『天気の子』あらすじ・ネタバレ感想!『君の名は。』との繋がりは?新海誠監督の待望の新作を考察レビュー

映画『天気の子』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『天気の子』公式ページ

現実とファンタジーを融合させたような幻想的な世界観が特徴的で、世界中にファンを持つ新海誠監督。

大ヒットとなった前作『君の名は。』から3年、待望の最新作がついに公開です。

ポイント
  • 「天気」というごく身近にある毎日の変化がテーマ
  • RADWIMPSが生み出す音楽が映像に見事にマッチ
  • 実写と見間違うほどのリアルな背景が美しい

それではさっそく映画『天気の子』をレビューしたいと思います。

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『天気の子』作品情報

映画『天気の子』作品情報

出典:映画.com

作品名 天気の子
公開日 2019年7月19日
上映時間 112分
監督 新海誠
脚本 新海誠
原作 新海誠
ボイスキャスト 醍醐虎汰朗
森七菜
小栗旬
本田翼
倍賞千恵子
吉柳咲良
平泉成
梶裕貴
音楽 RADWIMPS

【ネタバレ】『天気の子』あらすじ・感想


リアルとファンタジーの融合に成功した前作『君の名は。』の世界観を踏襲

新海誠監督の大ヒット作『君の名は。』では、違う時間軸に生きる少年・瀧(声:神木隆之介)と少女・三葉(声:上白石萌音)が、ある日突然身体が入れ替わる現象をきっかけにして少しずつ心を交わしていきました。

しかし実は、三葉は過去に隕石の落下によって住んでいた町ごと消失してしまっていることが分かり、三葉に入れ替わった瀧が隕石によって命を落とした人たちを救うために歴史を変えることになっても奔走するストーリーが主軸にありました。

舞台となった土地は、実際にある場所をモデルにしているほか、背景も新宿などの町をそのまま絵にしていました。

その中で繰り広げられる体の入れ替わりという非現実的な出来事の絶妙なバランスは空想すらも現実のものと錯覚させるような、観客を不思議な感覚に包み込ませるような力を持っていました。

その不思議な世界観は本作でも健在です。本作の主人公も前作同様に若い少年・森嶋帆高(声:醍醐虎汰朗)と少女・天野陽菜(声:森七菜)の二人。

ある日を境に、帆高が“祈ると天気を100%晴れにする能力”を持った陽菜と出会い、最初はその能力をビジネスにしてお金を稼ぐことで喜んでいる無邪気な2人の様子が描かれます。

しかし、少しずつ物語は深刻な方向へ流れていき、実は陽菜は昔から言い伝えられてきた人柱としての役目を背負ってしまっていたことが分かり、最終的には世界から体が消失してしまう宿命を背負うことになります。

序盤は若い男女の日常を描くようなほのぼのとした物語で、時間が進むにつれて現実世界から一気にSFチックな世界に飛び込む流れは『君の名は。』同様に、世代問わずこの作品を観ている全ての人を引き込む力を持っています。

主人公の帆高と陽菜に共感できる理由

この作品に出てくる主人公とヒロインはどちらも10代半ばの若者です。

この年代の男女を主人公にした作品となると、恋愛要素が強く、人生経験が長い年齢層にとっては敬遠しがちな部分も出てくることがあります。

しかし、『天気の子』ではそういった部分よりも登場人物に共感しやすい内容になっています。

その理由が、今作のテーマにもなっている天気に対する捉え方です。

予定があるから晴れてほしいなど、誰もが一度は天気に対しての希望や願いを抱いたことはあることでしょう。

陽菜たちの元に寄せられる依頼も、フリーマーケットや運動会などのイベントごとから、亡くなったご主人のお盆で安心して帰って来られるように晴れにしてほしいという依頼など、人それぞれ様々な想いが込められています。

実際にこういう人がいたらいいのにという気持ちになって陽菜たちに希望を託す人たちに感情移入することで、自然と陽菜や帆高たちを応援したくなります。

『君の名は。』ファン歓喜のサプライズ

大ヒットして今でも根強い支持を得ている『君の名は。』に続く作品として、公開前から大きな期待が寄せられていた本作には、『君の名は。』のファンにとっては何よりも嬉しいサプライズが隠されていました。

それは、『君の名は。』の主人公・瀧と、ヒロイン・三葉の姿が見られることです。

帆高たちが受けた依頼の中で、亡くなった夫がお盆に返ってくる時に晴れの状態で迎えたいというものがありました。

その依頼主は立花冨美(声:倍賞千恵子)という年配の女性だったのですが、その家で穂高たちが“儀式”をしている時に、奥からその女性の孫が登場します。その孫こそが瀧なのです。

また別の場面で、帆高が陽菜の誕生日にプレゼントを買うため、デパートのアクセサリーショップで指輪を選んでいるシーンがあります。

帆高は悩みぬいた末に選んだ指輪を購入してから、店員に女性はこれをもらって嬉しいと思うかと問います。その店員が三葉なのです。

ちなみに、穂高の質問に対して三葉は「店の前で3時間も悩んでいたのだから、きっと喜んでくれます」と笑顔で答えていました。

瀧だけではなく、成長した三葉も東京で働いているということは、『君の名は。』のクライマックスで三葉と入れ替わった瀧が、隕石から町の人々を救った後だということは間違いないのですが、瀧と三葉が東京で再会を果たした後かどうかはこの時点では分かりません。

しかし、彼らが『君の名は。』のラストシーンで再会を果たした後にどうなったかを明確に想像させてくれる場面もありました。

それは、本作で帆高が陽菜を救い、東京が3年間止まない雨に見舞われたことで半分が水没し、町の風景がすっかり様変わりしてしまった後のことでした。

帆高は高校を卒業した後に、ずっと放置していた依頼受付のサイトを開いた時に、ひとつの案件を開きます。

それは、過去に瀧の祖母である立花冨美が新たに寄せた依頼でした。

帆高は彼女にもう依頼を受け付けていないことを告げに直接会いに行ったのですが、冨美が移り住んでいたマンションの部屋に、孫である瀧の結婚写真が飾ってあるのです。

この時、相手の顔を確認することはできません。

しかし、両作品に登場したカレンダーや手帳の日付から、時系列で言うと瀧と三葉が再会した後に帆高が東京にやってきていることが分かります。つまり、瀧と結婚したのが三葉である可能性が非常に高いのです。

また、この作品に出てくる『君の名は。』キャラクターは瀧と三葉だけではありません。

三葉の同級生だった勅使河原克彦(声:成田凌)と名取早耶香(声:悠木碧)も登場していて、2人で一緒に観覧車に乗っています。

さらに三葉の妹である四葉(声:谷花音)は、成長して女子高生となって登場します。

この3人は瀧と三葉に比べて登場シーンが一瞬なので、気づかず見過ごしてしまうかもしれません。

全くの別作品でありながら、こうして後日談的にキャラクターが登場することで、それぞれどうなったのかを知れるだけでなく、『君の名は。』と『天気の子』が同じ世界軸の話なのだというワクワク感も得られます。

したがって、本作は『君の名は。』を鑑賞したうえで、お楽しみいただくことを強く推奨したい一作です。

練りに練られた音楽とのシンクロ

本作では映像の美しさに合わせて、シーンや雰囲気にマッチした音楽がとても印象的です。

本作の音楽を担当したのは、『君の名は。』でも音楽を担当して「前前前世」などの名曲を生み出し、本編と同様に曲の知名度でも社会現象を巻き起こしたRADWIMPSです。

本作の主題歌として作られたのは5曲。そのどれもが重要なシーンで流れるものになっています。

場面の切り替えとサビへの展開が見事にマッチしているなど、映像を見た上で作曲されたものなのではないかと思ってしまうほどです。

しかし、これは新海誠監督がRADWIMPSと直接話し合って、希望を出しながら映像とマッチさせていたそうです。

また、今回ボーカルには女優の三浦透子さんが起用されました。

女性ボーカルを取り入れたことで、陽菜の存在の儚さをより強く感じさせます。

他にもピアノが一音一音鳴るのに合わせてカットが切り替わったり、些細ながら音楽に対してもとても細かいこだわりが感じられるシーンが多くあります。

中盤からの物語にのめり込む急展開

帆高は家出をして東京に来ていたことに加えて、おもちゃだと思って拾った拳銃をチンピラに絡まれた際に発砲したことで、警察から追われることになります。

仕事を紹介してもらった会社にも警察が来たことで会社を追い出されてしまいます。

そんな中で雨が止まなくなる異常気象が起き、それを鎮めるためには晴れにする能力を得た陽菜が人柱となって命を捧げなくてはいけないという事実が発覚します。

序盤のほのぼのとした雰囲気から一転して逃走劇、そして帆高や陽菜の弟である凪(声:吉柳咲良)に迷惑をかけないように一人で姿を消す陽菜を探す展開になり、一気に加速する物語は見る者を飽きさせません。

そうして加速度的に展開していく物語は、結末に近づくともう一度ゆったりとした時が流れるようになります。

一度は人柱となり、その命と引き換えに再び晴れをもたらしたのですが、天気よりも陽菜を取り戻すことを選択した帆高の行動により、陽菜は無事に戻ってくることができ、その代償として東京は一切止むことのない雨が降り続くことになります。

帆高はその後逮捕されて保護観察処分になり、高校を卒業するまでの3年間を大人しく過ごし、大学に進学するために東京に戻り、一度は告白をしようとした場所で陽菜と再会を果たすことになります。

陽菜が戻ってからの時間、本来であれば騒々しさすら感じることのある雨が降り続くのですが、それまでの逃走劇との対比もあり、雨の東京のシーンはとてもゆったりとした時間が過ぎているように感じます。

『天気の子』まとめ

以上、ここまで映画『天気の子』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 物語だけでなく背景や音楽など、何度も見て堪能したくなる部分がたくさん盛り込まれている
  • 新海誠監督の強すぎるほどのこだわりが随所に感じられる
  • 現実で起きる異常気象や天気の急激な変化にも注目したくなる

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