映画『スプリー』ネタバレあらすじ・感想!フォロワー至上主義は滅べ!承認欲求が殺人鬼を生むスリラー

スプリー

出典:IMDB

SNSが普及したことで、何かと重要視されるフォロワー数。これが多ければ誰でも有名人扱いですが、同時にこの数字が承認欲求に直結し、人々の価値観や感情を大きく揺るがすようにもなりました。

そんなフォロワー至上主義の闇を、ひとりの男で描いたスリラー映画『スプリー』の見どころをご紹介します!

ポイント
・やっぱりダメだよ炎上商法
・本当に怖いのは傍観者
・主人公が殺人ライブで伝えたかった事

それでは『スプリー』をレビューします。

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『スプリー』あらすじ【ネタバレあり】


全然バズらない「カート・ワールド」

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2009年、動画配信者のカート(ジョー・キーリー)は「カート・ワールド」という名のチャンネルを開設。自分の出自、親の離婚、友人の動画配信者・ボビーの紹介をしながら、自身がバズるためのネタを探し続けていた。しかし10年間、カートが配信する動画の視聴者は1桁しか集まらなかった。

しかし2019年、「カート・チャンネル」は遂にバズる…!

カートが思いついた企画「レッスン」は、ライドシェア「スプリー」のドライバーをしながら、搭乗者に視聴者数を増やすためにいろいろ質問するというもの。車の隅々にカメラを設置し、車内をライブ中継する。

一人目の乗客は大学で講義をする男性。カートがバズる秘訣を聞き出そうとするが、ゴリゴリの差別主義者で引いてしまう。そこでカートは車に用意していた水を飲むように促す。しかし水には薬物が仕込まれていた。男は水を飲んだ途端もだえ苦しんで死ぬ。

二人目の女性も同じように殺害する。カートは「レッスン」の企画に乗じて過去にあった「ライドシェアで殺害した人数」を越えることを目指していた。

著名なコメディアン・ジェシーとの遭遇

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3人目の餌食は態度の悪い男性・マリオ。しかし彼を乗せている間にひとりの女性から乗車依頼の通知が来る。

カートが強引に女性を乗せると、彼女は著名なコメディアンでありインフルエンサーのジェシー(サシーア・ザメイタ)だと発覚する。

マリオは無断で彼女の撮影を繰り返し、ジェシーを怒らせ、彼女は車を降りてしまう。その後も態度の悪いマリオに嫌気がさしたカートは、水の毒で苦しむマリオが苦しみだしたところで、車でひき殺す。

その夜、派手な男女3人を乗せると、特別な場所があると車で案内するカート。そこには野犬がおり、2人は犬に食い殺され、1人はカートに殺される。

ついにライドシェアで起きた殺人数の記録を更新したカートだが、視聴者は少しも増えない。

唯一の視聴者であるボビーはカートを馬鹿にし、ジェシーを見習うようコメントする。

カートはジェシーの配信を見るが、なぜ彼女に人気が集まるのか全く腑に落ちない。

カートはボビーの自宅に訪れコラボを要求するが、断られるだけでなく、ボビーの生配信でその醜態をさらされる。逆上したカートはボビーを刺殺し、彼の家にあった拳銃を奪い、彼の配信を乗っ取ってしまう。

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拡散をエサにこき使われるカート…

ボビーの殺しを配信したことで、カートの配信にも視聴者が集まる。そんな時、カートの父からインフルエンサーであるDJウノをイベントにブッキングしたため、会場まで車で送ってほしいと連絡が来る。

「DIウノがカートをタグ付けで紹介する」という条件で父を乗せていったが、DJウノは肝心のタグ付けをしない。

おまけに彼女の足としてこき使われるカートだが、DJウノが車中にあった毒入りの水を飲んで気を失ってしまう。

さらに警官に職質されたカートだが、目が覚めて動揺したDJウノが、車中にあるボビーの拳銃で警官を撃ってしまう。

カートはどさくさに紛れて逃走するが、車が横転する大事故を起こす。

ついにカートがジェシーに襲い掛かる

死んだと思われたカートは自力でジェシーの公演会場に現れる。ジェシーは昼間出会ったカートについて話しだす。

彼女は自分が売れる前と今のカートが、フォロワー数に取りつかれた同じ存在だと話し、彼に出会ったことをきっかけにSNSをやめると公言。ステージ上でスマホを壊す。

しかしジェシーの言葉はカートに届かず、カートはジェシーを自宅まで誘拐する。

ジェシーはスキをついてカートから車を奪うと、カート宅に突っ込む。そこには昼間カートが殺害した母親の遺体が転がっていた。さらに父親が現れると、カートは父を銃殺。ジェシーは車で逃げられないとわかると、カートをひき殺してしまう。

カートのそばにはライブ配信していたスマホがあり、コメント欄には「死体のカートと記念撮影」と書かれてた。ジェシーはその通りにすると、後日、生還した被害者としてさらにインフルエンサーとして名を馳せる。

カートの配信もバズり、彼を崇拝する人たちもネット上で現れる。最後にはこの映画が信者によってカートの動画を編集したものだと発覚する。

『スプリー』感想

やっぱりダメだよ炎上商法

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日本でも迷惑系Youtuberの存在が注目を集めていましたが、本作は人に迷惑をかける最上級の迷惑行為(殺人・誘拐など)で突っ走ります。

本来は身を護るためにつけているドラレコをバズるために使うんじゃない…とツッコまずにはいられない配信ですが、犬にパリピを喰わせるなど、殺人のレパートリーは結構多岐にわたっていて凄いです。(そこまでやったのに視聴者が1桁なのは、もはや企画以前の問題な気がしなくもないですが…)

カートがここまでアイデアを尽くして人を殺すのは、すべて視聴者数を増やす承認欲求のため。承認欲求は行き過ぎると人に迷惑をかけるし、最悪の場合、人を殺すんだと思い知らされる恐怖のフォロワー至上主義スリラーとなっています。

それにしても本作では徹底して配信やSNSの悪い部分や闇の部分ばかりを描いており、良いことなんて一つもない!と言わんくらいに振り切った演出も面白いです。監督は動画配信に恨みでもあるのでしょうか…汗

本当に怖いのは傍観者

SNSのよくない部分を全部乗せした『スプリー』ですが、特に顕著なのが配信を見ている「傍観者」です。

殺しを配信しているカートばかりが悪者のようなイメージを抱く(悪者ですが)内容ですが、顔も名前も明かさずに、殺しを焚きつけたり面白がっている視聴者も同じくらいモラルが欠落しています。まるでSNSで誹謗中傷をしている連中と同じです。

そして皮肉なことに、この傍観者の指示通りの行動をとったジェシーはさらにインフルエンサーとして有名になってしまいます。彼女の人気をより押し上げたのはカートが起こした事件であり、ジェシーを焚きつけた傍観者でもあるのです。

さらにカートは差別主義者がライドシェアしたときはドン引きしていたし、動画を投稿し始めた頃は父との仲も良好だったりと、根っからの悪人ではなかったはず。配信者の精神が捻じ曲がるのは、必ずしも当人だけの原因ではないと思うと、よりネット社会が怖くなりました…。

主人公が殺人ライブで伝えたかった事

今回カートが企画した「レッスン」とはどういう意味だったのでしょうか?

もとはライドシェアを利用した客からバズる秘訣を聞き出すような企画でしたが、次第にその真意は「バズるためには人を殺すのが一番」という物騒なレッスンに転じていきます。

しかしカートがジェシーの公演を見に行くと、そこでフォロワー至上主義がいかによくないかをジェシーが熱弁しているのです。

しかしジェシーの教えはカートに響かず、最終的に2人の「レッスン」が激突するような展開になっていきました。

しかしジェシーもカートの事件に便乗してバズったため、結果としてカートの「レッスン」が正論のような形になったのが何とも言えない皮肉です…。

『スプリー』あらすじ・感想まとめ

要点まとめ
・フォロワー至上主義がどれほど人の心をむしばむかを体現した作品
・殺人鬼よりも恐ろしい、傍観者の存在を見せつける
・カートの「レッスン」はバズりに取りつかれた人間の闇を教えてくれる

以上、ここまで『スプリー』をレビューしてきました。

ヤマダマイ

恐ろしいほどSNSや承認欲求にまつわる人間の闇を痛烈に描いたスリラー映画であり、あらためてSNSとの向き合い方を見直せる作品でもあります。

今や当たり前となっているSNSや動画配信ですが、だからこそ気づいたときには承認欲求なしにはいられない生活を送っていないかと考えさせられる、怖い映画でもありました。

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