奇才テリー・ギリアム監督作にしてヒース・レジャーの遺作『Dr.パルナサスの鏡』。
想像力をかきたてられるストーリーと、ミステリーとファンタジーの融合した世界観を見ているだけでも楽しい作品でした。
- ヒース・レジャーの遺作
- ジョニー・デップをはじめとした豪華俳優陣
- ミステリアスで不思議なファンタジー
それでは『Dr.パルナサスの鏡』についてネタバレありでレビューします。
▼動画の無料視聴はこちら▼
目次
『Dr.パルナサスの鏡』作品情報
作品名 | Dr.パルナサスの鏡 |
公開日 | 2010年1月23日 |
上映時間 | 124分 |
監督 | テリー・ギリアム |
脚本 | テリー・ギリアム チャールズ・マッケオン |
出演者 | ヒース・レジャー クリストファー・プラマー リチャード・リデル ケイティ・ライオンズ リチャード・シャンクス リリー・コール ヴァーン・トロイヤー ジョニー・デップ ジュード・ロウ コリン・ファレル アンドリュー・ガーフィールド トム・ウェイツ |
音楽 | マイケル・ダナ ジェフ・ダナ |
『Dr.パルナサスの鏡』あらすじ・感想【ネタバレなし】
欲望と悪魔と記憶を失った男
物語はとある小さなサーカス団から始まります。
サーカス団といっても演目は一つだけ、鏡の中に観客を誘いこみ、その人の欲望を見せつけるというものです。
欲望に食われなければ鏡から出ることができ、欲望に勝てなかった者は永久に鏡から出ることはできません。
そもそもなぜそんなことをしているのかというと、鏡の持ち主であるパルナサスが悪魔と「どちらが多く人間を取り込めるか」という賭けをしたからです。
賭けは見事パルナサスが勝ち、対価として永遠の命を授かりました。
しかし賭けの代償として、パルナサスの一人娘であるヴァレンティナが16歳になったら、その身を悪魔に差し出さなければならないのです。
ヴァレンティナの16歳の誕生日が近づく中、サーカス団は一人の男を見つけます。
橋の下で首を吊っていた男はトニーと名乗るものの、記憶を失っており、行くあてもないためサーカス団の一員として働くことになりました。
チケットの売れないサーカス団はトニーのアイデアのお陰で徐々に客を集めていくのですが、ヴァレンティナの誕生日は目前。
トニーの過去も何やら薄暗いものであることが判明し、全ては鏡の世界へと向かっていきます。
ヒース・レジャーの死と、彼の意志を継いだ役者たち
この『Dr.パルナサスの鏡』の撮影中の2008年1月22日にヒース・レジャーは亡くなりました。
『ダークナイト』のジョーカーを演じるための役作りで精神を病んだ末の急性薬物中毒が死因です。
28歳というあまりにも若すぎる死は、映画業界だけでなく、社会的なショックも大きいものでした。
とーる
そしてメルギブソン主演の「パトリオット」とダークナイトを連続で見ると本当に頭グチャグチャになる。ヒースレジャーは本当になくなったのが残念でならない。 pic.twitter.com/TFtfMO7IJS
— NAWOQI (@NAWOQI) November 18, 2016
ヒースが亡くなったことで『Dr.パルナサスの鏡』は撮影が中断し、作品自体がお蔵入りになる可能性もありました。
主役が居ないのだから当然です。
しかし『Dr.パルナサスの鏡』は無事に上映されることになりました。
それはヒースと親交のあった俳優たちがヒースの意志を継ぎ、ヒースの役を演じることになったからです。
とーる
『Dr.パルナサスの鏡』は鏡がキーアイテムになっている作品です。
『Dr.パルナサスの鏡』には現実世界と鏡の中の世界があり、ヒースが演じていた役のトニーに関しては、現実世界のトニーはヒースが、鏡の世界のトニーは他の俳優が演じることになったのでした。
とーる
まるで最初から、現実世界と鏡の世界のトニーは別人という効果を狙っていたかのようでした。
さて、それではヒースの意志を継いだ役者というのは誰なのでしょう。
それはジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの三人です。
『Dr.パルナサスの鏡』2009年ファンタジー映画。悪魔との契約で不死身を望んだ男を取り巻く人々の皮肉な運命。これが遺作となったヒース・レジャー。彼の急逝により本作を救ったのは、ジョニー・デップにコリン・ファレル、ジュード・ロウ。彼ら3人が演じ分けた奇想天外な物語。 pic.twitter.com/Q16QQGGwuJ
— chiyomi★映画&ドラマ垢 (@chiyomik1) October 14, 2019
とーる
ちなみにテリー・ギリアム監督がヒースの代役を探している情報を聞いて他の俳優も出演を希望したところ、監督は「ヒースと親交のある役者に演じてもらいたい」と言って断ったそうです。
とーる
一度見ただけでは理解不能?
『Dr.パルナサスの鏡』では、説明というものがあまりありません。
なぜ鏡の世界があるのか、なぜトニーは追いかけられているのか、その後どうなったのかといった具体的な説明がないのです。
突然悪魔が出てきたりもして、まさにファンタジーです。
しかし、ただのファンタジーかと言われるとそうでもない。
とーる
何となく見ただけでは理解できない方も多いでしょう。
想像力をめいっぱい働かせ、物語の隅々に散りばめられた欠片を拾い集める作業が必要不可欠です。
とーる
まさしく『Dr.パルナサスの鏡』が持つ魅力の一つです。
リアルなファンタジーの世界
ファンタジーと聞くと、キラキラしていたり華やかだったり、パステルカラーのイメージを浮かべる方も多いと思います。
でも『Dr.パルナサスの鏡』はそうではありません。
確かに、サーカス団が上演しているときはファンタジーの世界です。
中世のような衣装やくちばしのある仮面、舞台セットは童話の世界に出てくるようなデザインをしています。
ただ、衣装もセットも色褪せてボロボロになっており、退廃的な雰囲気を感じさせる点においては、一般的なファンタジーとは少し異なります。
とーる
現実を忘れたいために酔っぱらった人々や、ブランド品を身に着けて静かな自慢をする人々、そんな人たちがサーカス団の周りに集まってきます。
人の数だけ欲望がある。人々の欲望は絶えることなく、欲深くなっていく一方です。
そんな欲望渦巻く世界で、サーカス団の空間だけはおとぎ話のような、優しく不思議な雰囲気を持っています。
明らかな異空間は、それだけでもファンタジーと言えるでしょう。
そこから繰り広げられる世界はおとぎ話でありファンタジーであり、現実でもあるのです。
ファンタジックな世界を感じたかと思えば現実に引き戻され、現実に落ち着いたかと思えばまたファンタジックな世界へ。
とーる
『Dr.パルナサスの鏡』まとめ
「Dr.パルナサスの鏡」
不死身のパルナサス博士は娘や仲間と共に移動式幻想館で生計を立てており、そこに新しく謎の男が加わる。実は博士は悪魔と賭けをしており…。…ヒースを懐かしみながら再鑑賞。ファンタジーなんだけど少しダークでシニカルな展開(笑)。深読みしたくなる部分が色々あって楽しい。 pic.twitter.com/C0R2n8qRit— aya (0165) (@ProdigyAyaKeith) February 29, 2020
以上、ここまで『Dr.パルナサスの鏡』について解説してきました。
わからない部分がかなりあるファンタジーですが、その独特過ぎる世界観も癖になります。
ヒース・レジャーの最後の出演作という意味でもとても貴重な作品です。
- ヒース・レジャーが最後に携わった作品
- ヒース・レジャーのために集まった俳優たち
- 現実とファンタジーを行き来するような感覚
▼動画の無料視聴はこちら▼