ファンが待ちわびた此元和津也の大人気コミックを『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』『さよなら渓谷』を撮った大森立嗣が実写映画化。
しかも主演は池松壮亮と菅田将暉の2人!
他にも中条あやみ、岡山天音など日本映画の若手エース級が勢ぞろいしている、ユルくてほっこりするおしゃべり青春ムービー。
- ずっとエンドレスで観ていられる空気感、クセになる会話のノリとテンポ。
- シュールでシニカルでおしゃれ、センスが溢れてるこんなカッコイイ作品はない!
- 関西弁でダべっている池松壮亮と菅田将暉は超貴重!
- 男子高校生の粋な「雑談」にクスクス笑える青春コメディ
それではさっそく『セトウツミ』をレビューしたいと思います。
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目次
- 1.『セトウツミ』作品情報
- 2.【ネタバレ】『セトウツミ』あらすじ・感想
- 2.1インテリクールメガネの池松壮亮とイカチー上がり眉のヤンキー風の菅田将暉、超絶可愛い関西弁の中条あやみ…一見する価値大ありの作品
- 2.2アホな会話づくしと思いきや、意外と深かったりする
- 2.3第1話「セトとウツミ」
- 2.4第2話「アメとムチ」
- 2.5第3話「イカクとギダイ」
- 2.6第0話「内海想(池松壮亮)の出会い」
- 2.7第4話「先祖と子孫」
- 2.8第5話「瀬戸小吉(菅田将暉)の憂鬱」
- 2.9第6話「出会いと別れ」
- 2.10エピローグ「樫村一期(中条あやみ)の想い」
- 2.11猫のみーにゃん、激コワの先輩・鳴山(成田瑛基)、堤(岡山天音)バルーンアートのピエロ・バルーンさん(宇野祥平)、脇役がイイ!
- 2.12青春映画っぽくない哀愁漂うBGMが意外にハマってた!
- 2.13何にもなかった日々を思い出して愛おしくさせてくれる映画
- 3.『セトウツミ』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
『セトウツミ』作品情報
作品名 | セトウツミ |
公開日 | 2016年7月2日 |
上映時間 | 75分 |
監督 | 大森立嗣 |
脚本 | 大森立嗣 |
原作 | 此元和津也「セトウツミ」 |
出演者 | 池松壮亮 菅田将暉 中条あやみ 鈴木卓爾 成田瑛基 岡山天音 |
音楽 | 平本正宏 |
【ネタバレ】『セトウツミ』あらすじ・感想
インテリクールメガネの池松壮亮とイカチー上がり眉のヤンキー風の菅田将暉、超絶可愛い関西弁の中条あやみ…一見する価値大ありの作品
『セトウツミ』はなんといってもキャストがスゴイんです。
『ラストサムライ』『紙の月』の池松壮亮、『共喰い』『あゝ、荒野』の菅田将暉、話題作に軒並み出演する2人とも日本映画界の若きスターですよね。
そしてヒロインは、『3D彼女 リアルガール』『ニセコイ』『覆面系ノイズ』など数々の漫画原作映画に出演している中条あやみ。
この映画で第71回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞しています。
地元は大阪という中条さんの関西弁を話すレアなところと制服姿は必見!ガチで可愛くて似合ってますよ。
監督は大森立嗣さん、なんと俳優・大森南朋さんのお兄さんなんです。
「洗練された演出と人間関係の深い理解」を高く評価されている監督です!
『セトウツミ』の中でも、大森監督の演出は光っています。
喧嘩もない、部活もしない、壁ドンもない、男子高校生がただダベっているだけ…そのキャッチコピーどおりのシンプルさが絶妙!
凄いキャストと監督の作ったセトとウツミの世界、気になってきませんか。
アホな会話づくしと思いきや、意外と深かったりする
セト(菅田将暉)は、サッカー部でしたが先輩と揉め部活を退部。
クラブ活動が無くなり放課後が急に退屈になってしまい、川沿いで時間を潰すことに…そこにいたのはウツミ(池松壮亮)。
塾が始まるまでの1時間30分を川沿いの石段に座って時間を潰していました。
ふたりの目的はおなじ「ヒマつぶし」。
一緒のクラスだったとしても友達にはなっていないであろう2人は、しょうもない目的で出会います。
セトは、横流しのツンツンヘアに長めのスラックス、そして赤いローカットのコンバース!
ウツミは、目にかかる位の前髪でもっさりヘア、白い靴下が丸見えの短めスラックスにローファー!
制服の着こなしから髪型、靴まで対照的な2人。
全然違うタイプのデコとボコだから成立する奇跡的な掛け合いが漫才みたいで楽しい!
中身が無いようでめちゃめちゃある、不思議な会話劇にどハマりしてしまいます。
珍しいオムニバス形式で進むストーリー。軽快なトークは見ごたえあります!
第1話「セトとウツミ」
瀬戸と内海、ふたりで「神妙な面持ち」について語ります。
考えたことなかったけど「神妙な面持ち」できます?
やってみたけどなかなか難しいですよ。
初っ端から、こちら側が影響受けちゃうようなやりとり!
ふたりはこれぞ「神妙な面持ち」という境地にたどり着きます。
それは、ある場面を目撃するからなのですが…物語の影の主役といっても過言ではない、重要な瀬戸の飼い猫・みーにゃんの話が語られます。
第2話「アメとムチ」
愛しの樫村一期(中条あやみ)のメアドをゲットし歓喜するセト。
お寺の娘・樫村さんは小悪魔的要素をもつ女子。
彼女に好かれたいセト、ウツミに初めてのメールの内容を相談します。
送ろうとしていたメールはカタカナ混じりの文章…「犯行声明文かっ!」とウツミのナイスツッコミw
女性を口説くには「アメとムチ」が必要というウツミの助言に、しょうもないアメとムチ講座が開講。
思わぬ才能を発揮するセト、ウツミへ向けた「アメとムチ台詞」にほっこりしますよ。
最後は、ウツミの…樫村さん関係でセトに話してない事実が発覚。
驚きの展開へ!
第3話「イカクとギダイ」
夏服、白の半そでワイシャツのふたり。
セトが考えた「フシがある選手権」開催。
お互いに「お前って○○するフシがあるよなぁー」と言い合うというモノ。
だんだんエスカレート、無理やりフシがあるというワードをこじつけて会話をし出します。
しかし、そんなセトとウツミが急に黙ってしまう事態が…セトのことも、ウツミのことも、「フシがある選手権」のお陰でよく理解できます!
自然に疑問が解消される感じが、かなり気持ちいいですよ。
第0話「内海想(池松壮亮)の出会い」
冬の制服…秀才の内海は無口で人嫌い、だから何にも「おもんない」学校生活。
そんな人に無関心な彼が、なぜ瀬戸と一緒に時間を過ごす様になったのか…について分かる重要なエピソードが描かれます。
内海はクラスメイトにどうして学校で話さないのか?と聞かれ、樫村には部活でもやったら?と言われ…「この川で暇を潰すだけの青春があってもええんちゃうんか」と内海の心の声が聞こえます。
この回の2人を見ると、ふたりが愛おしくなります。
学校や部活に弾かれてしまったセトウツミにとって、何の変哲もないこの川原が、いかに重要な場所なのかがわかるのです。
2人には他愛もないくだらないおしゃべりが、とても大事なんだって気づきます。
第4話「先祖と子孫」
とうとう夏休み、夜にわざわざいつもの川沿いで集まる仲となったセトとウツミ。
私服で一緒に花火…直前のエピソード0の内海と同一人物とは思えない感情表現いっぱいのおしゃべりな彼。
休みの日も集合、楽しそうに笑う姿を見てジーンとして感情移入しちゃいます。
怪談を話していたら、遠くからこちらへ向かってくる何かが見えます。
それは人影、セトとウツミが暗がりで見た人影の正体は…私服で遊んでいること自体に胸キュン。
ちょっとハラハラ、ドキドキ。
第5話「瀬戸小吉(菅田将暉)の憂鬱」
瀬戸家の事情が明らかに!
複雑な家庭の事情を打ち明ける瀬戸ですが、それを聞いた内海が「なんで人と人ってうまくいけへんのやろな…」と言いながら、遠くを見つめ小刻みに震えるのです。
何かありそう…と「ミステリアス内海」への興味が止まりません!
セトの駄目な両親の姿を見て「ええ夫婦やん…」といった内海は羨ましげに見えます。
内海の家は晩御飯がいつもだいたい無いと言います…あまりいい家庭環境ではない感じが醸し出されるのが切ないですよね。
瀬戸家以上に、内海家も複雑なのかも。
第6話「出会いと別れ」
内海はいつもの場所で瀬戸の誕生日サプライズを計画!
その様子に「もう瀬戸のこと大好きじゃん!内海は」と心の扉全開の内海を見て嬉しくなります。
付き合っているかのような祝い様が微笑ましい。
しかし、瀬戸は誕生日どころではないのです…。
瀬戸の愛猫みーにゃんに起こった悲劇と、彼が抱える後悔とは…。
必死に元気づける内海に、底なしで甘えまくる瀬戸が愛しく感じますよ。
エピローグ「樫村一期(中条あやみ)の想い」
樫村一期の目線で「セトウツミ」を描かれます。
誰よりも彼らを見守ってきた彼女には、どう見えているのか?
一期の勇気ある恋愛へのチャレンジとその結末、「一期」という名前の由来なんかもわかっちゃいます。
最後に他者の目から瀬戸と内海を映し出す…という斬新な切り口。
そして、一期目線にかなり共感できます。一期の一途な恋、切ないんですよね。
男の友情はどこか女子には立ち入れないところがあるのです。
最後は一期の視点からという演出が、よりセトウツミコンビのことを深く理解できて納得させられます。
猫のみーにゃん、激コワの先輩・鳴山(成田瑛基)、堤(岡山天音)バルーンアートのピエロ・バルーンさん(宇野祥平)、脇役がイイ!
瀬戸は家族のゴタゴタで悩み、飼い猫のみーにゃんに思ってもいない酷い言葉を言ってしまいます…。
その時、みーにゃんが寂しげにチラッと瀬戸の方を見る感じがグッとくるんです。
まさか分かって演技しているんじゃ…と思わせるようなみーにゃんの女優っぷり、心揺さぶります!
『クローズEXPLODE』にも出演した成田瑛基が演じる激コワ先輩・鳴山は、セトウツミふたり共通の宿敵。
笑っちゃうくらい見た目からマジで怖いんです…でも、鳴山父とのエピソードで切ない家庭事情が分かったり。
よく見つけたなぁと感心する、鳴山先輩のイカツさは自分の学校の先輩じゃなくてよかったと思うほどです。
どんなに内海に冷たくされても話しかけるクラスメイトの堤(岡山天音)は、内海に瀬戸の存在を印象づける大事な役割を担います!
内海が瀬戸を放っておけなくなったのは堤がいたからです。登場したら注目してみてくださいね。
そして、なんといってもバルーンさん(宇野祥平)。
瀬戸のバースデーをお祝いするときに協力してくれるんです!
3人で一列に並んで会話する場面が印象的です。
ピエロの格好をしたバルーンさんの存在は、いつもの河原をすこし異次元にしてくれます。とても重要な登場人物です。
基本2人の会話オンリーのところに、ちょっと登場する脇役の演技のスパイスがよく効いているんです。
脇役のキャラの濃さが、ダラッとしがちな会話劇をギュッとまとめています。
青春映画っぽくない哀愁漂うBGMが意外にハマってた!
リアルな青春を描くのに用いられた『セトウツミ』のBGMは、哀愁の塊のような曲ばかりです。
作曲家・平本正宏さんがこの映画の音楽を担当しています。
作中の音楽は一緒に観た母も絶賛!
観る映画を選ぶ母が、意外にドハマりし楽しんでいました。
もしかしたら、この音楽のおかげかもしれません。
アコーディオン、ヴァイオリン、ベース、ピアノで奏でられて、意表を突いてくる「タンゴ」の曲!
セトウツミの感情がタンゴの旋律で増され、よりコミカルに、より切なく伝わってきます。
青春映画にタンゴ…演出がすごい!
これがまた、おしゃれなんですよね。
何にもなかった日々を思い出して愛おしくさせてくれる映画
この映画を観ると、高校時代のくだらない小さな思い出がどんどん浮かんできます。
教室の顔っぽい床のシミに異常にみんなでおびえたり、隠れて授業中にお菓子を回し食いして変なスリル感にテンション上がって流行ったり、いつも自然に集まってダベってた場所を思い出して懐かしくなったり。
アホだな~っていう思い出だけど、集めて抱きしめたくなるような愛おしさも感じるんですよね。
高校生のパッとしない日常の切れ端の集合体を「もしかして、これが青春だったのかも…」と気づかせてくれます。
今も毎日「しょうもな!」ってことはいっぱいあるけれど、数年後にはそれも集めて愛おしく思える日が来るのかな…と思うと、ちょっと毎日の感じ方が面白くなってきました。
もしかしたら、愛おしく感じるのは「青春の思い出」限定かもしれないけれど。
「意外といい青春過ごしたじゃん!」って思えたことが嬉しい…。
「この川で暇を潰すだけの青春があってもええんちゃうんか」という内海の言葉が心に刺さりました。
何にも起きない日々を堂々と「しょうもな!」って思いながら生きる勇気をもらえますよ。
また、自信が無くなったら観たいと思う究極の「おかわり」映画でした!
『セトウツミ』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで映画『セトウツミ』について紹介させていただきました。
- 川原で一緒に「おしゃべり」に参加しているみたいな物語との距離感。
- 関西弁の菅田将暉がかっこよくてヤバい。
- ハイセンスで、明日話題にできるユーモアに富んだ会話が魅力。
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