利益を追求する製薬会社の思惑により妻を失った男が、家族を死に追いやった者への制裁と真実を追い求める物語。
ジェイソン・モモア演じるレイの回想から始まる物語に、ふと不安がよぎる『スイート・ガール』。冒頭の「過去は夢のようだ。
残像と感情は生き様を雄弁に語る。」という意味深なセリフから迫力あるアクション、そして予想すらしなかった衝撃のラストに驚きが隠せない作品です。
・愛するものを失った痛み
・記者からの取材
・黒幕への復讐
それでは『スイート・ガール』をレビューします。
目次
【ネタバレ】『スイート・ガール』あらすじ・感想
利益優先の製薬会社
レイ・クーパー(ジェイソン・モモア)たち家族は、妻のアマンダ(アドリア・アルホナ)のガン治療に新薬の投与をする段階にありました。
妻アマンダの苦しい闘病生活の中にあっても家族の絆は固く、レイは娘レイチェル(イザベラ・マーセド)の成長を目に細め、治療薬は家族に明るい未来をもたらすと信じて疑っていませんでした。
そんな家族に暗雲が立ちこめたのは、利益を追求する製薬会社バイオプライム社の新薬販売中止のニュース。
とん挫した投薬治療に怒りを覚えたレイは、テレビの討論番組に出演するバイオプライム社CEOのサイモン・キーリー(ジャスティン・バルタ)に、電波越しに「妻が死んだら、この手でお前を殺してやる」と口走ってしまうのでした。
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記者からの連絡
家族の願いもむなしく、アマンダを失ったレイとレイチェル。
高額な医療費の請求に半年たっても支払いに困る生活を送っていました。
そんなときに製薬会社の不正を暴きたいと記者マーティン・ベネット(ネルソン・フランクリン)からの連絡に応じて出かけたレイ。
父のレイが心配であとをつけたレイチェルが目にしたのは、用心深く地下鉄でレイと接触した記者のベネットに襲いかかる魔の手。
それを合図に始まったレイとヒットマンのエイモス・サントス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)との死闘に、レイチェルも応戦したものの、親子はサントスの凶行になす術もなく倒れるのでした。
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火ぶたを切った復讐劇
ヒットマンのよる記者殺害から2年が経ち、マーシャル・アーツのスパーリングにも熱が入るレイチェル。
そんなときに目にした、下院議員ダイアナ・モーガン(エイミー・ブレネマン)と手を組んだバイオプライム社のプレスリリース。
それをきっかけにレイは、バイオプライム社への復讐劇の火ぶたは切って落とすのでした。レイは、バイオマス社の資金調達のパーティーに、潜り込みCEOのキ―リーに迫ります。
そして2年前にヒットマンの依頼をした黒幕がキ―リーでないと知ったレイは、キ―リーとボディー・ガードを殺して会場を後にするのでした。
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追手から逃れる親子ふたり
レイがキ―リーを殺してしまったことで追われる身となったレイとレイチェル。しかし、追うのは警察だけでなく、正体不明のヒットマンたち。必死に殺し屋の魔の手から逃れるもののレイの行動についていけないレイチェルは、レイの目を盗んでFBI捜査官のミーカー(レックス・スコット・デイヴィス)に連絡をとり、助けを求めるのでした。
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ヒットマンとの会話
バイオプライム社の不正を追っていた記者とレイに暗殺依頼を出したのが、CEOのキ―リーでも会長シャー(ラザ・ジャフリー)でもないと知ったレイ。
大胆にもレイとレイチェルの前に現れては、関係者を次々に消していくヒットマンのサントスに休戦協定を提案して「黒幕は誰だ」と問いつめたのです。
そんなレイに驚くほどあっさりと、「黒幕は政治家のダイアナ・モーガン」であることを明かします。
そして、「また会おうレイチェル」と不敵な笑みを浮かべ声をかけるサントスを背に、レイとレイチェルはピッツバーグにいるモーガン下院議員のもとに向かうのでした。
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レイチェルの悲痛な心の叫び
レイとレイチェルの乗る逃走車がFBIに見つかり、車を捨て、ピッツバーグの街を疾走するレイ。
迫る警察の追跡をかわすレイの横にレイチェルはいません。そしてPNCパークスタジアムの屋根に追いつめられたレイに、語りかける捜査官のミーカー。
「貴女はあなた。主導権を握って。」というミーカーの言葉に、レイは目が覚めたような感覚にとらわれるのです。
実はこれまで、キ―リーを殺しヒットマンたちの死闘を繰り広げてきたのは、レイチェルひとり。
レイチェルの父レイは、2年前の記者襲撃と同じ日に、命を落としていたのです。
半年と置かず両親を失った不幸な記憶を夢のようにとらえ、残像と感情につき動かれ復讐の鬼と化していたのは、まだ18歳のレイチェルだった衝撃の事実。
父のレイと共に歩んでいたいと思うあまり、レイチェルとは乖離した人格のレイとして復讐に燃え、つき動かされていたのです。
そしてミーカーの呼びかけもむなしく、スタジアムの屋根から暗い川へと飛び込んだレイチェルは、父の無念を晴らそうと、汚職にまみれた政治家ミーガンの不正を暴くのに、道を急ぐのでした。
『スイート・ガール』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『スイート・ガール』をレビューしてきました。
・ヒットマンとの死闘
・製薬会社と政治家の影
・父の死
・乖離したレイチェルの人格
違和感を覚える理由
製薬会社と政治家の癒着を暴くアクション・サスペンスと思いきや、豪速の変化球のような、あっと驚く展開をみせた『スイート・ガール』。
主演のジェイソン・モモアの視点で物語を追いながらも、違和感をぬぐい切れず、どこにその違和感があるのかわからないまま物語は進みます。
そしてレイとレイチェル、ふたりの逃避行の不自然な態度やセリフが、後半になって真実に集約していく、そんな構成となっております。
ただ、復讐に燃えて、それを実行していたのが、両親を失い傷心した娘のレイチェルだった!
と衝撃の事実を明かされるタイミングが、早すぎると感じる視聴者も多いはず。
というのも、それまで父親のレイの視点で語られてきた物語が、ラスト30分を残して、大柄でタフな男性から小柄なティーンエイジャーの少女へと姿も視点が変わるのですから!
たどたどしく腑に落ちなかったレイの行動が、実はレイチェルの別人格としてのレイの姿だったと判明してからのクライマックスにジェイソン・モモアの登場はありません。
そこから物語のトーンから大きく変わるため、後半はまた違う意味で違和感を覚えるかもしれません。
視聴前にタイトルがなぜ『スイート・ガール』なのか?と疑問でしたが、最後にきて本当の主人公は娘のレイチェルだった!という驚きの展開。
あとで考えると、逃避行の間のレイチェルとレイが同じフレームにおさまることはなく、鏡越しの親子の視線のやりとりやレイチェルだけが映るシーンが多用されており、それが視聴者の感じる違和感だったと理解するのです。
レイチェル演じるイザベラ・マーセドの奮闘は称賛に値するものの、圧倒的な存在感を誇るジェイソン・モモアのアクションのないクライマックスに、物足りなさを覚えたのも確か。
製薬会社と政治家の癒着を暴くといった目新しさのないストーリーではありましたが、語り手が別にいる展開を予想していなかっただけに、制作陣の意気込みを感じられる作品になっております。是非、ご覧ください。
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