドアンラック』第18話まとめ
いかがだったでしょうか。
第18話のサブタイトル「Cry For The Moon」は、「得られないものを欲しがる」「ないものねだり」を意味するイディオム。
まさにジュイスが超えてきた壮絶なループと、その目的を指すようで、酷く切なくなります。
ジュイスの説明、そして願いに耳を傾け、改めて円卓を囲むことに決めたメンバーたち。
離反したビリー率いるアンダーとの再戦が予想される中、”神殺し”そのものよりも”アーク”を狙うリップとラトラの目論みが気掛かりとなる展開になってきました。
ユニオンとアンダー、二つの組織はループする世界にどう挑んでいくのでしょうか。
次回、第19話も楽しみです。