文化祭の廃止に抗議するために起こした事件が原因で燻っている5人と、その裏で起きていた“ある事件”。
複雑に絡み合う人間模様と、事件の核心にせまる超濃厚なストーリーに息つく暇もない作品です。
- 2010年公開の小栗旬初監督作品
- 脚本は『クローズZERO』『テルマエ・ロマエ』の武藤将吾
- 一瞬しか出てこないようなキャストたちも見逃せない!
それでは『シュアリー・サムデイ』をネタバレありでレビューします。
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目次
『シュアリー・サムデイ』作品情報
作品名 | シュアリー・サムデイ |
公開日 | 2010年7月17日 |
上映時間 | 122分 |
監督 | 小栗旬 |
脚本 | 武藤将吾 |
出演者 | 小出恵介 勝地涼 鈴木亮平 ムロツヨシ 綾野剛 小西真奈美 |
音楽 | 菅野よう子 |
【ネタバレ】『シュアリー・サムデイ』あらすじ
高校3年生、爆破事件。ことの始まり。
貴志巧(小出恵介)、眞鍋京平(勝地涼)、後藤和生(鈴木亮平)、北村雄喜(ムロツヨシ)、岩崎秀人(綾野剛)は文化祭の廃止撤廃に抗議するために嘘の爆破予告をして高校を占拠していました。
学校の外から宥めるために声をあげていた教師たちに対して、京平がマイクを使ってテンション高めに言葉たくみに文化祭の開催を訴えかけたところ粘り勝ちとも言うべきか。
5人は爆破事件が原因となり高校3年で中退し、巧は警察だった父親(竹中直人)を退職に追いやり、その父が経営するバーの手伝いをしています。
そんな巧と京平がだらだらと他愛ない話をしながら歩いていると、唐突に道端で事件が起こります。
黒い車、道路に倒れ込む金髪の女性。
野次馬心が騒いだ2人は側まで行ってみます。
そこで金髪の女性が車からおりてきた黒服の男から拳銃と車を奪って逃げていくという衝撃の展開に呆気にとられていると、黒服が声をかけてきました。
それは高校中退から色々あってヤクザになっていた和生でした。
巧の父親の店で京平と和生について話していると、何者かに追われている様子の和生が「かくまってくれ」と店に入ってきました。
その直後にやってきたのは和生の組の組長、亀頭(吉田鋼太郎)でした。
亀頭は「明日の夜までに和生と、彼が奪った3億円を用意しろ。約束を破ったら君たちと家族、皆殺し」と言って去って行きました。
荒らされた店内で茫然としているところに隠れていた和生が出てきて、3億円は昼間とられた車の中にあっただけで自分が盗んだわけではないと言い訳をします。
その車を奪って行った女は、10年前に巧が自分の母親だと勘違いして歌舞伎町まで会いに行った風俗嬢・ヒメノこと葉月美沙(小西真奈美)でした。
小学生の巧と、孤独な美沙
実際のところ巧は美沙を母親だと勘違いしていたわけではありませんでした。
父親が、母意外に好きになった相手がどういう人なのかを知りたかっただけでした。
2人きりになって話しているうちに、話題は巧の父親のことになりました。
AVも見ないような父が持っていた風俗雑誌に載っていた美沙にチェックを入れていたことが風俗店を訪れたきっかけ。
そんな父は刑事だと告げた時、美沙は雑誌に書き込まれていた“14:30”という時間に何かを察して顔色を変えました。
巧の父は美沙の客だったわけではなく、店に目を付けてガサ入れするつもりだったのです。
御用となった美沙は悲しげに「誰も私なんか好きにならない。私は汚れてしまったから」と言いましたが、巧は否定しました。
そして「君が大きくなったら、お嫁さんにしてくれる?」と聞いてきた美沙に、巧は「いいよ」と答えました。
それから10年。
また妙なことに頭を突っ込もうとしている巧たちに父は、そうやっていつまでも傷を舐め合って生きていろと冷たく言い放つだけでした。
巧は父の言葉を受けて、もう3年前の事件に縛られて何かのせいにして生きるのをやめようと決心します。
秀人の、今
巧と京平と和生は、秀人を探しに行きます。
広場で弾き語りをしていた秀人は、爆破事件から家を追い出されてプロになれるわけでもないのにとりあえず歌っているといった毎日を過ごしていました。
4人は歌舞伎町へ行き、10年前の雑誌の切り抜きを頼りに美沙を探します。
しかし店はなくなっていて手掛かりもなし。
そのうえ和生が組の人たちに見つかって追いかけられ、美沙を探すどころではなくなってしまいます。
全力疾走で逃げている間、秀人は美沙を知っていると言い出しました。
3年前、秀人が見掛けて憧れた路上ミュージシャン・宮城祐(横田栄司)の彼女が美沙でした。
その頃に音楽に目覚めた秀人は5人でバンドを組むことを提案して皆で文化祭に向けて練習をしながら、個人的に宮城と路上で弾き語りをしていました。
ようやくバンドとして演奏がそれっぽくなった頃に文化祭が廃止になるということを知り、5人は爆破事件を起こしたのでした。
秀人は事件の直後、気が付いたら宮城といつも弾き語りをしている場所を目指して走っていました。
しかし宮城は現れずそれ以来会っていません。
美沙はというと雄喜の父(モト冬樹)が働いている銀行の裏口で何度か見掛けていました。
4人は雄喜の家に行き、美沙のことを聞いてみようとします。
雄喜は事件以来ずっと部屋から出てこず、いわゆる引きこもり状態。
その原因となったのは雄喜の父の自殺でした。
何が原因か母(原日出子)はわからないと言いましたが、巧たちと起こした爆破事件が原因で自殺したわけではないとも言いました。
美沙の目論み、繋がる点と点
4人は宮城の居場所を探るべく3年前にバンドの練習をしていた頃、たまに話していたホームレス・やっさん(岡村隆史)に会いに行きます。
やっさんはよく宮城からお弁当をもらっていたから覚えていると言いつつ、ヤバい車に押し込められて連れ去られて以来見ていないと言いました。
そして4人は宮城が働いていたお弁当屋に行ってみますが店員(大竹しのぶ)は「詳しいことは知らないけれど亡くなったらしい」と言うだけでした。
店員から宮城の住んでいた場所の住所を聞き、行ってみます。
ドアを叩いて呼んでみても誰も出てこず、和生がうっかり壊してしまったドアを開けて入ってみると生活感はあれど誰もおらず。
小さな写真と花と一緒にあった位牌に書いてあった宮城の命日は9月15日。
3年前のその日は、巧たちが爆破事件を起こした日でした。
4人は宮城の墓に行ってみます。
そこには美沙がいました。
そして巧はすべてが必然だったことに気が付きます。
美沙は巧と初めて会ったガサ入れの日、店長の飯島(遠藤憲一)から裏切られて麻薬所持の容疑をすべてなすりつけられて6年間を刑務所で過ごしていました。
すべてを失って何もない美沙が刑務所から出た夜、駅前で弾き語りをしていたのが宮城でした。
宮城のところに音楽プロデューサーが曲を聞きに来ると言う日の前日、宮城は美沙にプロポーズしました。
しかしプロデューサーが来るのを待っているところに来たのは飯島でした。
駅前の交番にいるはずの警察たちは、巧たちの爆破事件の応援に向かっていて誰もいませんでした。
そして美沙は宮城を逃がすために飯島の元に戻るしかありませんでした。
そして飯島が企むマネーロンダリングに手を貸すはめになります。
数回の取引のあとに罪悪感に苛まれた銀行の支店長というのが雄喜の父です。
その後、飯島は海外へ逃亡。
美沙は連れ去られた9月15日にすでに宮城が殺されていたことを知ります。
そして飯島への復讐を試みますが見つけられず、組に対しての復讐をしようとして3億を盗んだのでした。
飯島という男
そこに現れた亀頭は、すべてを聞いていました。
そして“今”は亀頭と名乗っていると言い出しました。
その人こそが飯島です。
海外に追放されていた飯島は別人として日本に帰るため顔、髪形、骨格、皮膚をすべて取り換えて身長を変えるために片足まで犠牲にしていました。
すべてを知らされて茫然としている美沙は連れて行かれてしまい、秘密を知ってしまった4人も殺されそうになります。
巧はヤクザに捕まる前に走り出して背後から飯島に飛び蹴りをくらわせて、美沙の手を引いて逃げ出しました。
あとの3人も続きます。
車で逃げる巧たちと、それを追う飯島とヤクザたち。
やがて車から降りてショッピングモールに逃げ込み、ヤクザを撒こうとしましたが呆気なく飯島に見つかって追い詰められてしまいます。
やっと捕まえたと言わんばかりに4人が隠している美沙を奪おうとした時、そこにいたのは、やっさんでした。
いつの間にか車の中にいたやっさんと美沙の服を交換して、美沙を逃がしたのです。
結果、逆上した飯島によって京平は階段から突き落とされ、和生は片足を撃たれ、4人ともボコボコにされてしまいます。
パトカーのサイレンが聞こえると飯島は「明日までに3億と美沙を用意しろ」と言って去って行きました。
5人が決めた最後の手段
明日を生きるのが怖くなった京平は、和生が来なければこんなことにならなかったと言い、他2人に対しても3年前から何も変わってないと当り散らしました。
こんな毎日が続くなら死んだ方がマシだとこぼした京平に、巧は“いつかきっと”と胸に秘めて生きていけばいいじゃないかと宥めました。
そして巧が唐突に「銀行強盗すっか」と言い出します。
飯島に3億を渡すには、もうそれしか手段がありません。
秀人は広場に行って宮城にビールと煙草を手向けて弾き語りをします。
和生は病院へ行って、ずっと入院している妹(井上真央)に会います。
京平は雄喜に会いに行ってドア越しに雄喜の父のことや“明日”のことを話して、宮城が5人のために作ってくれていた曲の楽譜を置いて帰ります。
巧は父のバーで1人「世話になりました」と頭を下げました。
翌日、広場に集まって他愛のない話をしている4人のところに雄喜が来ました。
5人そろって雄喜の父と宮城に捧げるために演奏するのは、宮城が“いつか、きっと”という意味のタイトルをつけた曲「シュアリー・サムデイ」。
演奏を終えた5人は被り物をして雄喜の父が勤めていた銀行に強盗に入りますが、そこにはすでに警察がいました。
連行されていく犯人らしき人物が見えた時5人は「え?」と声を出してしまいます。
飯島だったからです。
実は前の夜、4人が銀行強盗するしかないと思い至るまでの会話を外で美沙が聞いていました。
そしてマネーロンダリングについての会話の録音と、翌日飯島に大きな取引があることを巧の父に伝えていたのです。
美沙は、巧に2度救われたとも伝えていました。
それを聞いた巧は、夜の便で海外へ行くつもりだった美沙のところに駆けつけて引き留めます。
子どもの頃の約束を守るために「お嫁さんになってくれるって言ったじゃないか、今度は俺が守る」とまで言いますが、美沙は心の中に宮城がいるからもう1人じゃないと言って旅立って行きました。
傷心で泣いている巧のところに、いつからいたのか4人が現れます。
ひどい顔の巧を囲む4人は笑顔でカメラを構えて「シュアリー・サムデイ!」と笑ってシャッターを切りました。
【ネタバレ】『シュアリー・サムデイ』感想
いろんな要素がつながる物語
初めて見たのはDVDが新作としてレンタルされていた頃でした。
記事を書くにあたって見直した今回は3回目。
当時は小栗旬が監督を務めたということで手に取ってみただけだった気がする。
vito
物語としては、なんかこうまったくの無関係だと思っていたいくつかの事がすべて繋がっていた系の話が好きな私としては結構ツボる展開だったりします。
作品として作られているわけだから無関係ではないだろうと思いながら見ていつつも、点と点が繋がったところでちょっと気持ちよくなれるっていうか。
vito
つまるところざっくりざっくり書いての記事なので実際もっとギッチギチに大事なことが詰まってたりするわけですよ。
些細なところにもヒントというか点と点を繋ぐものがあったりするわけです。
伝えたいこととか表現したいことがたくさんあって、それをどうにか詰め込んだ感じがするっていうのかなぁ。
実際どうだったかは知り得ないところではあるんですけど、私はそう感じます。
主要人物が5人もいるということもあってか、途中でだれてる暇がないからグッと物語に没頭できるような映画を探している人におすすめです。
vito
注意深く見てないと見逃しちゃう、一瞬だけ出てくる凄いキャストについて
ホームレス役で出てくる岡村隆史はいつの間にか重要なキャラになっていたりするわけですけど、宮城が働いていたお弁当屋さんの店員さんとして出てくる大竹しのぶだったり京平の妹として1シーンだけ出てくる井上真央の比じゃないくらい一瞬だけ出てくる人たちがいるんです。
『シュアリー・サムデイ』岩崎秀人:駅前の路上の住民「やっさん」に聞きこみに行く一同。やっさんは岡村隆史さんです pic.twitter.com/TFqiJKBQ9C
— 若綾野bot3 (@wakagosan3) February 28, 2015
映画の中でキーとなる場所、秀人と宮城が弾き語りをしたり5人でバンド演奏をしたりするあの広場の側には交番があって。
爆破事件の時に警官が高校に応援に行ってしまって、美沙と宮城が飯島たちに連れ去られた時に誰もいなかった、あの交番。
vito
あとは美沙が刑期を終えて刑務所から出てくるところで受刑者を見送っているのは津田寛治です。
そして劇中劇のロケ中という設定で上戸彩が本人として出てきます。
『シュアリー・サムデイ』岩崎秀人:「上戸彩」ナンパに成功した秀人、騒ぐ一同を振り返る pic.twitter.com/jdJgxGpxHs
— 若綾野bot3 (@wakagosan3) May 18, 2020
vito
『シュアリー・サムデイ』まとめ
以上、ここまで『シュアリー・サムデイ』をレビューしてきました。
- 豪華キャスト陣が繰り広げる息つく間もないストーリーにヒリヒリドキドキして欲しい!
- 個性が強い5人それぞれのキャラ性を追うのもまた楽しいです
- いわゆるモブ的な役名もないような人物も見逃せない!
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