『シンプル・フェイバー』あらすじ・感想!美人女優2人の予測不能なサスペンスコメディ傑作【ネタバレなし】

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映画『シンプル・フェイバー』は、2017年に発表されたダーシー・ベルの小説「ささやかな頼み」を映画化した作品です。

先の展開が読めないサスペンスの傑作でした。

ポイント
  • タイプの違う美人女優同士の騙し合いが面白い
  • 誰かを疑っていると、また別の誰かが怪しくなってくる脚本
  • コメディ監督のポール・フェイグ作品なのでサスペンスなのに笑えて後味もさわやか
  • ちょっとしたセリフの伏線や小道具の使い方が面白い

それではさっそく『シンプル・フェイバー』のレビューをしていきたいと思います。

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『シンプル・フェイバー』作品情報

『シンプル・フェイバー』

出典:映画.com

作品名 シンプル・フェイバー
公開日 2019年3月8日
上映時間 117分
監督 ポール・フェイグ
脚本 ジェシカ・シャーザー
原作 ダーシー・ベル「ささやかな頼み」
出演者 アナ・ケンドリック
ブレイク・ライブリー
ヘンリー・ゴールディング
アンドルー・レイノルズ
イアン・ホー
ジョシュア・サティーン
リンダ・カーデリーニ
ルパート・フレンド
ジーン・スマート
音楽 セオドア・シャピロ

『シンプル・フェイバー』あらすじ・感想【ネタバレなし】


アナ・ケンドリックとブレイク・ライブリーという美人女優2人が違う魅力を醸し出す

まず第一の見どころは、アナ・ケンドリックとブレイク・ライブリーというハリウッドきっての美人女優2人がタイプの違う魅力を振りまきながら話が進行していくところです。

アナ・ケンドリックはとても美人なのに、どこかあか抜けないシングルマザーを表情の挙動不審さや早口で体現しています。

彼女が着ている服のダサさにも注目。ただ、ケンドリックの元々のスタイルが抜群なのでダサい服も「なんかいいな…」と思えるバランスになっていてある意味眼福です。

そしてこの主人公ステファニーのダサいけどなんだかセクシーで、少し油断できない感じが物語の展開とも関係しています。

さらに誰もが見惚れてしまうのが、ブレイク・ライブリー演じるエミリーのかっこいい美しさ。

立ち姿、スタイル、所作のエレガントさ、でも男や他人に一切媚びない雰囲気がたまりません。

何を着ても様になる彼女のファッションを楽しむ映画にもなっています。

ちなみにエミリーが家族と暮らす邸宅もかなりセレブな感じなんですが、そこに堂々と自分のヌードの絵画を飾っているのも彼女のキャラクターを体現しています。

絵の中心が彼女の局部になっている物凄い絵画なんですが、これもストーリーに絡んでくるので注目です。

数々の伏線を残し、エミリー(ブレイク・ライブリー)が失踪

シングルマザーでレシピブロガーとして配信をやりながら食いつないでいるステファニーと、ファッション業界の一流企業の役職者で元ベストセラー作家の夫と豪邸に暮らすエミリー。

明らかにつりあわないこの2人が、お互いの息子の送り迎えで出会い、初めて会話をし、仲良くなっていく序盤のシークエンスが非常に重要です。

彼女らが身に着けている服装の対比だけで、人間性や力関係がなんとなくわかってきます。

また、なぜステファニーがシングルマザーになったのか、なぜエミリーが元作家のショーンと結婚したのかの身の上話や、現在の生活の事情、そしてお互いが仲良く信頼できる関係になるために、それぞれの人に言えない秘密を話すくだりも、その後のストーリーに大きく絡んできます。

映画として優れているのは、こういった説明のための描写を、ちゃんと役者の演技によるギャグや、興味深い動作を挟んで観客が飽きないように描いているところです。

とくに印象的なのは、最初に会った日に、エミリーが身の上話をしながらステファニーにドライマティーニを作ってあげる場面です。

彼女はグラスに一度ジンを軽く注いで香りをつけたらすぐに捨ててしまうのです。しかも自分の家の床に。

大胆すぎる作り方な上に、物事に頓着しない、そして自分が根を張っているはずの家が汚れても気にしない。

特異な人物であることを一瞬で印象付けるので笑える上にうまい演出です。

また、エミリーが写真を撮られるのを異常に嫌がったりや、ステファニーが過去の秘密を語る時に流れる回想映像と彼女の言葉が少し食い違っている場面など、ちょっとずつ違和感を積み重ねていき、そしてエミリーが突然失踪してしまいます。

不思議と後味の爽やかな秀逸サスペンス

この失踪から映画はぐんぐん面白くなっていきます。

一体エミリーはどこに行ってしまったのか?どうなってしまったのか?なぜいなくなったのか?

失踪事件に翻弄されるエミリーの旦那のショーン役を演じているのは、『クレイジー・リッチ!』で爽やかイケメンぶりを発揮してスターになったばかりのアジア系俳優ヘンリー・ゴールディング。

早速、自分の爽やかさを軽薄かつ少し胡散臭い男像演じることに利用し、幅の広さを見せてくれます。

このショーンがエミリーに多額の生命保険をかけていたせいで、彼も怪しく見えてきます。

イケメン金持ち旦那ショーンと失踪したエミリーという関係だけ見ると、デヴィッド・フィンチャーの『ゴーン・ガール』を連想する方もいるかもしれません。

実際に原作小説の「ささやかな頼み」は、基本の話が『ゴーン・ガール』そっくりだとツッコミを受けてもいたようです。

ただ『ゴーン・ガール』と大きく違うのはステファニーの存在。

ステファニーは独自にエミリーの行方を追うのですが、彼女が「え?おまえそんな一面あったの?」とか「行動力すげーな!」となってしまう予測不能な人物であることがだんだん明らかになっていき、話がどんどん読めなくなります。

また、エミリーも秘密だらけであることが分かっていくのです。

中盤でエミリーに憧れを抱いていたステファニーが彼女のドレスを着るシーンがあるのですが、そこでステファニーはドレスがきつすぎて脱げずに苦しみます。

ここは笑える場面でもあるのですが、ステファニーがエミリーの秘密まみれの人生の窮屈さを体感するというメタファーになっていて巧みです。

そして、ステファニーがエミリーの秘密を明らかにしていくと同時に、ステファニー本人がエミリーや我々観客に隠していた秘密もだんだんと明らかになっていき、この2人の対決の物語になっていくのです。

こう書くと、どれだけドロドロした話なんだろうか?と思ってしまうかもしれませんが、不思議と後味は爽やかです。

監督は男性ですが『ゴーストバスターズ』の女性版を撮ったポール・フェイグということもあり「女って怖いよね」みたいなステレオタイプに当てはめた映画にはなっていません。

事件はある顛末を迎え、ある人物は成功し、ある人物は代償を払わされるのですが、「それも世間のステレオタイプにはまらず生きた結果だし、これはこれで楽しそう」と思えるある意味ハッピーエンドな結末。

エンドロールで流れるのはクエンティン・タランティーノ監督の『デス・プルーフ』のエンドロールでも流れる、フランス・ギャルの「Laisse tomber les filles」という曲。


「女の子たちを放っておいて」「報いを受けるのはあなたよ」という意味の曲で、この映画が強い女2人の物語であることを表しています。

『シンプル・フェイバー』まとめ

以上、『シンプル・フェイバー』について感想を述べさせていただきました。

要点まとめ
  • 美女2人の名演と眼福なファッションが楽しめる
  • 笑えて、ちょっとぞっとして話が読めない独特なサスペンス
  • ギャグとちょっとした演出で的確に物語を語っている
  • 爽やかに女の強さを描いている

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