映画『ファーザー』あらすじ・ネタバレ感想!アンソニー・ホプキンスがアカデミー主演男優賞受賞!認知症をテーマにした新感覚映画

映画『ファーザー』あらすじ・ネタバレ感想!アンソニー・ホプキンスがアカデミー主演男優賞受賞!認知症をテーマにした新感覚映画

出典:『ファーザー』公式ページ

認知症の世界を体感できる革新的な作品が誕生しました!

ポイント
  • アカデミー賞主演男優賞を獲得した、アンソニー・ホプキンスの引き込まれる演技
  • 単なる親子の感動物語ではなく、認知症から見た世界を体感し、“気づき”を与えてくれる作品
  • 認知症から見た世界を追体験できる。まるで迷路に迷い込んだような感覚を味わえる
それでは『ファーザー』をネタバレありでレビューします。

映画『ファーザー』作品情報

『ファーザー』

(C)NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINE-@ ORANGE STUDIO 2020

作品名 ファーザー
公開日 2021年5月14日
上映時間 97分
監督 フロリアン・ゼレール
脚本 クリストファー・ハンプトン
フロリアン・ゼレール
出演者 オリヴィア・コールマン
アンソニー・ホプキンス
ルーファス・シーウェル
イモージェン・プーツ
マーク・ゲイティス
オリヴィア・ウィリアムズ
音楽 ルドビコ・エイナウディ

映画『ファーザー』あらすじ【ネタバレなし】


娘から、パリに行くことを告げられるアンソニー

81歳のアンソニー(アンソニー・ホプキンス)は、ある日、娘のアン(オリヴィア・コールマン)から、恋人と一緒に暮らすために、パリに引っ越すことを告げられます。

突然のことに、困惑するアンソニー。

ファーザー

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娘には夫がいたはずですが、もう昔に離婚しているといいます。

新しい情報が多く、整理しきれず、自分はこれからどうなるのか不安になるアンソニー。

アンは介護士とうまくやってほしいと願いますが、アンソニーは自分の腕時計を盗まれたと怒ります。

しかし、腕時計は盗まれたのではなく、いつも置いてある場所にありました。

見知らぬ男と女

場面が変わり、アンソニーがリビングに行くと、見知らぬ男が椅子に座っています。

『ファーザー』

出典:IMDB

誰だか尋ねると、アンの夫だと名乗りました。

娘はパリに行くと言っていたはずですが、夫と名乗る男は、パリの話も知りません。

困惑するアンソニー。

『ファーザー』

出典:IMDB

その時、家にアンが帰ってきました。

出迎えると、そこにいたのは見知らぬ女でした。

『ファーザー』

出典:IMDB

次々と起こる不可解な出来事

その後も、アンソニー視点で、次々と場面が変わりますが、毎回登場人物や家に変化が見られます。

ファーザー

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さっき会っていた人はいったい誰だったのか。

本当のことを言っているのは誰なのか。

部屋の様子も徐々に変わっていき、あるはずの絵画が消えていたり、家具も変化していきます。

ファーザー

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ここは、自分の家ではなかったのか。

アンソニーは、どんどん不安になります。

一体、今が“いつ”でここが“どこ”で目の前の人物が“だれ”なのか、わからない世界に迷い込んでしまいます。

ファーザー

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ここまで、内容を書いていきましたが、『ファーザー』は、あらすじをまとめても、一体どういう話なのか分からなくなります。

それこそが、本作の魅力の一つです。

hoshiko

何が起こっているのか、時系列も混ざっており、観ている側も理解が追いつきません。分からなさこそがアンソニーが感じているものであり、認知症の怖さだと思います。

【ネタバレ】映画『ファーザー』感想

認知症の主観的な世界

冒頭でも書いたように、本作は、認知症から見た世界を主人公と一緒に追体験できます。

そのため、時系列や話の内容も混在しており、一体何が起こっているのかわかりません。

また、登場人物も毎回名前や関係性が変わるため、一体何者なのか、不気味に感じます。

ファーザー

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hoshiko

これまで、認知症を主観的に描いた作品はあまりなかったように思います。

本作は認知症というテーマを扱っていますが、親子の感動物語という部分に焦点を当てるのではなく、認知症患者が見ている世界に主軸を置いています。

ファーザー

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物語として登場人物の関係性や過去も深く掘り下げてはいません。

そのため、アンソニーと一緒によく分からなさをずっと感じながら97分間作品を見続けることになります。

アンソニーの視点で見れるからこそ、わからないことに対する不安や恐怖を一緒に感じることができます。

ファーザー

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hoshiko

私も本作を見ている間、ずっと苦しさを感じていました。

認知症は誰もがこの先老いていく過程の中で、経験する可能性のあるものだと思います。

患うのが自分かもしれないし、身近な人かもしれません。

ファーザー

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認知症に関する情報は多く、症状も調べればたくさん出てきますが、認知症を体感するということはなかなかできるものでもありません。

hoshiko

たったの97分間の作品での体験ですが、認知症の視点で感じた感覚は、いつか身近な存在になった時に少しでも思い出すことができたら認知症との向き合い方に変化があるのかなと思います。

アンソニー・ホプキンスが演じるアンソニーという人物

本作ではアンソニー・ホプキンスが、自分と同じ名前のアンソニーという人物を演じています。

名前が同じだけでなく、年齢や誕生日も同じ。

ほとんど自分である人物の、認知症を患っている姿を演じるという体当たりの役です。

ファーザー

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作中では、些細な表情の変化をとても器用に演じています。

どのような振る舞いをしていても、根底には不安や恐怖があるということを繊細に表現していました。

hoshiko

わからないことが多く不安でも、知性あふれる父親としての威厳は保とうという姿勢があり、必ず凛と振る舞っている姿も印象的です。

周囲の人物の関係性や、娘がどういう状況なのか確信が持てなくても、不安を吐露することはありませんでした。

ファーザー

出典:IMDB

アンソニーは、毎回、自分の部屋に閉じこもることで、わからない世界から離れようとします。

娘の前では父親としての姿を保ちたいという、アンソニーの複雑な心境なのかなと思います。

それは毎回家を自分の家と言っていることや、記憶が曖昧でも自分が父親ということを決して忘れない点からも、父親であることがアンソニーの心の支えだったんだと感じました。

hoshiko

そして私が一番心に残った姿は、最後、アンソニーが施設の部屋で介護士に向かって泣きじゃくりながら弱音を吐くシーンです。

これまで父親であることから、強がっていた部分もあったかもしれません。

ファーザー

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そんなアンソニーが初めて子どもに戻ったように、自分の気持ちを吐き出すことができていました。

きっと家族でない他人の前だからこそ、父親ではなく、ただのアンソニーとして気持ちを出すことができたのかもしれません。

見た目は81歳ですが、泣いている姿はまるで幼い子供のようでした。

hoshiko

子どものように泣きじゃくるアンソニーの姿は、映画を観終わった後も頭から離れませんでした。

観ている者を惑わせる映画の作り

本作では、基本的に舞台となるのは、アンソニーとアンが住んでいる家になります。

ファーザー

(C)NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINE-@ ORANGE STUDIO 2020

そのため、常に家の中での出来事が描かれています。

しかし、その家というものが、少しずつ変化していくのです。

家具や飾られている絵、ドア…。

ファーザー

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家の間取りは同じはずですが、知らない間に病院になっていることもあります。

一体どこにいるのか分からなくなってしまう感覚を味わうことができます。

アンソニーは家だと言っていますが、それが誰の家なのか、はたまた施設なのかさえ分からなくなるのです。

ファーザー

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これもまた、認知症患者の視点を巧みに描いており、映像の工夫がいたるところで見られました。

hoshiko

本作を見る際は、登場人物だけでなく、家の中の様子の変化にも着目してみてください。

映画『ファーザー』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

要点まとめ
  • 認知症をテーマにした新しいタイプの作品
  • 御年83歳、バリバリ現役アンソニー・ホプキンスの圧巻の演技は見逃せない
  • 認知症患者視点の世界を巧みに表現している映画の作りにも注目

以上、ここまで『ファーザー』をレビューしてきました。

今の時代、認知症は誰もが身近に感じるものだと思います。

認知症患者視点の世界を少しでも体感することは、この先生きていく上での必修科目なのかもしれません。