2018年に公開された『ザ・キング』では、激動の韓国史とともに暗躍した検事たちの物語を描いています。
- 汚職も脅しもいとわない!韓国で大ヒットした衝撃のクライムエンターテイメント
- 悪役を演じるチョン・ウソンが信じられないくらい魅力的!
- 『観相師』のハン・ジェリム監督が現代社会に起こる不条理にメスを突き立てる!
マルコヤマモト
▼動画の無料視聴はこちら▼
目次
『ザ・キング』作品情報
作品名 | ザ・キング |
公開日 | 2018年3月10日 |
上映時間 | 134分 |
監督 | ハン・ジェリム |
脚本 | ハン・ジェリム |
出演者 | チョ・インソン チョン・ウソン ぺ・ソンウ リュ・ジュンヨル キム・ウィソン キム・アジュン キム・ソジン |
音楽 | チョ・ヨンウク |
【ネタバレ】『ザ・キング』あらすじ
喧嘩好きの青年が検事を目指す!
チンピラの父親を持つ田舎の港町・木浦出身の青年パク・テス(チョ・インソン)。
喧嘩好きな高校生時代を過ごしていたテスはある日、カラーテレビや電化製品を盗んで売って生計を立てる父親を意のままに従わせる検事の姿を目撃します。
その姿を目撃したテスは、量刑や人の命を意のままに決めることができる検事に憧れを抱き必死に勉強をはじめました。
マルコヤマモト
落ちこぼれだったテスはその後実力を発揮し、ソウル大学への入学・卒業を経てついに司法試験に合格します。
貧困家庭から一転、検事として活躍するテスの家庭は富裕層に様変わり。
そしてテスは美しい令嬢サンヒ(キム・アジュン)と結婚したのです。
しかし、始まった検事の仕事は想像以上に地味なものでした。
1日に30件以上の事件を片付け、しかもそれはどれも新聞のトップを飾ることがない小さな事件でした。
マルコヤマモト
始めこそやりがいを感じていましたが、そこでテスは気付きます。
新聞を飾るような大きな事件を担当できるのはたった1%の検事で、自分はそれ以外の99%の検事であることを。
検事部長ハン・ガンシクとの出会い
テスはある日、学校の体育教師が女生徒に性的暴行を振るっているという事件を担当することになります。
検事に対して弱々しい態度を取る今までの被疑者とは違い、その体育教師は堂々と振る舞っていたことを不思議に思ったテス。
その後、体育教師が元国会議員の父親のコネを使い事件をもみ消したことを知ったテスは怒りに震え、体育教師を懲役刑に持ち込もうとしました。
そんな中、ソウルの中央地方検察庁の戦略部に勤める先輩のヤン・ドンチョル(ペ・ソンウ)から突然の誘いを受けてソウルへ向かうことに。
戦略部には、世間では表沙汰になっていないあらゆる事件が隠されている倉庫があり、戦略部はそれらを「熟成」させているということを教えられます。
マルコヤマモト
そしてドンチョルはテスに、体育教師の事件から身を引く代わりに、戦略部部長のハン・ガンシク(チョン・ウソン)に推薦するという条件を提示してきたのです。
もちろん、権力者である体育教師の父親が裏でガンシクに手を回していたことは明らかでした。
戦略部部長のガンシクは、政財界の重役や芸能人をネタに告発し、「ハン部長に目をつけられたら一貫の終わり」と畏れられるほどの恐ろしい人物だったのです。
マルコヤマモト
また、豪華なペントハウスでパーティーを開くような人生の成功者でもありました。
ガンシクのパーティーへ向かったテスは、ガンシクの前で正義を訴えようとします。
しかし、カリスマ的な存在感を発揮するガンシクに圧倒され、テスは「正義」よりも「出世」の道を選んでしまったのです…!
「権力に寄り添え!プライドは捨てろ!」
テスはガンシクに気に入られることで、自分も1%の検事になるんだ!という欲望を芽生えさせます。
マルコヤマモト
思わぬ友人との再会
ガンシクのパーティーの帰り、テスはその場にいた体育教師がやはり許せなくなり、2人は言い争いになりかけます。
マルコヤマモト
テスの幼なじみであるドゥイル(リュ・ジュンヨル)です。
ドゥイルは現在木浦の暴力団組織「野犬派」の手下となっており、テスがトップの検事になるために汚れ仕事は自分が引き受けるという漢気を見せます。
生き方こそ違うものの2人の友情は昔から変わりなく、ドゥイルはテスにとって唯一心を許せる相手でした。
マルコヤマモト
ガンシクに気に入られ戦略部に入ったテスは、出世街道を突き進みその権力をドゥイルの出所やアナウンサーの妻の立場を好転させるために使いはじめます。
しかし、政権交代は検事たちにとって重大なイベントでした。
マルコヤマモト
もちろん戦略部の検事たちはどんな汚い手を使っても、自分の保身や昇進を懸けて支持候補を当選させようと奔走します。
さらに自分たちの汚点がバレないように清純派アイドルの薬物使用ニュースで世論操作をするなどの用意も忘れません!
「政治の世界ではやられたらやり返す」「スクープはスクープで揉み消す」これが彼らの世界では普通の出来事。
マルコヤマモト
立ち入り禁止のビーチを貸し切り豪遊するガンシクやドンチョル、テス、ドゥイル。
テスは自分がまるで極悪非道の無敵の暴力団にでもなった気分でいました。
しかし、そんなガンシクたちに目をつけた監察部の女性検事アン・ヒヨン(キム・ソジン)が動きはじめたことで、状況が変わりはじめます…。
テスの人生に暗雲が立ち込める
マルコヤマモト
テスの家族には問題がありましたし、テス自身も被告である女性芸能人との浮気をしているという噂もありました。
さらに暴力団の友人ドゥイルとの切れない縁など、テスの悪い噂がガンシクの耳にも入っていたのです。
そして、女性芸能人との浮気が妻にバレたテスは、ついに離婚を切り出されてしまいます。
その頃、野犬派を抜け出したドゥイルは、ソウルの江南にてどんどんと勢力を伸ばしていました。
再び迎えた大統領選で盧武鉉が当選有力となり、ガンシクたちは自分たちの立場が悪くなることを恐れます。
なぜなら弁護士出身の盧武鉉は検察改革を訴えていたため、ガンシクたちから嫌われていたのです。
もちろんこのことに対しても用意周到のガンシクは、野党へ与党を潰すための情報を与えたり、祈祷師に盧武鉉が落選するように祈ってもらいました。
が…当選したのは盧武鉉でした。
マルコヤマモト
当然の通り、ガンシクたちの立場が悪くなりはじめ、さらに新聞にドゥイルが起こした事件が掲載されてしまい、テスがドゥイルと癒着があることが世間にバレてしまうのです。
そのことが原因で検事長の座を逃したガンシクは怒り狂い、ドゥイルを逮捕するようテスに命じます。
マルコヤマモト
テスは自分を後押ししてくれたドゥイルを逮捕するのかと葛藤しますが、それは逆えないことでした…。
また、盧武鉉大統領が弾劾訴追が決定し、ガンシクは再び検察内での権力を拡大して行きました。
そして、ガンシクはテスを目障りに感じ、地方へ転任させたのです…。
マルコヤマモト
『ザ・キング』の結末
テスはドゥイルが必死に貯めた金を服役中に任されましたが、野犬派には返さず自分でせしめ、田舎町の別荘で堕落した生活を送っていました。
情報を得るためにヒヨンが尋ねて来ますが、テスは馬鹿なふりをしてやり過ごすしかありませんでした。
ドゥイルは模範囚として出所した後その事実を知り愕然としますが、テスの元へ向かいます。
ある夜、ガンシクとドンチョルが久しぶりにテスのもとを尋ねて来ました。
「久しぶりに一緒に遊ぼう」という先輩たちからの言葉にテスは嬉しくなり、2人が乗って来た車に乗り込みました。
しかし、途中でドゥイルが乗った車が追突!ガンシク、ドンチョル、テスは一命を取り止めたものの大怪我を負ってしまいます。
マルコヤマモト
ドゥイルはけじめを付けるためにスーツを仕立て、野犬派のボスのもとへ向かいます。
しかし、力及ばず負けてしまい、野犬派の最も残虐な「犬に食べさせる」という方法で壮絶な最後を遂げたのです。
ドゥイルは最後に死にゆく自分を見つめながらコーヒーを飲むボスと、隣にいるガンシクの姿を見たのでした…。
マルコヤマモト
その後テスの父親が突然逮捕されるという出来事が起こり、テスが検察を辞めることで釈放するという条件を提示されます。
父親を守るためにテスは検察を退職しましたが、実家と家財道具の差押えに遭ってしまいました、さらにテス自身もアルコールに溺れて倒れてしまいます。
人の命運を簡単に左右することができるガンシクとドンチョルに、全て奪われたテスでしたが…。
「このままじゃダメだ…」と立ち上がったのです!
マルコヤマモト
テスはドゥイルのようにスーツを仕立て車を買い、ソウルに新しく事務所を構え、妻のサンヒに謝罪し関係を修復します。
政界に知り合いの多いサンヒの父親やガンシクを引きずり下ろしたいと思っていた女検事ヒヨンの力を借りて、なんとテスは政治家としての道を歩み始めることにしたのです!
そしてついにガンシクの不正を暴き、検察の王座から引き摺り下ろします。
マルコヤマモト
選挙の結果発表が迫り、テスの「あなたがこの世の王だ」というセリフで物語は終わります。
マルコヤマモト
『ザ・キング』感想
思わぬ逆転劇に目を見張る!エンタメの名にふさわしいラスト!
マルコヤマモト
ただの成り上がりの物語ではなく、主人公は悪の世界に魅了されて、ひたすらその階段を登っていくストーリー。
悪の階段を登っていく=人生的には下りを進んでいくという、主人公の不条理な人生についても描かれているのですが、なんだか爽快に感じることが不思議です。
マルコヤマモト
そう思わせてくれるバブル時代を反映したパーティーシーンの描き方が、豪華でイケイケで素晴らしいんです。
バブリーなダンスとカラオケを披露してくれるチョン・ウソンもなんだか悪役なのに可愛らしく思えることが不思議。
マルコヤマモト
そんなわけで、物語の後半は悪の階段を上り詰めたところでギッタギタになるまで転落していくテスですが、政治家として立候補するという起死回生を図るところが、今作の良いところ。
韓国映画といえば、救いようのない結末がお決まりになりつつあり、今作に関してもそれで納得できる部分かも…とは思いましたが、テスはここで立ち上がりました!
政治の世界に入ることで、真っ向からガンシクに勝負を挑むことにしたのです。
マルコヤマモト
ガンシクに攻撃を仕掛ける様子を弾丸を使って演出し、シャンパンタワーが撃ち抜かれて彼のパーティー(天下)が終わるという描き方もカッコイイ!
選挙の当選結果は描かれなかったものの、自分や友人を陥れた悪に立ち向かうことにしたテスを、観客は心から応援したい気持ちになります。
結果が描かれないことに対してはモヤモヤするかもしれませんが、テンションが高まる感じで物語が終わるため嫌な気分はしません。
マルコヤマモト
チョン・ウソン、リュ・ジュンヨルのキャラクターも魅力的!
マルコヤマモト
さらに、チョン・ウソン演じるハン・ガンシクは、すっごく魅力的で主人公を食っちゃうような強烈キャラで超びっくりすること間違いなしです。
バブルダンスにカラオケ、汚職に恐喝、さらに187cmの長身から繰り出されるの美しすぎるフォームの飛び蹴り…。
主人公のテスじゃなくても、ガンシクの悪に染まりたいと思うほどの素晴らしい演技を披露してくれています。
マルコヤマモト
さらに、『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』にも出演したリュ・ジュンヨルの悪キャラ・ドゥイルも魅力的。
主人公のテスを裏の世界から後押しし、互いに「キング」を目指そうと誓ったアツい仲間!
不良少年の検事成り上がり物語に突如現れた男の友情に、胸が熱くなること間違いなし。
テスとドゥイルの関係の変化とドゥイルのとった行動は、今作での見所の1つです。
信じた人への人情が厚かった分、テスの裏切りはドゥイルにとってショッキングだったことでしょう。
しかし、わざわざスーツを仕立てて挑むケジメの付け方なんか最高です。
マルコヤマモト
SNSでのみんなの感想・評判
韓流権力闘争映画「ザ・キング」を。最高。風刺と怒り、張り手、飛び蹴り、祈祷師、凶暴ヤクザ、憤激と義理人情…。娯楽の満漢全席みたいでアガる。韓国の男前ウソン氏がデキる極悪検事として国を牛耳り、彼に憧れる若手も率先して権力と寝るが…。検察ヤクザ20年の歴史といった攻防がたまらん。 pic.twitter.com/pHzH5Rd6Dk
— 深町秋生・重版「ヘルドッグス 地獄の犬たち」 (@ash0966) September 27, 2018
『ザ・キング』この映画観る前は”ウソンさんの超絶ダンス楽しみ〜”みたいな感じだったのに最終的にはジュンヨル君演じるドゥイルの存在にやられてしまった。毒戦といいジュンヨル君は心に爪痕残してどっか行ってしまうような役が似合いすぎる。そしてクソすぎる検察はもう滅んでしまえって思いました。 pic.twitter.com/lziZCHWn1H
— end (@end_319) June 28, 2020
ザ・キングがプライム入りしてる!チンピラが検事になってウォール街の狼みたいなノリで権力腐敗と仲良く成り上がるおもしろピカレスクロマンでありながら任侠感もある濃厚な人間ドラマでもあって昔のヤクザ映画みたいだが人の醜さに終始しないオチは現代的でカタルシスある。https://t.co/b4MWEhT1V6
— うらじ (@uraji) June 28, 2020
マルコヤマモト
『ザ・キング』も内容が結構盛り沢山な分贅沢でしたが、少々長く感じたことも否めません。
マルコヤマモト
「成り上がりエンタメ」を語るにふさわしい、派手な演出にも大満足の2時間ちょっとでした。
『ザ・キング』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
マルコヤマモト
- 魅力的な悪役が登場する良作!チョン・ウソンのさすがの演技力に唸る
- 堕落してしまった主人公テスの起死回生の復活劇が爽快!
- 観客に委ねられたラスト!あなたが描く結末は?
「あなたがこの世の王だ」というセリフで終わった『ザ・キング』。
マルコヤマモト
悪い人たちが頭を働かせてずーっと上にのさばっている様子は、現代のどこの国にも通じる出来事かもしれません。
そんなことを覆すことができたら…!?
マルコヤマモト
▼動画の無料視聴はこちら▼