2022年1月6日より、『最遊記RELOAD -ZEROIN-』の放送がスタート。2021年には先行上映会なども開かれ、多くの注目を集めています。最遊記シリーズのアニメーション化は今回が初めてではなく、テレビシリーズだけで数えてもなんと５回目。
そこで、これまでの最遊記シリーズの軌跡と、『最遊記RELOAD -ZEROIN-』の先行上映会感想をここで記載していきます。
須らく見よ！
(C)峰倉かずや・一迅社／最遊記RE PROJECT
『最遊記』とは
まずは原作『最遊記』についてお話をさせていただきます。
1997年よりエニックス「月刊Gファンタジー」で連載がスタートしたこの『最遊記』という作品。初期シリーズは全9巻が発行されたのち、2002年より一迅社「ZERO-SUM」に移行。「最遊記RELOAD」とタイトルを新たにして連載がスタートしました。全10巻までが発行されると、最遊記シリーズ最終章と称される「最遊記RELOAD BLAST」が2010年より同出版社より連載開始。現在3巻まで発行されており、未だ完結はしておりません。
また、最遊記シリーズはメインの物語の他にも、最遊記の主人公である三蔵一行の前世の姿を描いた『最遊記外伝』や主人公の1人・玄奘三蔵の師・光明三蔵の若き日を描いた「最遊記異聞」などというスピンオフもあります。
だんだんと作品の進行は遅れているのですが、これは作者である峰倉かずや先生の体調を考慮したもの。先生が大きな病気をしてなお漫画を描き続けていることを知るファンは、どれだけ続きが気になっても待ち続けられるという姿勢を持っています。それだけ魅力的な作品なのです。
『最遊記』声優・キャラクター紹介
今まで最遊記シリーズはテレビアニメ化が4度、OVA化が3度、そして劇場版が1度作られました。それ以外にもラジオやゲーム、舞台、2.5次元ミュージカル、声優陣による朗読劇と多くのメディア展開が行われてきました。2022年に放送される最遊記RELOAD -ZEROIN-は5度目のテレビアニメ化。これだけ何度もテレビアニメ化けるされても、メインの声優陣は変わることがありません。ではここで、メインとなる登場人物の紹介をしていきましょう。
玄奘三蔵法師（vc.関俊彦※初期OVAは高木渉）
© 峰倉かずや・一迅社／最遊記RE PROJECT
最高僧「三蔵法師」の1人であり、正式な法名は「第31代目唐亜玄奘三蔵法師」。坊主という身分ではあるものの、仏道に帰依する気は全くありません。マルボロ（赤）を吸い、飲酒・博打も嗜み、妖怪相手には容赦なく銃を向け殺生を厭わない。「死ね」「殺すぞ」が口癖の超鬼畜生臭坊主。
亡き師・光明三蔵法師より三蔵法師に継承される5つの「天地開元経文」のうち、「聖天経文」と「魔天経文」という二つの経文の継承者であるものの、光明三蔵が妖怪に襲われた時に聖天経文が奪われてしまったため、彼の手には魔天経文しかない状況です。牛魔王の蘇生実験に聖天経文が利用されていると聞いたことで、牛魔王の蘇生実験の阻止と共に師の形見である聖天経文を取りもどすべく、天竺へと向かいます。
金髪に紫の瞳を持つ23歳の青年で気難しい性格なのですが、少し走っただけで疲れてしまったり寝るのが早い。また、伸びたラーメンが好きであったり、甘党＆マヨラーという不思議な一面を持っています。孫悟空や沙悟浄から「タレ目」「ハゲ」と悪口を言われるとどこからともなくハリセンを取り出して叩いたり、容赦なく銃を撃ちます。
この作品でとっても人気です。厳しいのですが、読者を生かしてくれる言葉をたくさんくれます。私自身、最遊記という作品に出会ってからずっと虜です。『鬼滅の刃』で鬼舞辻無惨と同じ声優であることから、平服するしかありませんでした。カリスマ性があり厳しめクールタイプが好きな方にオススメです。
孫悟空（vc.保志総一朗※初期OVAは岡野浩介）
© 峰倉かずや・一迅社／最遊記RE PROJECT
岩から生まれ大地のエネルギーが集結して誕生した生命体。人でも神でもない異端の存在で金色の目を持つ少年です。天界で大罪を犯し、500年もの間岩郎の中に閉じ込められていたのですが、玄奘三蔵の手により解放され、それ以来彼の側と行動しています。見た目は18歳なのだが中身は幼く、「腹減った」が口癖な能天気猿。戦闘時には如意棒を使って戦うのですが、頭に付けられた妖力制御装置である金錮が外れたり壊れてしまうと「斉天大聖」という凶暴な妖怪へと変貌を遂げ、敵味方関係なく攻撃をしてしまいます。
今まではただ三蔵が行くから一緒に天竺に行くという考えだったのですが、今回の『最遊記RELOAD -ZEROIN-』では彼なりの目標が見つかるお話が描かれそうです。天真爛漫で食い物の恨みは絶対に許さないという孫悟空の成長がみられる瞬間は、作品の楽しさをUPさせたなと思えるはずです！元気で明るい少年みたいなタイプが好きな方にオススメです。
沙悟浄（vc.平田広明※初期OVAは山寺宏一）
© 峰倉かずや・一迅社／最遊記RE PROJECT
人間と妖怪の間に生まれたハーフ。赤い髪と瞳を持つ禁忌の子と呼ばれた彼は、妖怪である義理の母に殺された過去を持ちます。人間の愛人の子である自分は殺されても仕方がないと死を受け入れようとしますが、血のつながりのない兄が妖怪の母を殺してしまったことにより生きながらえます。
玄奘三蔵と並ぶヘビースモーカーな上、女癖が悪く、美人を見つけるとナンパせずにはいられない性格で、悟空や三蔵からは「エロ河童」と言われます。大雑把な性格ではあるものの、男気があり他者に対して優しい兄貴分的存在です。
悟空や三蔵とよく喧嘩します。ついでに髪に触覚があることからいつの間にか「ゴキブリ河童」と言われるようにもなりました。声優・平田広明さんも過去に言っていたのですが、セリフに「クソ」を付ければ『ONE PIECE』のサンジになります。セクシーな色気があるお兄さんタイプが好きな方にオススメです。
猪八戒（vc.石田彰）
© 峰倉かずや・一迅社／最遊記RE PROJECT
元々は猪悟能という名の人間で孤児院で育った青年。しかし、恋人であり双子の実姉が村人たちの手で妖怪に差し出されたことに怒りを覚え、村人と彼女を連れ去った妖怪達を皆殺しにしました。千の妖怪の血を浴びたものは妖怪になるという言い伝えがあり、彼は妖怪へと変貌を遂げ、大罪人として玄奘三蔵に連行されました。そこで名を改め「猪八戒」として行き、現在は三蔵一行の1人として旅をしています。
礼儀正しく笑顔が素敵な温厚な青年で、他3人を時にはたしなめる保父的存在。ジープという車に変身できる竜の飼い主であり運転手なのですが、キレると一番怖い人です。武器は特に使わず体術と気功術を用いて攻撃を繰り出したり、防護壁を作ったり回復に回ることもあります。
また、過去に右目を抉り出した過去があり、今は義眼をつけています。
全てのシリーズを通り越して石田彰さん！もうあなた以外にありませんってほどにピッタリです。優しいお兄さん好きな方にオススメです。
【ネタバレあり】アニメ『最遊記シリーズ』あらすじと感想
ここからは過去に放送されたテレビアニメシリーズについての紹介をしていきます。
アニメ『幻想魔伝最遊記』
峰倉かずや／一賽舎・最遊記プロジェクト・テレビ東京 2000
2000年に放送された『幻想魔伝最遊記』は、原作『最遊記』の1巻から6巻までの内容をアニメーション化したものです。
また、この時OPを歌ったのは現在俳優として活躍している徳山秀典さん！HEY！HEY！HEY！に出演してこのOPを歌うほどの人気でした。
天地入り混じる混沌の時代。人間と妖怪が共存を果たしてハズの世界であったものの、かつて天界の力によって封印された大妖怪・牛魔王の蘇生実験が行われ始めたことをきっかけにバランスが崩れ出しました。妖怪が自我を失い、人間を襲い始めるという地獄絵図を食い止めるため、観世音菩薩の命を受けた玄奘三蔵が孫悟空・沙悟浄・猪八戒という3人の妖怪を連れて蘇生実験を食い止める旅を始めます。その途中でそれぞれの過去が描かれたり、牛魔王の息子・紅孩児との衝突があったりと盛りだくさんです。
本来は25話でアニメが終了する予定でしたが、当時の人気作品になっていたこともあり、オリジナルストーリーとしてもう25話分が作られ、1年に渡って放送される形となりました。
作者・峰倉かずやによってつくられたオリジナルキャラクターがこれまたカッコよくてですね…原作でももう二度と描かれないという悲しさ。しかし、オリジナルキャラクターの1人・焔（ほむら）の声を担当された森川智之さんは、峰倉かずや先生の他の作品で欠かせない存在となりました。
アニメ『最遊記RELOAD』
©峰倉かずや／一迅社,テレビ東京,電通,ぴえろ 2003
幻想魔伝最遊記が終了して間もなく劇場版も決まった『最遊記』シリーズは、2003年に『最遊記RELOAD』として2度目のテレビアニメーション化がされました。
全25話が放送されたのですが、半分以上がアニメオリジナルで、原作のお話は比較的少ない作品です。原作『最遊記RELOAD』のシナリオはアニメーションの第1話のみ。物語の終盤には原作『最遊記』の6巻から10巻で描かれた「カミサマ編」と呼ばれる物語が描かれました。
本編が終わると「うら最」という数秒のパロディーが放送されていました。ずいぶんギャグ路線に行っちゃったんだなぁと当時は悲しみましたが、今見返すと面白いです。
いつものように買い出しに出された沙悟浄は、チンピラに絡まれる少年・金閣を助けます。この少年に三蔵・悟空・八戒の愚痴を悟浄から聞かされた金閣は、宿にいる3人を襲撃。
悟空と八戒の魂を瓢箪の中に閉じ込めてしまいます。一命をとりとめていた三蔵と共に金閣を探し少年を見つけることに成功したのですが、彼が「カミサマ」と呼ばれる人物の命令で悪い人間を殺していると聞き絶句。
しかもそのカミサマの手で金閣が自身の目の前で殺されると悟浄は怒り心頭。三蔵一行から離れ、単独でカミサマを倒しに出て行ってしまいます。
幼い自分と金閣がリンクしちゃってとにかく許せなかった…悟浄の中にある優しさとそれを利用する人間の怒りがよく描かれていたなと思えます。
カミサマと名乗るも見た目は三蔵法師。自分の方が強いと豪語するカミサマは、悟浄はもちろん、彼を追って来た3人も殲滅させます。攻撃を受け身動きが取れなくなってしまった玄奘三蔵。カミサマに魔天経文を奪われてしまったうえ、光明が遺した「無一物」の言葉を彼の口から聞かされて混乱状態になってしまいます。
心を折られた三蔵、悟浄、八戒に対し、悟空の目だけが生きていました。負けたままなんて許せないと豪語する悟空に感化された3人はカミサマにリベンジマッチを挑みに行くのでした。
心が折れそうな時って人生あるじゃないですか。そんな時悟空の「負けたまんまでいいの？」って言葉が響いてくるんですよ。原作でも響くんですけど、保志総一朗さんの声で再生されると、ああこのままじゃダメだって思えるんですよね。
カミサマが先生と呼ぶ三蔵法師は、額にチャクラのない異質の三蔵法師。全てもらったとカミサマは豪語するが、経文と法名をもらっていないことから「三蔵の称号」だけは継承できなかったと見抜いた玄奘に激昂したカミサマでしたが、袋叩きというなの連係プレーにより三蔵一行に敗北するのでした。
三蔵一行がカミサマの元を去ったのち、彼の元へと現れたのは三蔵を譲ることをしなかった烏哭（うこく）三蔵が現れます。カミサマっているの？という問いに対し「いないんじゃないかな？」と言って、烏哭三蔵は彼の最期を見届けるのでした。
原作『最遊記』のラストがこれなんですが。震えました。烏哭三蔵は幼い頃・光明三蔵を訪ねてきた関係で玄奘三蔵に会っているんですよ。そして今この人、你健一（ニィ ジェンイー）という名前で牛魔王の蘇生実験の研究に参加しているという…おじさんキャラが好きな作者なのは知っていたんですが、重役過ぎる…しかも烏哭三蔵こそが、この先の重要な存在なのです。ここ、大事なところです！
アニメ『最遊記RELOAD GUNLOCK』
峰倉かずや／一迅社,テレビ東京,電通,ぴえろ 2004
2004年に3度目のテレビアニメ化が決まり、放送されたのがこの最遊記RELOAD GUNLOCK。
今までは夕方枠だったのですが、ご時世的なもののせいか、前作の『最遊記RELOAD』が『幻想魔伝最遊記』以上に盛り上がらなかったせいか深夜枠になったのを覚えています。ま、それでも見ましたがね！
物語は前作『最遊記RELOAD』から続いているのですが、こちらも全26話の内オリジナルストーリーが非常に多いのです。そんな中、原作のストーリーが描かれているのは、洗脳された紅孩児との戦闘です。
実の母・羅刹女の封印を解くため、牛魔王の蘇生実験に加担する紅孩児。この実験の指揮を執っている玉面公主は義理の母に当たるが相性が悪く、何かと反発をしたくなる紅孩児なのですが、科学者・你健一に洗脳され。殺戮マシンとなって孫悟空に襲い掛かります。
この你健一（ニィ ジェンイー）もとい烏哭三蔵が曲者過ぎる。ちなみに、この烏哭三蔵の声優さんは大塚芳忠さん。声優さんだけで見たら重要人物と見えるのは当然でした。
同時系列では三蔵、悟浄、八戒が雀呂（ざくろ）という妖怪と闘うお話しもあり、後半には西から来た男・ヘイゼル＝グロース、ガトとの話が描かれます。
ヘイゼルは最遊記RELOAの後半の重要キャラクターで「ヘイゼル編」とも呼ばれるのですが、実はこの時原作は登場したというところまでしか進んでおらず、内容はヘイゼル編1話以降すべてアニメオリジナルなのです。最遊記のアニメシリーズ…なんて難しい作り方をしているのでしょう。
アニメ『最遊記RELOAD BLAST』
つまり、現在原作が出ている最新の部分までがここでアニメ化されています。そして最遊記外伝はOVA化もされているのでちょっと駆け足で詰め込まれた感じです。OVAは前半部分カットな上、『幻想魔伝最遊記』時代以来アニメ化されていなかったので描いてくれるのはありがたいです。
天竺へと近づいてきた三蔵一行は、新たな三蔵法師・紗洛三蔵法師と会い、クマリ・タルチエから更なる災難が降りかかると言い渡されます。
生き神と呼ばれるクマリ・タルチエ。玄奘三蔵の持つ魔天経文の本来の継承者は自分の半身だと言い出してどういうことだ！？となるんですが、これは原作『最遊記異聞』が絡んでくるんですよね。作品のスケールの広さ、おわかりでしょうか。
また、西へと差し掛かった三蔵一行ですが、自分たちに天竺を目指せと言った三仏神からここで任務は終了、引き返せといきなりのクビ宣言を言い渡されて唖然。その理由は、今まで再起不能であった闘神哪吒太子が動き出したためだというのですが、その哪吒が目の前に…。
かつて牛魔王を封印した哪吒の存在がどうして動かなくなったのか…その答えは三蔵一行の前世での物語が深くかかわっているのです。しかも哪吒と悟空の深いかかわりもしっかり描かれています。
アニメ『最遊記RELOAD -ZEROIN-』は何を描き、なぜ今描かれる？
2021年12月には先行上映会が行われ、第1話を先に拝見させていただいたのですが、確かにヘイゼル編でした。
登壇してくださった一行の声優陣も、前と全然内容が違うことに驚き、また楽しみにしてほしいと。いやもう、楽しみですよね。
しかしどうして改めて描こうとしたのか。私個人として考えられる理由が2つあります。ヘイゼルグロースとその付き人であるガトのラストが想像以上であったこと（個人の意見です）。アニメシリーズだけを見て、原作を見ていないという人がいるなら、原作者が考えたヘイゼル編がどういうものか、まったく違うものになりますので。新たに知ってもらうのにいいかもしれません。
そしてもう一つは『最遊記RELOAD BLAST』が関係しているといえます。BLASTを見ている時、「無天経文」を持つ烏哭三蔵の存在を三仏神に報告しているのですが、GUNLOCKのヘイゼル編では全くと言っていいほど関わっていません。しかも最遊記シリーズをこれからも描いていくのであれば、この男の存在を描かないで進むことはできないのです。
厳密に言うと、烏哭三蔵と光明三蔵との間で続くとある“賭け”が、この最遊記シリーズのもう一つのストーリーライン。とっても重要なのです！
OVAで描かれた『最遊記RELOAD -burial-』（埋葬編）でも描かれたシーンが少し入り、ヘイゼル編が始まっていく形となります。
原作の4－9巻の内容になると思われるのですが…これを何話でやろうとしているのでしょうという不安があります。そのせいか、第１話だけみると少し早送りな印象も受けました。
しかし、内容は原作通りになるはずなので面白いのは保証済みです！
アニメ『最遊記RELOAD-ZEROIN-』に期待するもの
西から来た関西弁の男・ヘイゼル＝グロースとその従者であるガト。妖怪を憎むヘイゼルは、妖怪を殺し、その魂を死んだ人間にうつして蘇生させるという力を持ち、司教様と呼ばれる存在です。そんな彼の考えがイマイチ気に食わない三蔵の衝突は見ものです。
また、とある事件がきっかけで、三蔵が他の3人と別行動をとることになるのですが、ここで悟空にとある変化が！これを描かないわけはないと思うので楽しみです！
先行上映会では最遊記RELOAで登場したカミサマ役の浪川大輔さんが登場するというようなことも話していました…どこで登場するのか！？楽しみです。
長い間最遊記はもちろん、原作者・峰倉かずや先生の描く思想にどっぷり浸って来たからこそ、しっかりチェックしていきたく思います！