1980年代に増大した資本主義に対する嫌悪感を全面的に出した衝撃作。
監督を務めるジョン・カーペンターの皮肉や資本主義への批判をユーモラスに楽しめる映画です。
- 社会の縮図をSFを駆使して見せてくれる
- 資本主義社会を批判?
- ジョン・カーペンター監督のカルト映画
それではさっそく『ゼイリブ』をレビューしたいと思います。
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目次
『ゼイリブ』作品情報
作品名 | ゼイリブ |
公開日 | 1989年1月28日 |
上映時間 | 96分 |
監督 | ジョン・カーペンター |
脚本 | フランク・アーミテイジ |
出演者 | ロディ・パイパー キース・デイヴィッド メグ・フォスター |
音楽 | ジョン・カーペンター アラン・ハワース |
【ネタバレ】『ゼイリブ』あらすじ・感想
我々はいつまでこの安月給で働き続けるのか?
1988年に公開された映画『ゼイリブ』ですが、今現在もっとも見てほしい映画となっています。
「格差社会」という言葉が近年流行しましたが、この映画はSFを通して、なぜ富裕層と貧困層に分かれているのか?が面白おかしくブラックコメディ的に描かれているのでおすすめです。
舞台は未来のアメリカ、貧困が蔓延する世界で主人公のネイダもそのうちの一人でした。
ネイダは役所に行って仕事を探そうにも職は無く、日雇い肉体労働者として働いていました。
そこで黒人の男フランクと仲良くなり、愚痴をいいながらも働いていました。
この主人公のネイダですが、見たこともない俳優だったので調べたところ1980年代にプロレスラーとして人気を博したロディ・パイパーが演じています。
普通に演技も上手くて俳優にしか見えませんでした。
演技については大根ではないので安心して見られます、むしろうまいです。
そして労働が終わったあと、みんなでテレビを見ていると、急に映像が乱れ、男が妙な演説をしてきます。
「我々は眠らされています。“彼ら”の目的は我々の意識をなくすことなのです。我々は“彼ら”の奴隷なのです」
そう言ったあとに普通のテレビ画面に戻ります。
その場から立ち去って行く怪しい男を目撃したネイダは教会にたどり着きます。
そして、その教会の壁には「THEY LIVE. WE SLEEP(奴らは生きている、我々は眠っている)」と書かれていました。
そして色々あったあと、ネイダは教会の中にあった段ボールを探っているとサングラスを発見します。
サングラスをかけて街をふらついていると、看板に「OBEY(従え)」と書かれています。
サングラスを外すと、そこには普通のパソコンの広告の看板でした。
旅行会社の看板を見ると、「MARRY AND REPRODUCE(結婚して子供を作れ)」との看板になっています。
他にも「消費しろ」「考えるな」「眠っていろ」という恐ろしい命令文のような広告が描かれていたのです!
金持ちそうな紳士風の男を、サングラスをかけて見ると骸骨のような顔のエイリアンがいました。
恐る恐る他の場所も捜索していくと、街にはたくさんのエイリアンが存在していることがわかったのです!
政治家や警官、マスコミなど権力や地位の高い支配層にエイリアンは人間になりすまし、彼らに我々は支配され続けていたのです。
テレビで演説する政治家に対してネイダはこう言います。
「そうだ、やっとわかったぞ!そういうことだったのか!」と。
今でも資本家は自分の私欲のために、何人もの労働者を犠牲に自分たちはのうのうと生きています。
そんな卑劣なマネは人間がすることじゃないと思ったこと、一度はあるでしょう?それをネイダが代弁してくれているわけです。
警官に化けたエイリアンを射殺したあと、お尋ね者となったネイダは、仲間のフランクに本当の世界を知らせるために急いで働いていた工事現場にかけつけます。
6分に及ぶ本作最大の名物シーン
なんとか世界の現実を見せたいネイダは、フランクに「このサングラスかけてくれ!」と何度もフランクにかけさせようとさせます。
「俺には妻子もあるんだ、ややこしいことに巻き込まないでくれ!」と6分にも及ぶ殴り合いを繰り広げます。
この場面がシュールで「かけてくれ!」「嫌だ!」とひたすら殴り合うだけのシーン…。
いったい何の意図でこんな長いシーンがあるのか訳がわからなすぎて、今では逆に名物シーンのひとつとして語られています。
ネイダ演じるパイパーがプロレスラーということもあり、彼の見せ場のために挿入したとも言われていますが、本当のことを知りたくないというメッセージも込められているとも言われてます。
このシーンはただただカオスで本当におもしろいので、ぜひ見て下さい。
そして乱闘の末、フランクを説得したネイダは、共にエイリアンの支配した世界をなんとかしようとします。
そしてサングラスの製造元を調べるうちに、人間たちがエイリアンを倒すべくレジスタンスを結成していることが判明しました。
レジスタンスと共にエイリアンが拠点としているテレビ局に乗り込もうとしていたが、すぐに居場所が知られてしまい半壊してしまいます。
悔しさの中でフランクと共にテレビ局に乗り込み、死闘の中で調べると怪しい電波を使って人間として擬態する事実を知りました。
最後に自分を犠牲にしてアンテナを壊すことに成功したネイダ。
政治家、ニュースキャスター、俳優など上流階級たちのほとんどがエイリアンだったという正体がバレて最後を迎えます。
これからどうなるかは自分たち次第ですよ?
そんなメッセージが込められたラストです。
SFなのに全くSF感を感じないのは…
この映画はSFジャンルの作品ですが、非常に現実味の強い映画でした。
私たちが生きている現実世界のことを正面から描いているからでしょうね。
こんなにも社会の縮図を陰謀的に表している作品は、私が知るところ『ゼイリブ』しか知りません。
近年のマーベル映画のような派手なシーンはありませんが、胸にズシーンとくるものがありました。
この映画を見ることで、普段の生活をダラダラ過ごすのはやめにしようと思わせてくれて勉強にもなる映画です。
『ゼイリブ』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
池袋・新文芸坐にて4/4(木)『ゼイリブ』「サングラスかけるかけない6分半」スタンディング応援上映開催決定!
●開場19:30/開映20:00~終映21:50(予定)
★ご入場者全員にプレゼントあり!
※声だし・鳴り物OKの参加型上映です
前売券:3/9(土)劇場窓口(10:20〜)・チケットぴあにて一斉発売! pic.twitter.com/CDfwtiPEX8— 映画「ゼイリブ<製作30周年記念HDリマスター版>」公式 (@TheyLive30th) 2019年3月7日
以上、ここまで『ゼイリブ』について紹介させていただきました。
- 資本主義世界を皮肉に描いている映画
- 6分間に及ぶ、プロレスシーンも見どころ
- 無駄な消費を避けたくなる映画
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