DeNAとバンダイナムコアーツによるメディアミックスプロジェクト『takt op.(タクトオーパス)』から登場したアニメ『takt op.Destiny』。
音楽が失われた世界を舞台に、有名な歌劇や楽曲の力を宿した少女・“ムジカート”と、彼女たちを指揮する“コンダクター”が、ともに戦う姿を描きます。
目的の地・ニューヨークに辿り着いたタクトたち。
アンナの姉であり、シンフォニカの技術開発部門に勤めるシャルロッテと再会します。
シャルロッテは不完全なムジカートである運命を検査し始めましたが、アンナはタクトの異変に気付きました。
タクトの右腕に刻まれた痣、それはまるでタクトの身体を蝕むように大きく広がっており……。
前回第8話のラストで示唆されていたタクトの痣の異常。
そこにはどんな秘密が隠されているのでしょうか。
早速、アニメ『takt op.Destiny』第9話をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『takt op.Destiny』前回第8話あらすじと振り返り
コゼットを死に追いやったのがシントラーだと知り、怒りのままに飛びかかったタクトは異常な身体能力を発揮しますが、地獄に返り討ちにされてしまいます。
血を流して意識を失っているタクトを抱えてシントラーたちのもとから逃げ出した運命は、豪雨の山中でタクトの看病を始めます。
洞窟の中で目を覚ましたタクトに、運命はあのままでは二度と一緒にいられなくなる、タクトのピアノを聴けなくなる、作曲だってまだ終わっていないと、思いの丈を伝えました。
すると、タクトは自分には音楽を聴かせたい相手がいなくなったのだと呟きます。
その相手がコゼットだと気付いた運命に、タクトは初めてコゼットへの想いを語りました。
一方その頃、タクトたちの身を案じていたアンナは、山の麓でレニーと巨人に出会い、人為的にD2が呼び起こされていることや、タクトたちが狙われていることを知ります。
そして、今まではコゼットを重ねてしまっていた運命と、改めてちゃんと向き合いたいとレニーに伝えるのでした。
雨が止んだ山中では、タクトを置いて一人でシントラーたちに立ち向かう運命の姿がありました。
タクトの命を吸ってしまっているから、とマエストロの力を借りずに戦う健気な運命に興味を惹かれた地獄は、運命を追い詰めていきます。
そこに現れたタクトに猶予を与えるように、助けにやって来たレニーと巨人。
レニーたちがシントラーと地獄を引きつけている間に、タクトは初めて運命の名を呼び、「遠慮なく僕の命を使え」と伝えました。
今度はコンダクターとムジカートとしての力を発揮し、地獄に挑むタクトと運命。
そんな戦いの最中、突如として現れたのはムジカートの天国でした。
天国はザーガンから指示を受け、シントラーの主席指揮官という肩書きとシンフォニカでの権限を剥奪するとの命令を告げに来たのです。
それは人為的にD2を呼び起こしていたことを咎める内容ではなく、あくまでタクトへの接触禁止命令を破ったことを理由とした不可解なものでした。
半狂乱のシントラーを置いて下山したタクトたちを待っていたアンナは、タクトと同様に初めて運命の名を呼びます。
お互いの存在をハッキリと認め合い、向き合ったアンナと運命はひしと抱き合うのでした。
その隣で、タクトは書きかけの五線譜を眺めます。
――コゼット、僕は先へ進む。 この音を繋げていくために。
心の中でそう呟くと、ふと指先に違和感を覚え、自身の右肩を見やりました。
戦闘後も尚、赤く染まったままの右肩を……。
【ネタバレあり】アニメ『takt op.Destiny』第9話あらすじ・感想
目的の地・ニューヨーク
誰かと電話をしているレニーを心配そうに待つ巨人。
レニーはその誰かから、半狂乱に陥ったシントラーがとある施設に収容された後の様子を聞いているようでした。
電話を終えたレニーに、巨人は自分がみんなを守ると宣言します。
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一方その頃、タクトたちは目的地のニューヨークに辿り着いていました。
世界の中心といっても過言ではないこの街は、D2の被害からも徹底して守られ、その昔と変わらない姿が保たれているとアンナは語ります。
しかし、そんな大都会を車内から眺めるタクトだけは、音楽が失われては昔のままとはいえないと呟きます。
いつの間にか秋になり、長袖を着こむ季節になった今、タクトのジャケットの袖口から覗く赤い痣……。
運命がそれを見つめていると、車はようやく目指していた場所に到着しました。
そこでは車椅子に乗った女性――アンナとコゼットの姉であるシャルロッテ(加隈亜衣)と、彼女たちの両親が待っていました。
アンナだけでなく運命のことも優しく受け入れた家族を見て、タクトはそっと微笑みます。
事前にレニーがシャルロッテへ伝えてくれていたこともあり、運命は早速シンフォニカの研究所で調律を受けることに。
その際、運命はタクトに右腕の異常を見てもらうようにと告げます。
そこで初めてタクトの異変を知ったアンナは、タクトの右腕に赤い痣がハッキリと刻まれていることに衝撃を受けます。
アンナは心配しつつもタクトはそういう奴だとすぐに思い直し、シャルロッテのもとへ二人を送り出しました。
検査を受けながら、運命はシャルロッテに問いかけます。
「コゼットは今、私のどこにいるのでしょうか」
シャルロッテは静かに、きつく自分の手を握るのでした。
延命
検査の結果、タクトと運命は互いに喰らい合い、支え合っているともいえる状態だということがわかりました。
元々の資質がなければ、そもそも覚醒しないはずのコンダクターとムジカート。
二人は何も知らず、こうなることを望んでもいませんでしたが、あの時に干渉し合っていなければ、死んでいてもおかしくなかったのです。
そんな歪な二人が今の状態を保つのは難しく、このまま戦いを続ければ、そう遠くない未来に共倒れになってしまうといいます。
タクトは右腕だけでなく身体のあちこちを侵食されており、シャルロッテによると戦いさえしなければ、二人は命を引き伸ばすこともできるそうです。
タクトは自分の右手を見つめながら、静かにその言葉を噛みしめていました。
翌朝、夜通し作曲に励んでいたタクトのもとに、アンナたちがやって来ます。
五線譜が散らばった部屋で目の下に隈を作ったタクトの不機嫌な様子は、彼女たちの想定内。
タクトが反抗したとしても、街へ連れ出します。
シャルロッテの案内でニューヨークの街を楽しむ彼女たちを見て、タクトも少しずつ笑顔を取り戻していきました。
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水族館に行くと、並んで大きな水槽を眺めるタクトと運命の姿がありました。
そんな二人の後ろ姿を見て、複雑そうな切ない表情を浮かべるアンナとシャルロッテでしたが、そっと手を取り合って気持ちを立て直します。
そして、アンナはあることを思い付き、シャルロッテの耳元でそれを伝えるのでした。
家族
アンナはシャルロッテとともに帰らなければいけなくなったと伝え、タクトに運命の世話を頼みます。
自分たちも一緒に帰ると言い出すタクトでしたが、アンナは甘いものに目がない運命に、タクトにスイーツをおごってもらうよう言いました。
すると、運命は目の色を変え、教えてもらったカフェへと歩き出します。
アンナとシャルロッテは、タクトと運命を二人きりにしようとしていたのです。
シャルロッテの車椅子を押しながら、アンナはこれまでに起きた出来事を語っていました。
話を聞いたシャルロッテはアンナを労いながらも、タクトと運命はいいコンビだと評します。
運命をいい子だと言えば、アンナは当たり前のように、コゼットと同じ私たちの妹だからと呟きました。
シャルロッテは再び静かに、きつく自分の手を握るのでした。
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一方、二人きりにされたタクトと運命は、ずっと昔に非業の死を遂げたミュージシャンの記念碑を見つけます。
そこには人が集まっており、今も尚、手紙や花が手向けられていました。
そばにいた老女から薔薇の花を一輪ずつ渡された二人は、記念碑にその薔薇を手向けながら、音楽を待っている人や愛している人がたくさんいることに改めて気付きます。
自分たちが諦めない限り、ここにあるのだと。
この場所ではかつてオーケストラの演奏が行われたり、花火が上がったりしたのだと語るタクトに、運命は自分もオーケストラを聴いてみたいと話します。
そして、これからどうしたいのかとタクトに問いました。
自分は戦わない生き方というものをわかっていなくても、タクトが作曲を続けながら、静かに生きていくという方法もあるのだと。
それでも、タクトは戦う生き方を選びました。
「ベートーヴェンの5番だ。 D2を全部倒して、音楽を取り戻したら、この場所で一緒に聴こう」
タクトと運命は、そんな約束を交わすのでした。
エロイカ
研究所に戻ったシャルロッテのもとに近寄る人影。
親しげに話しかけ、そっと飲み物を手渡したのは天国でした。
例のムジカート――運命の調律の進捗を問う天国に、シャルロッテはまだまだこれからだと真剣な面持ちで答えます。
隣に立つ天国が、優しげな話し方とは真逆の、冷え切った表情をしているとも知らずに……。
その頃、運命は街であの音叉の音を感じ、タクトとともにアンナのところへ戻りました。
ただならぬ顔つきで帰ってきた二人の様子に、何かあったのかと心配そうに聞くアンナ。
タクトが説明しようとした時、レニーから電話がかかってきます。
今すぐ家族を連れてニューヨークを出るようにと告げるレニーはいつも通りの優しい口調でしたが、タクトはもう異変に気付いていました。
まるで今生の別れのようなレニーの言葉に、タクトは何が起きているのか問います。
機密事項だから話せないというレニーに自分は部外者ではないと伝えるタクトは、いつかのレニーの言葉を借りて、もう観客でいるつもりはないと言い切ります。
すると、タクトの気持ちを受け取ったレニーは、改めてタクトの覚悟を問いました。
真実を知る覚悟を。
このシンフォニカと、10年前に起きたあのボストンでの事件について、知る覚悟を。
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アニメ『takt op.Destiny』第9話まとめ
いかがだったでしょうか。
ようやく目的の地・ニューヨークに辿り着いたタクトたちでしたが、優しい時間も束の間、D2の影がすぐそこまで迫ってきています。
タクトと電話をしているレニーがいる場所は大都会で、どうにもニューヨークに見えますが、そこはもう壊滅状態になっていましたね。
次回第10話では、ついにシンフォニカの実態と、ボストンでの事件の真相が明かされるのでしょうか。
サブタイトルにもなっている“Eroica”はイタリア語で「英雄的な」という意味を持ちますが、ベートーヴェンの交響曲3番『英雄』を指す言葉でもあります。
本作での英雄といえば、やはり思い浮かぶのはザーガン。
未だタクトたちと直接顔を合わせていないだけに、要注目の存在です。
次回の展開に期待が高まります。