2017年に日本公開され、世界中に衝撃を与えた韓国発のゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』。
走る列車の中で繰り広げられる感染者からのサバイバル劇を描き、大ヒットを記録しました。
そして『新感染 ファイナル・エクスプレス』の4年後の世界を描いた『新感染半島 ファイナル・ステージ』が、2021年ついに公開!
監督は前作に引き続きヨン・サンホがメガホンを取り、『ゴールデンスランバー』『MASTER マスター』などに出演する人気俳優のカン・ドンウォンが主演を務めました。
- ヨン・サンホ監督によるゾンビ3部作の完結編
- 前作から4年後の荒廃した朝鮮半島を舞台に、ゾンビと狂乱者からの脱出劇を描く
- まるでハリウッド級の振り切ったアクションに注目!
この記事では、『ソウル・ステーション パンデミック』『新感染 ファイナル・エクスプレス』に続く物語、『新感染半島 ファイナル・ステージ』について、ネタバレありでご紹介しています。
目次
『新感染半島 ファイナル・ステージ』作品情報
作品名 | 新感染半島 ファイナル・ステージ |
公開日 | 2021年1月1日 |
上映時間 | 116分 |
監督 | ヨン・サンホ |
脚本 | リュ・ヨンゼ ヨン・サンホ |
出演者 | カン・ドンウォン イ・ジョンヒョン キム・ドゥユン クォン・ヘヒョ イ・レ イ・イェオン キム・ミンジェ ク・ギョファン |
音楽 | モグ |
【ネタバレ】『新感染半島 ファイナル・ステージ』あらすじ
荒廃しきった祖国に潜入せよ!
ソウルのバイオ団地を発端に、人々が突如凶暴化するパンデミックが発生。
感染はあっという間に韓国中に広がり、どこも安全とは言えない状況になってしまいます。
人々が混乱に陥るなか、ジュンソク(カン・ドンウォン)は軍人であることを利用して姉家族を難民船に乗せることに成功。
難民たちの乗った船は当初東京へ行くはずでしたが、突然行き先を香港へ変更。
さらに感染者が船内で発生したことで乗客たちは再びパニックに陥り、ジュンソクは姉と甥を失います。
マルコヤマモト
その後朝鮮半島は完全に封鎖され、それから4年間、ジュンソクは義兄のチョルミン(キム・ドユン)とともに香港で荒んだ生活を送っていました。
2人が朝鮮半島から来たことがわかると「感染するんじゃないか?」などとあからさまな差別をする人間も現れ、ジュンソクたちの暮らしは決して楽なものではありませんでした。
そんななか、ジュンソクたちに完全封鎖された半島から現金の入ったトラックを回収するという仕事が持ちかけられます。
分け前ももらえるということで、豊かな暮らしを望んでいたジュンソクとチョルミンは他2人とチームを組んで半島に潜入することに…。
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半島に残された「家族」との出会い
ジュンソクたちに与えられた時間は3日間。
船が仁川沖に迎えに来るまでに現金を積んだトラックを回収しなければなりません。
荒廃し、変わり果てたかつての故郷を見てジュンソクたちは驚愕します。
息を潜めて行動するも見つかってしまい、数を増やし強力化した感染者たちとの戦いを繰り広げ、ジュンソクたちは早々にトラックを見つけますが、大挙する感染者たちに圧倒されて散り散りになってしまいました。
ピンチに陥ったジュンソクの前に、車に乗った2人の姉妹、ジュニ(イ・レ)とユジン(イ・イェウォン)が現れます。
ジュンソクを車に乗せたジュニは超絶なドライビングテクニックを披露、妹のユジンは光と音の出るラジコンカーを使って感染者たちを撹乱させ、次々と薙ぎ倒して行きました。
一方、慌ててトラックの荷台に隠れたチョルミンは一命を取り留めます。
しかし突如照明弾が投げ込まれ、そこに感染者以外の人物が現れたのです。
彼らは元軍人の屈強な男たちにより結成された631部隊と呼ばれる民兵集団で、閉鎖された朝鮮半島を暴力で牛耳っていました。
姉妹と共に逃げたジュンソクと、トラックの荷台に隠れたチョルミン以外の2人を呆気なく殺した631部隊のファン軍曹は、荷台に食料が入っていると思い込み、トラックを奪い基地へ戻って行きました。
姉妹の運転で気絶したジュンソクが目を覚ますと、そこは彼女たちが暮らす隠れ家でした。
ジュンソクはそこで彼女たちの母親・ミンジョン(イ・ジョンヒョン)と、姉妹が「おじいちゃん」と呼ぶ元軍人のキム(クォン・ヘヒョ)と出会います。
元軍人のキムは無線を通じてジェーンという人物に助けを求めていたようですが、ジュンソクはこの状況でキムの頭がおかしくなったのかと思いました。
そしてミンジョンの顔を見たジュンソクは、彼女が半島が完全封鎖された日に自分が助けずに見過ごした女性だということを思い出します。
ジュンソクは現金の入ったトラックのことをミンジョンに話し、5人は手を組んでトラックを奪い、半島から脱出することを誓いました。
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恐怖のゲーム「かくれんぼ」
その頃631部隊の基地では荷台から発見されたチョルミンが、部隊が主催する「かくれんぼ」というイベントに駆り出されることになっていました。
この世界で631部隊のメンバーが唯一の楽しみにしている「かくれんぼ」は、生きている人間が感染者に追い回されるという残酷なゲームでしたが、なんとも悪運の強いチョルミンは見事生き残ることができました。
しかし、生き残ってもまた次の日の「かくれんぼ」の時間には感染者たちから逃げ回らなければいけません。
彼らが死ぬまでゲームが続くという残酷なものでした。
ゲームの最中にトラックの荷台を確認していた松葉杖の男は中身が食料でなく現金であることに驚き、部隊のリーダーであるソ大尉(ク・ギョファン)にすぐさま報告。
トラックの運転席に衛星電話を発見したソ大尉は、ジュンソクたちに与えられた指令を知り、現金を運んで半島から逃げ出すことを考えます。
ソ大尉は自分をよく思っていないファン軍曹(キム・ミンジェ)を欺くために、1日限定で「かくれんぼ」を24時間解放することにします。
大喜びする隊員たちでしたが、やはりファン軍曹は裏に何かあると勘付いていました。
基地に潜入したミンジョンとジュンソクは松葉杖の男からトラックを奪うことに成功しますが、ソ大尉がすぐに駆けつけていました。
さらに2人の会話からチョルミンが生きていることを知ったジュンソクは、チョルミンを助けるために「かくれんぼ」開催中の建物の中に乱入。
ファン軍曹の目を眩ましてチョルミンを救い出しましたが、銃撃戦の末、身を挺してジュンソクを守ったチョルミンが命を落としてしまいます。
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『新感染半島 ファイナル・ステージ』の結末
タイムリミットはあとわずか。
トラックを奪ったジュンソクとミンジョン、別の車に乗る姉妹とキム、631部隊との追跡劇が始まりました。
姉妹とキムは車で街中を縦横無尽に駆け抜けながら爆竹やライトを使って感染者たちをうまく操り、敵に攻撃を仕掛けます。
ジュンソクとミンジョンもトラックの体躯を生かした攻撃や、地の利を生かした感染者攻撃を仕掛けますが苦戦の末、ソ大尉にトラックを奪われてしまい、ユジンを守ったキムが撃たれて命を落とします。
港にはジュンソクたちを雇った香港の船が待っていました。
船にトラックを迎え入れた彼らにとってメンバーが変わったことは重要ではなく、一番大切なのは現金。
荷台の金を確認するとソ大尉は即銃殺されます。
大金を持ち帰り過去の自分を捨て、香港で新しい生活を夢見ていたソ大尉は死ぬ寸前に憤りを感じ、トラックをバックさせました。
船内に感染者が入り込みパニックになり、ソ大尉はトラックの運転席でそのまま絶命します。
脱出する術を失い絶望に暮れるジュンソクたちの頭の上を、1台のヘリコプターが通り過ぎて行きました。
なんと、キムと無線を通じて連絡をとっていたジェーンという軍人が、本当に迎えに来たのです。
ヘリコプターを目掛けて駆けていくジュンソクと姉妹でしたが、ソ大尉との戦いで足を負傷したミンジョンが遅れを取っており、彼女のすぐ後ろには大量の感染者たちが迫っていました。
ミンジョンはジュンソクに娘たちを託し、車内に立て篭もり自分が囮になることを決意。
感染者たちに囲まれていく車の中で、自ら喉元に銃を当てていました。
「あなたたちを守るために彼女は常識的な行動をした」というジェーンの言葉に、ただ母親の最期を見守るしかなかった姉妹。
その時ジュンソクはかつてチョルミンに言われた「常識がなんだ?努力はしたか?」という言葉を思い出すと、ミンジョンを助けに走り出しました。
ミンジョンも生きる気力を取り戻し、ジュンソクと共に感染者たちと戦います。
そして4人はヘリコプターに乗り込み、ついに半島から脱出したのです!
「あと数時間で新しい世界が待っているわよ。」と話しかけるジェーンに対し、ジュニは「私たちのいた世界もそう悪くはありませんでした。」と答えました。
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【ネタバレ】『新感染半島 ファイナル・ステージ』感想
『新感染半島 ファイナル・ステージ』の良かった点
2020年に7月に韓国で公開された『新感染半島 ファイナル・ステージ』は、コロナ禍で座席数を半数に減らしていたにもかかわらず、オープニングの動員数が35万2,962人の大ヒットを記録!
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前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』の印象が強かっただけに観客の期待度が高まった今作ですが、まるでハリウッド映画のようなスケール感に別の意味で驚かされます。
ヨン・サンホ監督が公表しているように『ランド・オブ・ザ・デッド』『ザ・ロード』『マッドマックス』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』や『AKIRA』『ドラゴンヘッド』などへのオマージュが満載なことは一目瞭然。
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とにかく今作はアクションに振り切った感が強く、特にカーチェイスでゾンビを薙ぎ倒しながら人間を倒すという超力技は『ワイルド・スピード』シリーズさながら!
カーチェイスシーンはヨン・サンホ監督が特に心血を注いだシーンということで、見ているだけでその思いがひしひしと伝わります。
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また、こんな世界にもかかわらず屈託のない笑顔を見せる妹役のイ・イェオンは希望そのもので、韓国映画界にとっても今後が楽しみな子役です。
もちろんカーチェイスだけでなく、主演を務めたカン・ドンウォンとヒロインのイ・ジョンヒョンの体を張ったアクションも見ものです。
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もう少し訓練すればジョン・ウィックくらいにはなれるのでは?くらいの瞬発力を発揮し、ゾンビと狂乱者相手に立ち向かいます。
狂乱者と化した631部隊もクセの強い役者ばかりですが、その中でもソ大尉を演じたク・ギョファンの危うく繊細な表現は見事なものでした。
さらに、撮影準備に1年を費やしたというポスト・アポカリプスのビジュアルも素晴らしく、見慣れた景色が4年でこんなにも変わってしまうことに対しての恐怖を覚えます。
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『新感染半島 ファイナル・ステージ』の残念だった点
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しかし、そのこともあり『新感染 ファイナル・エクスプレス』で人々の心を掴んだ人間ドラマはだいぶ薄味に…。
列車内という密室で感染者に噛まれたものは変身不可避という恐怖と、疑心暗鬼に陥る人間の本性が話題になった前作。
続編の『新感染半島 ファイナル・ステージ』では、同じような家族や兄弟の絆は登場するものの、メインは感染者と狂乱者が蔓延する半島からの脱出物語。
大迫力のアクションと俳優たちの演技力でカバーできていたから良いものの、前作のような密室劇だからこそ描ける濃密な人間ドラマは今作では見ることができず、意外とサクサクと物語が進んでいきます。
韓国映画やドラマの醍醐味といってもいいドロドロした人間関係を期待していた人は、特に残念に思うでしょう。
マルコヤマモト
再び前作を引き合いに出しますが、『新感染 ファイナル・エクスプレス』は100歩譲って設定や列車内、感染というキーワードを生かしたダジャレ的でありつつも良いタイトルだったとしましょう。
原題は『釜山行き』という地味なイメージでしたが、『新感染 ファイナル・エクスプレス』は邦題も相まってうまくゾンビエンタメというジャンルに昇華でき、かつ内容も良かったので日本でも大ヒットの結果を残せたのだと思います。
マルコヤマモト
『ソウル・ステーション パンデミック』『釜山行き』『半島』と次第にスケールが大きくなっていることは原題でもわかることですが、監督が意図した原題とあまりにかけ離れたような邦題をつけることも、今作に限らずどうなのかな?と個人的には思います。
なんだか今作の邦題は、安っぽいゲーム映画のような感覚がしてなりませんでした。
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SNSでのみんなの感想・評判
『新感染半島 ファイナル・ステージ』滅びた韓国の景観など前作と比べてビジュアル面が強化されている。ゾンビの人体機能を超越した暴れと、動きがアニメまんまなカーチェイスシーンのやり過ぎっぷりも楽しい。人間ドラマは薄口だけど、そこは勢いとカン・ドンウォンの人外レベルの格好良さでカバー! pic.twitter.com/Sq8qMFIjU6
— 人間食べ食べカエル (@TABECHAUYO) January 1, 2021
『新感染半島 ファイナル・ステージ』
うぉぉぉ!マジかこれ!
感染者により廃墟と化した半島に残された大金を奪い合う無法者たちとのカーチェイスにゾンビも乱入、次々と車両に飛び込むゾンビをなぎ倒し敵の車両にゾンビを引きつけゾンビを妨害手段に利用する肉壁障害物競争が最高に楽しすぎる! pic.twitter.com/KUJMQiIDHK— 光(こう)@地雷映画処理班 (@ziraisukisuki) January 3, 2021
新感染半島観てきましたけど、感想としては「あれ、私ワイスピ最新作観に来たのかな?」でした(笑)
うーん、新感染シリーズと言われなければ最高な作品だと思ったんだが…
前作程人間味を感じない、ただのアクション映画だったのが残念。
カンドンウォン最高にカッコ良かったです😭#新感染半島 pic.twitter.com/aGISCwTjmS— maimai@ゼルアメフェス終了感謝✨ (@maimai_zelame) January 5, 2021
1月1日公開
新感染半島
ゾンビとマッドマックスとグラディエーターが合体!!!って感じでめちゃめちゃゾクゾクしました新年初ドキドキは決まりましたね。
誰にも伝わらないと思うけど東京ゾンビのクオリティ高くなった感じです。 pic.twitter.com/Gr69qcDmAU
— トム・ブラウンみちお🐸 (@tom_mitio) January 2, 2021
マルコヤマモト
やはりアクション映画好きからは高評価を得ていた『新感染半島 ファイナル・ステージ』。
自分自身も感じたように『マッドマックス』や『ワイルド・スピード』を思い浮かべる方が多いように感じた反面、前作に比べた人間ドラマの薄さを残念に思う感想も多数見つけました。
マルコヤマモト
『新感染半島 ファイナル・ステージ』には、色々な意味での映画の可能性を感じました!
『新感染半島 ファイナル・ステージ』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
あけましておめでとうございます🎍🌅
『#新感染半島 ファイナル・ステージ』
いよいよ本日から全国公開🔥主演 #カン・ドンウォン より
スペシャルメッセージが到着しました🤩 pic.twitter.com/p0UX7TYrAY— 映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』公式 (@Peninsula_JP) January 1, 2021
マルコヤマモト
- 前作から一変、ハリウッド級のアクションを取り入れた超エンタメ作品に変化!
- 韓国映画特有の人間ドラマは味が薄めだが、映画としてのバランスは良く見やすい
- 韓国映画の将来性を感じる新たな試みを感じた
マルコヤマモト
そして2020年に公開されたポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞作品賞を受賞したことで、世界の韓国映画に関する関心は非常に高まっている状態にあると思います。
『新感染半島 ファイナル・ステージ』も例外ではなく、今作の公開によって韓国の映画のスケールや技術は世界レベルのものであることが証明されたと言っても過言ではありません。
『新感染半島 ファイナル・ステージ』で展開された大迫力のアクションシーンは、世界の閉鎖感を打ち破るくらいに爽快で、誰もがワクワクするような作りになっています。
またコロナ禍という世界情勢と妙にマッチしていた部分もあり共感できる部分も多いので、ぜひ今の時期に見て欲しい作品です。
ヨン・サンホ監督の3部作もついに『新感染半島 ファイナル・ステージ』をもって完結。
エンディングは少なからず希望に満ちたものになっており安心しました。
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