1998年に短編映画『リック・ザ・スター』で監督デビューを果たしたソフィア・コッポラ。
淡い色づかいの映像や儚げで可愛らしいファッション、ガーリーな雰囲気を纏ったお洒落な世界観が作品の特徴です。
2003年に『ロスト・イン・トランスレーション』でアカデミー脚本賞を受賞し、その後も意欲的に映画制作を続けています。
着実にキャリアを積んでいるヒットメーカーのソフィアですが、『ゴッドファーザー』シリーズで有名な映画監督のフランシス・フォード・コッポラを父に持つなど、親類の多くが映画業界人であることでも知られています。
そのため、映画界のサラブレッドと揶揄されることもあるソフィアは、女優やモデル、ファッションデザイナーなど、様々な世界を経て監督業にたどり着きました。
その特殊な家庭環境や自身の経験から生み出される作品たちは、ソフィアにしか撮れないものばかり。
今回はそんなソフィア・コッポラの監督作品を5作品ご紹介します。
目次
ソフィア・コッポラ作品おすすめ5選
『ヴァージン・スーサイズ』
- 思春期の少女の“死”を描く
- ガーリー・ムービーの基盤を作り上げた作品
- 素晴らしいサウンド・トラックにも注目
ソフィア・コッポラの長編映画初監督作品。
1970年代のミシガン州を舞台に、リスボン家の美しい5人姉妹の様子を彼女たちに憧れる少年たちの目線から描きます。
13歳の末っ子が自殺をし、少しずつ変わっていくリスボン家。
過保護な母親と立場のない父親、部屋に閉じ込められる姉妹。
誰にも見えない閉鎖的な空間を少年たちと共に覗き見るような展開は、触れてはいけない秘密にそっと手を伸ばすような感覚です。
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そんな姉妹が部屋に寝転んでいるだけで可愛いと思えるのは、少女の心象表現に長けたソフィアならではの映像づくりがあるからでしょう。
思春期の少女の“死”というハードなテーマをポップな世界の中に浮かび上がらせ、ガーリー・ムービーの新しい基盤を作った名作です。
『ロスト・イン・トランスレーション』
- ソフィア・コッポラ、そしてスカーレット・ヨハンソンの出世作
- 大人の孤独や寂しさをリアルに描いた作品
- アカデミー脚本賞を受賞したストーリー
ソフィア・コッポラの出世作となった作品。
CM撮影のために東京に滞在中のハリウッド俳優と、夫の仕事のために来日した人妻の交流を描きます。
長い結婚生活の末に倦怠期を迎えている男と、初めて訪れる国についてきたものの夫に放っておかれている若妻。
満たされているように見えて孤独を抱える者同士が、惹かれ合いながらも訪れる別れ。
男女間の考え方の違いや世代間のギャップ、言葉の壁など、現代における人間関係の難しさを丁寧に描き、淡い映像の中に悲壮感を漂わせた作品です。
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ソフィア・コッポラの自伝的映画でもあるこの作品で、ソフィア本人をモデルとしている若き人妻を演じているのはスカーレット・ヨハンソン。
自然体な演技で等身大の女性を表現した姿は注目を浴び、高い評価を得ました。
『マリー・アントワネット』
- 華やかで孤独な少女の青春
- ガーリーな世界観に見とれてしまう
- 史実をソフィアならではの視点で描く
ソフィア・コッポラ作品の常連であるキルスティン・ダンストが主演を務めた伝記的映画。
かの有名なマリー・アントワネットの人生を新たな視点で描いた作品です。
史実を忠実に再現しているわけではなく、マリー・アントワネットという1人の少女の青春を映し出しています。
若くしてフランス王室に嫁いだものの、なかなかうまくいかない夫との結婚生活。
贅沢で豪華な暮らしの裏にあった孤独やストレス。
そして、誰もが知る悲しい結末が当然のようにやって来ます。
王妃マリー・アントワネットを普通の女の子として描くこの作品では、その運命がさらに重くのしかかってくるのです。
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当時はなかったはずのコンバースのスニーカーを登場させるなど、ソフィアの遊び心が詰まった作品でもあります。
『SOMEWHERE』
- 父娘の温かい交流を描いた作品
- 穏やかな空気感に満ちている
- エル・ファニングの表情とファッションに釘づけになる
ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品。
ハリウッドで活躍する父親と思春期の娘の再会を描いています。
華やかで贅沢な毎日を送るハリウッドスターには、前妻との間に娘がいました。
久しぶりに会った思春期の娘と少しばかりの2人暮らし。
誰もが羨むスターの生活に虚しさを感じていた男は、娘との交流を経て失った何かを取り戻します。
男の空虚な日々に暖かな風を吹かせる娘を演じたのは、エル・ファニング。
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穏やかに展開するストーリーが優しく心に浸透してくるような映画で、ソフィア・コッポラ作品の新たな魅力を世に知らしめた一作になっています。
『ブリングリング』
- ハリウッドを騒然とさせた事件の映画化
- ゴージャスで美しい映像
- 弾ける若さが詰まった作品
アメリカで実際に起きた事件を基にしたクライム映画。
セレブに憧れる少年少女たちが著名なセレブの豪邸に忍び込んでは窃盗を繰り返し、逮捕される様子を描いた作品です。
冴えない男子高校生が転校したての学校で出会ったのは、華やかで美しい少女とその友人たち。
徐々にエスカレートする“遊び”に高揚するティーンエイジャー。
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ゴージャスで隙のあるセレブの世界、裕福な家庭で自由奔放に育った少女たち。
そのどちらもソフィア・コッポラ独自の視点で描かれていることで、現実感が増幅しています。
事件が起こるきっかけ、逮捕されてからも反省しない様子、すべてセレブへの憧れから生まれたことであり、それを理解できるのはその状況に置かれたティーンエイジャーだけです。
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ソフィア・コッポラ作品の見どころ
ガーリーでお洒落な映像やファッションと共にソフィア・コッポラ作品の特徴となっているのが、華やかさの中にある空虚です。
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ソフィアの作品では、そんな登場人物の人生にスポットライトが当てられ、ソフィア独自の視点でストーリーが展開していきます。
長編映画初監督作品となった『ヴァージン・スーサイズ』では、美しい少女の自死というヘビーなテーマを扱いながら、そのストーリーテラーを少年たちに委ねています。
美しい姉妹が過保護な母親によって部屋に閉じ込められてしまい、秘密の花園と化す姉妹の部屋。
向かいの部屋から覗きこんでいただけだった少年たちは、少しずつ姉妹との交流を試みるようになり、やっとの思いで救いだそうとするも叶わず、神聖視するようになるのです。
少女の思春期と死生観をポップでキュートに描き、ガーリーカルチャーの世界を開拓しました。
続いて制作した『ロスト・イン・トランスレーション』、『マリー・アントワネット』では、ソフィア自身を投影しています。
『ロスト・イン・トランスレーション』は、実際に日本に滞在していた経験や元夫との関係を基にしており、知らない土地での不安や戸惑いから、本来持っていた孤独や寂しさが増大していく様子を描いています。
『マリー・アントワネット』は、時代に振り回され悪者になってしまう王妃マリー・アントワネットではなく、宮廷で青春時代を送った少女マリー・アントワネットを描きました。
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さらに、マリー・アントワネットを題材に扱う上で重要視されるフランス市民の貧困をほとんど描いていない点からは、ソフィアが当たり前のようにセレブとして裕福な暮らしをしていたことや、恵まれた環境で過ごしていたことが垣間見られます。
『SOMEWHERE』、『ブリングリング』では、そのセレブらしい考え方がより明確になっています。
『SOMEWHERE』の主人公であるハリウッドスターは、華やかな生活をそれなりに楽しんでいるように見えますが、心の中では虚しさを感じています。
その空虚な生活の中に久しぶりに再会した娘が入ってくることで、穏やかな空気が流れ始めるのです。
ソフィアの作品において神聖化されている思春期の少女である娘が、退廃的な暮らしぶりだった父親に希望を持たせます。
『ブリングリング』に登場する窃盗団の少女たちは、美しく華やかで自分の好きなことをして生きています。
退屈して始めた遊びはハリウッドセレブの豪邸に忍び込むことでしたが、悪事を働こうとしたわけではなく、ただセレブに憧れていただけなのです。
逮捕されても反省せずに嬉々としている少女たちの様子からは、中身のない空っぽな人間性を感じさせます。
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ソフィア自身がそういった環境に生まれたことで、ストーリーのリアルさが洗練されています。
ソフィア・コッポラ作品おすすめ5選:まとめ
【何でこんなに人気なの❓】ソフィア・コッポラの映画が、女性たちにここまで支持され続けるワケ☝
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— MINE (@mine_3m) February 22, 2018
いかがだったでしょうか。
淡い色づかいにガーリーでお洒落なファッション、サブカルチャーに傾倒したキャッチ―な音楽センス、セレブ目線から描かれるストーリーの数々。
華やかでありながら虚しさを抱えた人間たちの姿に、心を打たれること間違いなしです。
ぜひ、その世界に入り込んでみてください!