『ロック・ユー!』と同じ監督・キャストがおくるサスペンス。
カトリックがテーマの、少し背筋が寒くなるような悲しいサスペンス作品です。
- 『ロック・ユー!』とは正反対の暗く静かな作品
- 悲しみが悲しみを呼ぶ結末
- 魂の救済を問う物語
それでは『悪霊喰』をネタバレありでレビューします。
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目次
『悪霊喰』作品情報
作品名 | 悪霊喰 |
公開日 | 2004年1月24日 |
上映時間 | 102分 |
監督 | ブライアン・ヘルゲランド |
脚本 | ブライアン・ヘルゲランド |
出演者 | ヒース・レジャー シャニン・ソサモン ベンノ・フユルマン マーク・アディ ピーター・ウェラー フランチェスコ・カルネルッティ ミルコ・カサブロ ギウリア・ロンバルディ マッティア・スブラジア |
音楽 | デビッド・トーン |
【ネタバレ】『悪霊喰』あらすじ・感想
ホラーでもオカルトでもない
正直に言うと、好き嫌いが二分される作品だと思います。
ホラーやオカルトといった雰囲気を出していますが、内容は決してそうではありません。
こちらを驚かせる演出は何度かあるものの、それも数える程度です。
とーる
キリスト教の教派の一つであるカトリックでは臨終、つまり死ぬ間際の時を重要視しています。
この時に己の犯した罪を告白し、懺悔することで魂が浄化されると信じられているのです。
『悪霊喰』は、そこにスポットをあてた作品です。
悪人と呼ばれる人々が、死ぬ間際に魂の救済を望む。
それも大金を払って…。
とーる
いつものように、世界観に感情移入できなかったのは事実です。
しかし終盤には、魂を救済するというのがいかに苦しいものなのか、ぼんやりとわかったような気がします。
『悪霊喰』を見なければ知らなかった世界でしょう。
そんな新しい世界がヒース・レジャーのシリアスな演技で知れるなんて、一石二鳥の作品です。
人の罪を喰って罪を背負う禁忌の存在
司祭であるアレックスは恩師であるドミニクが自殺したと聞いてローマへと飛びます。
友人であり司祭でもあるトーマスと、想いを寄せるマーラと共にドミニクの自宅を訪れたアレックスはドミニクの部屋で儀式の痕跡を発見しました。
調べていくうちに、アレックスは「罪喰い」と呼ばれる存在を知ります。
罪喰いとは、臨終に罪の告白をした人間の罪を取り込み、自分がその罪を背負うことで不老不死の存在になるという、禁忌の存在です。
罪喰いを殺す方法を探るべく、アレックスは怪しい地下組織や罪喰いであるイーデンにも接触します。
罪喰いを殺せる特別なナイフと言葉を手に入れるアレックスですが、マーラが何者かによって瀕死の重傷を負わされてしまいました。
マーラはもう今にも息絶えそうで、アレックスは司祭として臨終の者に行う秘跡(カトリックで行われる特別な儀礼のこと)を行おうとします。
そして罪喰いへ
しかしアレックスはイーデンにそそのかされてマーラと性交をしており、マーラを恋人にしていました。
カトリックの司祭は独身を貫く男子であることが前提であるため、マーラと恋人関係にあり性交をしてしまったアレックスにはもう司祭の資格はありません。
つまりアレックスは、司祭としてマーラの魂を救うことができないのです。
両手をマーラの血で染めたアレックスは何度もマーラに謝罪します。
その時、アレックスはあるものを見つけます。
それはイーデンが罪喰いの儀式の時に使っていたパンと石でした。
アレックスはすがる思いでマーラに罪喰いの儀式をほどこします。
司祭を務めていたアレックスにとって、死の間際の人間の魂を救済することは最優先の義務でした。
マーラの魂を救済し罪を背負ったアレックスは、怒りのままイーデンに会います。
マーラを傷つけ、自分に罪喰いの儀式をさせたのはイーデンだと確信していたからです。
事実、イーデンはアレックスが自分に会いに来るよう仕向けていました。
アレックスは罪喰いを殺せるナイフでイーデンを刺し、言葉を唱えます。
しかし、それは罪喰いを殺すためのものではなく、罪喰いの存在を継承させるためのものでした。
全てはイーデンの望み通りになっていたのです。
罪喰いとして何百年も生き続けて疲れ果てたイーデンは死に、今度はアレックスが罪喰いとなったのでした。
アレックスのその後
罪喰いとなったアレックスに対し、友人のトーマスは「時間がかかっても必ずお前を救う方法を探す」と言いました。
トーマスがアレックスを救えたかどうかまでは描かれていません。
『悪霊喰』の最後は、アレックスが罪喰いとして人々の罪を食べて生きている描写があるだけです。
とーる
ひまわりを見る度にマーラを思い出し、孤独にひっそりと生きているのでしょう。
とーる
アレックスは不老不死となりましたが、マーラを失ったアレックスにとって不老不死は地獄の苦しみではないでしょうか。
マーラの罪を感じながらもマーラに会うことはできず、ただただ強欲な人間たちの罪を喰らうだけの日々。
司祭として誇りを持っていた生活とは正反対の人生です。
それを思うとアレックスが可哀想でなりません。
だからこそ、いつかトーマスがアレックスを救ってくれると信じたいです。
とーる
『悪霊喰』まとめ
「悪霊喰」
キリスト教で異端とされる死んだ者の罪を請け負い天国へ送る儀式を行う「罪喰い」の話。急な展開とかツッコミ所は多少ありますが話は面白かった。エクソシスト要素も少しあり。何より亡きヒース・レジャーの司祭役が凄くかっこいいので一見の価値ありです。自分もやって欲しいなぁ…罪喰い pic.twitter.com/iFvU5vPv8N— ペンペン@サメ沼 (@yasagurepenguin) January 4, 2020
以上、ここまで『悪霊喰』をレビューしてきました。
- 魂を救済する物語
- 司祭から禁忌の存在になってしまった悲しき主人公
- アレックスを救う方法は何か?
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