『サマー・オブ・84』あらすじ・ネタバレ感想!流行りのジュブナイルホラーに見えて、最後は衝撃の結末!

映画『サマー・オブ・84』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『サマー・オブ・84』公式ページ

殺人鬼だって誰かの隣人だ。

こんな不気味な文句から始まる本作は、1980年代が舞台の少年たちのひと夏の冒険を描く映画…なのですが…。

ポイント
  • 魅力的な主人公たちの笑える掛け合い
  • 超常現象は0、人間の怖さ、嫌さが描かれる
  • こうなってくれればいいのにと言う期待を裏切る嫌なプロット

それではさっそく映画『サマー・オブ・84』をレビューしたいと思います。

『サマー・オブ・84』作品情報

映画『サマー・オブ・84』作品情報

出典:映画.com

作品名 サマー・オブ・84
公開日 2019年8月3日
上映時間 106分
監督 フランソワ・シマール
アヌーク・ウィッセル
ヨアン=カール・ウィッセル
脚本 マット・レスリー
スティーヴン・J・スミス
出演者 グラハム・ヴァーチャー
ジュダ・ルイス
ケイレブ・エメリー
コリー・グルーター=アンドリュー
ティエラ・スコビー
リッチ・ソマー
音楽 ル・マトス

『サマー・オブ・84』あらすじ


1984年夏、15歳の少年デイビー(グラハム・バーシャー)は、オレゴン州の小さな町で暮らしていた。

その近くで、子供たちばかり狙われる連続殺人事件が起き、デイビーは向かいに住む警察官マッキーが犯人ではないかと疑う。

デイビーは親友のイーツ、ウッディ、ファラディと一緒に捜査を始める。
出典:シネマトゥデイ

『サマー・オブ・84』みどころ

映画『サマー・オブ・84』みどころ

『E.T.』『スタンド・バイ・ミー』などが公開された1980年代にオマージュをささげた青春ドラマ。

近隣で起きた連続殺人事件の犯人を突き止めようとする少年たちを描く。

RKSSというユニット名でさまざまな短編を撮り、『ターボキッド』の監督を務めたフランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセルがメガホンを取る。

グラハム・バーシャー、ジュダ・ルイスらが出演した。
出典:シネマトゥデイ

『サマー・オブ・84』を視聴できる動画配信サービス

『サマー・オブ・84』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。

なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。

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注意点
  • 動画の配信情報は2019年8月16日時点のモノです。
  • 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。

ご覧のとおり、2019年8月16日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。

動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。

【ネタバレ】『サマー・オブ・84』感想レビュー

今流行りのジュブナイルホラーの魅力

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』『ストレンジャー・シングス』が世界で大ヒット、古くは『スタンド・バイ・ミー』『グーニーズ』などなど、夏に少年グループが冒険する映画ってワクワクしますよね。

可愛いし、懐かしい気分になれるし、女の子とのキュンキュンする恋愛とか、笑える掛け合いとか、色々美点があります。

そして、この冒険ものにホラーを組み合わせると相性がいいのです。

なにしろ主人公たちが子供、しかもオタクだったりクソガキだったりすると、社会的信用度が低いので、周囲を信用させることができず、ホラーの定番の「孤立する主人公たち」という状況が簡単に作れます。

また大の大人から見ればどう見ても大したことない悪党でも、子供目線だと怖く演出できるのです。

要するに未熟な子供だからこそ、恐怖に追い込みやすいということですね。

そしてさらに最近のはやりだと、舞台を1980年代にするのが定番です。

携帯電話がないので窮地を作りやすいですし、何かを調べたり夜中に連絡を取るだけでもちょっとした冒険になります。

おまけに様々な懐かしの映画ネタや懐メロ、懐かしグッズなどを出せるので、年配の方々を喰いつかせることもできますし、若い世代は逆にそれを新鮮に見ることができます。

そんな昨今の流行を全部ぶち込んでいるのが、この『サマー・オブ・84』という映画なのです。

『サマー・オブ・84』の魅力

1084年のオレゴン州イプスウィッチと言う町で、少年ばかりが失踪する事件が発生。

主人公デイビーは新聞配達中に訪れた警察官マッキーの家に不自然さを感じ、親友のイーツ、ウッディ、ファラディと一緒にマッキーの監視を始めます。

この4人がフツメン中肉中背のデイビー、イケメンのイーツ、デブのウッディ、メガネでオタクのファラディと、定番の組み合わせでいい感じのアンサンブルを見せてくれます。

彼らのやり取りだけで結構笑えます。

そして彼らが憧れる年上の女子で、かつてデイビーのベビーシッターをしていたニッキーも登場。

この彼女のミューズ感もかなり定番なのです。

ニッキーがデイビーとイイ感じになったり、捜査に協力してくれたりする展開も男の子たちと一緒になって喜んでしまいます(笑)

そして彼らは地道にマッキーの行動パターンを探り、殺人の証拠を探していきます。

すると最初は妄想だと思っていたデイビーの説を裏づけるような証拠がチョコチョコと出てくるのです!

それも、「ちょっと血の付いたシャツを見つけた」とか「なぜか水酸化ナトリウムや土を買い込んでいる」「庭に掘り返したような跡がある」などなど決定的なものではないのが巧い。

なかなか観客に確信を与えてくれず「犯人?それともミスリード?」と困惑させてくれます。

犯人役のマッキーの面も完全にただのおっさんなのですが、どこか気持ち悪く、「殺人鬼ってこのくらいのちょっとおかしな人くらいのもんなのかも」と思わせられ不気味です。

ちなみに、一回だけデイビーが向かいの家のマッキーの部屋を双眼鏡で覗いていたら、逆に向こうから覗き返されるというゾッとするシーンがあります。

映画ってこっちが一方的に見てるものだから誰かに覗き返される場面があるとギョッとしますよね。ツボがわかっている監督の証です。

こんな感じでやきもきさせられる時間が続きます。

そして主人公たちは、意を決してマッキーの家の庭を掘り返し証拠を手に入れるのですが、それを親に見せても信用されず、逆にマッキーの家に謝りに行かされてしまいます。

この信じてもらえない感じがモヤモヤしますね~。

そして主人公は外出禁止にされてしまうのですが、そこに今度はマッキーが巡回だと言ってやってくるのです。

まだゴリゴリにマッキーを疑っていたデイビーは、マッキーが血の付いたTシャツを持っていた理由に「甥っ子が遊びに来た時に軽いけがをしたので血がついたTシャツを置いていった」と言っていたのを思い出し、甥っ子に電話をしてみてほしいと頼んでみます。

マッキーは電話をかけますが、留守だと言ってデイビーに家の電話を返します。

その後、デイビーは交換手に電話をして直近の通話履歴を調べて欲しいと依頼。

その結果、マッキーは甥っ子の家ではなく自分の家にかけていたことがわかるのです。

個人的にはここが一番ゾワッとしましたね。やっぱ犯人じゃねーかと。

そこでデイビーは再び仲間を集めて、もう一度マッキーを調べようとなるのですが…。

ここから先は、ネタバレが嫌だという方は読まないでください。

『サマー・オブ・84』衝撃の結末

あまり詳しくは言えませんが、後味としては本作「マッキーの調査なんて途中でやめておけばよかったのに…」と苦く嫌な気持ちになってしまう終わり方をします。

途中までの楽し気な1980年代ジュブナイル感は、後半に観客の気持ちを奈落に突き落とすための前フリだったのです。

なんでこんな後味の映画をわざわざ作るのか。

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』『ストレンジャー・シングス』の主人公たちは娯楽映画らしく爽やかなラストを迎えます。

しかし、普通の青春に置き換えてみても「ああ~超楽しかった」と青春時代を振り返れる人ばかりではないのが現実です。

苦く、挫折感に満ち、二度と思い出したくない、むしろその頃のトラウマに今も苦しめられている、なんて人もいるのです。

そんな不発感と挫折と後悔に満ちた青春の象徴が、この『サマー・オブ・84』のラストで起きる出来事なのではないでしょうか。

ぜひ劇場で見ていただきたい一作です。

普通の青春ホラーよりも、あなたの心に残り続けるでしょう。

『サマー・オブ・84』まとめ

以上、ここまで映画『サマー・オブ・84』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 1980年代ジュブナイルホラーブームに乗っかった一作
  • 殺人鬼の調査にハラハラ
  • しかし。全く爽やかな気分にはなれず、ヘビーなお土産をもらって帰ることになります