東京湾に浮かぶ人工島「極東法令外特別地区」――通称・“24区”を舞台に、三人の幼馴染が未来へ挑むアニメ『東京24区』。
アスミに会いに行く、そう決めたRGBの下に、アスミから着信が。
アスミは改めて自身を取り巻くトロッコ問題を提示します。
システム内部にあるアスミの存在を明らかにし、KANAEシステムを解体させるか、アスミの中にあるバグを修正して、KANAEシステムによる統制を受けるか。
どちらを選んでもアスミを消すことになる選択でした。
三人はそれを認めず、意地でもアスミに会いに行く決意を固めます。
果たしてRGBの3人はどんな未来を選ぶのでしょうか……。
ついに迎えた最終話。
早速、アニメ『東京24区』第12話をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『東京24区』前回第11話あらすじと振り返り
KANAEシステムのエラーが頻発し、コウキがアスミの意識の覚醒を確信する頃、黒葛川の病室にいたシュウタは、彼女からトロッコ問題を出されていました。
アスミをシステムの中から消すか、システム内で永遠に眠らせ続けるか……その二択にシュウタが動揺していると、筑紫が部下を連れてやって来ます。
筑紫はKANAEシステムによってテロリスト認定されてしまったシュウタに手錠をかけ、部下に連行させました。
シュウタが連れて行かれた後、黒葛川の所持品だった“CMD”を自分が持っていると告げた筑紫は、それを「ヒーローに託す」と伝えます。
黒葛川は所持品を取られていたのにもかかわらず、納得した様子です。
アスミごとシステムを破壊すると決めたランにとっても、アスミを眠らせると決めたコウキにとっても、今必要なのはCMDの存在でした。
一方、連行されたシュウタは、筑紫に宝小学校火災事故の捜査資料を見せられ、消防署の見解では火災の原因が漏電だったと知らされます。
約1年前、シュウタは宝小でネズミが群れていることに気付いていながら、特に何も考えずに見逃しました。
それからずっと、自分があの時ネズミを退治していれば漏電は起きなかったのではないかと後悔していたのです。
筑紫は豪理が宝小での火災を放火魔によるものだと捏造して世論に後押しをさせ、KANAEシステムにアスミを取り込んだと話しました。
そして、シュウタにCMDを託すと、それをランに渡すか、コウキに渡すか、選択を委ねるのでした。
シュウタは心配して帰宅を待っていたまりに、アスミの残留思念が24区に残っていることなど真実を告げます。
まりはシュウタが火災事故の原因について後悔していることに気付いていて、まり自身もあの時にネズミを見つけ、退治しておけば良かったと考えていたことを明かしました。
そんなまりに背中を押され、シュウタは彼女に連絡が取れないままのラン、コウキとコンタクトを取りたいと頼みます。
その頃、ランはゼロスに、コウキは黒葛川にそれぞれ背中を押され、シュウタからの呼び出しに応じました。
ランとコウキはCMDを渡すように言いますが、シュウタ本人はどうしたらいいかわからないと本音を語ります。
三人は今まで蓋をしてきた気持ちを吐露し合い、悩みも葛藤もすべて曝け出してぶつかり合い、最後に出てきた言葉は三者とも「アスミに会いたい」というものでした。
すると、ランはゼロスから受け取ったクナイの開発データが利用できるのではないかと閃き、それを聞いたコウキも自身のKANAEシステムの管理者権限が役に立つと気付きます。
希望が見えた瞬間、三人のもとにアスミから電話が掛かってくるのでした。
【ネタバレあり】アニメ『東京24区』第12話あらすじ・感想
最後のトロッコ問題
――2021年12月22日。
RGBはアスミからの電話を受け、最後のトロッコ問題を言い渡されます。
シュウタがランにCMDを託せば、システム内部にあるアスミの存在を明らかにし、KANAEシステムを解体することに。
コウキに託せば、アスミの中にあるバグが修正され、KANAEシステムによる統制を受けることに。
個を尊重するプライバシーか、善を重視する安全か……。
アスミはトロッコ問題をRGBに託すと、最後に「バイバイ」と呟きました。
シュウタたちはどちらでもなく、当初の予定通りアスミに会いに行くことに決めます。
ヤマモリがワゴン車に乗って迎えに来ると、ランは車内からシュウタ専用のアーマーを取り出して渡しました。
そして、運転をコウキに任せてアスミのもとへ向かいますが、自動運転のトラックが行く道を阻もうとします。
それは三人に会いたくないアスミの抵抗でした。
ランのハッキング技術と、アーマーを身に付けたシュウタのパワーでどうにかやり過ごすと、アスミはいよいよ限界を前に暴走し始めます。
ハザードキャストはシュウタ、ラン、コウキをはじめ、次々に区民をテロリスト認定しました。
冤罪で逮捕される区民が増えていき、デモ活動は死傷者が出る寸前まで来ていますが、それを率いるゼロスの声に、豪理は耳を傾けようともしません。
一方、RGBはコルヌコピアに辿り着き、抵抗するアスミの妨害を力づくで乗り越えていきます。
黒葛川のサポートもあり、彼らはアスミのもとに近付いていきました。
urara
混乱する24区
それぞれアスミに影響を受けた三人は、彼女に語りかけながらその居場所に近付いていきます。
アスミは彼らの気持ちを受けて、ようやく最後の扉を開きました。
その頃、市庁舎のふもとではデモ隊とガイケイが対峙していました。
それぞれを率いるゼロスと筑紫もまた、そこで顔を合わせることとなります。
urara
ゼロスに煽られた筑紫は豪理のもとへ赴き、これ以上は死者が出かねないと言って、話し合いに応じるよう進言しました。
しかし、豪理は区民投票には有利になるとして、変わらず態度を崩しませんでした。
筑紫は豪理の言葉を受けて、香苗が生きていた時はそうではなかったと口にします。
カッとなった豪理が声を荒げようとしたその時、一斉に着信音が鳴り響きました。
区民全員の画面に映ったのは、アスミと、アスミのもとに駆けつけたRGBの姿でした。
アスミの苦悩
24区で起こる悲しいこと、救えない人の命……それらを見せられ、選択を委ねられてきたKANAEシステム――アスミの意識は、RGBを前にこれまでの苦悩を吐露します。
その様子を区民全員が画面越しに見ており、もちろん豪理も見ていました。
すると、豪理は「違う!」と声を荒げます。
そんな責任は人には耐えられない、耐えられないからKANAEシステムを作った……豪理はそれをアスミの意識が背負っていたと知り、涙を浮かべて嘆きました。
シュウタはアスミに対し、自分が代わりになると宣言します。
そして、RGBはそれぞれに彼女へ言葉を送りました。
「自分の未来は自分で選ぶ」
「一人では無理だとしても、俺たちはみんなでそれをやる」
「失敗するだろうね、また何かを失うんだろうね」
それでも、自分たちの可能性に不可能はない、と告げます。
彼らの言葉を受け入れたアスミは、ようやく笑顔を取り戻しました。
シュウタはずっと言えなかった「好きだ」という気持ちを伝えます。
アスミも「大好き」と返しますが、コウキやランも負けじと、どこか茶化すように、アスミに愛の言葉を送りました。
その様子を画面越しに見ていた仲間たち、そして区民たちも、次々に「大好き」と声にします。
それらに応えるように、アスミは「みんな大好き」と言いました。
そうして、きちんとお別れができたアスミは、満足そうに消えていくのでした。
urara
システムの中からアスミの意識が消失し、KANAEシステムは動きを止めました。
豪理はシステムの真実を語るべく、会見の場に立ちます。
「これでよかった……そうですよね、香苗様」
会見を見守りながら、黒葛川は亡き香苗に問いかけました。
選んだ未来
――2022年4月6日。
梢はカバの墓参りに訪れていました。
亡き父に進学の報告をしに来たのです。
その頃、シャンティタウンでは、耐震性の問題で取り壊しが決まった建物にDoRedメンバーがグラフィティアートを施していました。
取り壊しは悲しくとも、シャンティタウンも変わって行かなければいかない……それは決して悪いことばかりではないと前を向いています。
DoRedのリーダーであるランは、黒葛川と電話をしていました。
ランが「提出した宿題」は、旧KANAEシステムの代替装置――オープンな民意を反映したKANAEシステムの新バージョンでした。
urara
一方、コウキは亡き母・香苗の母校に編入し、教職を取ることに決めていました。
かつて香苗が過ごした研究室にいると、そこに筑紫たち元ガイケイ職員がやって来ます。
ガイケイはKANAEシステムの停止とともに解体され、彼らは警察官として新たな編成になったのでした。
筑紫はコウキの選択を悪くないと評価し、声援を送ります。
そして、シュウタは留学先にいました。
パン作りの勉強の側ら、困った人がいれば助ける、変わらないシュウタの姿がありました。
それぞれが新しい一歩を踏み出して、未来を選択しています。
それは、24区が正式に東京へ組み入れられた春のことでした。
アニメ『東京24区』第12話まとめ
いかがだったでしょうか。
未来を選択する物語、ついに完結を迎えました。
それぞれが一歩前へ踏み出す様子を、無事に見届けることができて良かったです。
最後に差し込まれた日付が、放送日と同じ日になっていたのにもグッときました。
最終話が4月に食い込んでしまったので勝手に心配していましたが、桜舞うエピローグを見るにはぴったりだったかもしれません。