『Dr.パルナサスの鏡』あらすじ・感想!独特の世界観とヒース・レジャーの遺作となった裏側を解説【ネタバレなし】

『Dr.パルナサスの鏡』あらすじ・感想!独特の世界観とヒース・レジャーの遺作となった裏側を解説!【ネタバレなし】

出典:U-NEXT

奇才テリー・ギリアム監督作にしてヒース・レジャーの遺作『Dr.パルナサスの鏡』。

想像力をかきたてられるストーリーと、ミステリーとファンタジーの融合した世界観を見ているだけでも楽しい作品でした。

ポイント
  • ヒース・レジャーの遺作
  • ジョニー・デップをはじめとした豪華俳優陣
  • ミステリアスで不思議なファンタジー

それでは『Dr.パルナサスの鏡』についてネタバレありでレビューします。

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『Dr.パルナサスの鏡』作品情報

『Dr.パルナサスの鏡』

(C)2009 Imaginarium Films, Inc. All Rights Reserved. (C)2009 Parnassus Productions Inc. All Rights Reserved.

作品名 Dr.パルナサスの鏡
公開日 2010年1月23日
上映時間 124分
監督 テリー・ギリアム
脚本 テリー・ギリアム
チャールズ・マッケオン
出演者 ヒース・レジャー
クリストファー・プラマー
リチャード・リデル
ケイティ・ライオンズ
リチャード・シャンクス
リリー・コール
ヴァーン・トロイヤー
ジョニー・デップ
ジュード・ロウ
コリン・ファレル
アンドリュー・ガーフィールド
トム・ウェイツ
音楽 マイケル・ダナ
ジェフ・ダナ

『Dr.パルナサスの鏡』あらすじ・感想【ネタバレなし】


欲望と悪魔と記憶を失った男

物語はとある小さなサーカス団から始まります。

サーカス団といっても演目は一つだけ、鏡の中に観客を誘いこみ、その人の欲望を見せつけるというものです。

『Dr.パルナサスの鏡』

(C)2009 Imaginarium Films, Inc. All Rights Reserved. (C)2009 Parnassus Productions Inc. All Rights Reserved.

欲望に食われなければ鏡から出ることができ、欲望に勝てなかった者は永久に鏡から出ることはできません。

そもそもなぜそんなことをしているのかというと、鏡の持ち主であるパルナサスが悪魔と「どちらが多く人間を取り込めるか」という賭けをしたからです。

賭けは見事パルナサスが勝ち、対価として永遠の命を授かりました。

しかし賭けの代償として、パルナサスの一人娘であるヴァレンティナが16歳になったら、その身を悪魔に差し出さなければならないのです。

『Dr.パルナサスの鏡』

(C)2009 Imaginarium Films, Inc. All Rights Reserved. (C)2009 Parnassus Productions Inc. All Rights Reserved.

ヴァレンティナの16歳の誕生日が近づく中、サーカス団は一人の男を見つけます。

橋の下で首を吊っていた男はトニーと名乗るものの、記憶を失っており、行くあてもないためサーカス団の一員として働くことになりました。

チケットの売れないサーカス団はトニーのアイデアのお陰で徐々に客を集めていくのですが、ヴァレンティナの誕生日は目前。

トニーの過去も何やら薄暗いものであることが判明し、全ては鏡の世界へと向かっていきます。

ヒース・レジャーの死と、彼の意志を継いだ役者たち

この『Dr.パルナサスの鏡』の撮影中の2008年1月22日にヒース・レジャーは亡くなりました。

『ダークナイト』のジョーカーを演じるための役作りで精神を病んだ末の急性薬物中毒が死因です。

28歳というあまりにも若すぎる死は、映画業界だけでなく、社会的なショックも大きいものでした。

とーる

ヒースの死を悼む声は今もあがっており、これからも続くことでしょう。

ヒースが亡くなったことで『Dr.パルナサスの鏡』は撮影が中断し、作品自体がお蔵入りになる可能性もありました。

主役が居ないのだから当然です。

しかし『Dr.パルナサスの鏡』は無事に上映されることになりました。

それはヒースと親交のあった俳優たちがヒースの意志を継ぎ、ヒースの役を演じることになったからです。

とーる

主役が突然別人になったらめちゃくちゃじゃないか。そう思われる方もいらっしゃるでしょう。私も、実際に『Dr.パルナサスの鏡』を見るまではどういうことなのか理解できませんでした。

『Dr.パルナサスの鏡』は鏡がキーアイテムになっている作品です。

『Dr.パルナサスの鏡』には現実世界と鏡の中の世界があり、ヒースが演じていた役のトニーに関しては、現実世界のトニーはヒースが、鏡の世界のトニーは他の俳優が演じることになったのでした。

『Dr.パルナサスの鏡』

(C)2009 Imaginarium Films, Inc. All Rights Reserved. (C)2009 Parnassus Productions Inc. All Rights Reserved.

とーる

現実世界と鏡の世界の人物が変わることで、映画を見ている私たちにも不思議な印象を与えます。

まるで最初から、現実世界と鏡の世界のトニーは別人という効果を狙っていたかのようでした。

さて、それではヒースの意志を継いだ役者というのは誰なのでしょう。

それはジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの三人です。

とーる

豪華すぎる名前が並んで、めまいがしてきそうですね。しかもジョニー・デップとジュード・ロウとコリン・ファレルの全員が、出演料を全てヒースの子どもに寄付したというのですから感動です。ヒースの人望の厚さがうかがえます。

ちなみにテリー・ギリアム監督がヒースの代役を探している情報を聞いて他の俳優も出演を希望したところ、監督は「ヒースと親交のある役者に演じてもらいたい」と言って断ったそうです。

とーる

『Dr.パルナサスの鏡』は、今までヒースが築き上げてきた信頼関係によって出来上がった作品といっても過言ではありません。

一度見ただけでは理解不能?

『Dr.パルナサスの鏡』では、説明というものがあまりありません。

なぜ鏡の世界があるのか、なぜトニーは追いかけられているのか、その後どうなったのかといった具体的な説明がないのです。

突然悪魔が出てきたりもして、まさにファンタジーです。

『Dr.パルナサスの鏡』

(C)2009 Imaginarium Films, Inc. All Rights Reserved. (C)2009 Parnassus Productions Inc. All Rights Reserved.

しかし、ただのファンタジーかと言われるとそうでもない。

とーる

現実世界と絡み合い、実に不思議な雰囲気を私たちに感じさせてくれます。

何となく見ただけでは理解できない方も多いでしょう。

想像力をめいっぱい働かせ、物語の隅々に散りばめられた欠片を拾い集める作業が必要不可欠です。

とーる

ですからきっと、私が感じる『Dr.パルナサスの鏡』と今この記事を読んでくださっているあなたが感じる『Dr.パルナサスの鏡』は違うものになると思います。それがまた面白い。

まさしく『Dr.パルナサスの鏡』が持つ魅力の一つです。

リアルなファンタジーの世界

ファンタジーと聞くと、キラキラしていたり華やかだったり、パステルカラーのイメージを浮かべる方も多いと思います。

でも『Dr.パルナサスの鏡』はそうではありません。

確かに、サーカス団が上演しているときはファンタジーの世界です。

『Dr.パルナサスの鏡』

(C)2009 Imaginarium Films, Inc. All Rights Reserved. (C)2009 Parnassus Productions Inc. All Rights Reserved.

中世のような衣装やくちばしのある仮面、舞台セットは童話の世界に出てくるようなデザインをしています。

ただ、衣装もセットも色褪せてボロボロになっており、退廃的な雰囲気を感じさせる点においては、一般的なファンタジーとは少し異なります。

とーる

それでも私がファンタジーだと感じるのは、上演している外では現実世界が広がっているからです。

現実を忘れたいために酔っぱらった人々や、ブランド品を身に着けて静かな自慢をする人々、そんな人たちがサーカス団の周りに集まってきます。

人の数だけ欲望がある。人々の欲望は絶えることなく、欲深くなっていく一方です。

そんな欲望渦巻く世界で、サーカス団の空間だけはおとぎ話のような、優しく不思議な雰囲気を持っています。

明らかな異空間は、それだけでもファンタジーと言えるでしょう。

そこから繰り広げられる世界はおとぎ話でありファンタジーであり、現実でもあるのです。

『Dr.パルナサスの鏡』

(C)2009 Imaginarium Films, Inc. All Rights Reserved. (C)2009 Parnassus Productions Inc. All Rights Reserved.

ファンタジックな世界を感じたかと思えば現実に引き戻され、現実に落ち着いたかと思えばまたファンタジックな世界へ。

とーる

『Dr.パルナサスの鏡』は、そんな目まぐるしくも美しい世界観なのです。

『Dr.パルナサスの鏡』まとめ

以上、ここまで『Dr.パルナサスの鏡』について解説してきました。

わからない部分がかなりあるファンタジーですが、その独特過ぎる世界観も癖になります。

ヒース・レジャーの最後の出演作という意味でもとても貴重な作品です。

要点まとめ
  • ヒース・レジャーが最後に携わった作品
  • ヒース・レジャーのために集まった俳優たち
  • 現実とファンタジーを行き来するような感覚

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