映画『その夜の侍』あらすじ・ネタバレ感想!犯人を追いつめる男と、追い詰められる犯人の狂気。

映画『その夜の侍』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:U-NEXT

最愛の妻をひき逃げした犯人に宛てて毎日“お前を殺して俺も死ぬ”と脅迫する男は、カウントダウンの当日に予告を決行するのか否か。

愚かに、無様に前に進んでいく者たちの物語。

ポイント
  • ヒリヒリしたい人には、ぜひ見て欲しいです!
  • 救いがなくて暗くてすっきりしない話が好きな人には刺さる作品
  • 静かな復讐の炎を燃やす堺雅人vs人でなしの最低野郎の山田孝之

それではさっそく映画『その夜の侍』をネタバレありでレビューしたいと思います。

映画『その夜の侍』作品情報

その夜の侍

出典:映画.com

作品名 その夜の侍
公開日 2012年11月17日
上映時間 139分
監督 赤堀雅秋
脚本 赤堀雅秋
出演者 堺雅人
山田孝之
綾野剛
谷村美月
高橋努
山田キヌヲ
坂井真紀
安藤サクラ
田口トモロヲ
新井浩文
でんでん
木南晴夏
音楽 窪田ミナ

映画『その夜の侍』あらすじ


小さな鉄工所を経営する中年男の中村(堺雅人)は、5年前に木島(山田孝之)が起こしたひき逃げ事件で最愛の妻を失ってしまい、抜け殻のようになりながらも復讐することだけを考えて日々を生きていた。

やがて、刑期を終えて出所した木島のもとに、復讐を遂げる日までのカウントダウンを告げる差出人不明の脅迫状が届くようになる。

そして妻の命日の夜が訪れ、ついに中村と木島は対面を果たすが……。
出典:シネマトゥデイ

【ネタバレあり】映画『その夜の侍』感想レビュー

被害者の夫、中村健一(堺雅人)という男

中村製作所で働く中村健一(堺雅人)は、どこにでもいるような普通の男でした。

痩せ形なのに糖尿病の気があり、いつも妻の久子(坂井真紀)に心配されていました。

ある日、甘いものは控えた方が良いと言われていながら健一は、仕事の合間にこそこそ隠れてプリンを食べていました。

しかし、それは久子にバレバレで、居留守を使った留守電で指摘されてしまうほど。

その電話で久子は、冷蔵庫に納豆があるかどうかを知りたかったのですが、結局健一は電話に出ませんでした。

電話の直後、スーパーからの帰り道で久子が死んでしまうとも知らずに。

久子の死後、健一はずっと部屋に骨壺を置き事故があった日の留守電をリピートして聞きながらプリンを食べ、久子が着ていた衣服や下着を抱き締め、ニオイを嗅いで過ごしていました。

5年の月日が経っても変わらず同じ日々を過ごし続ける健一をいよいよ見かねて、久子の兄である青木順一(新井浩文)は同僚を紹介しました。

お見合いのような形式で対面し話をするも、乗り気ではない健一は久子の下着をポケットから出し“自分はあなたにはふさわしくない”と示しました。

加害者、木島宏(山田孝之)という人間

久子をひき逃げした犯人である木島宏(山田孝之)と助手席に乗っていた小林英明(綾野剛)は5年のうちに刑務所を出て、その日暮らしをしていました。

木島のもとには、毎日毎日謎のカウントダウンとともに“お前を殺して俺も死ぬ”という脅迫状が届いていました。

差出人におおよその見当はついていて、おそらく健一だろうと思った木島は青木(新井浩文)とコンタクトを取ります。

そして健一を何とかしないなら、脅迫状を送りつけるのをやめさせることができないなら、100万を用意しろと理不尽な脅しをかけました。

青木は健一に対して穏便に済ませてくれと言いますが、そう簡単にはいきませんでした。

結局なにも変わらず100万円も用意することができず、木島の逆鱗に触れてしまいます。

青木は雑木林の中に連れ出され、木島が掘った穴に生き埋めにされそうになりました。

ひき逃げからずっと木島のそばにいた小林は、めちゃくちゃなことばかりする木島に嫌気がさし、深く掘った穴に木島を落とそうと試みます。

しかし、体当たりしたところでうまくいかず、シャベルで殴ってもどうにもならず、ただ機嫌を悪くした木島は小林に「お前が青木を始末しろ」と言い捨ててどこかへ行ってしまいました。

小林は青木を殺すことができず、一緒に逃げます。

木島はふらりと、少し前に知り合った関由美子(谷村美月)の家を訪れました。

由美子は交通整理のバイトをしていて、新しくできた家具屋で黄色のソファを買おうと少額ではないお金をおろし持ち歩いていた日に、運悪く木島と縁を持ってしまった控えめな女の子です。

突然やってきた木島は特に何をするでもなく、由美子の部屋でゲームをしていましたが、不意に「外に怪しい奴がいないか」だの「ライトを消した車がいないか」だの聞いてきました。

窓の外を確認する由美子でしたが、この日は大型の台風がきていることもあり、外に怪しい影は見当たりませんでした。

“その夜”の、侍

木島は、ずっと気づいていました。健一が自分の後を尾けていることに。

小林たちを置き去りにした時よりも前から、自分の後を尾けてきているということに。

なぜなら今日が、脅迫文にあったカウントダウンの当日だからです。

自分を殺そうとしている奴に何かされるとわかっていながら過ごすことに苛立ち、居ても立ってもいられなくなった木島は、由美子の部屋をあとにします。

台風による豪雨の中、周りに人影がない開けた場所で木島は叫びました。

健一に対して、「出て来い」と何度か大声で呼びかけると、作業服を着た冴えない男が包丁を手にのこのこと近づいてきました。

どうしたいんだと怒鳴る木島に対し、健一は包丁を投げ捨て「他愛ない話がしたい」と状況にそぐわないことを言い出します。

昨日見たテレビの話だとか、好きな女のタイプだとか、そんな他愛ない話をしたいと言う健一に、木島は由美子の家から持ってきた包丁を持って近づいて行きます。

健一は冷静に、自ら刺されようとしました。

日本の法律では二人殺せば死刑になる、と久子と自分を殺せば木島は死刑を免れないと言うのです。

二人はギリギリの攻防戦を繰り広げ、取っ組み合って泥だらけになりながら殴り合いました。

いつの間にか雨が止み、どろどろになった二人の沈黙を破ったのは健一の言葉でした。

取り出した小さなメモ帳のようなものに書き記してある日付と、朝食、昼食、夕食をひたすら読み上げていきます。

意味不明な言動に、木島がそれが一体なんなのかと問うと、健一は「1ヶ月前からの木島の食事を記したものだ」と言いました。

そして「君は、君はね、ただなんとなく、ただなんとなく生きてるよ!」と吐き捨てました。

木島を殺すこともなく、自分が死ぬこともなく自宅に戻った健一は、久子の留守電を消去しました。

そして自分の頭や顔に、あの日こっそり隠れて食べていたのと同じプリンをめちゃくちゃにぶつけるのでした。

テーマがテーマなだけにずっとヒリヒリできる作品

誰がいつどうなってもおかしくない危うい雰囲気が漂うストーリーって心がヒリヒリしませんか。

vito

私はします。『その夜の侍』は、そういう作品です。

ごくごく普通な生活を送っている風の男を演じているのが堺雅人だっていうだけで、もうこれは“普通”の人じゃないなって思ってしまうのは彼の表情の演技からくるものなのか否か。

実際物語の中でも、ひとつのことに対しての異常なまでの執着心というか、例えば木島に対する執着を感じます。

毎日毎日脅迫状を送りつけるのもそうだし、朝食はコンビニのツナとタマゴのサンドイッチで昼はソバと牛丼でとか書き記しているのもそうだし。

それ以前に死んでしまった妻・久子に対しての感情もちょっと普通ではないと感じました。

死後5年経っても部屋に骨壺を置いている時点でだいぶアレではあるんですけど、さらにエンドレスリピートで留守電聞いてプリン食べてるんですから。

vito

気持ち悪い。久子はどうして健一と結婚したんだろうなぁとか、そういうところまで想像させられました。結局どうしてだかわからないけど。

対するひき逃げ犯の木島もなかなかの人でなしというか、人の心がわからないタイプの人間というか何というか。

自分さえよければいい、っていうのとも違うんだけど、何て言ったらいいんだろう。

絶対に身近にいて欲しくないタイプなのは間違いないんですけど。

ひき逃げをした過去を誰かが言いふらしていると気づいた時に、小林の同僚である星信夫(田口トモロヲ)を疑って詰めるシーンがあって。

狂気じみているというか何というか、自白するまで暴力をやめなかったり灯油をかけて火をつけようとしたり。

でも途中でいきなり「飽きた」とか言って急に冷めたり。

木島はそういうことを普通にやる男です。

関由美子との関係も大概は最低だし。

vito

だから私はラストで成敗されることを望みながら見てしまいました。実際そうはいきませんでしたけど。

でも、だからこそ絶妙なリアル加減で生々しい作品だと思いました。

エンドロールで流れるUAの「星影の小径」が良い味を出してます。

出てくるキャストが全員すごい

vito

主要人物はさることながら、ちょい役的なキャストも豪華というか私のツボを突いてくる人たちだったので書いておこうと思います。

小林の妻を木南晴夏が演じているのが、なんかすっごい丁度いい!と思いました。

派手なタイプではないけど、地味すぎるわけでもなくて丁度いい。

いまだに『勇者ヨシヒコ』のムラサキちゃんのイメージが強いんですけど、大好きな女優さんです。

いや、これヨシヒコ(山田孝之)も出てるじゃんか。

あとはホテトル嬢として出てくるミカを演じた安藤サクラ。

ずっと絢香の「三日月」を歌ってるんですけど、歌い方が好きです。

あとは色々あって延長した時間で他愛ない話をしているところの、他愛なさも好き。

そして出てくるシーンが終始ずっと下着姿です。

vito

安藤サクラの体ってなんか生々しくて好きなんですよね個人的に。

というか、書いてて気が付いたけど、女性陣の配役が私的に刺さったんだなと思いました。谷村美月も好きだし。

映画『その夜の侍』まとめ

以上、ここまで『その夜の侍』についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 一見“普通”に見える人間の薄皮一枚隔てたところにある狂気を垣間見られる作品
  • 割と癖のある俳優たちが揃っているので一人でも好きな人がいたら見てみて良いと思います
  • あなたの側にいる“普通”な人も、もしかしたら健一みたいな一面があるかもしれませんよ。なんつって。
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