現状を受け入れてアートにする。
青春キラキラ映画かな?と思いながら『シング・ストリート 未来へのうた』を観たら、とんでもない傑作でした。
- 80年代の音楽がたっぷり
- バンド活動を通しての変化
- 兄弟愛に感動
それではさっそく『シング・ストリート 未来へのうた』をレビューしていきたいと思います。
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目次
『シング・ストリート 未来へのうた』作品情報
作品名 | シング・ストリート 未来へのうた |
公開日 | 2016年7月9日 |
上映時間 | 105分 |
監督 | ジョン・カーニー |
原案 | ジョン・カーニー サイモン・カーモディ |
出演者 | フェルディア・ウォルシュ=ピーロ ルーシー・ボイントン マリア・ドイル・ケネディ エイダン・ギレン ジャック・レイナー |
音楽 | ゲイリー・クラーク |
【ネタバレ】『シング・ストリート 未来へのうた』あらすじ・感想
どん底男子高校生コナーがラフィーナに一目惚れしたことにより全てが始まる
舞台は1985年のダブリン。
不景気が続く中、コナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)の家庭は崩壊の危機。
コナーは家族会議で両親から学費節約のためにと、公立高校へ転校するよう説得を受け、転校することになりました。
転校初日、コナーは校長のバクスター修道士(ドン・ウィチャリー)と、いじめっ子のバリー(イアン・ケニー)に目を付けられるという最悪なスタートを切りました。
コナーがいじめられているところを見て、コンサルタントをしていると名刺を渡してきたダーレン(ベン・キャロラン)。
二人で話しながら下校し始めた時、コナーは学校の向かい側に立っている美しい女性・ラフィーナ(ルーシー・ボイントン)に一目惚れしました。
コナーが話かけると、ラフィーナはモデルをやっていると教えてくれました。
コナーはラフィーナの気を引くため、「僕のバンドのミュージックビデオに出ないか」と、ありもしないバンドの撮影に誘ったのです。
コナーはラフィーナの連絡先を手に入れ立ち去り、ダーレンの元に戻ると「バンド組む」と言い放ちました。
それがバンド「シング・ストリート」の始まりでした。
音楽が好きで、ギターが弾けて歌えるコナー。
ですが、バンド経験はなく、転校したばかりで友達もダーレンだけです。
ダーレンはバンドのマネージャーになり、メンバーを集めてくれます。
あれよあれよとメンバーが決まっていき、バンドを実在のものにし、ミュージックビデオの撮影も実現するのでした。
以上が冒頭30分のあらすじです。
以降も素晴らしい展開が続きますが、ここからは見どころと感想に移ります。
80年代の音楽がたっぷり
Duran Duranをはじめ、The Cure、The Jam、The Clashなど当時の音楽がふんだんに使用されています。
当時のいいダサさが上手く描写されていて、私が80年代をリアルに生きていたら、もっと興奮しただろうなぁと。
音楽好きにはたまらないし、音楽をそんなに聴かないなという方も、「おっ!いい曲!」とシンプルに楽しめると思います。
余談ですが、The Cureは、国内最大野外ロックフェス『FUJI ROCK FESTIVAL ’19』(通称:フジロック)に出演しますね。熱い。
本作『シング・ストリート 未来へのうた』のために書き下ろされたオリジナル曲もいい曲ばかり。
サウンドトラックも発売されていますので、気に入った方はぜひじっくり聴いてみてほしいです。
バンド活動を通しての変化
バンド結成の理由は「恋」でしたが、バンド活動を通してコナーが変化していきます。
最初は幼く見えた顔つきがみるみる大人びていき、びっくり。
コナーが「現状を受け入れアートにする」とバンドメンバーに言うシーンがあり、あのコナーからこんな言葉が出てくるとは!と、成長が嬉しくなりました。
コナーはいじめっ子のバリーの家庭環境の悪さを知り、仕返しをするのではなく、ローディー(機材管理係)として仲間に入れます。
校長へは皮肉を込めた歌と共に、プロムでのライブパフォーマンスでしっかり反撃しました。
コナーは現状を受け入れてしっかりとアートにすることができたのです。
コナーの兄・ブレンダンがすごくいい兄!
本作『シング・ストリート 未来へのうた』で一番目にとまったのがコナーの兄・ブレンダン(ジャック・レイナ)です。
大学を中退し、家に引きこもる生活を送るブレンダン。
ただのダメ男かと思いきや、弟想いのすごくいい兄でした。
兄弟の二人のシーンが出てくる度に、ブレンダンの言葉や行動に愛を感じます。
ブレンダンの部屋には大量のレコードがあり、コナーが悩んだ時は、「これを聴け」とレコードを渡すのです。
二人のシーンの中でもっとも好きなシーンが、イギリスへ向かうコナーとラフィーナを見送るシーン。
プロムでのライブを無事成功させたコナーは、ラフィーナのロンドンに行くという夢を一緒に叶えるために動きます。
コナーとラフィーナは、モーターボートでイギリスへ向かう計画をブレンダンに明かし、モーターボートが停泊している場所まで送ってもらいました。
出発前、ブレンダンはコナーへ「歌詞を書いたんだ。若い男女の話だ。いつか曲をつけてくれ、俺の代わりに」と自分の夢と共に一枚の紙を託します。
二人の出発を見届けたあと、やった!とガッツポーズをし、飛び跳ねるブレンダンの姿がたまらなく好きです。
『シング・ストリート 未来へのうた』まとめ
現状に文句を言ってしまったり、腹を立ててしまうことがあります。
その不満や怒りの表現方法を変えることで、アートになるということを本作『シング・ストリート 未来へのうた』が教えてくれます。
現状に嘆くのに飽きた人や疲れた人は、ぜひ観てみてください。
また、この映画の監督ジョン・カーニーの前作『はじまりのうた』もとてもいい映画ですよ。
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