『新感染 ファイナル・エクスプレス』のコン・ユとドラマ『青春の記録』のパク・ボゴム共演によるSFサスペンス『SEOBOK/ソボク』が2021年7月16日より公開。
韓国映画ファンならご存知、『建築学概論』で一大ブームを巻き起こしたイ・ヨンジュ監督が9年ぶりにメガホンを取り、どストレートなSF作品に挑戦!
秦の始皇帝の命を受けて不老の名薬を求めて海を渡った家臣「徐福」の伝説をモチーフに、永遠の命を持つクローンの青年と彼の護衛を任された余命わずかな元情報局エージェントの運命を描きます。
マルコヤマモト
目次
映画『SEOBOK/ソボク』作品情報
作品名 | 『SEOBOK/ソボク』 |
公開日 | 2021年7月16日 |
上映時間 | 114分 |
監督 | イ・ヨンジュ |
脚本 | イ・ヨンジュ |
出演 | コン・ユ
パク・ボゴム チョ・ウジン チャン・ヨンナム パク・ビョンウン |
音楽 | チョ・ヨンウク |
映画『SEOBOK/ソボク』あらすじ【ネタバレあり】
人類初のクローン人間「ソボク」
悪性の脳腫瘍を患い、余命わずかと宣告された元国家情報院エージェントのミン・ギホン(コン・ユ)。
かつての上司であるアン部長(チョ・ウジン)と再会したギホンは、国家的なプロジェクトに携わって欲しいと「とある仕事」を依頼されます。
アン部長に紹介されたギホンは、巨大な船の中にあるソイン研究所の代表であるシン・ハクソン理事(パク・ビョンウン)とイム・セウン博士(チャン・ヨンナム)と対面し、人類初のクローン人間である「ソボク」(パク・ボゴム)を紹介されたのです。
2000年前、秦の始皇帝の命を受けて不老不死の薬を探して海を渡った家臣「徐福」から名付けられたソボク。
生まれてからずっと研究所で管理されているソボクは、例えば銃で撃たれたり、他からの外傷を負う以外は基本的に死ぬことがありません。
ソボクの骨髄から取り出されるips細胞によって不治の病すら完治させる力を持っており、医療の分野に新たな革命をもたらすことは必至でした。
しかしクローン人間のソボクには脳波が強すぎるという思いがけない副作用があり、周りの圧力を操る超能力者のような力を身につけていたのです。
また、ソボクは常人の2倍のスピードで成長をしており、24時間に1度細胞分裂を抑制する薬を投与する必要がありました。
抑制剤を投与し続けないとソボクは死んでしまうのです。
ソボクの存在は人類にとっての希望でしたが、韓国が秘密裏に進めていたはずの研究がアメリカに漏洩。
そこで、ソボクを狙う相手から安全な場所へ移送させるための護衛としてギホンが抜擢されたのです。
脳腫瘍による頭痛や発作に悩まされるギホンは、任務成功の暁にソボクから採取した髄液を使った臨床試験を受けることを条件に、ソボク護衛の任務を引き受けました。
死ねない青年と死ぬ運命にある男の逃避行
元エージェントのギホンにとっては一見シンプルで簡単な任務に思えましたが、ソボクの存在は希望であり脅威である事は変わりなく、2人が乗った護送車はすぐさま襲撃され何者かによって拉致されてしまいます。
傭兵のような屈強な男たちに捕らえられた2人ですが、ソボクが力を使いギホンとともにトラックを奪取してその場をなんとか脱出。
アン部長の指示により国家情報院の隠れ家へ向かいました。
トラックが壊れたため徒歩で隠れ家を目指す2人でしたが、ソボクは初めて見る世界に興味津々で、寄り道を始めます。
ギホンはソボクと会話を重ねるごとに、生まれてからずっと研究所で管理されて生きる彼には人権がなく、だたの「実験体」として生かされていることにショックを受けました。
その時、隠れ家に現れた国家情報院のエージェントたちが突然2人を襲い、ギホンは国家情報院からソボクの射殺命令が出ていることを知るのです。
困ったギホンが研究所に連絡をすると、セイン研究所の会長であるキム・チョノがソボクを保護したく研究所に連れてくるように指示されました。
しかし、キム・チョノには、年老いて病気を患う自分のためにソボクを生かしておきたいという思惑があったのです。
ソボクは研究所へ戻る前にウルサンという都市へ行きたがります。
自分の臨床試験も懸かっているため、ギホンはなんとかソボクを説得して研究所へ戻ろうとしますが、抑制剤を打たずに24時間以上経過しているソボクの身体には無理が出始めていました。
そしてその頃、未来学者から生命革命には危険が伴うとして、アメリカからも正式にソボクの射殺命令が出されます。
そして韓国の国家情報院も同じ決断を下し、ソボク射殺に向けて動き出していたのです。
逃走する2人の男と彼らを取り巻くそれぞれの組織、企業、国家の思惑がめぐるなか、ソボクとギホンは、ソボク誕生の秘密が隠されているウルサンのイミョン聖堂へ向けて車を走らせていました。
マルコヤマモト
映画『SEOBOK/ソボク』感想【ネタバレあり】
SFサスペンスでありながら2人の男のロードムービーでもある
死なないクローン・ソボクと余命わずかな元情報院エージェント・ギホンの逃亡劇と、その中で生まれる彼らの奇妙な絆を描いた『SEOBOK/ソボク』。
クローンというどこか現実味がありそうな設定と、男同士の絆、アクション、そして切ない物語が絶妙なバランスで展開される、韓国映画の美味しいところ全部載せのSFサスペンスでした。
冒頭からひたすら緊迫した状況が続くなかで、ソボクを連れたギホンが情報院の隠れ家を探すために市場をうろうろしたり、ソボクが初めてカップラーメンを食べるシーンでの2人の兄弟のようなやりとりが唯一の癒し。
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そんな2人の癒しシーンをもっと見ていたかったのですが長くは続かず、すぐに敵のエージェントがやってくるのも韓国映画あるある。
そこからはソボクとギホンが逃避行を続けるなかでさらに絆を深め、ソボク誕生の秘密に迫るロードムービー的展開が始まりますが、人の2倍の速度で成長するソボクが突然血を吐くため「死ぬんじゃないか!?死ぬなよ!?」と気が抜けません。
一見無敵に見えるソボクですが、細胞分裂を抑制するための薬を打ち続けなければ死ぬという弱点があるからこそ、物語のバランスがうまく取れています。
亡くなった息子の代わりに母親であるイム・セウン博士にクローンとして作り出されたソボク。
マルコヤマモト
戦いの末に、ソボクは「人間」として深い眠り(=死)につくことができたのでしょうか?
また、ギホンのその後も描かれていませんが、彼が死に対する恐怖を克服できたのかも気になります。
ソボクの怒りが爆発し、能力を発揮するSFパートは後半に凝縮されており、どちらかというと中盤のロードムービー的展開が多めですが、全体を通すとバランスが取れており完成度も高く満足でした。
マルコヤマモト
命について改めて考えさせられる
死なないクローン・ソボクをめぐった周囲の人物たちも最初はいい人そうに見えて、実は韓国映画あるあるを王道でいく悪者ばかり。
某大国(アメリカ)からの意向と倫理的観点からソボクの排除を目論み、余命わずかな元エージェントのギホンをいわゆる使い捨て要員として使ったアン部長率いる国家情報院の無慈悲冷徹な態度。
ソボクの所有権を持つソイングループの代表シン・ハクソンをはじめとする研究員たちは、人間の姿をしたソボクをただの実験体としか見ておらず、段々と暴かれる狂気の姿にゾッとします。
そして1番の黒幕がソイングループの会長を名乗る車椅子の老人。
車椅子姿でありながら国家情報院を相手に傭兵を雇って戦いを仕掛けるなど、口も悪く目的のためなら手段を選ばないなどお年を召されても超やり手。
そんな会長が放った「助かる人もいれば助からない人もいる。(命を助けるか助けないか)それは私たちが決める。」というセリフにハッとしました。
私が思うに結局会長は自分が生きたいだけで、他には自分にとって都合の良いお金持ちだけを助けるつもりなんだろう。
自分の命がそんな恐ろしい人の手中にあると思うとゾッとします。
マルコヤマモト
その後「お前たちが永遠に生きることの方がよっぽど地獄だ!」というギホンのセリフには、痛く共感。
マルコヤマモト
SNSでのみんなの感想・評判
『#SEOBOK 』観賞。
死から逃れたい人類の欲望によって産み出された「ソボク」。そして人類の都合によって抹消されそうになる彼を守る男。2人の関係が建て上げられていく過程を物語として見せる。終盤の超能力描写は好きだがラストがあっけなさすぎる気もする。彼は人として眠りにつけたのだろうか? pic.twitter.com/hAFEB7JwfF— おのぶ@緊急事態宣言再び(大阪) (@onobujubilee) July 25, 2021
『SEOBOK/ソボク』観賞
人類の進化は1人の少年と死にかけの男に託された。
新薬開発のため生み出されたクローンの少年と、彼を護送する男の戦いと葛藤を描いた良作。
余命いくばくない男と特殊な力を持つ少年が護送劇を通じて交流を深める姿と、彼らに待ち受ける過酷な運命に心打たれる。 pic.twitter.com/NQNFEiwDty— ノミのピコ (@KRWNMNPK) July 24, 2021
「SEOBOK/ソボク」観賞。
Xファイルに出てきそうな話だったな。ソボクのまっすぐな視線と素直な問いかけがあまりに直球でそれだけで切なくなる。これは情が移るよ、うんうん。あと帰りに献血寄ろうと思った、なんだろね(笑) pic.twitter.com/pkajbC1ebd— きたに (@akiko2d) July 24, 2021
昨日公開初日 #SEOBOK 観賞
永遠の命の持ち主ソボクを
取り巻く人々それぞれの思惑
アクション有り涙あり
色々と考えさせられる作品
コンユさんとパクボゴム
2大スターの共演も#コン・ユ #パク・ボゴム pic.twitter.com/URGBAxJHxx— ʕ∙ჲ∙ʔ ʕ∙ჲ∙ʔ (@tama_exoplanet) July 17, 2021
コン・ユとパク・ボゴムという人気スター同士の共演ということもあり、大変楽しみにしていた方が多い『SEOBOK/ソボク』。
すでに観賞した方の中には2人のやりとりや、変化していく関係に心動かされた方が多かったようです。
また韓国映画におけるSF描写やCGもここ数年で格段に進化しており、ソボクの能力を美しく時には恐ろしく描き出していました。
映画『SEOBOK/ソボク』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
『SEOBOK/ソボク』
絶賛公開中!
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皆様からの沢山の応援ありがとうございます!#ソボク はまだまだ全国の映画館で公開中です▼劇場情報はコチラhttps://t.co/svqz1Fqikf pic.twitter.com/015W78dvJo
— 映画『SEOBOK/ソボク』公式 (@seobok_jp) July 30, 2021
マルコヤマモト
- 映像美…★★★★★
- 物語…★★★★☆
- パク・ボゴムの可愛さ…★★★★★★
個人的には久しぶりの韓国映画鑑賞だったのですが、安定の面白さで満足。
命や生と死について描く割と難しめなテーマでしたが、私たちに問いかけている部分もあるのでは?と感じました。
マルコヤマモト