映画『侍タイムスリッパー』あらすじ・ネタバレ感想!笑って泣ける、奇跡の時代劇コメディ

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幕末の侍が、現代の時代劇撮影所にタイムスリップしてしまったら?

『侍タイムスリッパー』は、そんな突き抜けた設定なのに、気づいたら笑って泣いている映画です。

笑えて、あったかくて、最後はグッとくる。
「時代劇って面白いんだ」と、あらためて気づかせてくれる作品でした。

本作の見どころ<br />
・コメディなのに、クライマックスの殺陣シーンで涙必至
・現代の生活に少しずつ適応していく本物の侍
・笑いと感動が絶妙なバランスで共存する131分

それでは『侍タイムスリッパー』をネタバレありでレビューします。

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『侍タイムスリッパー』作品情報


公開:2024年8月17日
監督:安田淳一
脚本:安田淳一
出演:山口馬木也、冨家ノリマサ
上映時間:131分

未来映画社3作目の劇場映画となる自主制作映画。
第67回ブルーリボン賞作品賞、第48回日本アカデミー賞最優秀作品賞、第56回星雲賞メディア部門受賞作。

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【ネタバレ】『侍タイムスリッパー』あらすじ

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幕末の侍が現代へ

時は幕末、京の夜。
会津藩士・高坂新左衛門(山口馬木也)は、家老から長州藩士・山形彦九郎を討つよう密命を受けます。

山形と刃を交えた瞬間、落雷が轟く。

気を失った高坂が目を覚ますと、そこはなんと現代の時代劇撮影所でした。

病院で治療を受け、窓の外を見た高坂の表情は固まります。
見知らぬ街並み、見知らぬ乗り物、見知らぬすべて。

街をさまよい、ポスターを見て気づきます。
「自分は140年後の日本に来てしまった」と。

「斬られ役」として生きていく

もとの時代に戻れないと悟り、一度は切腹を考えた高坂。
しかし西経寺の住職夫妻に助けられ、撮影助監督の山本優子(沙倉ゆうの)とも再会します。

住職から「記憶喪失の俳優」と勘違いされたまま、お寺に居候することに。
白米のにぎり飯のおいしさに涙し、ショートケーキに感動し、テレビの時代劇に心を動かされる高坂。

そんな折、お寺で時代劇の撮影が行われることになりました。 キャストの体調不良で、高坂は急きょ斬られ役のエキストラとして出演。

本物の侍の動きを目の当たりにした殺陣師・関本(峰蘭太郎)に褒められたことで、高坂は思いたちます。
「これこそ、現代で自分にできる唯一の仕事だ」

こうして高坂は、斬られ役のプロ集団「剣心会」への入門を果たします。

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剣心会への入門と斬られ役としての成長

斬られ役のプロ集団「剣心会」への入門を希望した高坂。
優子から現代の時代劇の厳しい現状を聞かされ、思いとどまるよう説得されます。

それでも熱意は本物でした。
殺陣師・関本の試験を経て、剣心会への入門がついに叶います。

高坂は実戦の剣術しか知りません。
竹光(刃のない模擬刀)の軽さも、斬られることを前提とした動きも、まったく別ものでした。

しかし関本の指導と自らの稽古を積み重ね、やがてセリフ付きの役をもらうまでに成長します。

また、まげを切ってざんばら頭になったり、現代の服で日常生活を送ったり、徐々に現代にも慣れていきました。

風見恭一郎の正体

そんな中、10年前に時代劇からの卒業を宣言したスター俳優・風見恭一郎(冨家ノリマサ)が主演する新作映画の制作が発表されます。
撮影所所長の井上に呼び出された高坂は、風見直々の指名で準主役に抜擢されたと告げられました。

謙遜から辞退しようとした高坂に、風見は自分の正体を明かします。

風見恭一郎の正体は、高坂がタイムスリップ直前に暗殺しようとしていた山形彦九郎、その人でした。

山形もまた、30年前(1970年代)の京都撮影所にタイムスリップしていたのです。
しかも、斬られ役から俳優として地位を築き、スターになっていました。

因縁を超えて、2人で映画に挑む

「本物の侍の姿を二人で残したい」という風見の言葉。

かつての因縁、そして風見が時代劇を捨てた過去から、高坂は最初、出演を断ります。

しかし関本や優子といった周囲の想いを聞く中で、最終的に受諾しました。

撮影が進む中、会津藩士と長州藩士を演じる高坂と風見は、次第に心を許す仲になっていきます。

風見は、幕末に人を斬ったことを後悔していて、その記憶が殺陣のたびによみがえり、時代劇を離れたのだと打ち明けました。

一方の高坂も、撮影の打ち上げで配られた新しい脚本から、会津藩の悲惨な末路を知り、動揺してしまいます。

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血判状を書き、真剣で撮影に挑む

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映画最後の対決シーンで、竹光(刃のない模擬刀)ではなく真剣を使いたい。
高坂は監督に提案しました。

優子と関本は強く反対しましたが、風見が快諾し、監督も乗り気に。
高坂と風見が関係者への免責を記した血判状を提出したことで、この案は採用されます。

迎えた撮影当日。
高坂は風見に告げました。

「殺陣ではなく、仕合を申し込む」

打ち合わせとは違う立ち回りが始まったと気づいた撮影陣でしたが、監督の「止めるな」という厳命のもと、カメラは回り続けます。

真剣が打ち合う音が響く、壮絶な対決が繰り広げられました。

映画の本当の結末

スクリーンで見た観客は息をのみ、住職夫妻も高坂が時代劇の新たなスターになったことを喜びました。

ただ、実際には、高坂は風見を斬ることができませんでした。
苦悩し、本物の侍の立ち会いを映画に残そうと決意しながらも、最後の瞬間、刀を止めていたのです。

その場に泣き崩れた高坂に、風見は静かに声をかけます。
「お互いに自分の信じる道を精一杯生きた。それで良いではないか」と。

高坂は答えます。
「いずれ武士や時代劇のことが忘れ去られるとしても、今日がその日ではない」

そして今という時代を、精一杯生きることを決意しました。

撮影を終えた高坂に、優子は平手打ちをくらわせ、「二度とこんなことをしないで」と言いつけます。
何かを伝えようとした高坂でしたが、優子はもう仕事へと戻ってしまい、その言葉は届きませんでした。

そして、また1人

映画『最後の武士』の公開後も、京都撮影所には斬られ役として撮影に臨む高坂の姿がありました。

やがて人気のなくなった屋外のオープンセットに、今度は会津藩士・村田がタイムスリップしてきます。

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【ネタバレ】『侍タイムスリッパー』感想


「斬られる」ことに本気になる主人公がかっこいい

時代劇において「やられる側」を演じる俳優、「斬られ役」。
セリフは少なく、主役を引き立てる裏方的な存在でもあります。

高坂は剣心会に入門後、実戦とはまるで異なる竹光(刃のない模擬刀)の扱いや、斬られる動きを一から学んでいきます。

しぃぷ

本物の武士が「斬られ役」って屈辱ではないか。
私は最初そう思っていました。

しかし、コツコツ稽古を積んで、やがてセリフ付きの役をもらうまでに成長する高坂。
その姿が、じわじわと心にしみてきて、次第に応援したくなっていきました。

まさかの2人目のタイムスリッパー

スター俳優・風見恭一郎は、10年前に時代劇からの引退を宣言し、現代劇に活躍の場を移していました。
高坂が準主役に抜擢された新作映画で、二人はついに対面します。

そこで風見が明かした正体は、高坂がタイムスリップ直前に斬ろうとしていた山形彦九郎でした。

しぃぷ

この展開、正直「そうきたか!」と思わず声が出てしまいました。

敵同士だった2人が、同じ目標に向かって歩んでいく。
その関係の変化が、物語に深みをぐっと加えていると感じます。

ラストの真剣勝負に、息をのむ

クライマックスは、高坂と風見が刃を交える対決シーンです。

通常、時代劇の撮影では竹光(刃のない模擬刀)を使います。
しかし高坂の提案で、このシーンだけは本物の真剣を使って撮影されました。

しぃぷ

笑えるコメディのはずなのに、あまりの気迫に、気づいたら息を止めて見入っていました。
真剣が打ち合う「カンッ」という音が、画面越しでも全身に響いてきます。

他の時代劇ではなかなか見られない、「真剣」の重みを感じさせられるこのシーンは必見です。

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『侍タイムスリッパー』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

要点まとめ
・幕末の侍が現代の撮影所でたくましく生きるコメディ
・真剣勝負のシーンは、重みを感じさせる必見のクオリティ
・製作費2600万円の自主制作にして日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した、時代劇愛を感じさせるストーリー
以上、ここまで『侍タイムスリッパー』をレビューしてきました。

しぃぷ

コメディとして笑えるし、人情ドラマとしても泣ける、そしてアクションとして興奮できる。
三拍子そろった、これぞ映画の原点、ともいえる1本でした。

「時代劇ってちょっとむずかしそう…」と思っている人にこそオススメの映画です。

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