「明日死ぬかもしれないのに、大人になる必要があるの?」
大人になれないキルドレは、終わらない戦闘を繰り返す。
平和を維持するために、犠牲は不可欠なのでしょうか。
- 森博嗣原作の小説を押井守がアニメ化
- のっぺりとしていて、どこか憂鬱な空気の立ち込めるキルドレたちの日常
- 地上での倦怠とは対照的なCGを使った迫力のある空中戦
それではさっそく映画『スカイ・クロラ』をレビューしたいと思います。
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目次
『スカイ・クロラ』作品情報
作品名 | スカイ・クロラ |
公開日 | 2008年8月2日 |
上映時間 | 122分 |
監督 | 押井守 |
脚本 | 伊藤ちひろ |
原作 | 森博嗣 |
出演者 | 菊池凛子 加瀬亮 谷原章介 山口愛 平川大輔 竹若拓磨 麦人 大塚芳忠 安藤麻吹 兵藤まこ ひし美ゆり子 竹中直人 榊原良子 栗山千明 |
音楽 | 川井憲次 |
【ネタバレ】『スカイ・クロラ』あらすじ・感想
大人にならないキルドレ
『スカイ・クロラ』は、森博嗣原作の小説を押井守監督がアニメ化した作品です。
原作では、主人公カンナミ優一の一人称で語られます。
アニメでも、カンナミの視線から物語は進み、彼がロストック社の草薙水素が部長を務める部署に配属され、飛行機でやってくるシーンから始まります。
原作では、カンナミには、その部署に来る前の記憶があるような描写がありましたが、アニメ版ではカンナミには記憶のない設定になっています。
そして、そこには、ルームメイトの土岐野をはじめ、カンナミの他にも3人のパイロット達がいます。
彼らと、部長である草薙水素には、ある共通点がありました。
それは、みんな大人にならない、永遠に子供のままのキルドレという人工体であるということです。
終わらない戦い
彼らは、戦争するために人間に作られた人工体でした。
そのため、毎日飛行機での空中戦を繰り広げています。
その様子は、普通の人間たちにはテレビニュースとして報道され、キルドレたちが殺し合う様子が、彼らにとってはまるでショーのようであるかのようにも見受けられ、それによって人間たちの平和が保たれているようでした。
水素とカンナミの関係も興味深く、カンナミが実はクリタジンヨウというキルドレの生まれ変わりだったという設定には驚きました。
そして、そのクリタジンロウは、水素と恋人関係でしたが、クリタジンロウは精神を病ませてしまい、水素に殺すように頼み、水素は愛するジンロウを拳銃で射殺していたのです。
そして、水素はその過去を優一に打ち明けると、今度はジンロウの生まれ変わりである優一に自分を殺すようにと頼みます。
それを拒み、優一が言った「君は生きろ、何かを変えられるまで」というセリフには、同じことを繰り返す毎日を続けざるを得ないキルドレの運命を変えようという、優一の生きる意志を感じました。
しかし、優一はその後、絶対に叶わない敵と言われているティーチャーに決戦を挑むのです。
ティーチャーと呼ばれる存在は、戦闘の中で唯一出てくる大人の人間として語られます。
ティーチャーは、この戦争という名のゲームが終わらないようにするための存在なのです。
戦闘シーンではCGが使われ、地上での平坦な暮らしぶりとは打って変わって迫力がありました。
最後の優一とティーチャーの接戦も、その映像の迫力によって緊張感が高まります。
しかし、これは所詮終わりのない戦闘ゲームです。
最後は優一も他のキルドレたちと同じく、ティーチャーに無残にも殺されてしまうのです。
平和のための犠牲
だからと言って、優一の決戦は意味のないものだったのでしょうか。
優一がこの繰り返される日々を変えようとティーチャーと戦ったことが、残されたキルドレたちの心に何かを残すことはできたのではないかと思います。
人間の平和を保つために、もはや生贄のように戦い続けるキルドレたちが、自分たちの運命に悩み奮闘する姿は、終わりなき日常を生きる今の若者たちの葛藤と重なる部分があると思いました。
『スカイ・クロラ』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『スカイ・クロラ』について紹介させていただきました。
- 繰り返しの日常を送る恐怖をキルドレに戦わせることで描写する人間たち
- 自分たちのつくられた運命に悩み、葛藤するキルドレたち
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