ついに烏哭三蔵法師が玄奘三蔵の前に登場。殺意に満ちる玄奘三蔵が烏哭を攻撃するも、赤子の手を捻るがごとく簡単にあしらわれてしまいます。
烏哭を敵とみなしたガトも攻撃を仕掛けるも敵わず。みっともなさすぎて三蔵一行も名乗れないという玄奘三蔵に対して烏哭は、自身の持つ無天経文の力を見せるのですが…
「川流れの江流」と呼ばれた玄奘三蔵の出生の秘密、光明の死の真実が明かされ、「無」とは何かを見せつける烏哭三蔵と無天経文の前に、玄奘は光を見出すことが出来るのでしょうか。
目次
アニメ『最遊記RELOAD―ZEROIN―』第10話のあらすじと振り返り
ペンダントを失い、今までのように魂を自由に使うことへの不便さを感じるヘイゼル。自分は何のために西から来たのか、何をすればいいのかと困惑しながらも、過去を振り返ります。
突然現れた魂を移して人を蘇生させる力。これを使って憎き妖怪(モンスター)を殲滅させ、人を救おうと考えるも、フィルバート司教だけはよみがえらせることが出来ない悔しさを抱え育った地を離れたヘイゼル。モンスターを精霊と呼んで共存するガトを誤って殺めた償いとして蘇生させるも、自然の摂理に反しているということを理由に村を追い出された彼と行動をすることになった過去も思い返します。
自然の掟に従うのも運命、反するのも運命だと語るガトは、ペンダントがなくなった今、いづれは復活できなくなることを受け入れながらも、玄奘三蔵にヘイゼルを頼むと頼みます。
これに対して三蔵は承諾などせず、それはオマエにしかできないだろうと返すのでした。
【ネタバレあり】アニメ『最遊記RELOAD―ZEROIN―』第11話あらすじと感想
ついに姿を現した烏哭三蔵が玄奘三蔵を嘲笑う
烏哭との出会いにより、花は咲いたら枯れるだけ、誰も自分に期待していないから、自分の力でエクソシストになる、妖怪はいなくなったらいいという信念でここまで歩みを進めてきたヘイゼルでしたが、三蔵との出会いや、死にたくないと叫ぶ妖怪の子供のことを思い返し、フィルバート司教に言われた通りに花を大事に育てていれば何か変わったのだろうかと悩み始めます。
物事の判別もつかない幼き頃の自分は、司教よりもあの大烏に魅了されてしまったのだというと、それが斉天大聖の話をお前に吹き込んだ男かと玄奘三蔵は問います。
一度その烏に会ったことがあること、それからもわざとらしく影をちらつかせて挑発してくるその男は、天竺吠登城で妖怪に交じり蘇生実験の研究をしている科学者であり、無天経文を継承し、唯一額にチャクラを持たない三蔵がいることをヘイゼルに告げ、ついに玄奘三蔵は烏哭三蔵の名を呼びます。
「やっと呼んだねぇ」
と言って現れた烏哭三蔵は、
「ちょー久しぶりぃ」
「嫌いな相手にでも挨拶だけはきちんとしなさいって習わなかった?光明パパに」
「昔は女の子みたいに可愛かったのになあ。ずいぶんと目つき悪くなっちゃったね」
と言いながら、銃を向ける玄奘三蔵にフラフラと近づいていきます。
銃弾は烏哭三蔵に向けて放たれているのに撃たれた様子はなく、弾はどこかに消えてしまっています。
「そういえばなんか、顔色も良くないけど、どうしたの?」
ゼロ距離まで近づいてきた烏哭三蔵に体術で立ち向かおうとする玄奘三蔵ですが、傍からこの様子を見るガトが烏哭三蔵に弄ばれていると感じるほど力の差は歴然。魔界天浄を繰り出す玄奘三蔵ですが、術を発動させた技が消えたことで困惑するのでした。
KAMUI
鳥哭が見せる「本当の闇」
無天経文の力によって、魔天経文の力が消されたことで動揺を隠せない玄奘三蔵。
「この程度ってことはないよね?」
と、笑う玄奘三蔵に対し烏哭三蔵は三蔵の出生について語りながら攻撃をかわしては反撃し苦しめていきます。
幼名は「江流」。幼い頃に揚子江に小舟で流されているところを光明三蔵に拾われ、育てられる。実父の名は林徒候(リントコウ)という政治的権力者。当時51歳だった徒候は弱冠17歳の仕立て業者の娘・香藍(コウラン)との間に子を設けるも、政治的圧力に寄り引き離れてしまったことや、香藍は山中で出産を果たすも間もなく病死してしまったことや、徒候も同じ時に行方不目になったことを玄奘三蔵に聞かせるのでした。
KAMUI
さらに、金山寺にて育てられた江流はわずか13歳で三蔵を継承した現状は、妖怪の襲撃に遭ったことで、自害したと烏哭三蔵は告げます。でたらめを抜かすなと返すも、それを一番知っているのは自分だろと返されてしまいます。
KAMUI
攻撃を受けすぎて動けなくなった玄奘三蔵。やりすぎだとヘイゼルが声を上げると、ガトは3分だけ自由にさせてくれといい、烏哭三蔵に銃を向けます。烏哭三蔵もガトの生前の話やヘイゼルに殺されたことを話し始めます。なんと言われても烏哭三蔵は敵だと思うガトは銃を向け続けますが、無天経文でガトの腕を消し、深手を負わせたことで、ヘイゼルは烏哭三蔵を非難し始めます。
KAMUI
まったく歯が立たず、立ち上がろうとするのも困難なほどにボロボロにされているも「邪魔するんじゃねぇ、どいてろ」と必死になる三蔵。
「必死だねえ、そんなに恥ずかしい?」という烏哭三蔵の言葉に対し、玄奘三蔵はこう言い放ちます。
「ああ、恥ずかしくてたまらねぇなあ。このザマじゃ恥ずかしすぎて、三蔵一行も名乗れやしねえ」
KAMUI
「孫悟空を殺しそびれたのは誤算だった」「その目はまだ光を追うのかと」笑う烏哭三蔵は玄奘三蔵に言います。
「見に行くかい?本当の闇を」
本当の闇に呑み込まれていく玄奘三蔵が感じたのは…
玄奘三蔵に対し、無天経文を発動させれる烏哭三蔵。万物を無に葬る力により彼は玄奘三蔵の存在を無に帰そうとします。
玄奘三蔵が辿った歴史
玄奘三蔵を形作るものすべてを消そうとする烏哭三蔵。
玄奘三蔵と出会った過去を消したことにより、ヘイゼルの姿が消えてしまいました。玄奘三蔵と出会っていないからこそ、ここにいることはなくなったと烏哭三蔵は言います。
本当の『無』は『死』や『破滅』と同等のものではない。「胸を張って死ねる」というのであれば、それは自分の中に「生きた」という記憶が、歴史に刻んだはずの自己という錯覚があるから
玄奘三蔵という“己”などは存在しない。すべては他社によって与えられた錯覚に過ぎない
『仏に逢えば仏を殺せ 祖に逢えば祖を殺せ』
何物にも捕らわれないこと それが真の『無一物』なら
その教えを今も唱え続ける君に すべてを捨てることが出来るかな
烏哭三蔵の言葉と自身の存在を消そうとする無天経文の力から逃れようと走る玄奘三蔵。消えていく過去を見つめながら、これが『恐怖』だと実感しながら、彼は「ヤメロオォォ」と叫ぶのでした。
KAMUI
次にのぼる太陽
悟浄、八戒、悟空との過去まで消えようとしていたその時、玄奘三蔵の手を掴む手が…。木にぶつかって身動きが取れない玄奘三蔵が目を開けると、そこには悟空と悟浄の後ろ姿がありました。
八戒に引っ張り出せと言われた悟空は悟浄の方に三蔵を投げるはずが、勢い余って木に激突させるという始末。ゴメンと謝りながらも、悟浄がちゃんと受け止めろよと大喧嘩。首の骨が折れるも、八戒の治癒をうけたことにより「うるせぇっつってんだろうが!」と叫びます。
無理をして怒鳴る三蔵に対し、悟空と悟浄はしばらくそのままでいてもらうと笑顔で言います。
みっともないところを見られちゃったねと笑う烏哭三蔵。すると悟空が返します。
「そりゃ見ちまうよ。俺のみっともないトコも、コイツらのみっともない所だってさ、たくさん見ちまうよ。でもそんなん、当たり前じゃん。一緒に旅してんだから」
三蔵一行4人の目を見た烏哭三蔵は、かつて光明と交わした賭けを思い出すのでした。
KAMUI
アニメ『最遊記RELOAD―ZEROIN―』の次回に期待するもの
これ…本当に30分でまとめたのかよと驚くようなボリュームでした。全てを無に帰す烏哭の力は本当に恐ろしいですよ。しかし、この生死感、人が存在することの虚無や光を描いてくれるのが、峰倉かずや作品の魅力だと思っています。
さらには、いつも弱いところなんて見せず、上から目線で真っ直ぐな玄奘三蔵が無様に逃げるしかないレベルですが。そこがまた人間らしくて、よく描いてくれたなと思います。
無天経文の力でこれまでの物語が来ていくなんて…最遊記ファンも悲しいですからね!
全てを無に葬る力をもつ烏哭に対し、真っ直ぐな目を向ける太陽のように光る悟空の目がこれまた良いなと思えるこの瞬間。光と闇がぶつかるこの瞬間、ワクワクがとまりませでしたね。
一緒に旅しているんだからみっともない所だって見ちゃうと言ってくれたこともすごいジーンと来ちゃいましたからね。こんなに自分たちって脆かったっけ?とがっかりする悟空からのこの成長ですから!
語ったらキリがありません。次回は「明かされる記憶」
烏哭三蔵の口から今度は何が語られるのか…須らく!