第二次世界大戦中に実在した解読不能の暗号エニグマに、天才数学者アラン・チューリングが挑んだ実話を映画化。
今まで取り上げられることがほとんどなかった、いわば机上の戦争は新鮮かつ興味深い題材でした。
イギリス王室が50年以上の長きに渡ってひた隠しにしてきた衝撃の真実に驚愕すること間違いなしです。
- 変わり者の天才数学者を演じきったベネディクト・カンバーバッチの表現力が見事でした。
- 戦時中を強くしたたかに生きる魅力的なヒロイン・クラークにも注目です。
- 作品の終盤で明かされる衝撃の真実は鳥肌もの。必見です。
それではさっそく『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』の作品情報・あらすじ・ネタバレ感想を書いていきたいと思います。
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目次
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』作品情報
作品名 | イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 |
公開日 | 2015年3月13日 |
上映時間 | 114分 |
監督 | モルテン・ティルドゥム |
脚本 | グレアム・ムーア |
原作 | アンドリュー・ホッジス |
出演者 | ベネディクト・カンバーバッチ キーラ・ナイトレイ マシュー・グッド ロリー・キニア チャールズ・ダンス マーク・ストロング |
音楽 | アレクサンドル・デスプラ |
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』は、第二次世界大戦中にエニグマ暗号の解読に取り組み、のちに同性間性行為のかどで訴追を受けたイギリスの暗号解読者アラン・チューリングを描くノンフィクション衝撃作です。
第87回アカデミー賞では、作品賞、監督賞(ティルドゥム)、主演男優賞(カンバーバッチ)、助演女優賞(キーラ・ナイトレイ)を含めた8部門でノミネート。そして、グレアム・ムーアが脚色賞を受賞しました。
【ネタバレ】『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』あらすじ・感想
ストーリーが新鮮で世界観に引き込まれること間違いなし。
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』は、第二次世界大戦中のイギリスを舞台にした戦争映画ですが、派手な爆撃シーンや血なまぐさい戦闘などはほとんどありません。
そんな地味な絵面で画面が持つのか?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、その点は安心してください。
今までの戦争映画にあった派手な演出を補って余りあるほどの素晴らしいストーリーがあなたを待っています。
“コンピュータの父”と呼ばれる実在した天才数学者アラン・チューリングの壮絶な人生に涙すること間違いなしです。
まさに解読不能!世界最強の暗号エニグマ。
本作を語るうえで、決して外すことのできない要素のひとつが世界最強の暗号と言われるエニグマです。
この暗号は、かつて独裁政治で欧州征服を進めていたハイル・ヒトラーが全盛期のころ、ドイツの主要な通信に用いられたものなのです。
急襲作戦の詳細、極秘の輸送船団情報、Uボートの現在位置など、ドイツの最高機密を守るエニグマはいわば情報戦の要といっても過言ではありません。
エニグマを解読し不利な戦況を押し返すことが本作の目的なのですが、この暗号解読の難易度がとにかくハンパじゃないです。
159×(10の18乗)という途方もない確率の中からひとつの答えを解き明かさなくてはならない。
加えて、1日おきに設定が変更されるため、日付が変わるまでに暗号を解かなければ1日の努力はすべて無駄になってしまう。
人力ではほぼ解読不可能と思われる暗号を、天才数学者アラン・チューリングがどのように攻略していくのか注目です。
ベネディクト・カンバーバッジの熱演は一見の価値あり。
今回、ベネディクト・カンバーバッジが演じるのは天才数学者という表現が難しい役でしたが、天才特有の他者と一線を画した雰囲気が上手く醸し出された見事な演技でした。
カンバーバッジの演技をより肌で感じることができると思いますので、吹き替えではなく字幕版を推奨します。
そんなカンバーバッジが演じる天才数学者アランのセリフで、非常に印象に残ったセリフがあります。
エニグマ解読チームのメンバーと口論になった際、相手の間違いを正すために放った「壊れた時計でも日に二度は正しい時を示す」という一言です。
いかにも高慢で相手を見下した天才らしいセリフに思わず笑ってしまいました。
みなさんも日常生活で気に入らない相手がいたらこのセリフを使ってみましょう。
孤高な天才の気分が少し味わえるかもしれません。
魅力あふれるヒロイン、クラーク(キーラ・ナイトレイ)に注目
『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでも有名なキーラ・ナイトレイが演じるのは、本作のヒロインとなるジョーン・クラークです。
クラークは、とにかくたくましく懐が広い女性でした。
しかもクラークは、天才アランが認める数少ないキレ者で、同じ暗号解読チームに配属されることになります。
男性ばかりの職場で働くことに最初は抵抗を示しますが、すぐに順応し男性を味方につける処世術には舌を巻きました。
また、人間としても素晴らしく高慢で孤立していたアランと暗号解読チームの良き潤滑油となります。
クラークのアドバイスを受け、チームのメンバーと打ち解けようとするぎこちないアランはかわいらしいので必見です。
そんなクラークとアランは婚約することになるのですが、アランにはある秘密がありました。
婚約後、それを知った彼女の対応が本当に素晴らしく心に残っています。
アランの秘密を受け入れたうえで、「私たちなりに愛し合い生きていけばいい」とまっすぐに伝えるクラークには目頭が熱くなりました。
隠された真実に涙する。日の目を見ることがなかったアラン・チューリングの功績。
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』における最大のみどころは、終盤で明かされる驚愕の真実です。
アランたち暗号解読チームは、些細なきっかけで暗号解読のキーワードを発見しエニグマの解読に成功します。
しかし、その先に待っていたものは終わりではなく新たな始まりでした。
せっかく解読した暗号も、敵に感づかれ設定を変えられてしまっては水の泡になってしまう。
彼らに求められた次の任務は、敵に暗号解読を勘づかれることなく、得た情報を最大限に発揮して戦争を勝利に導くことでした。
そのためにアランが行ったのは、エニグマで掴んだ敵の情報と統計をもとに必要最低限の行動で効率よく戦争に勝利できる手段を導き出すシステム作りです。
アランはそのシステムを駆使して、およそ2年間にわたり日々生きる者と死ぬ者を選択しました。
連合軍を勝利に導いた影の立役者はアランだったのです。
そんな彼の功績が、なぜひた隠しにされてきたのか?その理由は、イギリスの歴史的背景にあります。
1885年から1967年にわたり、イギリスでは同性愛者はわいせつ罪として処罰されてきました。上述したアランの秘密とは同性愛者であったことなのです。
アランは同性愛の罪で有罪判決を受け、生前に功績を称えられることはありませんでした。
エニグマの解読は、戦争終結を2年以上も早めることになり、1,400万人以上の命を救ったと言われています。
同性愛者という理由で、アランの大偉業が日の目を見ることがなかったことを想うと、切なさのあまり胸にこみ上げてくるものがあります。
天才数学者アラン・チューリングがいなければ、今の平和な世界はなかったのかもしれないのです。
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』まとめ
『イミテーション・ゲーム(略)』
第二次世界大戦時に解読不可能と言われたドイツ軍の暗号「エニグマ」を解き明かそうとする英国天才数学者の物語。
同性愛、人口知能、政治、スパイ…云々。
いろんなものが詰め込まれてお腹いっぱいな作品。かつ、これが史実を基にしていることに驚き。 pic.twitter.com/nbdl6gjt7x— ジーエー@映画 (@GAGA_nikoniko) 2019年2月27日
第二次世界大戦中、超難解の暗号解読に勤しんだひとりの天才の実話。
そして、アラン・チューリングが解読のために生み出したシステムは、現在世界中で使われているパソコンの基になっていると言われています。
アランの功績は、戦争の終わりを早めたことと、現在のパソコンを生むヒントを授けたこと。
この上なく大きな功績が称えられることのなかった、アランの悲運が本作『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』には鮮明に描かれており、やるせなくなります。
- 豪華俳優陣が演じる魅力的な登場人物に注目
- 物語が加速する中盤以降のストーリー展開は必見。
- 歴史が苦手な人にも、ぜひ観てほしい作品。
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