マーベルでもDCでもない、ダークホースコミック原作の異色ヒーロードラマ開幕。
8日後に迫った世界滅亡の危機を、彼らは回避できるのか。
- じっくり描かれる兄弟たちの絆。ヒーローものとしてだけでなく、ヒューマンドラマとしても楽しめます。
- 個性的すぎる魅力的なキャラクターたち。今までのヒーローたちとは、ひと味もふた味も違います。
- 原作は解散した人気バンド、マイ・ケミカル・ロマンスのヴォーカル、ジェラルド・ウェイのコミックス。ドラマで使われる曲の中には彼の曲も。
目次
『アンブレラ・アカデミー』シーズン1のあらすじ
養父の死をきっかけに明らかになる家族の秘密と、人類を襲う大きな危機。かつてスーパーヒーローとして名をはせた兄弟姉妹が、再び正義のために立ち上がる。
出典:『アンブレラ・アカデミー』Netflix公式ページ
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【ネタバレ】『アンブレラ・アカデミー』シーズン1の感想レビュー
養父の訃報を聞き、数年ぶりに顔を合わせる兄弟たち。長年行方不明だった5号の帰還。
1989年。
妊娠していなかった女性が、世界中でいきなり出産するところから、物語は始まります。
冒険家で大富豪の変わり者、レジナルド・ハーグリーブズ卿は、43人の子どもたちのうちから7人を養子にして、ヒーローとして育てます。
それぞれ特殊能力を持つ子どもたちは、アンブレラ・アカデミーとして活躍しますが、7号ことヴァーニャだけは能力がないからと、兄や姉たちに加われずにいました。
時は流れて。
養父が亡くなったと知った子どもたちは、数年ぶりに再会します。
- 1号ルーサーは父親に言われた任務でいた月基地から、久しぶりに地球に帰ってきます。
- 2号ディエゴは一人、自警団として街の悪党と戦う毎日。
- 3号アリソンは女優として活躍しているものの、娘と思うように会えない日々を送っています。
- 4号クラウスは死者と話せる能力から逃れるように、ドラックの依存症になっていて。
- そんなクラウスがハイになっていても見えるのは、死んだ兄弟の6号ベン。
- 7号ヴァーニャは、唯一能力のない普通の女性ですが、屋敷を出た後に書いたアンブレラ・アカデミーの暴露本のことで、兄弟との仲がギクシャクしたまま。
そこへ、長年行方不明だった5号が、空間の歪みから現れます。失踪当時の13歳の姿で。
5号はタイムトラベルをして、未来から帰れなくなったこと、その未来では人類は滅亡していたこと、そして世界の終焉は今から8日後にやってくることを、ヴァーニャに教えます。
5号が歴史を変えるのを阻止するため、謎の組織コミッションから送られたのは、チャチャとヘイゼルの二人組。
未来でずっと一緒にいた、愛するマネキンのドローレスに会いにデパートに来た5号は、彼らに襲われますが、何とか逃げ切ります。
そして唯一の手がかりとして持っていた義眼を作っている大企業、メリテック社に向かいますが、たとえ中身が58歳でも見た目は少年の5号は、当然相手にされません。
そこでクラウスを親と偽り、何とか情報を引き出します。
しかしわかったのは、義眼に刻まれている製造番号は、まだ使用されていないもの、ということでした。
8日以内に義眼を受け取る人物が鍵だと考えた5号は、メリテック社の監視を始めます。
アリソンは喋るチンパンジーで、自分たちを育ててくれたポゴから、昔の映像を見せてもらいます。
しかしそこで見たある映像に驚き、ルーサーに知らせます。
それは母親として自分たちの面倒を見てくれていた、アンドロイドのグレースが、父親を殺したように見える映像でした。
ディエゴはグレースを慕っていて、信じようとしません。
チャチャとヘイゼルは、ドーナツ屋のアグネスから聞いた5号のタトゥの模様から、アンブレラ・アカデミーのことを調べ、ハーグリーブズ邸を襲撃。
クラウスは連れ去られ、ディエゴはグレースの不具合を認め、彼女をシャットダウンさせるのでした。ルーサーの巨体の秘密も明らかになります。
一人で最期まで屋敷に残ったルーサーは、任務に失敗したことで死にかけてしまい、血清をうたれたことで助かりますが、そのせいで肉体がゴリラのようになっていたのです。
ヴァーニャはバイオリンを習いにきた、木工職人のレナードと急接近。
自分に自信のなかったヴァーニャですが、レナードはそんなヴァーニャの気持ちがわかるのか、優しい言葉をかけてくれます。
しかし、姉妹間のわだかまりを解消したいアリソンは、レナードに不信感を覚えるのでした。
チャチャとヘイゼルはクラウスを拷問しますが、何故か喜ばれてしまいます。
禁断症状が出たクラウスは、死者の言葉を利用して、ヘイゼルが任務のとき、ターゲットの家族を殺したと嘘をつき、助けていたことを暴露。
チャチャは激怒して、クラウスの薬を飲んでしまい、ハイになってメリテック社を燃やしてしまいます。
義眼の手がかりのメリテック社が燃えてしまい、5号はぼう然。
ディエゴの元カノの刑事パッチは、5号が見なかったチャチャからのメッセージをみつけ、ディエゴあてに伝言を残し、クラウスが監禁されているモーテルに向かいます。
クラウスは、チャチャとヘイゼルの鞄を盗んで逃げ出しますが、パッチは殺されてしまいます。
伝言を受け取ったディエゴはモーテルに駆けつけますが、そのせいで刑事殺しの容疑者に。
逃亡したクラウスはバスの中、ついつい鞄を開けた瞬間、どこかに消えてしまうのでした。
次第に明らかになる、それぞれの秘密。そして事態は、最悪な方向へ。
5号はルーサーに、未来へタイムトラベルしてから何があったのか、説明します。
ドローレスと何十年と過ごしたある日、コミッションという組織の謎の女・ハンドラーにスカウトされ、条件を飲めば元いた時間に戻すと言われたこと、すきを狙いタイミングをはかって、ケネディ暗殺を指令された日に、元の時代に戻ろうと試みて成功したことを。
クラウスは約一年のタイムトラベルから戻ってきますが、明らかに様子がおかしくなっていて、そのままタイムトラベルができる鞄を壊してしまいます。
クラウスはベトナム戦争の真っただ中に飛ばされ、そこで出会った兵士デイブと恋に落ち、目の前で彼を亡くしていたのでした。
ヴァーニャは失踪したコンサートマスターの代わりを選ぶオーディションを、レナードに後押しされて受けることに。そこで不思議な力を発揮し、オーディションに合格します。
家族に話そうとレナードに提案され、ハーグリーブズ邸に顔を出したヴァーニャは、家族会議に自分が呼ばれなかったことを知り、傷つきます。
怒りと悲しみを爆発させたヴァーニャは、また不思議な力を発動させます。
兄弟たちの母親代わりだったグレースは、ポゴによって修理されますが、ポゴは残っている記憶を子どもたちに知られないよう、念押しします。
5号は世界の滅亡を止めるため、コミッションに潜入することを決意。
運命を変えようと画策しますがうまくいかず、ハンドラーを殺し、コミッションの建物を爆破して、現代に戻ってきます。
そしてヴァーニャ以外の兄弟に、団結して世界を救うんだと説きます。
5号はコミッションで、世界滅亡の鍵となる人物の名前を手にしていたのです。その男の名は、ハロルド・ジェンキンス。
ヘイゼルとチャチャは互いを殺すよう指令を受けますが、それは5号がコミッションに潜入していたときの偽の指令でした。
指令に逆らった二人ですが、ヘイゼルは仕事に疑問と不満を持ち始めていて、ドーナツ屋の店員で年上の女性アグネスとすべてを捨てて逃げようと考えます。
ハロルド・ジェンキンスはアンブレラ・アカデミーと同じ日に、普通に生まれた子どもでした。
母親はお産で死亡。父親に虐待されて育ったハロルド。
アンブレラ・アカデミーにあこがれ、認められたかったのに、ハーグリーブズに冷たくあしらわれた後、父親を殺して12年服役していました。
出所したハロルドは、ハーグリーブズが死んだことを知り、屋敷の前にいたところで、クラウスが麻薬を買うお金ほしさにハーグリーブズの小箱を盗み、中身をゴミ箱に捨てるのを見てしまいます。
ハロルドが拾ったのは、ヴァーニャの秘密が書かれたハーグリーブズの日記。
そしてハロルドの正体は、ヴァーニャが信用するレナードだったのです。
ヴァーニャはレナードに言われるまま、能力を使いこなせるよう練習を始めます。すっかりレナードを信じているヴァーニャ。
食事に行った店の駐車場で、からんできた3人の男にレナードが傷つけられるのを見て、思わず力を使ってしまいます。
2人死亡、1人重体の惨事となり、レナードも病院に運ばれ、片目を失うことに。
レナードの正体がハロルドだと気づき、ヴァーニャを心配するアリソンは、妹の元に急ぎます。
アリソンは家族には力を使わないと約束していたのに、ぐずる娘につい力を使ってしまったところを、夫に見られた過去がありました。そのため、今は最愛の娘と離れて暮らしていたのです。
クラウスは意識を失ったことで、神が作った不思議な空間へ。そこでハーグリーブズと再会します。
クラウスは養父から、世界の破滅を救うため、兄弟を再び集めようとして自殺したのだと知らされます。
ポゴとグレースが隠していた秘密は、このことだったのです。
アリソンはハロルドが男たちを雇い、わざと自分たちを襲わせたことを、生き残った男から聞き出します。
ハロルドがハーグリーブズの日記を読み、ヴァーニャの能力をコントロールできるよう、最初からすべてを仕組んでいたのです。
ヴァーニャのいた山小屋にたどり着くアリソン。けれど真実を教えられても、ヴァーニャはなかなか信じません。
ヴァーニャの能力はあまりに危険なため地下に閉じ込められたこと、飲み続けていた薬やアリソンの力で能力を押さえ込んだ過去を、ヴァーニャは知ってしまいます。
ヴァーニャは自分の力を止めようとするアリソンに気づき、思わず力を使ってしまい、アリソンののどを切り裂いてしまうのでした。
泣いて謝るヴァーニャを、ハロルドは山小屋から連れ出します。残りの兄弟たちはそろってアリソンを追いかけてきていたので、アリソンは何とか命をとりとめます。
ヴァーニャはハロルドの隠していた、養父の日記を発見。ハロルドが自分を操ろうとしていたことに気づきます。
アリソンが正しかったこと、首席バイオリニストの失踪にハロルドが関わっていたことを。
言い合いになり、能力を発動させたヴァーニャは、ハロルドを殺してしまいます。
ハロルドの死体をみつけた5号は、持ち歩いていた義眼が、ハロルドのなくしたばかりの右目に合うことを確認します。
ヘイゼルはアグネスとこの先も生きるため、一度は逃げたものの5号に会うため1人で戻ってきます。
ディエゴの無罪を証明する銃を持って。世界の滅亡を止めたい、と。
5号は「鍵を握る男は死んだ、もう大丈夫だろう」とヘイゼルに伝えます。5号とヘイゼルは和解します。
しかし、ヘイゼルの裏切りを知ったチャチャは、アグネスをとらえていたのでした。
ヴァーニャは兄弟に謝罪するため、屋敷に戻ってきます。
アリソンが助かったと知り、ルーサーに泣きながら謝罪するヴァーニャ。
しかしルーサーに気絶させられ、子どもの頃に閉じ込められていた地下室に、入れられてしまうのでした。
ディエゴやクラウス、何よりアリソンは反対しますが、ルーサーは危険だからとつらい決断をしたのです。
けれど、閉じ込められたことで、ヴァーニャは自分の心の声に負け、能力を解放してしまいます。
家族に『平凡』だからという理由で、ないがしろにされてきた過去の情景を見ながら、ハーグリーブズ邸を破壊していくヴァーニャ。ポゴも殺してしまいます。
グレースも崩壊していく屋敷と、運命をともにします。
逃げる途中、死者のベンは気を失ったディエゴの腕をつかみ、命を救います。驚くクラウスとベン。
ヴァーニャこそが世界の破滅をもたらすのだと、5号は確信します。
世界の破滅を止めるため、アンブレラ・アカデミーが再始動。6人は世界を救えるのか!
ひと昔前のこと。
レジナルド・ハーグリーブズは死んだ妻のバイオリンを持って、開拓時代らしきアメリカに渡ってきていました。
ヴァーニャが少女時代、バイオリンを練習すると言ったときに渡していたバイオリンです。
ハーグリーブズがそのとき、密かに微笑んでいたことを、ヴァーニャだけではなく誰も知りません。
ヘイゼルとチャチャは生きていたハンドラーから、ヴァーニャを保護するよう命令されます。
見返りとして、ヘイゼルはアグネスとの自由を、チャチャは新しい相棒と過去の失敗を帳消しにすると、持ちかけられます。
しかしヘイゼルはハンドラーを信じず、チャチャを裏切り、1人アグネスの元に戻り、ハンドラーを射殺します。
ヴァーニャがコンサートマスターになった、コンサートが始まります。
兄弟たちはヴァーニャを止めるため、コンサート会場に到着しますが、ヴァーニャの力は強大な上、コミッションから送られた部隊に囲まれ絶体絶命に。
そのときクラウスの能力で、死者のベンの力が発動。部隊は全滅、ベンの姿も兄弟たちに見えるのでした。
ディエゴはチャチャと一騎討ちに。パッチの仇をうとうとしますが、愛したパッチはチャチャを殺しても喜ばないだろうという5号の言葉を思い出し、拳を下ろします。
交響曲が終わりに近づくにつれ、ヴァーニャの力も強まっていきます。
何とか止めようとする兄弟たち。アリソンはヴァーニャを撃てない代わりに、彼女の耳元で発砲。
ヴァーニャの体から放たれた光は、上空へ放たれます。
意識を失ったヴァーニャを囲み、世界を救ったと安堵したのもつかの間。
ヴァーニャの力は月を破壊し、巨大な月のかけらが地球に次々と降りそそぎ始めます。
5号は家族と世界を救うため、したこともない兄弟全員でのタイムトラベルを決行。
ヴァーニャを元に戻すことが、世界の終わりを止めることだと。
そして、コンサート会場が炎に包まれる寸前、彼らの姿は消え去ったのでした。
異色ヒーロードラマは、色々どこかアンバランス。だけどそこが魅力的でクセになること請け合い。
アンブレラ・アカデミーは、ヒーローが悪党に立ち向かい世界を救うといった、お約束のヒーローものとはちょっと違います。
家族や兄弟の絆、キャラクターの成長もちゃんと描かれていますが、やっぱり王道ヒーローものとはちょっと違うんです。
挿入歌や、アクションシーンにかかる曲も何となくちょっと違うんじゃない?という違和感を覚えてしまう。
いや、ラストもラストのジェラルド・ウェイがカバーした「冬の散歩道」は最高なんですよ。
でもほかの曲がたまに、わざと外してるのかと思うほどだったり。でも、ついつい続きを観てる。そんなドラマです。
魅力あふれる5号演じるエイダン・ギャラガーくんは15歳。
見た目は子ども、中身は58歳のおじさんという役を見事に演じていて、クセ者揃いの俳優たちの中、一歩もひけを取りません。
7号ヴァーニャを演じているのは、エレン・ペイジ。
映画『JUNO/ジュノ』『インセプション』『X-MEN』シリーズなどで、映画ファンなら知っているだろう女優のエレン。何とも幸薄そうな前半からの、終盤怒りを爆発させたヴァーニャ役、ぴったりです。
他のキャストも、新進気鋭の女優から大物ミュージシャン、海外ドラマファンにはおなじみの俳優と、個性的なキャラにピッタリな役者が顔をそろえています。
シーズン1を見終わると、よくよく考えなくてもハーグリーブズが子育てするとき、もう少し子どもたちに優しくしていれば世界の破滅ってこなかったんじゃ……とか思っちゃいますが、それは言わないお約束。
兄弟も、どうにも言葉が足りなさすぎるし。
大体、能力がないと思っていた子どもの頃のヴァーニャに対する6人の態度は、ただのイジメのようなもの。
そんな扱いを長年家族から受けていれば、自分に自信がもてなくなるのも当然。
ルーサーも体がゴリラみたいになったのは(どうやら血液も)かわいそうだけれど、融通がきかないし、リーダーと言いながら兄弟をまとめられず、好きなアリソンのことをいつも優先させているようにしか思えない。
1度しっかり全員で、言いたい放題の大ゲンカでもしていれば、うまくやれていた気がしないでもない……。
でもヒーローものには、内輪もめも定番ネタですからね。そうやって文句を言いながらも、見てしまう。
『アンブレラ・アカデミー』は、そんなドラマなんです。
ちなみにルーサーとアリソンの2人より、ヘイゼルとアグネスの恋を応援したくなることも請け合います。
『アンブレラ・アカデミー』シーズン1まとめ
シーズン1は、様々な謎が明かされないいまま、最終回を迎えてしまいました。
- レジナルド・ハーグリーブズ卿は、なぜ世界が滅亡すると知っていたのか。
- そもそも100年以上生きていそうだけれども、彼も能力者なのか。
- 6号ベンは、いつ、どうやって死んだのか。
- 最終回、世界が炎に包まれていく中、ヘイゼルとアグネスの姿が炎にまかれる瞬間消えたのは、なぜなのか。
- 兄弟たちは、どこにタイムトラベルをしたのか。
これで続きがないとか、ありえません。
エイダンくんが成長しちゃう前にシーズン2を早く早く!と祈りながら続きを待ちたいところです。
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