東京湾に浮かぶ人工島「極東法令外特別地区」――通称・“24区”を舞台に、三人の幼馴染が未来へ挑むアニメ『東京24区』。
“グラフィティ戦争”を仕掛けていたのはカルネアデスではなく、ランの師匠であるゼロスだったことが判明。
彼からカルネアデスの居場所を聞いたシュウタは、急いでコルヌコピアの最上部へと向かおうとしますが、そこにアスミからの着信が。
届いたヴィジョンは、二つの未来。
・落雷により制御不能となったコルヌコピアのクレーンが落下し、多くの人が犠牲になるか。
・クレーンのシステムを直す代わりにその修理者が犠牲になるか。
さらに、システムを修理しているのはトロッコ問題を出しているはずのカルネアデスで……。
物語も終盤に差し掛かり、どんな展開が待ち受けているのか気になるところです。
早速、アニメ『東京24区』第8話をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『東京24区』前回第7話あらすじと振り返り
KANAEシステムが稼働して2ヶ月が経ち、24区では犯罪検挙率が上がって、ガイケイも高く評価されるようになっていました。
そんな中、ガイケイのインターンに励むコウキは大学を休学し、新たにKANAEシステムを運用する部署へ転属することに。
異動先の主任である黒葛川によると、KANAEシステムによる犯罪検挙では10%以上の冤罪が発生しており、このままでは実用できません。
そのため、コウキは24区の東京参入までに時間が足りないと頭を悩ませていました。
一方、ランはクナイが起こしたテロ事件の重要参考人として指名手配され姿を消していましたが、DoRedとしての活動は続けていました。
彼らの反KANAEシステムを訴えるグラフィティアートや動画投稿には、多くの支持者が存在しています。
その頃、シュウタはパリへ留学に行ってしまった父に代わり、実家のベーカリーを切り盛りしていました。
シュウタたちが小学生だった頃に香苗が立ち上げた“タカラバンク”という企画は今も続いており、シュウタとまりはシャンティタウンを訪れます。
商店街で出た廃棄食料を買い取り、シャンティタウンでひもじい思いをしている子供たちに配布するというその活動は、かつてヒーローショーとともに行われていました。
現在では食料の配布だけになっていますが、シュウタがヒーローを意識するきっかけとなったイベントでした。
今日もシュウタを「バイト」と呼ぶ少年がパンを求めて近寄ってきましたが、いつもと味が違うと言われてしまい、父の作る味と違うことを気にしたシュウタは試行錯誤し始めます。
その矢先、梢からランが描いたカバのグラフィティアートが塗り潰され、カルネアデスのロゴマークが上書きされていると連絡を受けたシュウタは、犯人を捕まえると宣言するのでした。
ガイケイに顔が割れていないという理由でDoRedの活動から外されているきなこからは、カルネアデスによるアートへの上書きが“グラフィティ戦争”と呼ばれ、騒動になっていることを聞かされます。
時を同じくして、この騒動に注目していたコウキは黒葛川が何か隠しているように思えてならず、その抱えている何かをともにする覚悟はあるのだと彼女に告げるのでした。
シュウタが日中のパン作りと夜中のカルネアデス探しに疲弊し始めた頃、筑紫に遭遇します。
筑紫は「このままじゃ変わっていく街に置いて行かれる」「そんなのアスミも望んでいない」と告げました。
あくる日、幼いアスミが言った励ましの言葉を思い出したシュウタは、どこか吹っ切れた様子でパン作りに集中し、シャンティタウンの少年に褒められるほどになっていました。
少年はカルネアデスの居場所を知っており、パンがお眼鏡に適ったシュウタはその居場所を教えてもらいます。
そこは以前、黒葛川と遭遇した場所であり、建物の中にはランの師匠であるゼロスが待ち受けていました。
【ネタバレあり】アニメ『東京24区』第8話あらすじ・感想
師弟の会話
――2021年10月19日。
カルネアデスを追っていたシュウタは、ランの師匠であるゼロスに出会います。
ゼロスはカルネアデスの知り合いだと言い、今はコルヌコピアの最上部にいるだろうと告げました。
シュウタがコルヌコピアへ向かおうとしたその時、アスミからの着信が入ります。
今回届いたヴィジョンは、コルヌコピアの最上部への落雷によって起こる事故でした。
落雷により制御不能となったコルヌコピアのクレーンが落下し、多くの人が犠牲になるか……。
クレーンのシステムを直す代わりに、その修理者が犠牲になるか……。
今回のトロッコ問題の選択肢には、不思議な点がありました。
システムを修理しているのが、トロッコ問題を出しているはずのカルネアデスだったのです。
シュウタは混乱しますが、カルネアデス本人に聞けばいいと割り切って、いよいよコルヌコピアへ向かいます。
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――2021年10月17日、アスミからの着信が入る二日前。
ランはゼロスと再会していました。
グラフィティ戦争を仕掛けているのがゼロスだと気付いていたランは師である彼を責めますが、ランにその資格があるのかと問い返されてしまいます。
ゼロスはランのアートを上書きし、世間を騒がせているカルネアデスのロゴマークを描くことで人々の注目を集めました。
マスコミをも利用して大衆を扇動し、わざと対立させることで区民投票への意識を変えていったのです。
結果としてDoRedにはフォロワーや寄付金が増えていたため、ラン自身もカルネアデスの存在を利用していたと言われても過言ではありません。
さらに、ゼロスはKANAEシステムについても何か知っているようで、それは「人道的に犯すべきでない領域にまで踏み込む技術」だと語ります。
そして、ランたちがこれまで得てきたアスミからの電話によって拡張される力も、KANAEシステムの根幹にある軍事システムが関係していると言いました。
それは“サイファー”と呼ばれており、クナイの作ったDiVAの裏モードである電子ドラッグ・Dの仕組みも同じようなものだそうです。
そこまで話し切ったゼロスは、KANAEシステムのデータベースにハッキングするよう、ランに頼みました。
最上部を目指せ
――2021年10月19日。
自分はあくまでも弱い者の味方……ランはそう自分に言い聞かせて、ゼロスからの頼みを遂行するためにコルヌコピアへ向かいます。
一方、コウキはヴィジョンを見てコルヌコピアへ向かう道中、現場にいる黒葛川に連絡して注意を促しました。
しかし、事故が起きることを知った黒葛川は「なるほど」と相槌だけ打つと、電話を切ってしまいます。
その頃、コルヌコピアではシュウタとランが合流。
シュウタはヴィジョンに与えられた二択から選択するよう、ランに告げられます。
その後、同じく現場に到着していたコウキにも遭遇しますが、シュウタは選択肢にはない、犠牲を出さない未来を追い求めることを宣言しました。
「何一つ諦めないヒーローになるって、アスミと約束したんだ!」
そう叫ぶと、コウキの前から立ち去ります。
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シュウタがコルヌコピアの最上部を目指している頃、ランはKANAEシステムのデータベースに侵入するべく、火災を起こしての陽動作戦に出ていました。
ゼロスからの頼みは完全に犯罪であり、今までDoRedが通ってきたグレーゾーンな活動とは一線を画しています。
それがアスミの望むことなのかと悩むランに、ゼロスは言いました。
「その優しさがクナイを殺した」
カルネアデスの正体
ついに最上部のクレーンに雷が落ちた頃、カルネアデスが現場へ辿り着きます。
コウキはその最上部を見上げ、このままヴィジョン通りになるのか考えていました。
その頃、ランはモニタールームに到着し、KANAEシステムの中にある集積データを解析し始めていました。
黒葛川によって上手く中身が隠されているそのデータベースは、ゼロスの言うように盗む必要があるのかイマイチ掴めない情報ばかりです。
しかし、ランはとあるデータを見つけて納得し、一人呟きました。
「確かに、投票で勝つってんならこれは……」
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一方、シュウタは最上部へ到達。
ヴィジョン通り、カルネアデスがクレーンの修理を行っている光景が飛び込んできます。
再び雷が落ちる前に助けようと、シュウタはカルネアデスのもとへ駆け出しました。
しかし、一歩間に合わず、カルネアデスは雷を一身に受けて倒れ込んでしまいます。
カルネアデスの身体を抱き起こそうとしたシュウタは、仮面が取れたその素顔を見て驚愕しました。
カルネアデスの正体は、黒葛川だったのです。
――少し前。
コウキは黒葛川からカルネアデスの正体は自分だと明かされていました。
その目的は、KANAEシステムの重大なバグを隠すため。
カルネアデスという存在を作り出し自ら演じることで、バグを何者かのせいにし、豪理にもバレないよう努めていました。
さらに黒葛川は、コウキたちが見せられているヴィジョンこそ、そのバグの一つであると言います。
KANAEシステムが魘された結果の悪夢……黒葛川はそう表現しましたが、アスミの意識がKANAEシステムに残留しているということでした。
アスミが死んでいるからこそシステムの一部に捧げたのにもかかわらず、意識がある=生きているかもしれないと判明すれば、豪理が発狂しかねないと黒葛川は考えたのです。
そうして黒葛川は何かあった時のために、コウキにとあるプログラムを託していました。
コウキは自分が注意喚起のつもりで掛けた電話によって黒葛川が犠牲になったと思い、彼女の想いを継続するためにプログラムのスタートボタンを押すのでした。
黒い霧
コウキがプログラムをスタートさせた影響で、データベースに侵入中のランは危険な状態に陥っていました。
一方、最上部では黒葛川が犠牲になったのにもかかわらず、クレーンの暴走が止まらないまま。
ヴィジョン通りになっていない状況を見たコウキは、シュウタが余計なことをしているのではないかと焦ります。
そのシュウタはというと、黒葛川の心肺蘇生を行っていました。
アスミとの約束を果たすため、黒葛川の命を救おうと一生懸命に心臓マッサージを続けます。
その頃、KANAEシステムの中ではアスミの意識が揺蕩っていました。
コウキやラン、シュウタの姿を目にしていたアスミは、突如激しい混乱に苛まれます。
その時、侵入していたデータベースから抜け出そうとしていたランは、アスミの「助けて」という声を耳にするのでした。
そして、KANAEシステムが暴走を続ける中、息を吹き返した黒葛川を抱えたシュウタは、必死に現場から脱出します。
――2021年10月20日。
全身に怪我を負ったシュウタは、意識の戻らない黒葛川の見舞いにやって来ました。
同じく病室に来ていた筑紫は、黒葛川を助けたシュウタに礼を言うと、ヒーロー活動を茶化したことを詫びます。
シュウタは、黒葛川の意識が戻って初めてヒーローだと言いました。
時を同じくして、コウキは豪理のもとを訪れていました。
豪理はKANAEシステムの調整とカルネアデスの逮捕を急ぐよう告げます。
コウキは香苗がコルヌコピア計画を中止して教育者の道を選んだことを引き合いに出し、今の24区は香苗が喜ぶようなものなのかと問いました。
すると、豪理は「愚問だな」と一蹴するのでした。
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ランはというと、ハッキングして盗んだデータをゼロスに渡していました。
そして、香苗と同じ研究室にいた過去を持つゼロスに、KANAEシステムの中に何があるのか尋ねます。
ゼロスはKANAEシステムを破壊すると述べた後、こう呟きました。
「私の世界を破壊した、悪魔さ」
アニメ『東京24区』第8話まとめ
いかがだったでしょうか。
カルネアデスの正体が黒葛川だとわかり、コウキがその役割を継ぐ形に。
さらに、アスミの意識がKANAEシステムの中に残留している=生きているかもしれない、という事実が判明し、衝撃的な第8話となりました。
コウキは黒葛川から、ランはゼロスから何らかの情報を得ている中、何も知らずアスミとの約束だけを指針に突き進むシュウタは、どのように道を拓いていくのでしょうか。
また、筑紫が黒葛川のことを「さっちゃん」と呼んでいた辺り、親しい関係性に思えます。
まりの台詞にあったように24区自体がスモールコミュニティなのかもしれませんが、黒葛川やゼロス、香苗、筑紫など大人たちの関係性も気になるところですね。
次回第9話も楽しみです。