『レヴェナント:蘇りし者』は、2016年に公開されたレオナルド・ディカプリオが主演を務めた、壮絶なサバイバル復讐劇です。
監督は『バベル』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥが務めました。
- 実在の人物ヒュー・グラスの半生と過酷な体験を描く
- 第88回アカデミー賞にて監督賞、主演男優賞、撮影賞を受賞
- 美しく壮大な自然と、実際に行った過酷なロケにも注目
マルコヤマモト
目次
『レヴェナント:蘇りし者』作品情報
作品名 | レヴェナント:蘇りし者 |
公開日 | 2016年4月22日 |
上映時間 | 157分 |
監督 | アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ |
脚本 | マーク・L・スミス アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ |
出演者 | レオナルド・ディカプリオ トム・ハーディ ドーナル・グリーソン ウィル・ポールター フォレスト・グッドラック |
音楽 | 坂本龍一 アルバ・ノト ブライス・デスナー |
【ネタバレ】『レヴェナント:蘇りし者』あらすじ
ヒュー・グラス、熊に襲われる
舞台は1823年、開拓時代のアメリカ北西部の極寒地帯。
毛皮ハンターの一団は先住民の襲撃を受け、多大な犠牲を払いながらも命からがら川を下ります。
先住民の集団は、拐われた族長の娘を探しに来たのです。
ハンターたちを先導するのは罠猟師のヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)と、彼の息子で先住民の妻との間に生まれたホーク(フォレスト・グッドラック)。
ホークはグラスにとっての生きがいで、彼に残された最後の家族でした。
先住民の攻撃を交わすために船を捨てて山道を進むことを選んだグラスに対し、猟師のフィッツジェラルド(トム・ハーディ)が異議を唱えますが、ヘンリー隊長(ドーナル・グリーソン)はガイドであるグラスの意見を尊重します。
フィッツジェラルドは先住民同士の争いを引き合いに出し、グラスがポーニー族と暮らしていたこともあるために、敵のアリカラ族に襲われたと主張していました。
毛皮を山道に隠して、一行は山道を進むことに。
ある朝、グラスが1人で偵察をしていると子熊の姿を見つけます。
するとすかさず、後ろから巨大なハイイログマが現れ、グラスに向かって突進してきたのです!
グラスは熊に攻撃され出血しながらも、熊に立ち向かっていきました。
子熊に気を取られている熊に向かってライフルを放つと、熊が更に気性を荒くして攻撃してきましたが、グラスは熊の背中を何度もナイフで刺して倒します。
隊長らが気づいて駆けつけますが、熊の下敷きになったグラスは、すでに瀕死の重傷を負っていました。
医療知識のあるヘンリー隊長が応急処置を施したものの、グラスの命は危険な状態にあります。
さらに、担架に乗ったグラスを担いで急な勾配を含む山道を進むことは、隊の危険をも意味します。
グラスの息子・ホークは「父親がいないと帰れなくなる」とグラスを連れて行くことを主張しましたが、状況は次第に難しくなっていきました。
仲間の裏切り
瀕死の状態にあるグラスが命を落とすのも、時間の問題でした。
そこで、隊長がグラスの最後を看取る人間を募ると、ホークと仲が良い若者のブリッジャー(ウィル・ポールター)とフィッツジェラルドが名乗りを上げました。
報酬は300ドルもの大金で、隊長からはしっかりと最期を看取り埋葬するようにと念を押されます。
毛皮の取り分に不満をいだいていたフィッツジェラルドは、300ドルもの報酬があればテキサスに土地と家を持てると考えます。
さらに、過去にアリカラ族に襲われ頭の皮を剥がされたことがあるフィッツジェラルドは、彼らに見つかる前にすぐにでもこの場から去りたいとも思っていました。
そして、ブリッジャーが水を汲みに行っている間にグラスの息の根を止めようとしたのです!
ホークが異変に気づいて止めに入りますが、フィッツジェラルドのナイフに倒れ、命を落とします。
体が動かないものの、グラスはしっかりとフィッツジェラルドの行動と息子の最期を見ていました。
ブリッジャーが戻った後、フィッツジェラルドは近くに先住民が迫っていると言い、ブリッジャーと共にこの場から逃げようと提案します。
ブリッジャーも決断を迫られ、水の入った水筒をグラスのために残し、フィッツジェラルドについてその場を去ってしまいます…。
しかし、グラスはそのまま死にゆくわけではなく、埋められた穴から這い上がりました。
壮絶なサバイバルの旅
ホークの亡骸を抱きながら、グラスは自分を置き去りにして息子まで殺したフィッツジェラルドへの復讐を誓います。
ボロボロの身体を引きずりながら、グラスは草や魚を食べながら前へ進んでいきました。
途中先住民のアリカラ族に襲われながらも、川に飛び込み必死に逃げ切ります。
道中、グラスは1人のポーニー族と出会います。
友好的に接してくれたポーニー族の男は、バイソンの肉を分けてくれました。
ポーニー族の男は家族を殺されており、事情が似ていたグラスは共感します。
しかし、男は「復讐は神に委ねる」と話しました。
その頃ブリジャーとフィッツジェラルドは砦にたどり着き、命令通りヘンリー隊長にグラスを手厚く葬ったことを報告し、報酬を受け取ります。
ブリジャーは、報酬を受け取らずに部屋から出ていきました。
グラスが目を覚ますとポーニー族の男が消えていましたが、誰かに殺されて木に吊るされている姿を見つけます。
そして、その目の先にフランス人の一団を発見しました。
グラスはフランス人に襲われている先住民の女性を助けると、1人で一団を襲撃し馬に乗って逃げ去ります。
その後、アリカラ族に襲われたグラスは馬に乗って必死に逃げますが崖から転落。
死んでしまった馬の腹を切り裂き、内臓を取り出して自分が中にはいり暖を取りました。
その頃砦にフランス人一団の生き残りがやってきました。
生き残りの男は、グラスが落としていった水筒を持っていたのです。
復讐の果てに
水筒を手がかりに、ホークが生きているかもしれないと考え始めた一行は、隊長を先導にイエローストーン川付近の捜索を始めます。
しかし、隊長たちが出会ったのはホークではなくグラスでした…。
グラスを連れて砦に戻った隊長はすぐさまブリッジャーを捕らえ、鬼の形相でフィッツジェラルドを探し始めます。
しかし、フィッツジェラルドは金庫の金を盗み砦から姿を消し、テキサスへの逃亡を図っていたのです。
ブリッジャーはフィッツジェラルドに騙されていたことも明らかにしました。
グラスは傷を負いながらも、フィッツジェラルドへの復讐のためにヘンリー隊長と出発します。
グラスとヘンリー隊長は2手に分かれてフィッツジェラルドを探していましたが、銃声を聞いたグラスが駆けつけると、ヘンリー隊長が殺されていました。
グラスは隊長の遺体を馬に乗せてフィッツジェラルドを探します。
フィッツジェラルドが狙いを定めて銃を発砲しグラスに命中しますが、それは隊長の遺体でありカモフラージュでした。
隊長の遺体になりすましていたグラスは、すかさず攻撃を仕掛け2人は雪の中でもみ合いになります。
ナイフでの戦いに持ち込んだグラスは、フィッツジェラルドの指を切り落とし、腹部を刺しました。
とどめを刺そうかという時にグラスはふと、ポーニー族の男の言葉を思い出します。
「復讐は神に委ねる」
グラスが顔を上げると、川の向こう側にアリカラ族の姿が見えました。
グラスがフィッツジェラルドを川に流すとアリカラ族の方に流れてゆき、彼らがフィッツジェラルドへのとどめを刺します。
よく見ると、グラスがフランス人の一団から助けた女性の姿があり、彼らはグラスに礼を尽くしたのです。
アリカラ族は去ってゆき、グラスは山の中で妻の姿を見ていました。
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【ネタバレ】『レヴェナント:蘇りし者』感想・解説
レオ演じるヒュー・グラスは実在の人物
厳しい自然の中で繰り広げられるサバイバルと復讐劇を描いた『レヴェナント:蘇えりし者』。
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また、父と子の描写についてもしっかり描かれているため、復讐劇パートからラストまでしっかり物語を楽しむことができました。
『レヴェナント:蘇えりし者』でレオナルド・ディカプリオが演じたヒュー・グラスは、アメリカ開拓時代に実在した人物です。
グラスの出自については不明な点が多いようですが、アイルランドからの移民であり、海賊だったという説も残っています。
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そのエピソードは長い年月にわたって語り継がれました。
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映画の中ではフィッツジェラルドに復讐を果たしたグラスでしたが、実際は陸軍入隊を果たしたフィッツパトリック(フィッツジェラルドのモデルの人物)への復讐を考えたものの、軍人を殺した際の刑罰を考えて断念したと報じられています。
またブリッジャー対しては、映画と同じように彼がまだ若いことから許しを与えたそうです。
街に戻ったグラスのことを人々は「蘇った亡霊」と呼びました。
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『レヴェナント:蘇えりし者』は撮影も過酷だった!
アメリカの開拓時代にとてつもないサバイバルを繰り広げたヒュー・グラスの物語を描く『レヴェナント:蘇えりし者』では、その撮影も過酷。
撮影を予定していたカナダでは、はじめは吹雪に悩まされたものの、暖冬で雪が溶けてしまったため、季節が反対の南半球に移動して9ヶ月の撮影が行われました。
撮影はアルゼンチンの高所で続行され、2週間かけて必要な冬の景色を捉えました。
レオナルド・ディカプリオも、撮影で実際に凍った川に入ったり、動物の生肉を食べ、動物の死体の中で眠るという過酷な体験をします。
また、撮影スタッフたちは1823年当時の人々と同じ状況に置かれ、未開の荒野を再現する苦労に負われました。
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実際に熊に会ったらどうするか?
『レヴェナント:蘇えりし者』では、ヒュー・グラスがハイイログマに襲われて瀕死の重傷を負います。
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映画を見ると、グラスはハイイログマに対して何度か襲いかかっているんですよ。
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そこで、どうすればグラスは熊に襲われずに済んだのか、ということが非常に気になったのです。
人生でなかなか経験することがないかもしれませんが、万が一熊に遭遇した場合はどうするべきか、対処法を調べてみました。
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まぁ、グラスは罠猟師で熊も以前に倒しているっぽいので、落ち着いていたと思います。
しかし、映画に登場したハイイログマは子グマを連れていたので、余計気性が荒くなったと考えて良いでしょう。
子グマに近づくと母親熊が突進してくる可能性があるので、子グマに不用意に近づくのはNG。
次に距離です。
熊との距離が20メートル以下だった場合は、
落ち着いて。静かに。走らない!
出典:知床財団HP
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突発的に走ったり大声を挙げるような行為は逆効果。熊は素早く動くものに反応するので、走るとあとを追いかけてくるかもしれません。
超間近で攻撃を受けた場合は、その場に倒れ込んで防御姿勢を取ると良いそうです。
うつ伏せになって顔と腹部を守り、首の後ろは手を回して保護する。バックパックがプロテクターになります。転がされても、その勢いで元の姿勢に戻ること。
出典:知床財団HP
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と気になることがありつつも、一般人の私たちはなるべく熊に遭遇しない生活ができたら良いな…と思いました。
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『レヴェナント:蘇りし者』まとめ
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- 壮大で美しいが時には人間に対して牙を剥く、恐ろしい自然の姿を見ることができる
- 台詞が少ないながらも圧倒的な演技力を持つレオナルド・ディカプリオに圧倒される
- サバイバル劇と復讐劇の両面を楽しむことができる作品
『レヴェナント:蘇りし者』でキャリア初のアカデミー主演男優賞を受賞したレオナルド・ディカプリオの演技力は圧巻!
今作は特に台詞が少ないので、演技力が鍵になる難しい作品だったと思います。
今まではイケメン俳優枠でもてはやされてきた感じもありましたが、年齢とともに演技力にも説得力と渋みが増し、新たな魅力を見せてくれるようになりました。
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また、『レヴェナント:蘇えりし者』では、アメリカ開拓時代の過酷な生活や先住民族との対立などの歴史も知ることができるほか、自然の厳しさについても知ることができます。
決して派手なアクションはありませんが、静かな復讐劇としても十分な見ごたえがある作品です。
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