『東京タワー』あらすじ・ネタバレ感想!岡田准一、黒木瞳主演!禁断の恋に溺れる2組の男女を対象的に描く

『東京タワー』あらすじ・ネタバレ感想!岡田准一、黒木瞳主演!禁断の恋に溺れる2組の男女を対象的に描く

出典:Amazon.co.jp

きっと恋はするものじゃなくて、落ちるものなんだ。

大学生の主人公が落ちたのは綺麗な人妻。

“純愛”とは呼べないかもしれないけれど、確かに“純粋な愛”を見ることができる2005年公開の映画。

ポイント
  • 江國香織の恋愛小説が原作、幻想的で生々しい大人の恋愛映画
  • “禁断の恋”の経験がある人も、ないけど憧れている人も楽しめる作品
  • 寒い夜に暖かい部屋で夜更かししながら見るのが一番おすすめです

それでは『東京タワー』をネタバレありでレビューします。

『東京タワー』作品情報

作品名 東京タワー
公開日 2005年1月15日
上映時間 126分
監督 源孝志
脚本 中園ミホ
源孝志
原作 江國香織
出演者 黒木瞳
岡田准一
松本潤
寺島しのぶ
宮迫博之
平山あや
加藤ローサ
半田健人
余貴美子
岸谷五朗
音楽 溝口肇

【ネタバレ】『東京タワー』あらすじ


東京、12月。透と詩史

雨が叩きつける窓の向こうに東京タワーを臨む高級マンションで甘やかな時間を過ごすのは、大学生の小島透(岡田准一)と、都内で品もセンスも良いセレクトショップを経営している浅野詩史(黒木瞳)。

2人が初めて出会ったのは透が18の頃。

透は母親の陽子(余貴美子)に連れられて行ったパーティーで陽子の友人として紹介された詩史を一目見ただけで恋に落ちました。

詩史は何不自由ない生活をしていたけれど、夫(岸谷五朗)との関係に虚しさを感じていたこともあってか透との恋愛に溺れて早3年。

恋人同士の時間を過ごしながらも、これから“あの人”と食事だと言う詩史。

透は優しくて気まぐれな詩史との関係にもどかしさを抱きながらも、別れるという選択肢を持ちえないほどのめり込んでいました。

詩史から連絡がくるのは平日の午後決まった時間、少しだけ寂しくなる時間にしか電話はかかってきません。

自分からはかけたくてもかけないというのが暗黙のルールとなっていました。

かかってくるかどうかもわからない電話を待つ時間は、詩史が好きな小説を読みながら詩史が好きな音楽を聴き、詩史に教えてもらった“好きなもの”に囲まれて過ごすのが日課になるほどでした。

耕二と喜美子

地下駐車場の片隅、とんでもなく下手な運転で駐車できずに右往左往する赤い車がありました。

バイト中の大原耕二(松本潤)が様子を眺めていると運転席に座る川野喜美子(寺島しのぶ)が「停めて欲しい」と頼み込んできました。

喜美子は飼っている猫を病院に連れてきたけれど、うまく駐車できずに困っていたのです。

耕二は「人妻は楽しみに餓えているから“可愛い”。」そんな感性を持った青年です。

スムーズに赤い車を駐車させ、喜美子に鍵を返すと「高いですよ。俺タダでは働かないんで」と言いました。

いつしか2人きりで会うようになり、人目につかないデートの帰り際に喜美子は耕二に現金を渡そうとします。

耕二からプレゼントされたブレスレットのお礼に何かあげたかったけれど若い子の好みがわからないからという理由だったのですが、唐突に現金を出された耕二は「会いたいから会ってくれるんだと思ってた」と不機嫌になりました。

彼女がいるにも関わらず喜美子とデートをする耕二は、遊びの延長線上として始まった関係に“遊び”以上の感情を抱き始めていたのかもしれません。

その頃の川野家では飼っている猫の命について、という話題が上がっていました。

喜美子にとっては、もともとは亡くなった義父が餌付けしていた野良猫。

vitovito

初めて耕二と会った日に病院へ連れて行った、あの猫です。

夫は安楽死でもさせろと言いました。

喜美子は結局、夫の言うことに従って猫を病院に連れて行って殺します。

その後に会った耕二に対して事の顛末を打ち明け、「ゴミ片付けるのは全部私の仕事」と猫をゴミ扱いして不機嫌全開で接しました。

耕二は苛立っている喜美子に向けて「自分はその捌け口でもいい」と言いました。

東京、4月。耕二の過去。

ある春の日、耕二は大学で講義を受けている透の隣に座ります。

相変わらず詩史に縛られているのかと聞く耕二に、透は「もう1か月以上会っていない」と返しました。

元気がない様子でこのまま電話がこないかもしれないと呟く透に、耕二は高校時代の仲間が集う同窓会のビラを渡しました。

高3の時、耕二はクラスメイトの母親に手を出した過去がありました。

目を付けていた“意外と綺麗”な吉田(平山あや)の母親と簡単にそういう関係になってしまったのです。

関係が表ざたになってからは散々なもので、父親に呼びつけられて殴られ、母親は自殺未遂。

耕二と母親の情事を目にしてしまった吉田は、同窓会にやってきました。

翌朝、喜美子からのメールの着信で目を覚ました耕二の隣には吉田がいました。

幸いにも“何もしていなかった”ようですが、吉田は「泊めてくれてありがとう。また仲良くしてよね」と意味深な事を言いました。

その日、耕二は喜美子に呼び出されて会いに行きますが、喜美子はとんでもなく不機嫌で荒い運転をしながら「もう会うのをやめないか」と提案してきました。

忙しいから午前中に会いたかったのに、会いたい時に会えない男なんて最低だと吐き捨て、車から降りろとまで言い喧嘩別れしてしまいます。

同じころ、透のもとには1か月以上ぶりに詩史から電話がかかってきていました。

呼び出されたバーの個室で久しぶりの会話を楽しむ2人。詩史は「そんなに幸せっていうわけではないけれど、自分の人生が好きだ」と言いました。

帰り際、どうしてもまだ一緒にいたい透は詩史を強引に引き留めて、父親の事務所で抱き合いました。

東京、7月。

透は夏休みなのにバイトもせずずっと家にいました。

家から出てしまえば詩史からの電話に出られなくなるというのが理由です。

そんな透のもとにかかってきた電話で詩史は「週末、別荘に行くのに一緒に行かない?」と誘います。

その頃、耕二は彼女から些細なことで「耕二くんってば最近怪しい」などと言われながらも喜美子との関係を続けていました。

喜美子はそれまでの習い事をすべてやめてフラメンコを習い始めたり、耕二のために買ったという下着で挑発したり、どんどんバージョンアップしていきます。

そんなある時耕二が家に帰ると吉田がいました。

同窓会の日に泊めた時スペアキーを拝借していた吉田が勝手に上り込んでいたのです。

願いを叶えてくれたらもう付きまとわないと言う吉田の“願い”とは、耕二に抱かれたいという自棄のようなものでした。

そして語気を荒げながら、ずっと抱えてきた親がクラスメイトと不倫したという苦しい気持ちを吐露します。

母親は今でも耕二のことが好きだというのが、吉田にとっては一番苦しいことでした。

彼女からは怪しまれ喜美子は激しくなっていき、さらに吉田の件も重なり四面楚歌の耕二は透に電話をかけて「一緒にどこかに逃げて欲しい」と言うが、透は別荘に行く約束のために早々に会話を切り上げてしまいました。

表ざたになる“秘密の関係”

透の母・陽子は、透と自分の友人である詩史との関係に疑念を抱いていました。

いつしかそれは確信に変わり、とうとう詩史の経営するセレクトショップに乗り込んで、2人の関係がいつからなのか問い質します。

正直に打ち明けた詩史に、陽子はシャンパンをぶっかけて帰りました。

時を同じくして、そんな事があったとは知らない透は詩史に電話をかけました。

しかし出たのは夫・浅野でした。

浅野に呼び出されて向かった先は飛び込み台のあるプールでした。

浅野は2人のことを随分前から知っていたと言います。

そして自分との生活を詩史が捨てるはずがないという余裕を振りかざして20も年上の女をいつまで抱けるのか」と問い、詩史にとって透は“ちょっと高級なオモチャ”だとまで言って飛び込み台からプールへと透を突き落としました。

ずぶ濡れで詩史主催のパーティー会場に現れた透は、詩史に「僕はオモチャじゃないから、スペアじゃないから。これだけは忘れないで」と縋るように言いましたが、詩史は声を震わせながら、あなたの来る場所じゃないから帰りなさいと言いました。

vitovito

壊れたオモチャはいらないの、と。

東京、4月。ふたつの恋の行方。

新橋の立ち飲み屋でビールを片手に陽子と浅野が語り合うのは、透と詩史のこと。

透は今、パリで留学生活をおくっています。

詩史はセレクトショップの権利も手放して離婚届だけを欲しがっていました。

浅野は離婚届と一緒に透の居場所を書いたメモを詩史に渡しました。

その頃、耕二はたまたまフラメンコの発表会のポスターを目にして花束を買い会場に入ります。

vitovito

しばらく会っていなかった喜美子が出る発表会だったのです。

しかし直接花束を渡すことはせずに車で会場を後にすると、しつこく何度も後ろから車に追突されます。

ガードレールに衝突して車が破損したことに怒りながら下りれば、追突してきた赤い車の運転席から出てきたのは喜美子でした。

いつも会う時は自分が怒ってばかりだったから最後に耕二の怒る顔を見たかったなんて言って思いをぶちまけ、すっきりした表情で去っていく喜美子を、耕二はどこか寂しげな表情で見ていることしかできませんでした。

一方、透の居場所を知った詩史はパリへと発ちます。

ホームステイ先へ行っても会うことはできず、一駅先にある学校にいると教えられて向かうも声をかけた女生徒から「今日は見ていない」と言われて会えず。

しかしその女生徒は偶然にも透のクラスメイトでした。

いつも透が描いている絵と同じ顔をした詩史に“本物に会えた”と言い、その後学校内で見付けた透に詩史のことを話します。

詩史がパリに来ている、近くにいると知った透はあちこち走り回って詩史を見つけ、離れていた2人はやっと再会して結ばれるのでした。

【ネタバレ】『東京タワー』感想

私が『東京タワー』を見たくなる時。そしておすすめしたい人。

物語の始まる季節が冬だから、見たくなる時期は断然冬です。

vitovito

初めて見た時は透とか耕二と近い年齢だったのに気が付けば詩史とか喜美子と近い年齢になっているっていうね…。なので当然というか初見の頃は男子ズに感情移入して見ていた部分が大きかったりして。女性ズの心理というか、心がそこまで大人じゃなかったから感情がよくわかんない部分もあったりして。

今となってはどちらの気持ちもわかるだけに切なさ倍増映画なわけです。

キャスト陣が揃いも揃って襟足だけひょろっと長い髪形なところに時代を感じたりもするわけです。

それはそれとして。

もし今この記事を読んでいる人でこれから『東京タワー』を見ようとしている人がいたら、一度見て10年後くらいにまた見てみるのも面白いと思います。

vitovito

世代問わず女性はもちろん、男性にも見て欲しい。

できればリアルタイムで年上女性に恋をしている人もだけど、昔、年上女性と恋愛関係にあった男性に見て欲しい。

こんな頃もあったなぁって単純に懐かしくなるのか、今でも心のどこかで相手のことを忘れられない自分に気付いちゃったりするのか。

よく「女は男を上書き保存、男は女をフォルダ分けして保存」みたいな事を言うわけで。

実際どうかはわからないし人によるものだとも思うけど、少なくとも私の周りは割と当てはまっているわけで。

vitovito

何が言いたいかっていうと、もしこのあるあるワードが多くの男性に当てはまるものであるならば、過去に年上女性と恋愛していた人にとって『東京タワー』は特別グッとくる作品なんじゃないかなと、私は思うんです。

そういう人って少ないのかな。

でも一定数はいるんだろうなぁ…今こうしている間にも、きっとどこかで年の離れた男女が恋におちているんだろうなとか考えちゃうのはちょっと頭がロマンチック過ぎますかね。

好きな場面、セリフ

まずは久し振りに透と詩史が会った夜、雨の夜の場面。

帰らなきゃいけないって言う詩史を強引に引き留めて、透が父親の事務所を借りて2人の時間を過ごすところが好きです。

vitovito

シチュエーション的にも、この場面での会話も、表情や仕草も凄く印象的なんですよね。2人で現実から逃げて隠れているように感じて、もともと秘密の関係である仲なのがより一層引き立つ場面というか。

透がどうしても詩史と一緒にいたくて「一緒に暮らそう」みたいな事を言い出すんですけど。

それに対して詩史は、子どもの頃に読んでいた本に没頭して電車を一駅乗り過ごした時の話をするんです。

見たことのない景色が怖かった、もう乗り過ごしたくない、って自分の人生に重ねてそう言うんです。

vitovito

多分この時の会話がひとつの分岐点になったんだろうなぁ…。その証拠に、物語のラストで詩史は透に会いに行って“駅”とか“乗り過ごす”っていう会話をなぞって想いを伝えます。ここは文章じゃなくて映像で見て欲しいところです。

何より黒木瞳が全編通して可愛い。

透と一緒にいる時に少女みたいな顔をして笑うのが本当に可愛い。

透と過ごしていくにつれて変わっていく妻を側で見ていた浅野の立場で考えたら正気じゃいられないですけどね。

vitovito

浅野といえばプールでの透と浅野の場面も割と好きだったりします。

浅野が大人の余裕を振りかざしつつも「ぶっ殺してやりたい」とまで言うストレートさだったり、妻が自分との生活を捨てるはずがないと思う一方で“もしかしたら奪われてしまうかもしれない”みたいな事を心のどこかで感じているのが窺い知れて良いです。

詩史にとって自分は一緒に暮らし生活をして添い遂げる相手であって、それは揺るがないものだけど、愛しているのは透なのではないかって思いがすでにあったんじゃないかなぁ。

耕二と喜美子に関する好きな場面やセリフも結構あったりします。

vitovito

ダントツで好きなのは、割と出会ったばかりの頃に喜美子がやたらイライラしていて日常に対しての不満みたいなものを吐き出した時の耕二のセリフ。

「俺が捌け口になってもいいよ」この時はまだ単純にそう思って言っただけかもしれないけど、すでに結構マジになってしまっていての言葉だったとしたら抉られるほどグッときます。

vitovito

ストレスの捌け口とかそういう都合のいい存在で良いから側にいたいって言ってるわけじゃないですか?何それたまんないじゃん。

あとは関係が進むなかで耕二の心理描写として「いつかは別れると決めている。決めてるけど、それは今の事じゃない。」というセリフも好きです。

vitovito

引き際のない関係だけど常に崖の淵にいて、安全でも健全でもない関係に対して可能な限り“別れたくない”っていう気持ちだと…思うのは…考えすぎでしょうか。あとは2人の別れの場面、喜美子が去った後の捨てられた子犬みたいな顔をする耕二がとんでもなく好きです。

『東京タワー』まとめ

以上、ここまで『東京タワー』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • 禁断の恋を描いた大人の映画。だけど、どの年代の人が見ても思うところはある作品です
  • 対照的な二つの恋、どちらかの共感する場面やセリフがある…はず
  • 忘れていた、忘れようとしていた恋を思い出すような作品かもしれませんよ