フィリップ・K・ディックの短編を独自解釈で膨らませたSF映画。
悪趣味とSF的設定の面白さとシュワルツェネッガーやシャロン・ストーンの非現実的な存在感が合わさった名作です。
- フィリップ・K・ディックの暗いSF世界観をバーホーヴェンの意地悪な目線で見事映像化
- シュワルツェネッガーの無敵ぶりと人を殺した後の不謹慎な捨て台詞に爆笑
- シャロン・ストーンの美貌と悪女ぶりも見どころ
- 数々の悪趣味、且つ強烈なビジュアル
- 何が本当で何が作られた記憶なのかわからなくなるストーリー
それではさっそくレビューしたいと思います。
目次
『トータル・リコール』作品情報
作品名 | トータル・リコール |
公開日 | 1990年12月1日 |
上映時間 | 113分 |
監督 | ポール・バーホーベン |
脚本 | ロナルド・シャセット ダン・オバノン ゲイリー・ゴールドマン |
原作 | フィリップ・K・ディック |
出演者 | アーノルド・シュワルツェネッガー レイチェル・ティコティン シャロン・ストーン マイケル・アイアンサイド マーシャル・ベル |
音楽 | ジェリー・ゴールドスミス |
『トータル・リコール』あらすじ
西暦2084年。
火星の夢にとりつかれた一人の技師が、夢による疑似体験を受けようとした事から何者かに命を狙われ始める。
今の記憶が植え付けられた物である事を知った男は本当の自分を探すため火星へ飛び立つ…。
フィリップ・K・ディックの短編小説「追憶売ります」を基に、“記憶”あるいは“もう一人の自分”というモチーフを活かしつつ見せ場をふんだんに盛り込んだ想像力豊かな脚本を、あっけらかんとハリウッド風娯楽大作に仕上げたバーホーベンの潔さが心地よい。
細部に至るまで未来のイメージを構築した、アカデミー賞受賞のSFXも素晴らしい。
出典:allcinema
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『トータル・リコール』感想レビュー【ネタバレなし】
火星の夢が実は現実だった
冒頭、映画音楽の名匠ジェリー・ゴールドスミスの超かっこいい音楽「火星の夢」が流れ、タイトルロールが始まります。
本作の舞台となる火星を思わせる赤黒いビジュアルで、キャストやスタッフの名前が次々と出ては立ち消えていきます。
このオープニングで、すでに火星を巡る何が現実なのか、何が作られた記憶なのかがわからなくなる物語であることが表現されています。
そしてシュワルツェネッガー演じる主人公ダグラスが、火星でブルネットの美女とロマンスをしていると、宇宙服が壊れ、真空空間で目玉が飛び出そうになるというかなりえぐいシーンがいきなり始まります。
本作の特殊メイクはバーホーベンが『ロボコップ』でもタッグを組んだ、天才ロブ・ボッティンが担当しているので、リアル且つ悪趣味で物凄いインパクトです。
その火星のシーンはダグラスが見ていた夢でした。
そしてうなされているところを奥さんに起こされます。
その奥さんはシャロン・ストーン。
普通に見ていると超エロくて美人で最高の奥さんですが、やはりシャロン・ストーンといえば悪女イメージがあるので、この段階から少し不穏です。
『トータル・リコール』の公開は1990年で、まだ彼女の代表作である『氷の微笑』も『カジノ』も公開前なので、そんなに悪女イメージはなかったと思いますが、今見るとあからさまでちょっと笑ってしまいます。
この火星の夢とシャロン・ストーン演じる現実味のない美女という要素が、後のストーリーに大きく関わります。
工事現場で働く普通の男であるダグラス(見た目がシュワルツェネッガーなので全く普通に見えませんがw)は、平凡な人生に嫌気がさしていたこともあり、奥さんのローリーに「火星に住んでみたい」と言いますが、そんなの無理だと一蹴されます。
毎晩の火星の悪夢に悩まされていたダグラスは、希望すればどんな記憶も植え付けてくれるというリコール社に行ってみます。
どういうことかというと、実際には行ってなくても、例えば南国に行った記憶を植え付けて、気候とか匂いとか食べ物の味をいつまでも覚えていられるサービスが受けられるわけです。
実際に行くとしてもせいぜい数日なわけで、その後にずっと残る記憶のほうが大事ですよね。
「だったらそのまま記憶を植え付けたほうが、実際に旅に行って嫌な思いをする危険性もないし全然いいよね」という趣旨のもとに行われているのがリコール社のサービスです。
ダグラスはリコール社で希望を聞かれて、特殊機関のエージェントになって火星にミッションで潜入するという記憶を選びます。
しかし、いざ仮眠状態になって記憶を植え付ける機械に入れようとしたところダグラスはうなされて暴れ出します。
そこでリコール社の技術者たちはダグラスが実際に火星に行ったことがあると気づき、トラブルはゴメンだと彼のリコール社に来た記憶自体を消して家に送り返しました。
しかし、ダグラスが本当に火星にいたことがあると知られるとまずい組織がおり、彼を襲ってきます。
そしてダグラスはそれに応戦しているうちに、なぜか自分には格闘術や銃器の経験があることに気づき、だんだんと自分の正体がわかっていきます。
ダグラスの正体はハウザーという火星で働いていた男でした。
ダグラスとしての記憶はすべて作り物で、ハウザーはとある事情から記憶を消され地球で暮らさせられていたのです。
ローリーは妻ではなく自分の監視役でした。
ダグラスは真相を知るために火星に向かいます。
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火星に乗り込んでからは怒涛の展開に
火星は地球人が移り住んで開拓されていましたが、火星州知事コ―ヘイゲン(『ロボコップ』でも黒幕役だったロニー・コックスが憎々しく演じています)が、住民たちから“空気税”(本来は火星にない空気を作って牛耳っているので課税対象なのです)を取り立てるなど、悪どい統治政治を行っています。
ダグラスは火星に忍び込むものの、すぐに見つかり追われる身となります。
逃げた先にはかつて火星に住んでいたエイリアンの名残が残るミュータントたちや、コ―ヘイゲンの統治に反旗を翻すレジスタンスたちがいました。
冒頭に夢で見たブルネットの美女メリーナもレジスタンスの一員で、ダグラスを見て“ハウザー”と呼んできます。
こっちが本当の自分だと気づいたダグラスは、とある方法でコ―ヘイゲンの追っ手から隠れていたクワトーというレジスタンスのリーダーと面会。
そこで「古代火星人は地中の巨大な氷の塊をリアクターで溶かして空気を作っていた。今でもそのリアクターを動かせば空気を大量に作れるが、それだと税金が取れないのでコ―ヘイゲンは事実を隠している」という秘密を知ったダグラスは、その陰謀を暴くために戦う決意をします…。
と、ここまであらすじを書きましたが、ディック原作でバーホーベン監督作なので、なかなか一筋縄ではいかずにこの後も話は二転三転します。
いったいなぜハウザーはダグラスとして記憶を植え付けられて地球に送られたのか?火星の人々の運命は?
それはぜひ実際に見てご確認ください。
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悪趣味要素満載で楽しいシーンの連続
本作は思わず笑ってしまうようなゴア描写や、奇天烈なキャラクターにSFビジュアルがたくさん出てきます。
火星の真空空間での目玉飛び出しそうになる描写や、ダグラスが追手から逃れるために脳内の発信機を鼻から取り出すシーンも強烈です。
またダグラスが火星に忍び込む際も、何に変装するのか注目してほしいです。
「マジか!」となるような映画史に残る変装をしています(笑)
そして火星のキャラクターも強烈で、オッパイが3つあるミュータントの娼婦や、変な腫瘍のある人々がたくさん出てきます。
ゴア描写も銃撃戦で死体を盾にしたり、腕がちぎれ飛んだり、ボルトを首に刺したりと悪趣味ですが好きな人にはたまりません。
もうひとつの見どころが、シュワルツェネッガー定番の人を殺した後の不謹慎な捨て台詞です。
どのシーンかは伏せますが「パーティで会おうぜ!」や「これで離婚だ」(誰に言うかはわかってしまいますね)という酷い捨て台詞が連発されます。
お得意の変顔も炸裂、筋肉で何とかしてしまうシーンも多々あり、シュワちゃんファンは大満足間違いなしです。
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虚実が分からなくなるストーリー
ディックは常に「いったい何が本物で偽物か、何が現実で虚構なのかわからなくなる」という物語を書き続けており、それを表現するためにSF設定が使われます。
『ブレードランナー』の原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」では、レプリカントと人間どちらが本物の人間なのかわからなくなるストーリーが描かれます。
本作は人間にとってもっとも曖昧になりがちな記憶や夢というものを巡る物語でまさにディック的です。
劇中では今起きていることは現実か夢なのか判断に迷うという場面も出てきます。
そしてその答えは、実は最後まで曖昧です。
中盤では謎の医者が現れ「君は火星に来ているつもりかもしれないが、これは夢だ。これ以上長くなると脳が破壊されるからこの赤い薬を飲め」とダグラスに言うシーンまで出てきます。
その発言が真実だったかどうかは分からず話は進みます。
どういうオチになるかは伏せますが、本作は万事解決してハッピーエンドを迎えた後に、なぜか画面がホワイトアウトして映画が終わります。
これは劇中で起きていた冒険譚は、すべてダグラスがリコール社で見ていた夢で、ホワイトアウトしたのは夢のプログラムが終了したから。
もしくはダグラスが規定時間より夢を長く見過ぎて脳が破壊され死亡したから、という意地悪な説まであります。
どう解釈するかは自由ですが、実はけっこう怖い話かもしれません。
死んだり負けたりするイメージのないシュワルツェネッガーを起用しているのも、このミスリードのためなのでしょうか。
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『トータル・リコール』まとめ
以上、ここまで『トータル・リコール』について紹介させていただきました。
- SFアクションとして王道、且つ悪趣味で楽しめます
- 全盛期のシュワルツェネッガーの捨て台詞や変顔や筋肉も堪能できます
- 何が本当か嘘かわからなくなり、また見返すと解釈が深まり、何度も楽しめます
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