東京湾に浮かぶ人工島「極東法令外特別地区」――通称・“24区”を舞台に、三人の幼馴染が未来へ挑むアニメ『東京24区』。
クナイを射殺させることでコウキがテロを防いだ一方、クナイが所属していたDoRedに疑惑が向き、リーダーのランはガイケイから追われる立場となってしまいます。
コウキは父である豪理にヴィジョンの体験を語りますが、未だ信頼を得ることはできず、信じてもらえません。
そんな中、クナイが事前投稿したドラッグDやシャンティタウンの再開発に関する真実がテレビで流され、それを見た豪理はコウキをある場所へ案内するのでした。
窮地に追い込まれるランと、真実に近付いていくコウキ……その時シュウタの行動―は?
早速、アニメ『東京24区』第6話をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『東京24区』前回第5話あらすじと振り返り
――2021年8月5日。
ヴィジョンに映し出された新たなトロッコ問題に対し、コウキはテロリストに情けをかける余地はなく、射殺すべきだと主張します。
一方、ランは自身の仲間であるクナイがテロリストだという事実を伏せたまま、ヴィジョンに映っていたタイムリミットを明かし、それぞれ行動を起こすよう促しました。
一人でクナイの自宅を訪れたランは、認知症を患っているクナイの祖母が持っていたプレーヤーから流れる音楽と、クナイの開発したアプリが関係していると推測。
生体センサーを使用しているそのアプリ――“Diva”からドラッグ・“D”を連想したランは、クナイがDを製作したことに気付き、困惑します。
そして、このアプリの配信元がターキーの会社だと知ると、一つ一つの要素が繋がっていく感覚をおぼえるのでした。
クナイの自宅を後にしたランは、近頃のシャンティタウンの異変やクナイの様子を総合し、クナイはターキーたちに利用されたのではないかと考えます。
かつてDivaを開発した頃のクナイは、ヒーリングを目的としたアプリながら一歩使い方を間違えれば危険物になりかねないとランに忠告され、アプリの公開を中止しようとしていました。
しかし、ターキーにDivaを買い取りたいと言われ、認知症が進んだ足の悪い祖母を盾に取られてしまい、その提案に乗ることにします。
やがてシャンティタウンでDが流行り出し、それに伴って街の犯罪率も上昇……クナイはターキーに嵌められ、Divaが何者かによって改変、悪用されていることに気が付きました。
その矢先、DoRedのメンバーであるヤマモリの親戚がDによって亡くなり、ランたちに頼れなくなったクナイは自身もDに染められていくのでした。
そして、自分は犯罪者になってもシャンティタウンと仲間たちを救うのだと覚悟を決めます。
ランはついにクナイの居場所を特定し、彼の暴走を必死に止めようと説得していましたが、先回りしていたコウキ率いるガイケイによって、射殺に追い込まれてしまいます。
撃たれたクナイを抱えて彼を庇うランに対し、コウキは議論の余地はないので抵抗をするなと厳しく言います。
そして、クナイの代わりに爆破ボタンを押そうとしたランの手を止めたのは、他の誰でもなく、死の間際に瀕したクナイでした。
後日、筑紫はコウキがテロ事件の解決に貢献したことを報告するため、豪理のもとを訪れます。
すると、豪理は黒葛川に連絡し、「香苗システム」を発動する合図を送るのでした。
【ネタバレあり】アニメ『東京24区』第6話あらすじ・感想
クナイの独白
――2021年8月5日21時27分。
クナイの射殺後、コウキ率いるガイケイはランを連行しようとします。
しかし、そこへDoRedのメンバーが襲来。
彼らは宍戸によって気絶させられたランを奪還し、立ち去って行きました。
――2021年8月6日。
コウキはクナイの資料を見ながらランの親友だったことを確認すると、その動機を探っていました。
そこへやって来た筑紫は参考人であるランが逃亡したことを提起しながら、DoRedとランとの関係性やテロへの関連を疑う様子を隠さず、コウキに話し掛けてきます。
コウキはガイケイがDoRedを潰そうとするだろうと確信し、ランについての情報を明かさずにその場を後にしました。
ランたちが出方を探る中、シャンティタウンではガイケイの取り締まりが強化され、Dの使用者らを確保しながら、DoRedの捜査が行われていました。
その頃、コウキは豪理のもとを訪れ、アスミからの電話について明かすことで何か知っている情報がないか聞き出そうとしますが、まともに取り合ってもらえません。
そんな矢先、テレビで衝撃のニュースが。
クナイが事前投稿したドラッグDやシャンティタウンの再開発に関する真実を語る映像が流されたのです。
映像の最後にクナイは自身がDoRedに所属していたこと、しかし、DoRedは今回の件に関わっていないこと、DoRedを応援してほしいということを伝えました。
ランたちはその言葉を受け取り、ガイケイと戦うことを決めます。
シュウタもクナイの言葉からランとコウキが立たされている状況を感じ取り、行動を始めました。
一方、コウキは豪理にとある場所へと案内されるのでした。
urara
隠された24区の中枢
情報集積電波塔、“コルヌコピア”。
ハザードキャストの中枢であるその場所は、所在地を知る者が極わずかしかいないトップシークレットでした。
そこへ連れて来られたコウキは、待ち受けていた黒葛川から驚くべき事実を告げられることに。
街中の監視カメラなどから得た膨大な情報を分析し、ハザードキャストとして安全情報を送信するこのシステムの名は、“カナエシステム”。
コウキとアスミの亡き母の名が付けられてしました。
小学校教諭として宝小学校に赴任される以前、研究者としての香苗が築いていたシステムを基盤としており、豪理はその根幹たる「特殊なブレイン」をコウキに明かすと言います。
そこで見た光景にコウキは目を見開きました。
一方その頃、DoRedのアジトに滞在中のランは、ガイケイが開発し区民のほとんどが使用している携帯電話・“cPhone(シーフォン)”を分解していました。
軍用の高性能センサーや強力なセキュリティチップが使われた原価割れどころじゃない作りに、豪理が何かを隠していると確信します。
そこへやって来たシュウタは、分解されたシーフォンを見て連絡がつかなかった理由を理解しました。
そして、ガイケイにマークされているランから、もうアジトには来ないほうがいいと言われると、コウキがランを売るはずがないと憤りを露わにします。
シーフォンを直しておくよう言いながら帰って行くシュウタを見送ると、ランは一人呟きました。
「コウちゃんは、売るよ」
urara
当たり前の変化
シュウタは宝小学校のグラウンドでコウキの姿を見つけます。
取り壊しが明日に迫ったその場所で、立場は違くても友達だろうとシュウタに説得されたコウキは言いました。
「俺たちはもう変わってしまっている……子供の頃とは違うんだ」
――小学生の頃。
ランは果物屋からリンゴを大量に盗もうとしていました。
ランドセルに詰めて逃げ出そうとした時、それを見つけたコウキが「泥棒!」と叫んで捕まえます。
コウキは自身の行動を誇らしく思い、まるで反省しない様子のランに対して嫌悪すら抱いていました。
しかし、シュウタに言われて、ランの真意に気が付きます。
ランはシャンティタウンに住むひもじい思いをしている子供たちに分け与えるため、たくさんのリンゴを用意したかったのです。
コウキは母であり教諭である香苗に、自分は間違ったことをしたのかと問います。
ランは万引きをしましたが、それはお腹をすかせた仲間を想ってのことだったから……。
すると香苗は、誰かのために何かをしようとすると、今のルールとぶつかってしまうことがあるのだと話しました。
そして、あえてルールから外れて踏み出そうとするのは、とても勇気がいることなのだと。
「大切なのは、何が正しいのかをみんなで考え続けることなのよ」
urara
安全の根幹にあるもの
――2021年8月8日。
ランの正義にも一部の利はある、ずっとそう思ってきたコウキは、宝小の取り壊しとともに考えを改め、それももう過去のことだと割り切ります。
一方、豪理はハザードキャストのアップデートについて記者会見を開いていました。
カナエシステムを搭載・運用し、実際に区民に使用してもらってから投票を行って、その正否を決めると告げます。
シュウタがニュースでその話題を知る頃、クナイの出棺を終えたラン率いるDoRedのメンバーたちもこのニュースに注目していました。
すると、早速シーフォンにアップデートのお知らせが届きます。
安全のために個人情報の多くを提供するというシステムに疑念を抱く者たちもいますが、ほとんどの区民がその「安全」を優先し、アップデートに同意し始めました。
その矢先、DoRedのアジトにガイケイが突入。
ランたちは煙幕を使ってどうにか逃げ出そうと試みます。
その様子を遠くから眺めていた筑紫は、「友情は儚いねぇ……」と独りごちるのでした。
ランの情報を売ったのであろうコウキが豪理に見せられた24区の未来とは、カナエシステムの特殊なブレインの正体……。
その根幹に機械で繋がれていたのは、死んだアスミでした。
香苗の研究とアスミの犠牲を持って未来の安全が保障されると告げられたコウキは、最初こそアスミをこんな姿にした豪理を非難しますが、覚悟を決めたのです。
その後、黒葛川はアップデートによって新たに集積されていくデータを見ながら呟きます。
「香苗様、罪深き私をお許しください」
urara
時を同じくして、ランが描いたグラフィティアートにカルネアデスのロゴマークを上書きする男の姿が。
「如何なる創造活動も、初めは破壊活動だ」
その声の主は……。
アニメ『東京24区』第6話まとめ
いかがだったでしょうか。
衝撃の事実が判明した第6話。
ハザードキャストを安全装置たらしめる情報集積の根幹にあるものが、亡き母と亡き妹だと実の父に明かされたコウキの心の行方は……。
ランやシュウタとの友情も軽いものではなかったはずなのに、筑紫の「儚い」という言葉にも含みがありました。
黒葛川の真の目的は豪理の思う未来とは別のところにありそうですし、終盤に現れた男は第5話に登場したゼロスに似ていたような気がしますよね。
今後、さらに登場人物たちの思惑や行動が交錯していきそうです。
追う側に立つコウキと、追われる側に立つラン。
シュウタは二人を繋ぐことができるのでしょうか。
次回第7話も楽しみです。