世界的ファンタジー大作映画として知られる『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』シリーズは、もともと「指輪物語」「ホビットの冒険」という原作小説から映画化された作品です。
今回レビューする『トールキン はじめりの旅』は、そんな超大作を生み出した原作小説の著者J・R・R・トールキンの生涯を描いた映画なのです。文学界に多大な影響を与えた彼の人生とは?
- J・R・R・トールキンとは、どのような人物か?
- 芸術で大成したいと願うより、世界を変えたいと言う強い想い
- この作品に対するイメージについて
それではさっそく映画『トールキン はじめりの旅』をレビューしたいと思います。
目次
『トールキン 旅のはじまり』作品情報
作品名 | トールキン 旅のはじまり |
公開日 | 2019年8月30日 |
上映時間 | 111分 |
監督 | ドメ・カルコスキ |
脚本 | スティーヴン・ベレスフォード デヴィッド・グリーソン |
出演者 | ニコラス・ホルト リリー・コリンズ コルム・ミーニイ デレク・ジャコビ |
音楽 | トーマス・ニューマン |
『トールキン 旅のはじまり』あらすじ
トールキン(ニコラス・ホルト)は3歳のときに父が他界し、イギリスの田舎で母と弟と生活していた。
だが母親も12歳のときに突然亡くなり、母の友人のモーガン神父が後見人としてトールキンを救ってくれた。
やがてトールキンは名門キング・エドワード校に入学して3人の友人と出会い、芸術で世界を変えることを約束する。
出典:シネマトゥデイ
『トールキン 旅のはじまり』みどころ
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの原作「指輪物語」や「ホビットの冒険」などの著者J・R・R・トールキンの半生に迫る人間ドラマ。
母親や学生時代の仲間とのエピソード、運命の女性との恋模様などを映し出す。
『X-MEN』シリーズなどのニコラス・ホルトが主人公、『あと1センチの恋』などのリリー・コリンズが彼の最愛の女性を演じる。
出典:シネマトゥデイ
『トールキン 旅のはじまり』を視聴できる動画配信サービス
『トールキン 旅のはじまり』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。
なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。
- 動画の配信情報は2019年9月10日時点のモノです。
- 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。
ご覧のとおり、2019年9月10日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。
動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。
【ネタバレ】『トールキン 旅のはじまり』感想レビュー
作者トールキンが、原作に託したものは?
トールキンとは、どのような人物か?
どのような小説家だったか、みなさん知っておりますか?
本作『トールキン 旅のはじまり』は、作家の人生、特に幼少期から青年期までの生い立ちについてが描かれています。
ただ、ネットで検索してみればトールキンの生い立ちを書いているレビューはたくさんあります。なので、ここではトールキンについて多くは書きません。
しかし、著書「指輪物語」はトールキンの経験や経歴が基になって生まれていたことが、本作で明らかになります。
子供の頃からの彼の体験が、あんな壮大なスケールの物語を創造する役割になっていたことに驚きを隠せません。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』に登場する旅の仲間も、ホビットの村も、トールキンが生まれ育った場所や出会った人から着想を得て書かれているのです。
『トールキン 旅のはじまり』は彼の生い立ちから物語が成り立っていると、十二分に分かる構成になっています。
トールキンが小説に委ねたものは母親への感謝の気持ち。そして長年の間、貴重な時間を共に過ごしてきた友達との友情が原作小説には多く込められいています。
人生のすべてを小説に反映させるほど豊かな想像力を持つ人物であり、その能力こそがトールキンの持つ唯一無二の才能と言っても間違いないと思います。
次の項目から、より詳しくトールキンが影響を受けた事柄について、考えていこうと思います。
芸術で大成したいと願うより、世界を変えたいという強い想い
本作『トールキン 旅のはじまり』は、作家トールキンの生きてきた経験が原作小説に大いに影響しているという点で観る価値があります。
名作が誕生するまでのバックグラウンドの多くが、本作『トールキン 旅のはじまり』には詰め込まれています。
1シーンずつを見逃さずに映画を観れば、トールキンの生い立ちと小説のストーリーがほとんど同じだと気づいてくるはず。
場面やセリフのひとつひとつが、トールキンの創作世界を作り上げたのです。
例えば、映画『ロード・オブ・ザ・リング』にて登場する“ホビット庄”は、トールキンが幼少期に移り住んだミッドランド西部の田園地帯にあるウースターシャー辺りが小説の舞台となっているようです。
実は、作品に挿入されている場所や出来事は、トールキン自身の人生そのものだったのです。
他にも、父親が亡くなり、困窮となった家庭で、トールキンの母親は希望を胸に子供らに毎晩語りかけるのです。
この場面で竜や小人と言った素晴らしいファンタジーの世界を話して聞かせます。
また、母親は子供に「人生で成功するには、男は宝物を探し出すこと。女は金持ちと結婚すること。」と言う持論も話しています。
トールキンは宝物なんてないと否定していますが、その後の人生を大きく変える宝に出会えるのです。それが母の死後、学校で仲良くなった唯一無二の親友でした。
校内で結成した秘密クラブのT.C.B.S(Tea Club and Barovian Society)の存在が、後のトールキンの人生を大きく変えたのではないでしょうか。
親友4人で始めた集まりで、作中で彼らは「芸術で世界を変える」と語り合っています。
この誓いが、トールキンの人生において後々に大きく影響していきます。
言葉の通り、文学という芸術の世界で、トールキンは世の中に何かを発信しようとしたのではないでしょうか。
また、学生時代の4人の親友の存在は、小説の中で4人のホビットとしてしっかりと描かれ、トールキンが体験した第一次世界大戦もまた作品の中での戦闘シーンとして挿入しています。
小説も映画もすべてファンタジー要素を踏まえて、トールキンの生涯が詰まった半自伝的な作品と位置づけてもいいのかもしれません。
『トールキン 旅のはじまり』に対するイメージ
本作『トールキン 旅のはじまり』ですが、世間的なイメージとしてはどうも暗い印象を持たれているようです。
やっぱり、伝記映画というジャンルが人から敬遠されがちなのかも。
とは言え、伝記映画でも音楽関係の偉人を映画化すれば『ボヘミアン・ラプソディー』のように華やかに感じることも多いのです。
暗い印象を受けるのは、小説家を題材にした作品に限るのかもしれません。
私自身は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』シリーズの原作者トールキンの伝記作品と聞いていただけに、前々からずっと気になっていました。
観終わった今だからこそ、改めて「劇場に足を運んで良かった」「素晴らしかった」と口にしたいです。
ネットでの評価も似たような言葉が多く見受けられます。一部、抜粋してみました。
- 伝記作品なのでちょっと構えてしまい。観るのを少し迷っていました
- 凄く魂に響く稀有な作品でした。「指輪物語のあの人でしょ?」なんて感じで遠ざけられるのがほんとに悲しいです
- トールキンのことは知らない。けど、最後に何かジワジワ涙腺
- 敷居が高そうに見えて、とても観やすい映画でした
※映画.comのレビューより引用
このように、本作は観る前と観た後で印象がガラッと大きく変わる作品です。
私自身も泣くまではいかなかったものの、鑑賞後は一種の深い感動を覚えました。
一冊の本が仕上がるまでの幾重にも重なる人生の苦楽を共に体験できます。少し地味ですが、本当に素晴らしい映画です。
ふと、久々に『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』シリーズをまた観たいと思わせてくれます。
伝記映画で重そうとは考えずに、まずは一度ご覧になってみてください。
『トールキン 旅のはじまり』まとめ
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….メンバーがお届けする
英国式アフタヌーンティー講座
番外編が到着!お互いの秘密や㊙️
撮影の舞台裏を赤裸々告白https://t.co/wgv6CNgkZ1#映画トールキン#ニコラス・ホルト#アンソニー・ボイル#パトリック・ギブソン#トム・グリン・カーニー pic.twitter.com/mX5z0zWnYq— FOXサーチライト・ピクチャーズ (@foxsearchlightj) September 6, 2019
以上、ここまで映画『トールキン 旅のはじまり』について紹介させていただきました。
- 雄大な冒険物語は、トールキンの生い立ちそのものだった
- 愛と友情、家族の話が、紡がれる人生の叙情詩
- 重たい作品と思いきや、心から深く感動できる伝記映画