長編デビュー作でありながら、いきなり2019年カンヌ国際映画祭批評家週間のクロージング作品に選ばれ大きな話題となったグー・シャオガン監督の『春江水暖』が、2021年2月11日(木・祝)よりBunkamuraル・シネマを皮切りに全国順次公開いたします。
このたびカンヌ国際映画祭批評家週間ディレクターのシャルル・テッソンからのコメントと場面写真も解禁となりましたのでお知らせします!
目次
『春江水暖〜しゅんこうすいだん』カンヌ国際映画祭批評家週間ディレクターコメント・場面写真公開
カンヌ国際映画祭批評家週間ディレクターのシャルル・テッソン コメント
近年、『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』のビー・ガン監督や、わずか29歳で夭逝した『象は静かに座っている』のフー・ボー監督など、中国の新世代の監督が大きな注目を集めています。
それらの監督と同世代で、長編第一作でありながら、昨年のカンヌ国際映画祭批評家週間クロージング作品に選ばれ、世界の映画界を驚かせたのが、グー・シャオガン監督の『春江水暖』です。
カンヌ当時、まだ30歳。
それまでは、たった一人でカメラを回し、ドキュメンタリーや短編を撮っていた青年が初めてクルーを組んだ初の長編が、カンヌに選ばれただけでも本当に驚かされます。
しかも、その映像は、監督の故郷であり、映画の舞台である杭州の、大河・富春江が流れる富陽を描いた14世紀の山水画の傑作「富春山居図」にインスピレーションを得たというこれも驚かされるショットの連続です。
絵巻を広げていくような横移動スクロールのロングテイクや山水画の宇宙を感じさせる超ロングショットなどを使い、大きな変化を迎える中国社会の中で精いっぱいに生きている、ある市井の大家族の四季を描くというクラシックでありながら、きわめて革新的で野心的な作品でした。
カンヌでの上映後、ハリウッド・レポーター紙は「グー・シャオガンは中国人監督だが、台湾の監督エドワード・ヤンやホウ・シャオシェンの作品に近い。『春江水暖』はヤンの『ヤンヤン 夏の想い出』やホウの『童年往事 時の流れ』の子供と言っても過言ではない」と大絶賛しました。
さらに、今年1月のフランス公開では、中国アート系映画としては異例のヒットを記録し、映画サイトallocineでもジャ・ジャンクー監督の名作『長江哀歌』に迫る高評価を獲得したのです。
昨年の東京フィルメックスに来日した際には、屈託のない優しげな笑顔を浮かべていたグー・シャオガン監督。
あの柔らかい物腰の中のいったいどこに、これほどの才能を秘めているのか不思議になるがまさに「中国新世代」の驚嘆の傑作、今から楽しみでなりません。
『春江水暖〜しゅんこうすいだん』の場面写真も公開!
『春江水暖』の公開に先がけて、場面写真も公開となりました。
大河・富春江が流れる街を舞台に1つの家族の物語が幕を開けます。
Gallery
『春江水暖〜しゅんこうすいだん』作品情報
監督:グー・シャオガン
脚本:グー・シャオガン
音楽:ドウ・ウェイ
出演:チエン・ヨウファー、ワン・フォンジュエン
上映時間:150分
字幕:市山尚三、武井みゆき
字幕監修:新田理恵
配給:ムヴィオラ
公式サイト:http://www.moviola.jp/shunkosuidan/
あらすじ
舞台は杭州市、富陽。
大河、富春江が流れますが、しかし今、富陽地区は再開発の只中にありました。
顧家の家長である母の誕生日の祝宴の夜。
老いた母のもとに4人の兄弟や親戚たちが集います。
その祝宴の最中に、母が脳卒中で倒れてしまいます。
認知症が進み、介護が必要なった母。
「黄金大飯店」という店を経営する長男、漁師を生業としている次男、男手一つでダウン症の息子を育てながら、闇社会に足を踏み入れる三男、独身生活を気ままに楽しむ四男。
息子たちは思いもがけず、それぞれの人生に直面していきます…。