原作は、直木賞受賞作家・辻村深月のベストセラー小説で第42回吉川英治文学新人賞受賞作!
死んだ人間と生きた人間を会わせることのできる使者ツナグ。
代々受け継がれた力を使って、ツナグが引き合わせた人々が紡ぐ志玉のストーリー。
もう会えない…死んでしまった人にたった一度会えるとしたら?そんな時、あなたは誰に会いたいですか?
フィクションだけど本当に会えると信じたくなって、涙が溢れます。
大切な人と一緒に観てほしい映画です。
- 亡くなった人に会える一生にたった一度のチャンスを導く、死者と繋がる窓口“ツナグ”が起こす奇跡!
- 樹木希林と松坂桃李の心に染み入ってくるナチュラルな演技がすごい!
- 幾重にも積み重ねられたストーリー展開に唸る
目次
映画『ツナグ』作品情報
作品名 | ツナグ |
公開日 | 2012年10月6日 |
上映時間 | 129分 |
監督 | 平川雄一朗 |
脚本 | 平川雄一朗 |
原作 | 辻村深月 |
出演者 | 松坂桃李 樹木希林 佐藤隆太 桐谷美玲 橋本愛 大野いと 遠藤憲一 別所哲也 本上まなみ 浅田美代子 八千草薫 仲代達矢 |
音楽 | 佐藤直紀 |
【ネタバレ】映画『ツナグ』あらすじ・感想
人の人生の立会人“ツナグ”のルール
主人公・渋谷歩美(松坂桃李)の祖母の家系には、先祖代々から受け継がれた不思議な力があります。
それは、死んだ人間と生きた人間を会わせることができるというもの。
ツナグと呼ばれるその能力は、歩美の祖母・渋谷アイ子(樹木希林)の実家である秋山家に伝わる力です。
アイ子が嫁ぐときに兄から力を譲られて50年…。
今、孫である歩美へとその力が引き継がれようとしていました。
これは歩美が“ツナグ”になるまでのお話です。
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死者と会わせる窓口を担うツナグには、いくつかルールがあります。
- 使者(ツナグ)は、依頼された死者に会って交渉し面会の段取りを整える。
- 依頼できるのは、人生でたった1度だけ(死者にとっても、生きている人と会えるのは1度きり)…それぞれ1回だけの機会。
- 死者が会うことを拒否した場合も、一回だけの機会は消失。
- 報酬は不要。
- 必要なのは“会いたい人の名前”と“会いたい理由”。
- 死者と会えるのは月の出る夜、会える時間は朝になるまで…朝日が昇ると死者は消える。
ストーリーの中で、愛する誰かを失った3人の依頼者が登場。
でも、亡くなった人に会いたい想いはそれぞれ違います。
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ツナグの掟と渋谷歩美(松坂桃李)の悲しい生い立ち
父親の反対を押し切ってまで結婚した歩美の両親・渋谷亮介(別所哲也)と渋谷香澄(本上まなみ)は、仲睦まじい夫婦でした。
しかし、2人は歩美が幼い時に不審な死を遂げています。
歩美は両親の死について、ずっと心に引っかかりを覚えながら生きてきました。
彼は、依頼者と出会って“想い”を繋げていく度に、両親の死の真相を少しずつ導き出していきます。
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力を引き継ごうと決意したアイ子は、歩美にツナグの詳細が書かれたノートを手渡します。
そのノートには、明らかにアイ子の字とは異なる筆跡で書かれたメモ書きがちらほら…。
字について歩美が尋ねても、アイ子ははぐらかすのでした。
- ツナグを引き継いだら、自分の会いたい死者に会うことはできない。
- ツナグの力を譲り受ける時に、新しいツナグは鏡と契約を結ぶ…。その時点で古い契約者はツナグとしての資格を失う。
- 死者を呼び出す鏡を所有している人間がツナグ。鏡の持ち主以外が死者を呼び出すことは許されない。
- 鏡の所有者以外の人間が鏡を覗いてしまうと、鏡の持ち主と覗いてしまった者の2人とも命を奪われる。
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初めて歩美が繋いだ依頼者・畠田靖彦(遠藤憲一)が、亡き母(八千草薫)にどうしても聞きたかったこと
物語は「人間はみんないつか必ず死んでいく。死んでいった人たちは一体どこに行くんだろう?僕たちの目には見えない…どこか違う世界に行くんだろうか?」という歩美の語りから始まります。
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「笑わせんな!金目当てのオヤジ狩りか?」
ツナグとの待ち合わせに現れた高校生の歩美を見て、依頼者の畠田靖彦(遠藤憲一)は憤ります。
怪訝な顔をして毒づく靖彦に動じず、歩美は丁寧に“ツナグのルール”を説明をしました。
「あなたが会いたい人は誰ですか?会いたい理由を聞かせてください」
彼が会いたいのは、1年前に亡くなった母親の畠田ツル(八千草薫)。
家を売却したいが権利書の所在が分からないから聞きたいというのが、亡き母に会いたい理由でした。
説明されても未だ疑心暗鬼な靖彦は「こんな怪しげな…お前の親はこんなことやってんの知ってんのか?」と歩美に詰め寄ります。
歩美は少し困惑しながら、ツルと交渉した後に結果を伝えると告げるのでした。
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後日、靖彦は亡き母に会うことに。
「こうやって死んでからも会いたいと思ってくれる人がいるなんて。私の人生、捨てたもんじゃなかったのかもしれないわね」
靖彦との待ち合わせ前、先に会いに来た歩美にツルがとても嬉しそうに話します。
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久しぶりに息子に会ったツルは、靖彦に「本当は何を話したくて会いにきたの?」と優しく声をかけます。
素直になった彼は、母の語る言葉で救われていきました。
再会を終えた靖彦は、歩美に「どうもありがとう」と丁寧に頭を下げて去っていきました。
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不慮の事故で亡くなってしまった親友(大野いと)と会いたい…依頼者・嵐美砂(橋本愛)の抱える闇
「死んだ人との再会を叶えてくれる“ツナグ”って人がいるらしいの!」
女子高生集団の中心で楽しそうに噂話する御園奈津(大野いと)と、その会話を少し離れて聞いている嵐美砂(橋本愛)。
2人は演劇部に所属していて、いつも良い役をこなす美砂と、特に配役に執着のない奈津…正反対の性格だけど、2人は親友でした。
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奈津が突然、次の演目「桜の園」の主役オーディションに「受けるだけでも受けてみたい!」と言い出します。
興味がないと思っていた美砂は、奈津の熱意に驚きました。
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主役選考前、部室に入ろうとした美砂の耳に聞こえてきたのは…「いくら頑張っても、私には絶対に敵わないと思うよ」と笑う奈津の声でした。
そして、その言葉を受けて一斉に笑う演劇部の仲間たち。
その場に立ちすんで動けなくなった美砂は、奈津は私のことをみんなとあざ笑っていると大ショックを受けます。
オーディションの結果、無情にもヒロインに選ばれたのは奈津でした。
結果を知った美砂の中で、親友への不信感が募っていきます。
美砂の心に「奈津さえいなければ…」という思いが育っていきました。
美砂の怒りが限界に達した日。
美砂は、奈津も通る通学路の途中で軽はずみな殺意から“ある過ち”を犯してしまい…奈津は亡くなります。
同級生の奈津が亡くなったことに対して、実感が湧かないという歩美。
アイ子は「誰でも他人の死には鈍感で目を背けたくなるもんだ」と話します。
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「奈津がツナグを通じて誰かに喋ったりしたら?」と心配になった美砂。
美砂はツナグに依頼して、奈津と会うことにします。
歩美が生と死を結び合わせた瞬間、女子高生2人の愛憎劇が始まります。
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失踪した婚約者・日向キラリ(桐谷美玲)との再会
病院へ行ったアイ子。
よろめいた彼女に、そっと手を差し伸べてくれた優しい青年・土谷功一(佐藤隆太)を見たアイ子は「あなた…会いたい人がいるのでは?」と問いかけます。
土谷が会いたいと依頼してきたのは、7年前に失踪した恋人・日向キラリ(桐谷美玲)。
彼女はプロポーズ直後に「友達と旅行に行く」と言って出かけたきり、行方が分からなくなっていました。
「僕が騙されてて、今もどこかで生きてるならそれでいいんです。でも、もし事故か何かに巻き込まれていたりしたら…」
土谷はキラリの身を心から案じていました。
依頼した土谷は、複雑な想いを抱えながらツナグからの連絡を待ちます。
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ほどなく、アイ子は日向キラリを見つけだしました。
キラリというのは偽名…。
そして、7年前に起きたフェリー事故で亡くなっていたということが明らかに!
アイ子とキラリが交渉する時、歩美は“死者との交渉の場”に初めて同席します。
「彼に先に進んでもらうためにも会いたい…彼のために今の私にできる唯一のことだから」
再会の日、キラリが待つホテルの部屋に行くことを躊躇する土谷に、歩美が喝を入れます。
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土谷に再会したキラリは涙を浮かべながら、精一杯の笑顔を作ります。
「幸せになってね!ウソだらけの私を愛してくれて…ありがとう!」
キラリは土谷に最後のお願いとして、“思い出が詰まったクッキー缶”を自らの両親に送ってもらうように頼みました。
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歩美の祖母・渋谷アイ子(樹木希林)がずっと抱えてきた想い
「父が母を殺して自殺した」という、親戚中で語られている歩美の両親の最期についての噂。
アイ子の兄・秋山定之(仲代達夫)に、歩美が「あの噂は本当?」と問いかけます。
「目に見えているものだけが真実じゃない。大切なことは“心”で見るんだ…。自分の心だ。そうすれば、本当に大切なことが見えてくる」
定之は、歩美に心の中の両親を見失わないよう諭しました。
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ツナグに携わるうちに、歩美は「ツナグは生きている人間のエゴでは?」と考えるようになります。
「道に迷った人間は、神様や他の具体的な誰かに自分の人生を導いてもらいたいんだよ」
アイ子は、ツナグの存在意義を生きている者への助けであると歩美に説きました。
アイ子がずっと見守り続けてきた歩美が、ツナグという役割への疑問を持ち始めます。
このまっすぐな想いが、歩美の両親の死の真相を隠し続けてきたアイ子の心を鈍く削っていきます。
そして、とうとうアイ子は長年抱えてきた事実を語り始めました。
「私が殺した…」
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秋定の助言通り、心の目で真実を導き出した歩美。
歩美は、全てを打ち明けて泣き崩れるアイ子に寄り添います。
そして、歩美が心で説いた“両親の死の真相”を穏やかに話すのでした。
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映画『ツナグ』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『ツナグ』をネタバレありでレビューしました。
- 目には見えなくとも見守ってくれる誰かに恥じぬ生き方をしようと思えた
- 失われた人間を“想い”ながら生きる尊さに気づかされる
- 残されて生きる者へ…。生きる勇気と活力を与えてくれる物語
- 当たり前すぎて忘れがちな“人との繋がり”。今を大切に生きる…シンプルに大事なことを改めて確認できる
- 紡がれる言葉が名言ばかり…。生きるヒントが散りばめられたストーリー!