東京湾に浮かぶ人工島「極東法令外特別地区」――通称・“24区”を舞台に、三人の幼馴染が未来へ挑むアニメ『東京24区』。
豪華クルーズ船に爆弾が仕掛けられ、新たなトロッコ問題で天秤にかけられたのは、船に乗っている要人たちとテロリストの命でした。
コウキはテロ行為の被害者を守るために犯人を射殺すべきと主張しますが、ランはヴィジョンで見た犯人がDoRedのメンバー・クナイであることに気付きます。
シュウタとコウキに真実を隠したまま、ランはクナイがテロを起こそうとしている動機を探ることに。
果たして今回のトロッコ問題はどんな結末を迎えるのでしょうか。
早速、アニメ『東京24区』第5話をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『東京24区』前回第4話あらすじと振り返り
――2021年8月5日。
グルフェスでの竜巻事故から3ヶ月が経っても尚、カルネアデスの正体はわからぬまま。
コウキはガイケイでのインターンをこなしながら調査を進める中で、筑紫からアドバイスを受け、旧市街・シャンティタウンで流行しているという謎の危険ドラッグ・“D”の捜査にあたることに。
その頃、ラン率いるDoRedのメンバーたちも独自にシャンティタウンでDを調査中。
Dが引き出す凶暴性と強烈な依存性は確認できたものの、実物を発見することはできず、どんな形状をしているのかも掴めずにいました。
一方、シュウタはまりから梢が夜に出歩いていることを聞かされます。
まりに代わって梢に付き添おうとしたシュウタは、冷たい態度で拒絶されながらも彼女の後を追ってシャンティタウンまでやって来ました。
「私が(亡き父・カバの)代わりに死ねばよかった」と呟いて走り去った梢を追いかけようとした矢先、ひょんなことからDの捜査中だったコウキと鉢合わせ、ともに梢を探すことになります。
一人になった梢は、シャンティタウンの片隅でストリートアートを見つけます。
梢はカバが描かれたこのシリーズを探すために夜な夜な歩き回り、見つけては写真を撮っていたのです。
そんな梢が遭遇したのは、ランの右腕であるクナイでした。
梢はグラフィティを描いた人物=DoRedのリーダーがランだとは知らず、クナイに彼がどんな人か問います。
シャンティタウンに生まれた子供の夢は二つ――「犯罪者になって金を支配するか」「アーティストになって街を抜け出すか」。
DoRedのリーダーは後者で、天才アーティストである彼は「アートで世界を変える」のだと、クナイは言いました。
時を同じくしてカバシリーズの最終作を描き終えたランは、生まれ育ったシャンティタウンの行く末を想い、世界を変えるなら人の心を変えるところからだとシュウタに語るのでした。
やがて合流したシュウタと梢が前と変わらない穏やかな会話を取り戻した頃、再び街がカルネアデスにジャックされます。
集結したRGBのもとにはアスミからの着信が。
頭に流れ込んできたヴィジョンには、東京湾を航行する要人たちを乗せた豪華クルーズ船に遠隔爆弾が仕掛けられている様子が映し出されます。
爆破を止めるために犯人を射殺するか、犯人を見逃して多数の人間が死ぬか。
一見とても簡単な二択ですが、ランだけが戸惑っていました。
何故なら、ヴィジョンに映されたテロリストはクナイだったからです。
【ネタバレあり】アニメ『東京24区』第5話あらすじ・感想
天才アーティストと天才ハッカー
――2010年4月4日。
幼い頃からアートの才能を持っていたランは施設にいれられていましたが、暴力を振るう父親が捕まったのだから元の住まいに戻ってくればいいとクナイに提案されます。
それもいいなあ、と空を見上げれば、そこには24区出身のアーティスト・ゼロス(諏訪部順一)によるグラフィティの描かれた飛行船が浮かんでいました。
ゼロスは今まさに里帰り中らしいと話していた彼らに話し掛けてきたのは、そのゼロス本人でした。
――2021年8月5日。
ヴィジョンに映し出された新たなトロッコ問題に対し、コウキはテロリストに情けをかける余地はなく、射殺すべきだと主張します。
一方、ランは自身の仲間であるクナイがテロリストだという事実を伏せたまま、ヴィジョンに映っていたタイムリミット=21時24分を明かし、それぞれ行動を起こすよう促しました。
――20時15分。
ガイケイの名前を使って船内に直接連絡を取ったコウキは、爆弾が仕掛けられているかもしれないと告げるものの、聞き入れてもらえないまま電話を切られてしまいます。
――20時16分。
カルネアデスの二択から未来を選択しなければならないことに違和感を覚えたシュウタは、単独で船に乗り込むことを決意し、船のそばでターキーの姿を目撃します。
――20時38分。
ランはシャンティタウンにて、クナイがテロを起こそうとしている動機を探り始めます。
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――2010年5月14日。
ゼロスを師と仰ぎ親しくなったランは、“DoRed”は自分とクナイの名前から取ったタグネームだと明かします。
それを聞いて誇らしい気持ちになったクナイでしたが、自身にはアートの才能がないと後ろめたく思ってもいました。
そんなクナイにゼロスは言います……皆を笑顔にする手段は何だっていいのだと。
クナイはその言葉に感化され、ハッキングの才能を開花させたのでした。
――そして、現在。
クナイは自分にできることでケジメをつけるのだと、一人歩き出しました。
犯罪者か被害者か
――20時42分。
ランはダメ元でクナイの自宅を訪れます。
クナイの祖母は認知症が進行しているようで、ランをクナイだと勘違いしたまま、家の中へ招き入れました。
ランはクナイの部屋で、一部が分解されたハードディスクと「俺は罪深い犯罪者だ」と書かれたメモを見つけます。
さらに、クナイの祖母が首からさげていた小さな機械を見て、そこから流れる音楽がクナイの開発した音楽アプリと関係していることに気が付きました。
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生体センサーを使用しているそのアプリの名前――“Diva”からドラッグ・“D”を連想したランは、何故クナイがDを製作したのかと困惑します。
しかし、このアプリの配信元がターキーの会社だと知ると、一つ一つの要素が繋がっていく感覚をおぼえるのでした。
その頃、船内に潜伏しているシュウタはコウキから連絡を受け、送られてきた画像と同じ爆発物を探して移動を始めました。
ランからは船で見かけたターキーがハードディスクを持っていなかったか尋ねられ、それっぽい箱を持っていたと答えれば、その箱こそが爆弾だと言われます。
一方、犯人が電車に乗るであろう場所が新浜駅だとランから聞かされたコウキは、先輩の宍戸に協力を仰ぎます。
例の犯行予告されたテロを阻止できるかもしれないと正直に話すと、宍戸は協力する姿勢を見せるのでした。
クナイの自宅を後にしたランは、近頃のシャンティタウンの異変やクナイの様子を総合し、クナイはターキーたちに利用されたのではないかと考えていました。
罪深い犯罪者などではなく、汚い大人たちの被害者なのだと。
“Diva”が“D”になるまで
かつてDivaを開発した時、クナイはランに痛いところを突かれていました。
ヒーリングを目的としたアプリながら、一歩使い方を間違えれば危険物になりかねないと言われたからです。
アプリは巷でも高く評価されていましたが、ランに言われた通りの危険性があると感じたクナイは、その公開を中止しようとしていました。
ちょうどその頃、クナイの自宅にターキーがやって来ました。
Divaを買い取りたいという話の内容はとても魅力的なものでしたが、公開を取りやめようとしていたクナイは答えに悩みます。
しかし、認知症が進んだ足の悪い祖母を盾に取られ、住まいのマンションのエレベーターも修理すると言われてしまえば、頷くしかありませんでした。
やがてシャンティタウンでDが流行り出し、問題視されていきます。
それに伴って街の犯罪率も上昇し、クナイはDivaが何者かによって改変、悪用されていることに気が付きます。
最初からターキーに嵌められていたのだと察し、ランに相談しようとした矢先、DoRedのメンバーであるヤマモリの親戚がDによって亡くなったことを知りました。
Dの裏にいる人物を強く敵視するランたちの姿を目にしてしまったクナイは、自分のせいで人が死んでいること、頼る先がないことに絶望します。
気が付いた頃には、自分自身もDに染められていました。
そして、ランがアーティストなら、自分は犯罪者だと呟くのでした。
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レッドライン
ターキーに爆発物を手渡したクナイの心にあったのは、シャンティタウンを救うということでした。
クルーズ船に乗っているハワードは、シャンティタウン再開発としてのカジノ計画の渦中にいる中心人物。
ターキーはそのハワードに会うため、船内を約束の地としているはずです。
それら諸共爆破することで、シャンティタウンを救おうと考えていました。
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その頃、新浜駅に停車した電車にはガイケイが突入していました。
しかし、テロリストらしき人物も爆発物も見当たらず、コウキはランが嘘をついたと確信します。
そのコウキはというと、ランの言う21時24分着の電車が存在しなかった段階で疑いを持ち、宍戸とともにどこかへ向かっていました。
一方、ランは幼い頃の思い出の地にやって来ていました。
巨大な倉庫に保管された、ゼロスがグラフィティを施した車両……その中にクナイはいました。
クナイが初めてハッキングの技術を披露したその場所で、二人は向き合います。
技術を持っていても使い方を間違えれば犯罪者だと言うクナイに、犯罪者でなく被害者ではないかと訴えかけるランですが、クナイはDによって頭がおかしくなっていました。
同じ頃、船内に潜伏していたシュウタは、ターキーに直接襲いかかって箱を奪おうと一か八かの賭けに出ました。
護衛に阻まれて失敗しかけたところにコウキから連絡が入り、船から脱出するよう指示されます。
何故なら、コウキはテロリストを射殺圏内まで追い詰めていたからです。
クナイの暴走を必死に止めようとするランをよそに、コウキは発砲の合図を出しました。
ランを追跡して居場所を突き止めたコウキは、爆破ボタンを押そうとしたクナイを何の躊躇いもなく射殺に追い込んだのです。
撃たれたクナイを抱えて彼を庇うランに対し、コウキは議論の余地はないので抵抗をするなと厳しく言います。
そして、クナイの代わりに爆破ボタンを押そうとしたランの手を止めたのは、他の誰でもない――クナイでした。
「ダメだ……お前はアーティストなんだよ、ラン」
――後日。
犯人射殺で終わった事件に選択の間違いはなかったと思うシュウタでしたが、ランともコウキとも連絡がつかず、どこか腑に落ちない様子でいました。
そんな中、梢がカバを描いたグラフィティについて記録を残すことにしたと教えてくれます。
梢はクナイに言われた「アートで世界を変える」という言葉に感化されたようでした。
一方その頃、筑紫はコウキがテロ事件の解決に貢献したことを報告するため、豪理のもとを訪れていました。
すると、豪理は黒葛川に連絡し、「香苗システム」を発動する合図を送るのでした。
アニメ『東京24区』第5話ネタバレ・感想まとめ
いかがだったでしょうか。
クナイ射殺で幕を閉じた今回の事件。
ランとコウキの間に入った亀裂は、今後の展開に大きく関わってくるように思います。
ゼロスの言葉に感化されたクナイのように、クナイの言葉に感化された梢が行動を起こしたことには感動しましたが、そのクナイが亡くなったと考えると後味が良くない第5話となりました。
また、秘密裏に何かを行っている豪理と黒葛川ですが、いよいよ彼らの目的が明るみに出そうですね。
コウキとアスミの母の名前が付けられたそのシステムは、一体どんなものなのでしょうか。
次回第6話も楽しみです。