映画『台風家族』あらすじ・ネタバレと感想!草彅剛主演、強盗犯だった父親の相続争いから見えた家族の絆とは

映画『台風家族』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『台風家族』公式ページ

父親が強盗犯というだけで、自分たちは何もしていなくても世間から冷たい目で見られ続けてそれぞれバラバラに過ごしていた家族が、両親の葬儀をきっかけに集まり、相続争いの話になったことから急展開する話のスピード感はまさに台風のよう。

金を全部自分のものにしようとする欲望を露わにする長男を演じる草彅剛の憎たらしい演技にも注目です。

ポイント
  • 背景は基本、家の中。それなのに十分すぎるほどの見ごたえ。
  • 話が進むにつれて明らかになる、長男・小鉄の思惑。
  • 家族以外の人間から語られる両親の本当の姿に涙。

それではさっそく映画『台風家族』のあらすじと感想をネタバレありでご紹介いたします。

映画『台風家族』作品情報

作品名 台風家族
公開日 2019年9月6日
上映時間 108分
監督 市井昌秀
脚本 市井昌秀
出演者 草彅剛
新井浩文
MEGUMI
中村倫也
尾野真千子
甲田まひる
若葉竜也
榊原るみ
藤竜也
音楽 スパム春日井

映画『台風家族』あらすじ・ネタバレ


主演の草彅剛を固める豪華キャストに注目

今作の主人公であり、家族同士のやり取りの軸にいるのは、長男・鈴木小鉄を演じる草彅剛

銀行強盗をした父親・一鉄を日本映画界の大御所俳優である藤竜也が演じているほか、長女・麗奈役をMEGUMI、三男の千尋を最近ドラマに引っ張りだこの中村倫也が演じており、出演キャスト全員がドラマや映画で人気を博している俳優ばかり。

その中でも物語序盤で最悪のゲスっぷりを見せる草彅剛の演技は見ていて本当に憎たらしく、イライラさせられます。

しかし、そのゲス加減がこの物語ではとても重要なポイントとなるのです。

そもそもなぜ小鉄は実の兄弟を前に、長男であるにも関わらず誰もが呆れるほどのゲスっぷりを恥ずかしげもなく見せることができるのか。

物語冒頭、両親が銀行強盗をした直後のシーンとして小鉄がマスコミに質問攻めされるシーンがあるのですが、そこで小鉄の娘・ユズキが小鉄を守ろうとするシーンがあり、その場面での小鉄はそこまでゲスな男である様子はありません。

つまり、小鉄は元からゲスだったわけではなく、時間が経過するにつれてゲスな性格になっていったことが分かります。

ではそのきっかけとなったのは何だったのか。それが明らかになった時、この物語はただの財産相続の言い争いから急展開を見せるのです。

銀行強盗から見えてくるある社会問題

なぜ一鉄は銀行強盗を実行したのか。そして、なぜ金を奪った後に家族に何も言わずに姿を消してしまったのか。

強盗をするということは金が必要だったことは間違いありません。

物語前半では、銀行強盗をした人間の家族として自分たちも世間から冷たい目で見られてきたことで、小鉄たちも一鉄に対して強い恨みを感じているようでした。

しかし、実は一鉄が家族に対して銀行強盗をした理由だけでなく、家族には他にも秘密にしていたことがあったのです。

それは、一鉄の妻・光子(榊原るみ)についてでした。一鉄と光子の葬儀のために小鉄たちが実家に集まっている時に、大量の紙がしまってあるのを発見します。

その紙は家のいたるところに貼っていた“張り紙”で、その内容はその場所がどんな場所なのか、そして何をしてはいけないなど、注意書きのような物でした。

これを見て、小鉄たちは光子が認知症にかかっていたことを初めて知るのです。兄弟全員が実家を出て行ったあと、一鉄は一人で光子の介護をしていたのでした。

では、銀行強盗も光子の介護費用などに困ってしたことなのか。そうではありません。

光子が認知症になった初めの頃は、「あなたは誰?」と言われながらも一鉄は優しく光子に話しかけながら介護をしていました。

しかし、それが延々と続けば、現代社会で実際に問題になっている介護疲れが起きてきます。日が進むにつれて、一鉄も気が抜けたようになりながらも光子に食事を与えたりするようになっていました。

その一鉄の姿からは、小鉄が役者を夢見て家業である葬儀屋を継がずに家を出ていこうとした時、鉄拳で小鉄を制裁した時の力強さはもうありませんでした。

銀行強盗をした本当の理由

光子が認知症だったことは判明しましたが、なぜ一鉄が銀行強盗をしたのか。その真意を小鉄たちは分からずにいました。

その時、一度は帰宅したはずだった次男・京介(新井浩文)が一人の女性(長内映里香)を連れて戻ってきます。

10年前に発生した銀行強盗犯の家族が今何をしているのか世間は興味があるはずだと、一鉄の葬儀に集まった兄弟の様子を三男の千尋(中村倫也)が収益目当てでライブ配信していたのですが、女性はそのライブ配信を見て駆けつけていました。

そして、一鉄が銀行強盗をすることになったのは自分のせいだと泣いて詫び始めます。

富永月子というその女性は、当時入った会社で振り込め詐欺の電話をかけさせられていて、その時に一鉄に電話をしていました。その内容が「小鉄が事故を起こしてしまい、その解決のために2,000万円が必要」というものでした。

2,000万円。この額はまさに一鉄が銀行から奪った金額と一致します。

その話を聞いても小鉄は自分が運転免許を取ったことは黙っていたから、一鉄がそんな話を鵜呑みにするはずがないと信じません。

しかし、ユズキ(甲田まひる)が小鉄の実家に帰った時に一鉄と話していて、小鉄が免許を取ったことをつい口走ったことがあったと打ち明けます。

さらにその電話がかかってきた時には、すでに一鉄は光子の介護で疲弊していた時でした。そうした状況が重なり、一鉄は本当に小鉄が事故を起こしたと信じたことが確信的になります。

一致団結

父親はただの欲望だけで銀行強盗をしたわけではなく、家族のことをいつでも考えていた。そのことが分かった鈴木家。

実は小鉄もただ金が欲しくて遺産を独り占めにしようとしていたのではなく、ユズキが海外へ留学したいが家庭の金銭面でその夢を諦めようとしていることを知っていて、なんとかユズキの夢を叶えようとするべく、親の遺産をもらおうとしていたことが判明します。

そうしてそれぞれの想いが明らかになった鈴木家は相続争いなんてどうでもよくなり、父と母の行方を捜すことにします。

兄弟が子供の頃に家族旅行で行こうとしていたが、台風が接近したために行くことができなかったキャンプ場。

きっとそこに父と母は向かったのではないかという予想を立て、鈴木家と、自分の電話からこうなってしまったことに責任を感じていた月子、一部始終を見守っていた麗奈の彼氏・佐藤登志雄(若葉竜也)の一行は車に乗り込みます。

奇しくも台風のため暴風雨が吹き荒れていました。しかしそんなことはお構いなしに、キャンプ場に到着した一行が豪雨の中で道を歩み進めていくと、川沿いに2体の寄り添う形で残っている白骨を発見します。

それは、足を滑らせて頭を打ってしまって動けなくなった一鉄と、認知症が末期になり、年齢的にもこれ以上動くことができなくなってしまった光子がそのまま息を引き取った姿でした。2人を見つけたのもつかの間、2人の骨は台風によって川に流されてしまいます。

車で必死に後を追いかけ、たどり着いたのは海。もう取りに行くこともできない距離まで沖に流された二人の骨を家族は見届けます。

しかし、そこに悲しさはなく、わだかまりも解けてみんな笑顔になっていました。

記念写真を撮るために月子がシャッターを押すと、そこには家族と一緒に笑顔の一鉄と光子の姿も映っていました。

映画『台風家族』の感想

ただのファミリーコメディ映画ではない

『台風家族』というタイトルで、内容が銀行強盗をした父親の遺産相続の話と聞くと、家族同士のドタバタを描いた作品のようなイメージを持たれるかもしれません。

しかし実際は、父親が犯した銀行強盗という犯罪行為から、介護や振り込め詐欺まで、社会問題になっている家族の絆を凝縮した物語です。

それも初めから大っぴらにするのではなく、謎解きのように少しずつ明らかになっていくことで映画としての完成度を高めています。

確かにコメディ要素も散りばめられていて笑えるシーンも多くありますが、見終わった後には家族に連絡したり、大切な人の顔を見たくなる、そんな温かい映画に仕上がっています。

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映画『台風家族』まとめ

以上、ここまで映画『台風家族』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 相続争いから始まって最初に感じるイライラとモヤモヤがすっきりとなくなる結末
  • 家族の大切さを再認識させられます。実家を離れている人にはなおさら。
  • 感動はするけどしんみりじゃない。心が晴れ晴れとする感動が得られます。