『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』はセカンドライフに差し掛かった男女の切ない恋を描くドラマで、原作は弘兼憲史氏の短編漫画です。
離婚が珍しいことではなくなり、卒婚、人生のリスタートといった概念が一般化した昨今、とても興味深いドラマです。
家庭や職場での世間体、親の介護、思いもよらぬ病気など、背負うものがある黄昏世代の恋愛には多くの枷が立ちはだかります。
その主人公を演じる佐々木蔵之介さんは、知性漂うルックスと抜群の演技力で、一人の男性、夫、父、社会人、友人と様々な顔を見せています。
その妻役の中山美穂さんは、主婦の苦悩を演じながらも、娘の婚約者との淡い恋を描いたシーンでは、まるで少女のようでもありました。
そして黒木瞳さんは、人生最後の恋に足を踏み入れていく様を可憐に演じていると同時に、この世代が直面する過酷な現実を奥深く演じています。
目次
『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』ってどんなドラマ?
あらがえない運命の恋…佐々木蔵之介さん、中山美穂さん、そして黒木 瞳さんが織り成す人生の岐路にたたずむ男女の切ないラブストーリー
原作は、1995年から「ビッグコミックオリジナル」にてロングランで連載されている弘兼憲史氏による大ヒット漫画「黄昏流星群」。
2000年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞するなど高い評価を受ける名作です。
今作では、短編オムニバスとなっている原作の中から傑作の一つと言われている第1集「不惑の星」をベースに、人生の折り返し地点を通り過ぎた男と女が図らずも落ちてしまったあらがえない運命の恋、その恋を取り巻く大人たちの人間ドラマを丁寧に描いていきます。
主人公のエリート銀行員に佐々木蔵之介さん、献身的な妻に中山美穂さん、そして主人公が恋に落ちる運命の女性に黒木瞳さんと豪華メインキャスト3人の出演が決定。
それぞれに事情を抱え、人生に恋に葛藤し交錯する男女三人を重厚に演じます。
出典:『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』公式ページ
『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』主要キャスト
佐々木蔵之介 / 役:瀧沢 完治
- 入社以来仕事一筋の若葉銀行新宿支店支店長。
- しかし、理不尽な理由で子会社への出向を命じられ、仕事一辺倒だった自分の人生に疑問を抱き始める。
- 妻の真璃子や娘の美咲とも距離ができている。
- 人生を見失って出張と偽り行った旅行先のスイスで目黒栞と出会い意気投合してしまう。
中山美穂 / 役:瀧沢 真璃子
- 完治を献身的に支え、一人娘の美咲を大切に育て上げてきた専業主婦。
- 完治が左遷を黙っていたにショックを受け、さらに浮気を疑うも口に出せずにいる。
- 娘の婚約者・日野春輝と出会い、優しくされるうちに心が惹かれ始める。
黒木瞳 / 役:目黒 栞
- スイスに単身旅行中の完治とたまたま出会う女性。
- ずっと親の介護で自分の人生を犠牲にしており、孤独を感じてたときに完治と出会い惹かれていく。
- 帰国後、二度と会うことがないと思っていた完治と思わぬ場所で再会する。
『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』あらすじ
瀧沢完治(佐々木蔵之介)は勤続28年の銀行マン。
懸命に勤めた甲斐あり、若葉銀行新宿支店長にまで上り詰め、自他共に認める出世頭だった。
優秀ゆえ、部下の女性から熱い視線を送られることもあるが、完治は応えない。
不倫は出世の致命傷になるし、興味がなかった。
妻の真璃子(中山美穂)もその点は完治を信用し、ずっと支え続けている。
働き詰めの完治と時間をあまり共有出来ない真璃子の生きがいは娘、美咲(石川恋)。
その状態がもう20年以上続き、夫婦にはそれが日常になっていた。
そんな中、真璃子は美咲から、近々恋人の日野春輝(藤井流星)を紹介したいと言われ、ショックを受ける。
自分から娘を取ったら何が残るのか、そしてこれから先どうすればいいのか…。
一方、最優秀店舗賞まで獲り、すぐにでも本店への昇進かという完治にも思わぬ出来事が起こる。
出向を言い渡されてしまったのだ。
派閥長の不祥事の巻き添えで自分は切られた、と知った完治は、街を彷徨い場末の居酒屋でボロボロに飲み潰れる。
そんな完治は目の前のグラスの氷を見て、ふとあることを思いつき…。
数日後、完治の姿はスイスにあった。真璃子には出張だと嘘をつき、一人で来てしまった。
しかし、生憎の悪天候でマッターホルンには登頂はもちろん見ることも出来ない。
それでも完治はマッターホルンへのロープウェイに乗る。
吹雪の中、自分一人だと思っていたゴンドラに日本人女性、目黒 栞(黒木瞳)が乗り込んできて…。
出典:『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』公式ページ
『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』を視聴できる動画配信サービス
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【ネタバレ】『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』感想レビュー
完治(佐々木蔵之介)
栞(黒木瞳)との恋
瀧沢完治(佐々木蔵之介)は若葉銀行勤続28年の銀行マンです。
仕事一筋で、新宿支店の支店長にまで登り詰めました。最優秀店舗賞まで獲り、本店への昇進を期待した完治ですが、派閥長の不祥事に巻き込まれ、出向を言い渡されます。
どん底に突き落とされた完治は、居酒屋で飲みつぶれます。
目の前にあるグラスの氷を見て、あることを思いつくのでした。数日後、完治の姿はスイスにありました。
悪天候の中、マッターホルンへのロープウエイに乗った完治は、乗り込んできた日本人女性、目黒栞(黒木瞳)と出会います。
上は猛吹雪で、栞が傘を広げるのを完治が手伝うと、傘が飛んで行ってしまいました。
下に戻り夕食を共にすると、完治は、家族にも言えなかった出向のことを素直に話している自分に気づきました。
外に出てみると、空は晴れて月がきれい、流れ星も見えました。
旅に出ると心が解放されます。完治はいっしょに飲もうと部屋に誘い、栞にキスをしてしまいます。
動揺した栞に部屋を出て行かれ、それっきりスイスで栞と会えませんでした。
帰りに、赤い傘が目に留まり購入し、帰国するのでした。この赤い傘が二人の距離を縮めていくことになります。
数日後、完治は出向先の荻野倉庫を見にいき、社員食堂に立ち寄ると、偶然にもそこで働いていた栞と再会します。
驚いて逃げ出した栞を引き止め、「会いたかったです」と口にします。
傘を送りたいと言って、栞の母が入居する施設の住所を教えてもらいました。
その後、傘のお礼をしたいと電話があり、完治は舞い上がります。
初回のデートは、美術館に出かけ、そのあと居酒屋に行きました。
帰り際に、栞のさみしい独り身の本音を聞くと、完治は「僕で良かったらいさせてください。時々で良いですから」と言うのでした。
二人は山へ行く約束を4回しています。
最初は、約束の日、若葉銀行のゴルフの接待をすることになってしまいました。
仕方なく出向いたものの、新入社員のように駒使いさせられた挙句、常務から嫌がらせを受け、堪忍袋の緒が切れた完治はゴルフ場を抜け出し、三崎にいきます。
栞を誘い出すと、二人は美味しい魚料理を食べて帰ってきました。銀行に対する忠誠心が薄れてきています。栞のせいでしょうか。
2回目は、二人で山登りに出かける途中、栞の母が骨折したと連絡が入り、断念してしまいます。
中年の二人にはいろいろなことが起こります。仕方ありません。
3回目は、居酒屋の帰り栞をホテルに誘ったものの、美咲との鉢合わせで、結ばれることは叶わなかった翌日に約束します。
しかし、美咲が提案した家族旅行で、またしてもキャンセルしてしまいました。
完治の家族旅行中に栞の母親が亡くなります。完治は驚いてすぐ連絡しますが、「もう私に関わらないでください」と返信がきます。
いつもの居酒屋で亭主の徳田(小野武彦)に愚痴ると、「難しく考えるなよ。自分がどうしたいのか、ただそれだけのこと」と言ってくれました。
他人の言葉に真意があり、ハッとするものです。完治はすぐに栞の家へ行きました。
そして、何もできなかったことを謝ると、栞から完治に電話をしてしまって真璃子が出たことを聞くのでした。
栞は「帰ってください」と玄関に押しやりますが、完治は戻ってきて栞を抱きしめてキスをします。
ついに完治と栞と結ばれました。翌朝、栞と朝食をともにし、清々しい朝を迎えました。
会社で残業をしていると、栞が来て手伝ってくれました。
夜空にはスイスで見たようなきれいな月が見えていて、二人はおにぎりを食べながら月を見ました。
しかし数日後、完治が栞の家に行くと、会社の同僚が出てきて、栞は別れたいと言っていたと告げられます。
完治は栞が体調不良で休んでいると知り、再び家を訪ねますが、栞は頑として会おうしません。
ある夜、完治がいつもの居酒屋に行くと、偶然栞が来ていました。
完治は、美咲の話をし「ただ一緒にいたいというのは自分と一緒だ」と言いました。
栞も「同じ気持ちだった、少しでも会えるのが毎日の生きる力だった」「好きでした。別れたくない」と言いました。
そして、ここで4回目の山に行く約束をします。
完治には女心は読み切れていません。栞は、ひそかに完治から身を引こうと決断していました。
週末も待ち合わせに現れず、完治が家に行ってみるともう引っ越していたのでした。
完治の前から栞の姿が完全に消えてしまいました。
しばらくして、真璃子から、栞の病気のことが書かれた手紙がきたことを知ると、完治はその場所から走り出して栞の所に行きました。
完治が栞の目の前に立つと、栞は泣き出します。完治はゆっくり近づいて栞を抱きしめました。
3年後、完治と栞はエーデルワイスカフェというお店をふたりでやっていました。
色々なしがらみから解放された二人のセカンドライフ、このような人生もあるのですね。
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仕事に対する姿勢
荻野倉庫に出向した完治は、最初のうちは煙たがられ、意見を聞き入れてもらえませんでした。
倉庫で台車の下敷きになり、救急車で運ばれ入院します。
友人の須藤がお見舞いに来てくれた時の会話から、新事業のアイディアを思いつきます。
退院後完治は、さっそく新事業の資料を提出します。
須藤との会話から、別れた家族の思い出の品を個別で預かるサービス「想い出ボックス」を考えたのでした。
上司の川本(礼二)も渋々了承し、新事業を軌道に乗せるため忙しい日々が続きます。
顔見知りのデザイナーに無償で「想い出ボックス」のホームページとアプリを作ってもらうと、口コミが広がり、順調に売り上げが伸びてきました。
他の従業員も手伝ってくれるようになりました。この辺のスキルは、さすがエリートという感じです。
社内では、「想い出ボックス」が評価され、川本との距離も縮まり飲みに行くほどの仲になりました。完治の人柄がにじみ出ています。
その後、異例の人事で若葉銀行に戻ることになります。完治は、不正融資内部調査委員会委員長を任されました。
その矢先、同期で融資部長の井上が非常階段から飛び降りました。
一命はとりとめましたが、一人で不正の罪をかぶろうとして、口を開きません。
完治は、真璃子の言葉をヒントに、真実を探るため井上の奥さんに会いに行くことにしました。
井上が子供と遊んでいる動画を見せてもらうと、会社からの電話に出ている井上の姿がありました。
電話の内容がしっかり聞こえ、これが決め手となり、執行役員の仕業だと暴くことができました。
完治の正義を貫こうとする信念が、組織悪を暴きました。素晴らしい活躍です。
しばらくして、完治は執行役員への昇進話がありましたが、「自分の可能性を確かめたい」と断ります。
翌日、家を出ていきました。
出向先でも新事業を立ち上げ、銀行に戻っても同期を救い、もうやり切った感があったのでしょう。
自由なセカンドライフの始まりです。
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娘に対する姿勢
完治は、婚約中でありながら、初老の男性の影がある美咲に対して心配していました。
完治はホテルのエレベーターで美咲と初老の男性が一緒にいるところを目撃します。
自分も栞を連れ添っていたので、お互いに秘密ができてしまいます。
そのため妻の真璃子には言えないまま、ことあるごとに美咲に忠告しています。
家族旅行中、婚約者の春輝(藤井流星)そっちのけで、美咲は頻繁に例の男性と連絡をとっていたので、完治が怒ると真璃子を大事にしろと逆ギレされてしまいます。
そして、PCで男性の正体を検索すると、城北女子大の戸浪教授(高田純次)だとわかり、さらに驚いてしまいます。
その後も怪しい行動をとる美咲を心配し、大学の戸浪教授を訪ねました。すると戸浪に家へと案内されます。
中は書籍や標本だらけで足の踏み場もなく、妻からは見放されていると言います。
完治は、「大人の分別を働かせてもらいたい、気持ちを弄ばないでもらいたい」と言うと、「弄んでるつもりはない、ただ一緒に時を過ごしているだけだ」「たまたま二人の時間、人生が重なってしまっただけだ」と答えるのでした。
完治は栞とのことを思い出して、何も言い返すことができませんでした。
しばらくして戸浪の妻・和代(松本留美)が訪ねてきます。
和代は、悪いのはお互い様だと言い、戸浪には癖があってそのうち捨てられるはずだから離婚はしないと言うのでした。
ここにも不思議な夫婦の形態があります。妻公認の不倫なのですね。
結納の直後、美咲は戸浪とロンドンに行く選択をします。
最後に成田空港で会い「行く、結婚したいわけじゃない、1分1秒でも一緒にいたいだけなの。」と言うのでした。
完治にとっては、大切な娘の逃避行ではありますが、自分と栞の関係と重ね合わせるところが多く、彼自身のその後の人生にも大きく影響したのではないでしょうか。
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妻に対する姿勢
仕事一筋だった完治は、妻との時間をあまり共有していませんでした。
出向のこと、美咲の不倫のことも秘密にしていました。
決定的に悪い夫というわけではないけれど、妻にとっては、疑心暗鬼になってしまうような態度を知らず知らずのうちにとっていました。
妻にとって最大の悪は栞との不倫ですが、これは同時期に自分も他の男性に惹かれていた真璃子にとっては、お互い様のところがあります。
完治の同期の井上の不正事件のことを真璃子が親身になって考えてくれたことを感謝し、真璃子とワインで乾杯をし、「本当にすまなかった。ありがとう、真璃子」と泣きながら謝るシーンもあります。これもまた完治の本心なのです。
その夜、二人は久しぶりに結ばれますが、翌朝、真璃子は離婚届を出してきます。
真璃子に「完治の心の中には別な人がいる」と確信されてしまうなんて、いったいどのような夜を過ごしたのでしょうか。
完治は驚きましたが、この言葉に後押しされ、その後の人生を決めることとなります。
妻が決心したから、自分もというあたりが、男の弱さを感じてしまいます。
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真璃子(中山美穂)
妻の真璃子は夫の完治を支え続けてきましたが、忙しい完治とのすれ違い生活から、生きがいは娘の美咲となっていました。
ある日、真璃子は美咲から恋人の日野春輝(藤井流星)を紹介したいと言われ、ショックを受けます。
一方、完治の浮気が気になっても、直接何も言うことができない状態が続いていました。
ある日、庭木のバラを手入れしていて、棘を刺してしまい指から出血していまいます。
すると「大丈夫ですか」と言って一人の男性が庭に入ってきて水道水で洗ってくれました。
その男性は、美咲の彼氏の春輝でした。これが二人の出会いです。
その後も、真璃子は夫に様々な疑惑を抱きながら過ごす中、心優しい春輝に惹かれていきます。
あるとき、夫へ不満がつのった真璃子は、自宅のパソコンで離婚について調べていました。
すると、美咲を迎えに来た春輝に見られてしまいます。
つい、グチってしまう言葉を丁寧に受け止め、励ましてくれる春輝に真璃子は救われます。
美咲の代わりに春輝と映画を見ると、真璃子は暗闇の中でドキドキしました。
家族旅行の際には、夜の散歩でキスをされてしまいます。このことは、真璃子の脳裏に焼き付いて離れなくなってしまいます。
夜の遊園地をデートしたこともありました。きらびやかなイルミネーションの中浮かび上がる楽しそうな二人の姿、夢のようなひとときですね。少女のような真璃子は、初々しいです。
真璃子は春輝と一緒に結婚式場周りもします。二人で腕を組んでバージンロードを歩き、うきうきする真璃子。
そのあと二人は深い話をしています。春輝は、美咲に好きな人がいるけど一緒にはなれないと告白されたこと、自分はすい臓がんの母を安心させるために早く結婚しないといけないと美咲にも言ってあることを告げます。
さらに春輝は自分が好きなのは真璃子だと告白すると「そんなの、おかしいでしょ。私のこといくつだと思ってるの?」と返します。
すると、春輝は「人を好きになるの、年って関係ありますか?世間から見ればおかしいことだとわかってます。ただ僕はあなたが辛いときに受け皿になれればと思っています」とストレートに熱く語るのでした。年上の女性冥利につきますね。
そんな中、美咲と春輝の結納が行われることになります。
真璃子は、美咲に本当にいいのかと尋ねますが、美咲は逆に完治のことを見て見ぬふりしている真璃子を攻めます。
真璃子は「家族でいたいから醜いものは出さないようにしている」というのでした。長年夫婦をやっていると、これも一理あるんですよねぇ。
結納を済ませたばかりの美咲が家を出てしまい、しかも相手は16歳も年上の戸浪だと知り、真璃子は驚愕します。
さらに完治だけがその事実を知っていたことに大きなショックを受け、その経緯を誤魔化そうとする完治にいっそう疑念を抱くのでした。
そんな真璃子に成田空港の美咲から電話があり、「元気でいてくれればそれだけでいい」と言うのでした。
娘はどうしたって巣立っていくもの、そう言うしかありません。
その後、真璃子は春輝と別れることにするのですが、冴の入院先からの帰り道、車の中で「行かないでください」と言って春輝は真璃子にキスをしました。
真璃子も春輝を抱きしめると、春輝はシートを倒しました。結局こうなってしまうのですね。
真璃子は家を出て行こうと思うと完治に切り出しました。一時、聡美の所に身を寄せるも行き場のなくなった真璃子は街を彷徨っていると、偶然にも春輝を見かけます。
母の介護で疲れ果てた春輝が心配で家を訪ねると、部屋の中が荒れ放題なのを見て掃除を始めるのでした。さすが主婦です。だめな人を見ると放っておけない気持ちわかります。
冴がホスピスに入るまで滞在しますが、冴がホスピスへ移ると、春輝との関係は終わりにしてほしいと言われ、瀧沢家へ戻ります。
真璃子に春輝から会いたいというメッセージが届きましたが、もう会えないと断って登録を消しました。
やはり、病気のお母さんに反対されたら、逆らえませんよね。
色々なことがひと段落した夜、真璃子と完治は久しぶりに結ばれました。
しかし翌朝、真璃子は離婚届を出して、「完治の心の中には別な人がいるし、自分にも好きな人がいるから新しい人生を歩いていく」と告げました。いろいろなことがあり出した結論。やはり女性は強いです。
真璃子のもとに、久しぶりに春輝から電話が来ました。冴に呼ばれ会いにいくと「春輝を見守ってくれ」とお願いされました。
親も公認ということになりました。3年後、真璃子はパン屋を開いていましたよ。
夫に疑念を抱きながらも、娘の婚約者と恋に落ちるなんてと思ってしまいますが、最近この手のドラマが多いのは時代の流れでしょうか。
当の娘から奪うというよりは、娘の婚約者に対する失礼な行動が起因していることが救いです。
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栞(黒木瞳)
栞は、認知症の母を介護する独り身の中年女性です。
母を施設に預けたのを機に一人スイス旅行をしたとき、完治と巡り合います。
運命のいたずらで、職場で再開し、積極的な完治の誘いにとまいどいながらものめりこんでいきます。
栞は、「こんなことあるんですね、生きててよかった」としみじみ言ったのが印象的です。
完治の行きつけの居酒屋に行き、本来の自分をさらけ出します。
帰りがけにきれいな夕焼けを見ると、「夕焼けを見ているとさびしくなる、いつもじゃなくて時々でいいから隣に誰かいてもらいたい」とつぶやきました。こんなかわいらしい健気な栞に完治は惹かれたのでしょう。
会えなかった日々が続き、やっとデートをした帰り際には、栞は完治に抱きつき「今日は楽しかった、楽しいことって長続きしないって思ってた」と言って完治に自分からキスして家に帰っていきました。ちょっと積極的になったところも素敵です。
山登りの約束もなかなか果たせません。その代わり、三崎港で食事をしたり、母の施設にきてくれたりと完治なりに誠意を尽くしてくれます。それが栞には十分伝わっているのでしょう。
認知症の栞の母の言動には、本人が無自覚だからこそ現れてしまう核の部分が垣間見えて考えさせられます。
完治のことを夫だと思ってしまい一緒に寝てくれと言ったり、完治の手を自分の胸に当てるなどの行為をしてしまいます。
そして栞が止めると、暴れ出してしまいました。これ以降、栞の母は夫婦生活のことを嬉しそうに話し出すようになりました。
また、それを聞いた独身の栞が「うらやましくなってしまって、自分がこのまま終わってしまうと思って悲しくなった」と言うのもよくわかります。
最後は眠るように逝ってしまった母でしたが、その直前には、栞が寂しそうな顔をしてると「あなたには私がいるからいいじゃない」と言ってくれました。
栞は一瞬元に戻った母親を見て嬉しくなりました。親子って不思議です。
栞は、母親が亡くなった寂しさから完治の携帯に電話をしますが、真璃子が出ると「間違えました」と切りました。
それを機に、本心に逆らって「もう私に関わらないでください」と突っぱねますが、葬式の帰りに家に来た完治を受け入れることとなります。幸せなひと時だったのでしょう。朝の二人の笑顔が物語っていました。
しかしその後、会社の事故で完治が入院した際、病院に駆け付けた姿を娘の美咲に目撃されてしまい、完治と別れてほしいと言われてしまいます。
一方、自分の体の異変にも気づき、病院に行くと糖尿病と診断されます。栞は、ひそかに完治から身を引こうと決断をするのです。
週末も待ち合わせに現れず、「素敵な景色をたくさん見せてもらいました。忘れません」というメッセージを残します。その後、完治の前から完全に姿を消します。
栞は漁村で知り合った女将さん(美保純)の食堂で働いていました。
完治の記者会見のニュースを見て、彼のことが記載されている週刊誌を大事に持っていました。
ある時、そのことに勘づいた女将さんが、完治の銀行宛てに手紙を送ります。
真璃子経由で事実を知った完治の行動は言うまでもありません。完治が栞の目の前に立つと、栞は泣き出します。
完治はゆっくり近づいて栞を抱きしめました。
大人の恋は、実ります。3年後、完治と栞はエーデルワイスカフェというお店を二人でやっていました。
不倫が純愛となり実を結ぶ、まさに第二の人生です。
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